■あなた以外の誰も、私を満たすことができません


■オススメ度

 

軽快なラブロマンスが好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.5.11(MOVIX京都)


■映画情報

 

原題:Anyone But You(あなた以外の誰も)

情報:2023年、アメリカ、103分、G

ジャンル:最悪な別れ方をしたワンナイトラブのカップルが家族の結婚式で再会する様子を描いたコメディ映画

 

監督:ウィル・グラック

脚本:ウィル・グラック&イラナ・ウォルパート

 

キャスト:

シドニー・スィーニー/Sydney Sweeney(ビー/ベアトリス:ボストン大学のロースクールの学生)

グレン・パウエル/Glen Powell(ベン:エリート金融マン)

 

ガタ/Gata(ピート:ベンの親友)

アレクサンドラ・シップ/Alexandra Shipp(クローディア:ピートの妹、ハリーの婚約者)

ブライアン・ブラウン/Bryan Brown(ロジャー:ピートとクローディアの父)

ミシェル・ハード/Michelle Hurd(キャロル:ピートとクローディアの母)

Maple(クロノピン:ピートの愛犬)

 

ハドリー・ロビンソン/Hadley Robinson(ハリー:ビーの姉、クローディアの婚約者)

ダレン・バーネット/Dermot Mulroney(レオ:ハリーとビーの父)

レイチェル・グリフィス/Rachel Griffiths(イニー:ハリーとビーの母)

 

チャーリー・フレイザー/Charlee Fraser(マーガレット:ベンの元カノ)

Joe Davidson(ボー:マーガレットの今カレ、サーファー)

 

ダレン・バーネット/Darren Barnet(ジョナサン:ビーの元婚約者)

 

Mia Artemis(カフェのバリスタ)

Nat Buchanan(ミランダ:カフェのクラーク)

Josh Bonello(スカイラー:カプチーノを飲む客)

Deborah Faye Lee(客室乗務員)

Lance Kerfuffle(ピーター・グラッグ:ベンに絡まれる飛行機の利用客)

Taryn Gluck(オリヴィア・フォン・シュタウフェンベルク:空港の風船姉妹)

Alexandra Gluck(マファルダ・フォン・シュタウフェンベルク:空港の風船姉妹)

Summer Tian(空港の中国人客の母親)

Dan Liu(空港の中国人客の父親)

Davina Chan(空港の中国人客の娘)

Hiroshi Kasuga(外国人旅行客)

Aiden Mckenzie(空港利用客)

Victoria Ferrara(ナイトクラブの客)

Apit Karki(オペラハウスのゲスト)

Mariama Whitton(スーパーヨットのクルー)

Ryan Panizza(スーパーヨットのクルー)

Talayna Moana Nikora(湾岸パトロールのヘリのレスボンダー)

Beau Karolos(湾岸パトロールのドライバー)

Ben Heber(ドッグベリーの店員)

Theodore Avery(結婚式のゲスト)

Jacob Yee(結婚式のゲスト)

 


■映画の舞台

 

オーストラリア:シドニー

 

ロケ地:

オーストラリア:ニューサウスウェールズ、シドニー

ジョーンズベイ・ワーフ/Jones Bay Wharf

https://maps.app.goo.gl/8EEJjRHFHEd4zutY6?g_st=ic

 

ダブル・ベイ/Double Bay

https://maps.app.goo.gl/9hQynRHdbHh5oRfX9?g_st=ic

 

サリー・ヒルズ/Surry Hills

https://maps.app.goo.gl/s5TBGtT1nFbs4hNJ9?g_st=ic

 

バランガルー/Barangaroo

https://maps.app.goo.gl/ABTG2gMuNw1t4qu5A?g_st=ic

 

シドニー・オペラハウス/Sydney Opera House

https://maps.app.goo.gl/c8G9nQre8BKZEeqR9?g_st=ic

 

テリー・ヒルズ/Terrey Hills

https://maps.app.goo.gl/SFyPHgFJTJQVxqWR7?g_st=ic

 

パーム・ビーチ/Plam Beach

https://maps.app.goo.gl/dAjEiFzkvFVvcLK26?g_st=ic

 

ボンディ・ビーチ/Bondi Beach

https://maps.app.goo.gl/JH98tpBb6PT1gveQ6?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

アメリカのボストン大学のロースクールに通うビーは、ある日、トイレを探して近場のカフェに駆け込んだ

だが、その店は「客以外の利用は禁止」となっていて、レジには長蛇の列があった

ビーは後で買うからと言うものの店員は取り継がず、それを見ていたベンが助け舟を出すことになった

 

ベンは夫婦のふりをさせ、ビーをトイレ位に行かせる

その後、距離を縮めた二人は、夜を共にするものの、翌朝ビーは何も言わずに帰ってしまった

 

ビーは喜び勇んで姉のハリーに電話するものの、連絡先の交換もしなかったことを指摘されて、彼の部屋でと戻った

だが、そこには友人のピートに悪口を言うベンがいて、ビーの恋は一瞬にして冷め切ってしまうのである

 

その後、ビーは姉の結婚式のためにシドニーにいくことになった

そこには、姉の結婚相手のクローディアの兄的な存在として、ベンは来ていたのである

気まずい雰囲気のままシドニー入りすることになったが、その険悪なムードを察したピートたちは、二人を仲直りさせて、復縁させようと試みるのである

 

テーマ:恋煩いは愛憎を超える

裏テーマ:演技できるのは相性の良い証拠

 


■ひとこと感想

 

軽いタッチとノリで楽しめればOKの映画だと思っていましたが、その期待通りの内容だったように思います

ワンナイトラブのつもりが本気になりかけて、それでついた嘘がきっかけで拗れてしまう

本来なら再会するはずのない二人でしたが、まさかの関係性があると言う内容になっていました

 

恋人に未練を残すベンと、恋愛対象としては見られない相手と過ごすビー

この二人の隙間にすっぽりと落ち込んだ奇跡的な出会いになっていました

ベンが友人に話している内容を聞いて「愛から憎しみに変わる」のですが、街角などにいろんな格言がある演出は面白かったですね

主人公カップルに共感性はあまりないけれど、見ている分には面白いと言う感じになっています

 

ビーの姉ハリーは同性婚をするのですが、この関係を問題視する人物がいないと言うのはイマドキのように思います

恋愛はタイミングだとは言いますが、そのタイミングを逃した二人にも熱い夏が訪れそうなのは良かったですね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

邦題はどうしてこうなったと言う感じに捻っていますが、意味がわからないことはないのでギリセーフでしょうか

原題は『Anyone But You』なので、「あなた以外の誰も」と言う意味で、「あなただけは嫌」ように聞こえてしまいます

そして、それが変化していく様子がうまく描かれていたように思いました

 

物語としては、シドニーの開放的な景色を眺める映画ですが、男女ともに際どいシーンはたくさんありましたね

モザイクも登場しましたが、絡みのシーンの巧妙な隠し方はなかなか凝っていたように思います

 

脇役も全部キャラが立っていて、混同することはありませんが、最優秀助演賞は犬のクロノピンになるのかな

さらにコアラくんが良い味を出していましたね

二人が演じるなかで本気になると言うよりは、ワンナイトラブであって欲しくない関係だったと気づく流れは良かったと思います

その時の恋愛はお互いに破綻していたわけで、それを決定づける出会いというものはなかなか強固なものなのかな、と感じました

 


ワンナイトラブの行く末

 

主人公のビーとベンは、いわゆるワンナイトラブのような関係になっていますが、カフェでの顛末とその後の意気投合を考えると、それでは終わらなかった関係だったはずでした

でも、連絡先を聞かなかったビーが戻ってきた時に、ベンが自分の悪口を言っているのを聞いてしまい、それが原因で「憎む相手」になってしまいます

愛の反対は無関心と言い、愛と憎は同等であるとも言われます

相手への関心と執着の強さというもののベクトルが違うだけで対義語ではないのですね

 

ワンナイトラブの経験はありませんが、一夜で行き着くところまで燃えるというのには、二つの種類があると思います

一つは「現状に不満を抱えてそれを発散するために演じるパターン」と、もう一つは「ようやく巡り会えた理想で、願望まで成し遂げるパターン」というものになります

今回の二人は、そのどちらの要素も兼ね備えていますが、前者の方が割合が多いように描かれていました

 

ベンはマーガレットに子ども扱いされている自分が嫌で、頼られたい大人の男になりたいと思っています

でも、見かけだけを磨いてもそれはなし得ず、それをマーガレットに見透かされていた関係といえます

今回は、ビーが海に落ちたことで、その後のことを何も考えずに助けに飛び込むことになりました

これはベンの内面の変化が見えるもので、その衝動が生まれるほどにビーに心を奪われている状態になっているといえます

 

対するビーの方は、完璧すぎるジョナサンがいましたが、その生活は堅苦しすぎて性に合っていなかったのですね

ロースクールに入ったけど合わず、べんとバカな会話をしている方が楽しくて、それは既定路線の人生への抵抗のように思えます

彼女は、サプライズが好きで、ジョナサンとの未来にはそれがないと感じています

これは幼馴染だったという年月の長さもありますが、ジョナサンの底の浅さというものもあったように思えました

 

この二人が融合することはさほどおかしくはなく、お互いが気を使うことがないという性質がマッチしているのだと思います

言いたいことを言えるし、それによって傷つけあうことがあっても、根底ではつながり続けているものがある

そう言ったものは本能的な相性なので、ワンナイトラブに移行するほどの衝動だからこそ、見つけられたのではないかと思いました

 


心よりも先に動くもの

 

本作の中盤にて、タイタニックごっこをしていたビーが海に落ちるシーンがあって、そこでベンは咄嗟に海に飛び込んでいました

まともに泳げないのに飛び込むことになって、ベイにしがみついて救助されるという顛末を迎えています

人が目の前で海に落ちたとして、それに対して瞬間的に動ける人は少ないと思います

状況を把握して、どうやって助けるかなどの思考が先に巡り、行動が遅れる場合が多いのですね

泳ぎや救助に自信のある人なら、想定上の動きができますが、素人には無理な話なんだと思います

 

そんな中で、ベンは後先を考えずに海に飛び込んでいて、それが愛が為せる業かどうかまではわかりません

人が落ちたので飛び込んだという条件反射のようなものになっているのですが、これがベンの特性なのでしょう

彼には、何かしら心に過った段階で体が動くという性質があって、それは話し下手のベンだからこそある能力のように思えるのですね

ベンは多弁ですが、大体は言い負かされてしまうほど浅いので、そう言ったものを補う行動力というものがあったのでしょう

 

ベンはこの行動以外にも「考えずに体が動く」という行動が多くて、それがビーにとってのサプライズを生み出しています

本人は至って真剣なのですが、少し考えればわかることも条件反射で動いてしまうのですね

これは強みにもなる反面、危険な状況に彼を追い込み兼ねないものだといえます

それが冒頭の「心にもないことを言う」という「言葉の条件反射」に繋がっているのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

この心にもないことを言うと言うのは、実際に心にあるかないかとは別の問題で、言葉のチョイスが劣る人にありがちな傾向であると思います

その感情を説明するために語彙が少なく、その言葉の受け手の感情を瞬時に察知できないことが原因で、ベンの場合は友人のピートに揶揄われたことによる条件反射になっていました

その時のベンはマーガレットからフラれた後で、ピートとしては「新しい相手が見つかったのか」という感じで接しているのですね

でも、ベンには未練があったことで、その感情を過ちだったと言うふうに上書きすることになりました

実際には、マーガレットを忘れるだけの楽しい時間を過ごせていて、体の相性も最高だったことがわかっています

 

ベン自身が自分がフラれた理由について理解していて、その修正の意味がないと感じているのなら、あのような言葉は出ないのですね

でも、どこかでマーガレットに認められたいと言う虚栄心があって、それが尾を引いている状態になっていました

最終的にビーは、ベンのその至らなさですら愛すると言う気持ちを伝えるのですが、それは同じ属性の中で、それを肯定し合える関係だから、と言うところに尽きるのだと思います

 

映画のタイトルは『Anyone But You』と言うもので「あなた以外の誰も」と言う意味で、冒頭のシークエンスでは「あなただけは嫌」というものに近い印象がありました

でも、映画全編の後に聞くと、その意味は180度変わってしまいます

さらに、映画のラストソングは「Anyone But You」の後に「Couldn’t Get It」という歌詞が続いています

日本語に訳すと「あなた以外の誰も、それを得ることはできなかった」と言う意味になるのですね

この場合の「それ」は愛であり、「ビー」でありと言ったように、裏を開けせば「あなた以外には求められたくない」という意味になります

 

邦題はかなり意味のわからない言葉になっていますが、原題とエンディング曲が一体となっているので、そのまま「日本語訳をした方が良かった」ように思います

その上で、ラストソングに字幕をつけることで、タイトルの意味が回収できるようになっています

この辺りは配給のセンスのなさを露呈していますが、今更戻せないのは難儀なところですね

なので、この映画を薦める場合には「原題」を伝えて、最後の曲をしっかり聴いてね、と伝えるのが良いのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100973/review/03809543/

 

公式HP:

https://www.koipuri-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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