■邪悪な目が渇望するのは、永遠の「若さ」なのかもしれません


■オススメ度

 

メキシコのホラー映画に興味のある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2023.8.17(シネリーブル梅田)


■映画情報

 

原題:Mal de ojo(邪眼)、英題:EvilEye(邪眼)

情報2022年、メキシコ、100分、PG12

ジャンル:病気療養のために祖母の家に来た少女が悪しき監修に巻き込まれる様子を描いたホラー映画

 

監督アイザック・エスバン

脚本アイザック・エスバン&ジュリア・ロザリオ&エドガー・サン・ファン

 

キャスト:

オフェリア・メディーナ/Ofelia Medina(ホセファ:ナラたちの祖母、レベッカの母)

パオラ・ミゲル/Paola Miguel(ナラ:都会暮らしが好きな13歳の少女)

Ivanna Sofia Ferro(ルナ:病弱のラナの妹)

サマンサ・カスティージョ/Samantha Castillo(レベッカ:ナラの母)

Arap Bethke(ギレルモ:ナラの父)

 

Mauro González(ペドロ:ホセファの使用人)

Paloma Alvamar(アビゲイル:怪談好きのペドロの妻)

 

Klaudia Garcia(三つ子のリボンを盗る魔女)

Marina Isabel Vera Flores(三つ子の母)

Dagmar Adelisse Lopez Aguilar(三つ子の女の子)

Dagmar Anisee Lopez Aguilar(三つ子の女の子)

Nina Fernanda Lopez Varela(三つ子の女の子)

 

Mildred Motta(隣人)

Julian Cervantes Motta(隣人の息子)

 

Juan Navarrete(ルナの主治医)

Alejandro De La Rosa(村の警官)

Apolinar Salgado Goytia(村の警官)

 

Brenda Maya(バッカ:伝説の魔物)

 

Victoria Guerrero(魔物の中の人)

 


■映画の舞台

 

メキシコ:

ヴェラクルス(都会)

https://maps.app.goo.gl/dzFcWmFXVtWc4Dkt9?g_st=ic

 

Las Animas/ラスアニマス(村)

https://maps.app.goo.gl/dwrPaHjwnrXCZBiv7?g_st=ic

 

ロケ地:

メキシコ:メキシコシティ

Iztapalapa/イスタパラパ

https://maps.app.goo.gl/JawTduFW4rdGWKeN7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

メキシコの都市部に住んでいた13歳のナラは、妹ルナのために祖母ホセファの屋敷に行くことになった

携帯の電波も届かないその場所は、使用人のアビゲイルの怪談に耳を傾けるしかやることはなかった

 

アビゲイルは、魔女に目をつけられてしまった三つ子の話をし、その伝説は今も残り続けていると言う

そして、その話を聞いたラナは、その日以降奇妙な夢を見始める

 

ホセファの行動や視線を常に感じるようになり、ホセファもまた、ナラの反抗を感じ取り、館の主として、彼女の行動を縛っていくのである

 

テーマ:永続的な若さ

裏テーマ:邪悪なる魂の正体

 


■ひとこと感想

 

メキシコ発のホラー映画ということで、若い姉妹がヤバい館にやっているという典型的な物語になっています

祖母ホセファは登場から雰囲気ヤバめで、使用人カップルもどことなく変な感じ

でも、家族もおかしなことばかりと、ナラを取り巻く人間関係からは危険な香りが漂っていました

 

カリブ海の伝説を引用し、村の伝統的な噂話というものが現実味を帯びていく流れになっていて、展開はややダルめではありますが、オチは少し捻ったものになっていました

 

かなりわかりにくい物語ではありますが、パンフレットにはオチまでストーリーを書いてくれているので、脳内補完する分には優れたテキストであると思います

英語版とか現地語の記事を漁っていくと大まかなものが見えてきますが、感覚的には「カリブ海の伝承」をググる必要はないレベルかなと思いました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

イビルアイは「邪眼」という意味ですが、どこに「邪眼」が出てきたのかわからない感じになっていました

民族伝承もコアすぎて調べるのに時間がかかりそうですが、そこまで突出した民俗学の知識が必要になるというものではなさそうです

 

映画の冒頭では、ある村に三つ子(これがわかりにくい)がいて、魔女が彼女たちに目をつけるというシーンがありました

この三つ子がのちのホセファ、レベッカ、テレサということになっていて、彼女たちの見た目が違うのは、伝説を踏襲したかどうかという感じになっていました

 

最後の方は何がどうなっているのかわからない部分がありますが、ナラとルナが間違えて母を殺めて、ホセファが若返って、レベッカになりすましているという理解で良さそうに思えました

バッカと呼ばれるカリブ海の魔物の存在は調べてみないとわからないのですが、この物語に深く関連があるというよりは、単なるホラーの道具のように思えてしまいます

 


バッカについてあれこれ

 

劇中に登場するバッカ(El Baca)とは、ドミニカの人々が信じている伝説で、そのルーツはアフリカにあるとされています

バッカは色んなものに姿を変えられる生き物で、経済的に繁栄したり、資産を保護したりする利益に密接に関係していると考えられています

男性(悪魔に相対する者)が「妻もしくは末の息子を悪魔に差し出すこと」によって、バッカは彼らを守り、資産を増やすと信じられているのですね

悪魔との契約を結ぶと、5年後に親戚が死に始めるとも言われています

また、悪魔との約束に従わないと、その親族は首を吊ったり、火災や事故に巻き込まれたりするとされています

 

ドミニカ共和国のサマナ州とサン・ファン・デ・ラ・マグアナ州では、魔術の実践で有名な場所で、バッカの姿を利用して住民を怖がらせて、農場などを守ってきた歴史があります

この伝説は植民地時代に奴隷としてやってきたアフリカ人がルーツとされていて、入植者が地元を収めるために利用したという説があります

この流れは植民地の間で広まり、ジャマイカ、ハイチなどから、アメリカ本土、フランス、イギリスまで派生したと言われています

 

映画内でも、「バッカを作った者の願いを叶え、代わりに他のものを奪うという設定」になっていて、奇妙な怪物のようであったり、人間の姿をしていたりしていました

アビゲイルの怪談話では、「三人の娘のうちの一人が黒魔術を継続していた」ということになっていて、この三人の娘がテレサ、ホセファ、レベッカでした

おそらくはレベッカ(若いままの姿でいる)が継承者となっていて、彼女の住む都会での異質な事件(子どもが巻き込まれている事件)は彼女の仕業であると考えられます

そんなレベッカをホセファが取り込むことになっていて、血を飲んだことによってレベッカの姿に変わっていました

元々、三つ子という設定だったので、レベッカの姿=テレサ&ホセファになるのだと考えられます

 


邪眼とは何だったのか問題

 

映画のタイトルである「イビル・アイ(Evil Eye)=原題「Mal de ojo」も同じ意味」は「邪眼」という意味になります

このイビル・アイというのは、「悪意ある視線によってもたらされる呪い」という意味があり、紀元前6世紀頃からある伝説となっています

地中海地域、西アジアなどの多くの文化で見られ、イビルアイを受けると不幸になるとされています

また、カリブ海などでは「Maljo」と呼ばれ、これは「悪い目」という意味のフランス語に由来しています

「To Maljo」となると「苦しんでいる人」という意味になり、それらは伝染すると考えられています

「悪い目」に取り込まれた人は「原因不明の病気や不幸に見舞われる」と言われ、伝統的な田舎などでは「悪い目を医者は治せない」というのが通説になっています

これらを防ぐためには宗教的(ヒンドゥ教など)なアクセサリーなどを使うことが多いようで、その色合いを「Maijo Blue」と呼びます

 

映画のポスターヴィジュアルではホセファの目が隠されるようになっています

これは「ホセファの目が邪眼である」というもので、彼女の目を見ると呪われるという意味合いがあると思います

包帯ぐるぐる巻きでも目だけ隠しているのですが、おそらくは「目だけでもホセファであるとわかる」ということなのでしょう

ホセファは、そのルーツとして魔女に呪いをかけられているのだと思われますが、その魔女はホセファたちに乗り移る前の姿のように思えます

なので、その邪眼は魔女から受け継がれているものなのかもしれません

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、メキシコ発のホラー映画で、現地及びその周辺で語り継がれる伝承のようなものがベースになっています

色々ググって見て、上記のような解説になっていますが、スペイン語(メキシコの母国語)などでもっと掘り下げれば色々とわかるのかもしれません

パンフレットではストーリーを最後まで書いていてくれて、補足できるものが多かったのですが、伝説や伝承の解説がほとんどなかったので、何が起こっているのかとか、恐るべきものが何かというのは伝わりづらいように思えました

 

バッカの特性を考えると、魔女と契約を交わすことで永遠の命を手に入れることができるのですが、バッカの民族伝承を少しばかりイメチェンさせている印象があります

本来は「家の主人が家の繁栄のために利用する悪魔」という意味合いがあって、「それを女性が行ったら何を得たいと考えるのか」というところに着目しているのですね

これによって、女性が悪魔と契約してまでも欲しいものは、永遠の若さということになるのだと思います

 

ホセファとナラとルナが生き残ることになり、3人の女性という構図は変わらないまま映画は終わりを告げます

ナラはレベッカがホセファと入れ替わっていることに気づいていますが、今後彼女がどうするかはわかりません

彼女はまだ13歳なので、若さや美に執着する大人というものは理解できないのですが、彼女が年頃になった頃に考えが変わってしまうかもしれません

この伝承がさらに受け継がれるのかはわかりませんが、そういったものを示唆して映画は終わりを告げているので、続編を作ろうと思えば作れたりするのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

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公式HP:

https://evileye-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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