■野良猫が自分の居場所を知っているように、チャチャもまた独特の嗅覚で社長(凛)の元を辿るように思えますね


■オススメ度

 

伊藤万理華の不思議な感じが好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.10.17(MOVIX京都)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、108分、G

ジャンル:気ままに生きている女性とそれが気になる男性を描いたラブコメ映画

 

監督&脚本:酒井麻衣

 

キャスト:

伊藤万理華(チャチャ:人目を気にせずに自由に生きる女、イラストレーター)

中川大志(樂:チャチャに興味を持つ青年、レストランの店員)

 

藤井隆(デザイン事務所「Edge」の社長)

落合モトキ(大下:ディレクター)

藤間爽子(凛:デザイナー&営業)

中島侑香(カナ:デザイナー)

佐々木史帆(マミ:デザイナー)

小林亮太(青木:アシスタントデザイナー)

 

福山翔大(山田:レストラン「ビストロBAU」の店長)

 

原菜乃華(ポストさん/ひまわりさんの声)

檀鼓太郎(電柱さんの声)

梶裕貴(黄色いお花さんの声)

 

ステファニー・アリアン(ピオ/ピオニー:英語教室「向日葵ENGLISH」の先生)

塩野瑛久(護:ピオニーの恋人)

 

川瀬陽太(飲食店の店員)

松井玲奈(飲食店の店員)

池田大(飲食店の店員)

 

近岡哲也(お菓子をくれる老人)

ブランドン R(料理屋の店主)

増田英明(警官?)

佐伯竜一(警官?)

目黒哲太(たばこ屋さん?)

星野奈緒(?)

金城杏寿(?)

中村こむぎ(野良猫)

 


■映画の舞台

 

都内某所

 

ロケ地:

東京都:武蔵野市

HOME PLANET 吉祥寺

https://maps.app.goo.gl/XEKqo3LvjmtREb3i8?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

デザイン事務所の社長に気に入られているチャチャは、同僚から妬みを持たれても気にせずに自由に生きていた

事務所には多くのデザイナーが在籍していたが、面白そうな案件はすぐに彼女の元に届いてしまう

そんな様子を眺めている同僚の凛は密かに社長のことを想っていて、二人が男女の関係なのかを気にしていた

 

ある日、ビルの屋上で寝ていたチャチャは、そこで同じビルの飲食店の店員・樂と出会う

どうやら先輩か上司に怒られていたようで、彼はそこで店の鍵を落としていた

チャチャはそれを拾って届けると、「お礼は?」と問いかける

 

樂は何かを考えながら、食事に誘うことに決めた

だが、チャチャはそんなものよりも、あの時に美味しそうに飲んでいた飲み物を欲しいと言い出す

そこで樂は、事務所にそれを届けに行くものの、直接渡さずに、凛にそれを託してしまうのであった

 

テーマ:奔放の先にある束縛

裏テーマ:気ままに生きることの難しさ

 


■ひとこと感想

 

ポスタービジュアルとゆるい予告編の印象だけで参戦

どうやらオリジナルのようで、自由な女性と彼女が気になる青年との恋愛映画になっていました

 

常に監視している存在・凛がいて、彼女がストーリーテラーの役割をしていて、いろんなところに首を突っ込んでいく様子が描かれます

あの社長のどこが良いのかはわかりませんが、人の好みはそれぞれで、実際にはどうなのかなんてのは聞いてもわからないものだったりします

 

映画は、気ままに生きるチャチャの影響を受けた樂がとんでもない行動に出るのですが、想い人がいるのにチャチャと関係を持ったりと、意外なほどに強烈なキャラクターになっていました

目的が達成できてなくても執着がなくなったりと、それを気ままと言うのかは何とも言えないところがありますね

ともかく、ゆるーい話が好きな人向けで、まったりと睡眠学習に向かってしまう危うさも同居しているように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

映画は、人の目を気にせずにしたいことをすると言うもので、チャチャの場合は本質的には人に迷惑がかからないものでした

一方で、樂のしたいことというのは相手を傷つける要素があって、通念的にもダメなものとなっていました

チャチャの気ままの中にも「相手をコントロールしたい」というものがあって、それを暴力的に行うか、精神的に誘導するかの違いだったように思えます

 

独特なファッションセンスが目立つ作品で、あざとくても構わないと思っていますが、敵を作らずに過ごそうとは考えていないのですね

なので、悪口に反応したりはせずに、それを飲み込んでいくというものになっています

そう言ったことを謹んでいけば敵も増えないように思いますが、実際にはそんな単純なものではなく、そういった扉が開いてしまえば、そこで作られた行動パターンというものは変わらないように思えます

 

後半では、樂が好きな相手を奪うためにその男を監禁したりするのですが、それはチャチャの信条とは相容れないものがありました

樂は邪魔するものを排除することを気ままの目標にしている部分があって、そのような抵抗が消えると途端に興味を失います

それが彼の瞬間的な沸騰と凍結に結びついているのかな、と感じました

 


気ままに生きる意味

 

本作は、自由気ままに生きている茶々に感化された樂が変化する物語で、うちに秘めていたものを解放させる流れになっていました

イラストレーターであるチャチャは、クライアントからの案件を受けますが、彼女はそういった縛りを無視して、自分の描きたいものを書いていきます

それを分かった上で社長は仕事を振っているところがあって、クライアントの要望にうまく対応していたと思います

 

一方の樂は、レストランの従業員として働いていて、こちらは「決められたものを再現する」という適性が求められ、どうやら樂には向いていない職場のようでした

勤務態度も悪く、屋上で休んでいたら店長に怒られる始末で、そんな彼の日常をチャチャは見ていたことになります

チャチャの方が彼を気にし始めて関係が動きますが、樂の方もチャチャの奔放な生き方に惹かれていきます

そして、内なる欲望と対面して発散するというのが後半になっていました

 

気ままに生きるというのは実は範囲があって、チャチャの場合は社長の管理できる範囲で自由に生きている(仕事面)というふうになっています

また、チャチャのプライベートでは、チャチャの範囲の中に誰かを置くことを念頭に置いていて、そこから逸れると不機嫌になります

この適性が樂にもあって、彼は自分の恋愛のために競合相手を拉致したりするのですが、この欲望の解放は、チャチャの行動をそっくり真似ているように思えました

 

実社会で気ままに生きているように見える人はいますが、そのほとんどは自分で枠を設定し、人の迷惑にならない範囲というものを熟知しています

幼少期からの積み重ねになっていて、少しずつ枠を広げていっているものなのですね

でも、稀にその枠の作り方がわからなくて気ままに生きようとする人がいるのですが、そう言った人の範囲は、迷惑だと思う人によって狭められていって、いずれは自分で枠を作るよりも狭くなっていることの方が多くなっているように思えます

 


支配こそが真の気ままなのか

 

このような枠組みを完全に超えてしまうのが今回の樂の物語で、彼はコントローラーとしての傲慢な部分を増長させていきました

それがチャチャの欲望と噛み合わないことが悲劇の始まりで、想い人ピオニーと親しい護という男性の拉致監禁から思わぬ方向へと向かっていきます

護を拉致したことでピオニーは一人になるのですが、それで彼女を自分のものにできるかは別問題であると思います

彼は護の不在を狙ってピオニーに接近して、そこには自分のスペースがないことを感じていました

 

その感情がそうさせたのかはわかりませんが、樂は荷物を処分することを決めます

ピオニーへの唯一の抵抗となるものの、それを行っても、ピオニーの心は遠くに行ったままになるのは明白だと思います

逆に、樂がそれを行うことによって、樂は自分の世界に閉じ込められるわけで、それを察したチャチャが代行すると言い始めます

実際には、凶器を奪って、樂を止めることが目的で、欲望の支配を行うことで、チャチャは樂をコントロールすることになりました

 

最終的に樂とチャチャがどうなったのかはわかりませんが、二人の関係が続いているとは思えません

樂もチャチャもステージを変えることで自由を探すことになり、それを気ままな旅のように感じています

真の気ままとは、自分の限界を作らないことだと思いますが、現実的にはそれを行うにはしがらみが多いと思います

なので、それを手に入れるためには、現在のしがらみから離れることができる場所まで行くしかないのですね

そして、そこで1から自分を支配し、枠を支配することで、本当の気ままというものが得られるのだと感じました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画のラストでは、会社の建物は老朽化して取り壊され、そこにいた人はどこかに散り散りになっていくことが暗示されていました

社長はどこかで事業を続けていると思うので、そこについていく社員もいると思います

ピオニーも飲食店の店長も、手に職がある状態なので、どこかで働くこともできるし、自分の店をオープンすることもできると思います

そんな中で、手に職はあるけれど、どこかに隷属せざるを得ないのが、樂とチャチャのように思えます

 

樂は直属の上司とうまくいけばどこでもやっていけると思いますが、仕事に対する情熱がないので、どこに行っても失敗しそうな印象があります

自分で起業するほどの熱量も感じませんが、彼が本当に外国に行って勉強をし直すのであれば、何かが変わるかもしれません

日本式の雇用に合っていなかった可能性もあるので、より個々の力が試される諸外国での生き方は意外と合っているのかもしれません

 

チャチャの場合は、自分の好きなことができる場所を探していくので、それが絵である必要があるのかはわかりません

彼女の場合は、彼女の才能に気づいて惚れ込んでくれる人が必要で、かつ束縛をしない人じゃないとダメなのですね

なので、社長以外の誰かと合うとは思えず、放蕩した生き方の中で、居心地の良い場所を見つけるまで苦労しそうに思います

 

彼女が戻ってきた時には元の事務所はないのですが、彼女ならその嗅覚であっさりと見つけ出すではないでしょうか

とは言え、彼女がたどる匂いは社長のものではなく、凛のものだと思うのですね

社長が行くところに凛はついていくと思うので、そういったこともチャチャは見透かしているのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101754/review/04379256/

 

公式HP:

https://notheroinemovies.com/chacha/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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