■愛は地球を救うけど、それも全て統治者の掌の中なのだろうか
Contents
■オススメ度
インド版「X-MEN」っぽいのを観たい人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.5.13(MOVIX京都)
■映画情報
原題:Brahmastra Part One: Shiva
情報:2022年、インド、167分、G
ジャンル:孤児の青年が運命の女性に出会い、内なる力に目覚めるファンタジー・アクション映画
監督&脚本:アーヤン・ムケルジー
キャスト:
ランビール・カプール/Ranbir Kapoor(シヴァ:火のアストラの力に目覚める孤児の青年、DJ)
(幼児期:Nivaan Gupta)
アーリア・バット/Alia Bhatt(イーシャ・チャタジー:ロンドン出身のNRI、シヴァが一目惚れする女性)
アミターブ・バッチャン/Amitabh Bachchan(グル:ブラフマンシュの教祖、指導者)
Stanzin Delek(テンシン:パワナーストラ(風)を操るブラフマンシュの見習いの少年)
Gurfateh Pirzada(シェール:ナーグ・ダヌーシュ(蛇)を操るブラフマンシュの見習い)
Lehar Khan(ラヴィーナ:ガジャーストラ(象)を操るブラフマンシュの見習い)
Aditi Joshi(ラニ:アーユ・マドリカーを所有するブラフマンシュの見習い、植物を急成長させられる)
Markand Soni(サンサ:ブラマンシュの見習い、メガネくん)
Dimple Kapadia(サーヴィトリ・デヴィ:ブラフマンシュのメンバー、ヘリの操縦士)
ナーガールジュナ・アッキネーニ/Nagarjuna Akkineni(アニッシュ・シェティ:アーティスト兼考古学者、ブラフマンシュ、ナンディ・アストラを使う)
Shah Rukh Khan(モーハン・バルガフ:元NASA科学者、ヴァナラーストラを操るブラフマンシュの一員)
モウニー・ロウ/Mouni Roy(ジュヌーン:ブラフマーストラを復活させようとする謎の女)
Saurav Gurjar(ゾール:ジュヌーンの手下)
Rouhallah Gazi(ラフタール:ジュヌーンの手下)
Deepika Padukone(アムリタ:シヴァの母)
Farida Devi(シヴァの面倒を見てきたおばちゃん)
Chaitanya Sharma(タイガー:シヴァの友人)
Saqib Ayub(アリ:シヴァの友人)
Rashi Mal(シャイナ:イーシャのいとこ)
Rohan Rustomji(サニー:シャイナの弟)
Riyaaz Makaney(イシャの祖父)
Kashvi Kothai(孤児院の少女「女友達」)
Adarsh Bharti(孤児院の少年「花火持ってきた」)
■映画の舞台
インド:ムンバイ
インド:デリー
インド:ヒマチャル プラデシュ
https://maps.app.goo.gl/endgmYTsZ5Ghjeux6?g_st=ic
ロケ地:
ブルガリア:
イギリス:ロンドン
スコットランド:エディンバラ
https://maps.app.goo.gl/NkEmbhq7XXc8oxwp7?g_st=ic
インド:
Varanasi/ワーラーナシー
https://maps.app.goo.gl/LTsgSSwbqywQLy9E7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
インドのムンバイでDJで日銭を稼いでいるシヴァは、1歳の時に母を火事で亡くして以来、孤児として育てられてきた
ある日、ダシェラ祭に参加したシヴァは、そこでイーシャと言う女学生に出会い恋をする
彼女を誘ってパーティに連れ出したシヴァは、面倒を見ている孤児院に彼女を連れてきた
シヴァはイーシャに想いを伝え、彼女の手を握ると、突然炎のような何かが発現し、幻覚に囚われてしまう
どこかの高層ビルの一室で襲われる男を見たシヴァ
その男は自殺と報道されていたが、シヴァは彼を襲った三人組をはっきりと覚えていた
3人組は次なるターゲットに言及し、シヴァはその対象者の名前を覚えていた
シヴァがその名を口にすると、イーシャは報道の男と同じくらい有名人であると言う
そこで二人は、その男アニッシュを救うためにデリーへと向かうことになった
テーマ:破滅と再生の序章
裏テーマ:愛は世界を救う
■ひとこと感想
インドの神々をモチーフにした物語で、英語ウィキで調べているときに「続き物」であることを確認
どこで終わるのかなと思っていたら、きちんと「シヴァの章」として完結させていましたね
物語は、孤児のシヴァの覚醒を描いていて、その運命の発動条件がイーシャと逢うことだったことがわかります
なので、おそらくはイーシャにも何かしらの運命があると思うのですが、本作では全く予兆する見せません
映画は続編ありきではありますが、巨大なインド神話を体系的に紡いでいく感じになっていて、次はデーヴと言う男の物語になりますね
どこまで続くのかは分かりませんが、アクションとCGに金がかかりまくっていて、大作感を醸し出していましたね
ただ、問題は主人公にあまり華が感じられないところでしょうか
今回のキャラには合ってもいても、シヴァ神としての威厳を出せるかは微妙な感じでしょうか
このあたりは次回以降になると思いますが、そもそも「デーヴ編」に出場する機会があるのかは分かりません
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
シヴァ神の生まれ変わりで、妻がいないと完全体ではないと言う設定なので、次はてっきり「イーシャ編」かと思っていました
でも、インドの神様大系を描いていくので、とりあえずは男性の神様を描いていくのかなと思います
ある程度、インドの神様を知っておいた方がいいとは思いますが、映画の中でガッツリ説明があるし、見た目は『X-MEN』なので、この手のファンタジー・アクションを観ている人なら問題ないと思います
物語は展開がやや単調で、敵の規模がしょぼい(最後は村人を操る)のが難点ですね
操られているだけの村人をガチに倒しに行っているので、葛藤とか躊躇などがないところはざっくりとしているように思いました
映画は英雄誕生の一幕なので既視感満載ですが、展開を作り込みすぎている割には決着が残念な感じになっていたように思います
■インドの神様あれこれ
インド神話とは、インドに伝わる神話で、特にバラモン教、ヒンドゥー教、仏教に伝わるものを言います
成立時期や伝承者の層などによって様々な神話がありますが、概ねヴェーダ神話がバラモン教、叙事詩・プラーナ神話がヒンドゥー教に属し、ブラーフマナ・ウパニシャッド神話がその両者を繋ぐものと考えられています
「ヴェーダ神話」とは、アーリア人がインドに持ち込んだ古い自然神崇拝を中心とする神話のことを言います
紀元前1500年頃から紀元前900年ごろに作られた最古のヴェーダ文献である『リグ・ヴェーダ』が有名ですね
「ブラーフマナ(祭儀書)」とは、ヴェーダ本文であるサンヒターの注釈と祭儀の神学的意味を説明するもので、広義のヴェーダ文献の1つとされています
ここでは創造神プラジャーパティを最高神とし、彼による種々の創造神話が説かれています
シヴァ( शिव)は、ヒンドゥー教の神様で、現代のヒンドゥー教では最も影響力を持つ3柱の主神の中の1人となっています
「シヴァ」には慈悲深いという意味があって、本作の主人公シヴァはその片鱗を見せているように思えます
ちなみに、残りの主神は「創造神ブラフマー」、「維持神ヴィシュヌ」で、シヴァは「破壊神」と呼ばれ、この三神で一体の最高神とされています
ブラフマーは顔が4つある神様で、世界を作ったとされる神様ですね
ヴィシュヌ神は青色の肌をした神様で、維持の神すなわち平和や安定をもたらす神様という位置付けになります
この二神はインド神話には欠かせませんので、次作以降にも登場の機会があるように思います
ちなみに「イーシャ(ईश)」は統治者という意味があり、「全世界を支配しているもの」のことですね
映画では、シヴァの妻という設定になっていて、イーシャが「出会いは必然」と考えるのは、このあたりに由来があるのかなと思います
■アストラバースあれこれ
ブラフマーストラ(Brahma+astra)は、古代インドの時代に置いて、深い瞑想に耽る賢者たちによって紡がれた概念ということになっています(ブラフマー神の武器という造語)
彼らは「ブラフム・シャクティ」と呼ばれる「純粋な想像エネルギー」を神様から授かり、アストラというものを授かっています
パンフによれば、アストラには8種類あって、「水=ジャラーストラ」「風=パワナーストラ」「火=アグニヤストラ」「巨猿=ヴァーナラストラ」「雄牛=ナンディアストラ」「光の剣=プラバーストラ」「蛇の矢=ナーグダヌシュ」「象の盾=ガジャーストラ」となっています
エレメント的な力として「水、風、火」があり、聖なる動物として「巨猿、雄牛」がいて、聖なる道具として「光の剣、蛇の矢、象の盾」があることになります
この全てを使えるのが、ブラフマーストラということになるのですね
なんとなく某人気アニメの主人公のようで、火の力から入るところがそれっぽい感じになっていますね
いずれは覚醒して万能キャラになるところなどもよく似ていると思います
さしずめ、今回は「自分の刀を手に入れる」というところになるのかもしれませんねえ
次作では、全てを使いこなすデーヴが登場し、おそらくは彼と妻になるアムリタとの恋愛話になるのでしょう
本作でガッツリと「アムリタがデーヴを倒した(結果は相打ち?)」みたいなことを言ってしまっているのですが、そんなに簡単に物語が進むとは思えません
個人的な想像だと、戦っている両親の間にいる「胎児としてのシヴァ」が戦いに終止符を打たせたみたいな物語になるのでしょう
そして、そこでシヴァの力を使ったことで記憶を失くしたみたいなベタな設定ですね
そして、デーヴの復活と連動して、シヴァの力が目覚め、同じように封印するのかなと思っています
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画は、ガッツリと恋愛映画になっていて、「愛は地球を救う」を王道路線で展開していきます
目覚めたデーヴを再び封印させるのがシヴァとイーシャの愛の力というところが微笑ましくもありますね
イーシャ側の物語はこれからですが、意外なラインだとアムリタの生まれ変わりとかだったりするのでしょうか
イーシャの年齢はおそらく学生で、シヴァが5歳くらい年上だったら辻褄があってしまいます
物語は、一目惚れから始まって、積極的にアプローチしていく様子を描いていて、やっていることは「歯が浮くようなロマンス」になっていましたね
今どきやらないようなアプローチになっていて、でもガッツリと神様が絡んでくるところがインドらしいと思いました
思いっきり第1章だったのですが、続編の情報が今のところほとんど見当たりません
本作が去年の映画なので、本国で続編を作っているところでしょうか(どうやら2026年完成らしいです)
CGが多用されているので時間がかかりますし、3時間程度の長さになるので、撮影期間も編集期間も必然的に長くなっていきます
インド映画のブームが終わっていなければ、来年ぐらいに公開になるかもしれませんね
楽しみに待ちたいと思います
■関連リンク
Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/387134/review/8563a781-a399-4b57-8ed1-ab043085340c/
公式HP:
https://brahmastra-movie.com/