■ピンクの世界は誰を幸せにするための配色だったのだろうか


■オススメ度

 

「バービー」人形で遊んだことがある人(★★★)

インターネットミーム「Barbenheimer」で興味を持った人(★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2023.8.16(イオンシネマ久御山)


■映画情報

 

原題:Barbie

情報2023年、アメリカ、114分、G

ジャンル:バービーランドで異変を感じたステレオタイプ・バービーがリアルワールドに冒険するファンタジー映画

 

監督グレタ・ガーウィグ

脚本グレタ・ガーウィグ&ノア・バームバック

 

キャスト:

マーゴット・ロビー/Margot Robbieバービー/Barbie:「死」を意識してしまうステレオタイプのバービー)

ライアン・ゴズリング/Ryan Gosling(ケン:ステレオタイプ・バービーといる時だけ輝けるビーチのケン)

 

【色んなバービーたち】

ケイト・マッキノン/Kate McKinnon(変てこバービー:傷ついたバービーの修理人))

イッサ・レイ/Issa Rae(大統領バービー)

アレクサンドラ・シップ/Alexandra Shipp(作家バービー)

エマ・マッキー/Emma Mackey(物理学者バービー)

ハリ・ネフ/Hari Nef(博士バービー)

シャロン・ルーニー/Sharon Rooney(弁護士バービー)

アナ・クルーズ・ケイン/Ana Cruz Kayne(判事バービー)

リトゥ・アリア/Ritu Arya(ジャーナリストバービー)

デュア・リパ/Dua Lipa(人魚姫バービー)

ニコラ・コフラン/Nicola Coughlan(外交官バービー)

メッテ・ナラティブ/Mette Narrative(ビデオガールバービー)

マリサ・アベラ/Marisa Abela(ティーントークバービー)

ルーシー・ボイントン/Lucy Boynton(プルーストバービー)

 

【色んなケンたち】

シム・リウ/Simu Liu(観光客のケン)

キングスリー・ベン=アディール/Kingsley Ben-Adir(バスケットボールケン)

スコット・エヴァンス/Scott Evans(ステレオタイプのケン)

ンクーティ・ガトワ/Ncuti Gatwa(アーティストケン)

ジョン・シナ/John Cena(ケンメイド/人魚のケン)

ロブ・ブライドン/Rob Brydon(シュガーダディのケン)

トム・ストールン/Tom Stourton(イヤリングマジックのケン)

 

【その他のバービーランドの住人】

エメラルド・フィネル/Emerald Fennell(ミッジ:バービーランドの家政婦キャラ)

マイケル・セラ/Michael Cera(アラン:バービーランドのケンの友人、ミッジの夫)

エリカ・フォード/Erica Ford(スキッパー:動かすと胸が大きくなる人形)

ハンナ・カリク=ブラウン/Hannah Khalique-Brown(グローイング・アップ・スキッパー)

 

【リアルワールド】

アメリカ・フェレーラ/America Ferrera(グロリア:現実世界でバービーを助けるマテル社の従業員)

アリアナ・グリーンブラット/Ariana Greenblatt(サーシャ:グロリアの娘)

   (幼少期:ジャンヴィエーヴ・トゥーサン/Genvieve Toussaint

ライアン・ピアーズ・ウィリアムズ/Ryan Piers Williams(グロリアの夫)

 

レア・パールマン/Rhea Perlmanルース・ハンドラー/Ryth Handler:マテル社の創業者の霊)

ウィル・フェレル/Will Ferrell(マテル社のCEO)

コナー・スウィンデルズ/Connor Swindells(アーロン・ディンキンス:重役にトラブルを報告するマテル社の社員)

ジェイミー・ディメトリウ/Jamie Demetriou(マテル社のCEO)

 

アン・ロス/Ann Roth(ベンチに座る女性)

 

Elise Gallup(バービーに忠告する中学生)

Mackenna Roberts(サーシャの友人)

Brylee Hsu(サーシャの友人)

Sasha Milstein(サーシャの友人)

 

【その他】

Olivia Brody(「2001年宇宙の旅」オマージュ少女)

Isla Ashworth(「2001年宇宙の旅」オマージュ少女)

Eire Farrell(「2001年宇宙の旅」オマージュ少女)

Daisy Duczmal(「2001年宇宙の旅」オマージュ少女)

 

Isabella Nightngale Mercado(バービー人形で遊ぶ子ども)

Manuela Mora(バービー人形で遊ぶ子ども)

Aida Sexton(バービー人形で遊ぶ子ども)

 

ヘレン・ミレン/Helen Mirren(ナレーター)

 


■映画の舞台

 

バービーランド

 

アメリカ:カリフォルニア州

Venice Beach/

https://maps.app.goo.gl/qab9pUZFnLjookiHA?g_st=ic

 

ロケ地:

アメリカ:カリフォルニア州

ロサンゼルス

 


■簡単なあらすじ

 

バービーランドで「完璧」を謳歌するバービーたちは、同じ毎日を繰り返しながら、何の疑問もなく過ごしていた

一方、バービーと恋仲になりたいビーチのケンは何度もお預けをくらって悶々とした日々を過ごしていた

 

ある日、ビーチで踊っていたステレオタイプのバービーは、なぜか「死」を意識してしまう

足にセルライトができて、扁平足になったステレオタイプのバービーは、バービー

たちを直してくれる「変てこバービー」のところに相談にいくことになった

 

変てこバービーはリアルワールドとの間に「裂け目」ができたからだと言い、それを修復しないと元には戻らないと告げる

そこでステレオタイプのバービーは単身でリアルワールドに向かうものの、彼女の運転する車にビーチのケンが乗り込んでいて、やむを得ずに二人でリアルワールドを目指すことになった

 

その知らせを受けた「バービー」を製造しているマテル社は大慌てになり、支給バービーを回収して元に戻そうと考える

 

そんな頃、バービーは自分自身の記憶の中にある少女を探し始める

彼女に会えば問題は解決すると思われたが、少女サーシャはバービーに対してキツい言葉を投げかけるのであった

 

テーマ:役割という自分

裏テーマ:人間と人形の違い

 


■ひとこと感想

 

インターネットミームで余計なものがバズっているという界隈は知っていますが、それとは関係なく鑑賞を決めていました

まさかの台風一過で映画館が軒並み閉まっていたために予定が崩れましたが、何とか初週鑑賞は果たせましたね

 

映画は、バービーランドとリアルワールドを行き来するという内容で、「死」を意識することでおかしくなった世界というものを修復しようと試みます

基本的にコメディですが、現実をかなりディズるスタイルになっていて、それが少しばかり「説教っぽさ」に繋がっていましたね

 

バービーの悲哀もあれば、ケンの悲哀も描いていくので、男女ともにバランスを取ろうとしているのは伺えます

それでも、都合の良いように取りたがる人が多いので、バランス感覚に優れた意見を探すのは難しそうな案件になっているように思えます

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

バービーに限らず、女の子が遊ぶ人形は「家庭の真似事」を発端としていて、フェミニズム台頭よりも随分前から、バービーに職業を持たせるという動きはありました

女性の社会進出云々の話は加熱していますが、主婦以外にも役割が増えていて、それこそ「憧れ」だった時代がありました

 

時代背景が変わり、バービー以外の人形も登場し、少女の玩具も多様化していきます

そんな時代の移り変わりはとりあえず置いておいて、現代社会との乖離を突きつけるという内容になっていて、役割の固定というものが悲しい現実を生み出していることを伝えていました

 

ステレオタイプのバービーも、ビーチのケンも何者でもないという苦悩がありましたが、言い換えれば「何にでもなれる」という自由があるとも言えますね

物語の着地点は、人形から人間になるというものですが、ラストは文化の違いによって日本では誤解を生むシーンになっていました

 


バービーについてあれこれ

 

「バービー」はアメリカの実業家ルース・ハンドラーによって作られたファッション人形で、1959年に発売が開始されました

娘のバーバラが紙人形で遊んでいるのを見たことがきっかけで、「娘が大人を演じていることを楽しんでいたのを見たから」なのですね

これまでの子ども向けの人形は幼児を表現したものだったので、玩具会社マテル社の共同創設者でもあった夫のエリオットに「大人の体をした人形」を提案しました

当時の取締役たちは難色を示し、すぐには形になりませんでした

 

その後ルースは、1956年に「ビルド・リリ(Bild Lilli)」というドイツのおもちゃの人形に出会います

これは彼女の頭の中にあったものと同じものだったのですね

3つ購入し、一つは娘に、もう一つはマテル社に持ち帰ることになります

「ビルド・リリ」は1955年にドイツで発売されたばかりで、そのモデルはラインハルト・ベウシンが描いた風刺漫画をモデルにしています

人形の他に着せ替えの衣装を販売していて、子どもたちの間で人気になっていました

 

当初のバービーはゼブラ柄にポニーテール、白と青のグラサンを頭にかけているようなスタイルで、髪の毛はブロンドとブルネットの2種類がありました

衣装はマテル社のファッションデザイナーであるシャーロット・ジョンソンが手がけていました

この動きに対し、ビルド・リリを制作していたルイ・マルクス・アンド・カンパニーはマテル社を提訴します

内容は、「ビルド・リリ」の股関節の特許(グライナー・アンド・ハウサー社)を侵害したというもので、いわゆるパクリ裁判にかけられることになります

最終的には21,600ドルにてビルド・リリの著作権と特許権を購入するに至ります

 

その後、バービーは様々なメディアに登場し、アパレルや化粧品などの幅広いコンテンツに影響を与えます

2001年には映画に登場したりして、ホームビデオなどにもなっています

2013年に『ピンクの靴を履いたバービー』という映画が公開され、2015年にはYoutube上にて「ビデオ・ブロガー」として登場したりしています

 

バービーのフルネームは「バーバラ・ミリセント・ロバーツ」で、ウィスコンシン州の架空の街の出身という設定もあります

ボーイフレンドのケンは1961年に登場、こちらのフルネームは「ケネス・ショーン・カーソン」と言います

また、バービーには「スキッパー」「ステイシー」「チェルシー(ケリー)」という三人の妹がいます

バービーの友達として、ヒスパニック系のテレサ、アフリカ系アメリカ人のミッジがいます

バービーは40匹以上のペットを飼っていて、ピンクのビートルをはじめとしたたくさんの車を持っています

パイロットの免許を持っていて、キャビンアテンダントになったり、宇宙飛行士、医者などのたくさんのバービーがいます

まさしく、なんでもありのキャラクターなのですね

 


役割と言う名の鎖

 

バービーには様々な役割があり、様々な職業のバービーがいます

でも、ステレオタイプのバービーには何もなく、何にでもなれるといっても、彼女自身では何者にもなれません

ステレオタイプのケンも同様で、ビーチにいるだけの存在で、それが役割という感じになっています

とは言うものの、弁護士などの職業バービーにも、一生変わることができないという悲哀があったりします

 

映画では、ステレオタイプのバービーとモブ的なケンがリアルワールドにいくことによって、パラダイムシフトに晒されるという展開を迎えます

男性社会に遭遇するケンは、これまでは「バービーの横にいる冴えない人」から可能性があることを知りますが、バービーランドに帰った彼が行ったことは、家父長制をなぞるだけの醜悪なものになっています

このシークエンスでは、職業バービーが役割から解放されているのですが、彼女たちがそれを望んでいたというよりは、ケンに洗脳されたケンたちが「一線を超えた」という感じになっています

ケンは告白できずに悶々とする役割になっていて、それを超えたケンたちが、それぞれのお気に入りのバービーと親密になっていくのですね

その中で、男性目線的な役割を与えられて洗脳されているのが職業バービーたちになっています

 

一人の人間には多くの役割というものがあり、家庭内でも様々な顔があったりします

でも、ステレオタイプバービーには「映画上では」家庭はないので、家庭内の役割というものもありません

あえて言うなら、他のバービーたちと夜な夜なパーティーをする主催者のようなもので、リアルワールドでは「期待されるバービー」というものを演じる傾向にありました

また、女性の理想をバービーに求める男性の存在があって、ルッキズムの象徴であったり、決して文句を言わない女性像というものを増長している懸念はありました

 

とは言え、バービーのルッキズムは「女性による理想の女性像」のようなもので、あるある的な「女性の痩せていると男性の痩せているは違う」というレベルで乖離が起こっていることも事実でしょう

ブロンドでグラマラスというルッキズムの象徴のような人形ですが、当初の思惑は「そんな女性を世話する側=遊ぶ女の子」というものだったので、年頃の女性を持つ母親っぽさという目線からすれば、「理想の娘」という立ち位置だったようにも思えます

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、インターネットミームInternet Meme)によって、あらぬ方向に宣伝されたのですが、このインターネットミームとは「インターネット上のウェブサイトや掲示板、SNSを通じて拡散され、話題となった文章、画像、映像」などのことを意味します

最近だと「メントスコーラ」という「コーラの中にメントスを入れる実験動画」というのが流行りました

日本だと、『鋼の錬金術師』が発端の「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」とか、『ジョジョの奇妙な冒険』が発端の「だが断る」などもあります

このインターネットミームを元にして作られた映画『真・鮫島事件』なんてものもあったりします

 

今回、この映画で登場したのは「バーベンハイマー(Barbenheimer)」という言葉で、これは本作と『オッペンハイマー』という核兵器開発に関わったロバート・オッペンハイマーを描いた映画をミックスした言葉になっています

背景は、ワーナーにブチ切れたクリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』の監督)がユニバーサルピクチャーズから新作を配給することになったことが契機となっています

この配給に『バービー』をぶつけることになったワーナーは、ノーラン監督との不仲が原因であると報じされてしまいます

本国では2023年7月21日に同時公開になり、正反対の作風の映画が登場することになりました

これは、昔からあるマーケティング手法で、かつて『ダークナイト』と『マンマ・ミーア』が同時公開されて同じような現象が起きていました

 

この現象に際し、トム・クルーズが両方の作品のチケットを持った写真をTwitter(現在のX)に投稿し、「僕は二本立ての映画が好きだ。『バービー』と『オッペンハイマー』ほど爆発的な作品はない」とツイートしたことが話題になっています

そして、この動きに同乗したグレタ・ガーウィグ監督とマーゴット・ロビーが『オッペンハイマー』のチケットを持った写真を投稿するなどがありました

この動きが日本に上陸した際、ファンアートの中に「原爆のキノコ雲がポップアートで描かれる」というものがあり、それを背景にしたバービーのアートが拡散されます

この画像に対して、『バービー』の公式アカウントが「It’s going to be a summer yo remember(思い出になる夏になる)」などの好意的な返信をしたことで、日本のユーザーが反発する事態に発展していきます

これに対して「#No Barbenheimer」というハッシュタグが拡散、さらに日本のユーザーが「同時多発テロとバービーのコラ画像」を拡散する報復に出てしまったのですね

これらの経緯を受けて、ワーナー・ブラザーズ・ジャパンは『バービー』の日本公式アカウントにて謝罪をする、という流れに発展してしまいました

 

この一連の流れに関しては、個人的には「知らんかったわ」という立場で、某掲示板などが荒れていたのを見てようやく知ることになりました

Twitterなどは記事投稿の告知で使う以外にはほとんど読むことがなく、トレンドをチェックする癖もありません

実際の画像は後で見ましたが、あかんとは思うけど反応は過剰という感想を持ちました

ファンアート自体は自由だと思いますが、内容を吟味せずに投稿にいいねを反応で押したというものではなく、しっかりと関連するコメントを添付しているので言い逃れはできないでしょう

でも、これらはアメリカの普通の感覚であるというのは未来永劫変わらないものだと思います

 

そもそも論として、アメリカでは「原爆は戦争を終わらせるために必要だった」という認識が強いのですね

これまでにも多くの作品がこのスタンスで取られていますが、その認識も「若い世代も全員」という風潮ではなくなっています

戦争を知らない世代への過去認識というのは難しくなっていて、それはアメリカでも日本でも同じだったりします

風化させてはいけない問題とわかっていても、今回のような事件による反応によって想起されるというのもなんとも言えない感じになっています

ウクライナ関連でも「戦術核」論争なども起き、それに対する強い議論というものも耳にしますが、具体的なことが身近で起きないと反省しないのは人間の性なのかもしれません

今では、些細なことが拡散され、捏造され、さらに拡散されという時代になっています

ファンアート自体は作成者の思想としても、それを利用する側は適切であるかをしっかりと考える必要があると思います

『バービー』の映画の宣言のために「ピンクのキノコ雲とコラボするバービー」ということが必要なのかどうかとか、今更とは思いますが、こう言った失態が「反バービー」に利用されている現実もあるので、時代を象徴する出来事だったのかな、と思いました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

Yahoo!検索の映画レビューはこちらをクリックしてね

 

公式HP:

https://wwws.warnerbros.co.jp/barbie/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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