■誰が「敗れざる者」だったんかを俯瞰すると、人質を取ったプロデューサーだったのかな、と感じました
Contents
■オススメ度
これまでのシリーズのファンの人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.10.16(MOVIX京都)
■映画情報
情報:2024年、日本、115分、G
ジャンル:隠居した元警察官僚が事件に巻き込まれる様子を描いたクライムミスエリー
監督:本広克行
脚本:君塚良一
キャスト:
柳葉敏郎(室井慎次:引退した元警察官僚、管理官)
福本莉子(日向杏:室井の元に転がり込んでくる女の子)
齋藤潤(森貴仁/タカ:慎次が里親となって育てている少年、被害者の息子)
前山くうが&前山こうが(柳町凛久/リク:慎次が里親となって育てている少年、加害者の息子)
緋菜&千尋(シンペイ:室井の愛犬)
松下洸平(桜章太郎:警視庁刑事部、捜査1課)
甲本雅裕(緒方薫:警視庁刑事部、捜査1課)
西村直人(仁狩英明:警視庁刑事部、管理官)
赤ペン瀧川(明石幸男:管理センター)
筧利夫(新城賢太郎:秋田県警察、本部長)
平島厚志(三波:秋田県警の警察官)
矢本悠馬(乃木真守:秋田県警の巡査)
真矢ミキ(沖田仁美:警察庁長官、官房審議官)
升毅(坂村正之:長官補佐)
生駒里奈(奈良育美:タカの加害者の弁護士)
丹生明里(大川紗耶香:タカの同級生)
佐々木希(森麻絵:タカの母)
稲森いずみ(松本敬子:児童相談所の総務部長)
松本岳(端野則次:児童相談所の職員)
遠山俊也(森下孝治:刑務所の職員)
小沢仁志(石津百男:牧場の経営者)
飯島直子(石津紀子:百男の妻)
木場勝己(長部音松:地区長)
いしだあゆみ(市毛きぬ:商店の店主)
加藤浩次(リクの父)
木村知貴(市原徹:リクの事件の加害者)
渡部直也(犬連れの散歩民)
藤田真澄(?)
佐藤雄大(タカのクラスメイト)
若尾颯太(タカのクラスメイト)
野口千優(タカのクラスメイト)
熊倉媛子(タカのクラスメイト)
宮武真央(タカの担任)
松村優(?)
錦笑亭満堂(?)
相場詩織(料亭の女中)
シャバ駄馬男(ラジオ番組のホスト)
バリトン伊藤(ラジオ番組のホスト)
笠井伸輔(ラジオアナウンサー)
石澤友規(?)
守敦也(?)
森本竜馬(?)
曽我一輝(?)
斉木としや(?)
たべひろのぶ(?)
■映画の舞台
秋田県:大仙市
ロケ地:
新潟県:十日町市
ミティラー美術館(室井宅)
https://maps.app.goo.gl/uXccwzPFYSSVXDc89?g_st=ic
越後麦有ごちそう家ごったく
https://maps.app.goo.gl/dZcWUXe3gVk8mqmY6?g_st=ic
新潟県:魚沼市
ゆーパーク薬師
https://maps.app.goo.gl/V2Y96BJr4jJmge8B8?g_st=ic
秋田県:仙北市
秋田県立角館高等学校
https://maps.app.goo.gl/uU1ZeP8v1tMvmpVz7?g_st=ic
田村商店
https://maps.app.goo.gl/vJPX8dkoPdQ5e2Uw6?g_st=ic
■簡単なあらすじ
警察組織から身を引いた元警察官僚の室井慎次は、地元の秋田の集落にて居を構えていた
そこで、事件の被害者、加害者の子どもを預かって、里親として暮らし始めていた
高校生になるタカは母親を殺された被害者遺族で、小学生のリクは加害者の息子だった
ある日、室井が住む家の向かいにて奇妙な匂いが立ち込めるという事件が起こる
地元の警察官がそこを掘り起こすと、推定2週間とされる遺体が発見された
そして、その死体は、東京で起きた特殊詐欺グループの一員で、室井がかつて担当した事件の犯人の一味でもあった
秋田県警に加えて、警視庁まで現場を訪れることになり、第一発見者として、室井も捜査に協力せざるを得なくなる
そんな折、室井の家の周辺で不審者が見掛けられる
追いかけたタカは、相手が女の子だったと言い、その女の子は室井の家の納屋に潜り込んでいたのであった
テーマ:因果応報
裏テーマ:終わらない事件
■ひとこと感想
テレビシリーズから観てきて、おそらくはテレビのスペシャル版も劇場版も観ていたリアルタイム世代ではありますが、本編では懐かしの過去映像が登場しまくる流れになっていました
それはそれで良いのですが、あまりにも登場しすぎるので、本作は室井という人物がどのような人だったかを思い出してもらうためのもののように感じてしまいます
映画では、過去の事件がそのまま地続きになっているという感じで、その事件を知っていないと面白みがほぼないという感じになっています
キャストではリク役が二人いるのですが、どうやら二人一役に見えるのですが、後半は実はという展開を迎えると想います
また、室井の元を訪れる杏は「思いっきり日向真奈美の娘」という感じに隠す気がないように演出されていました
前半は、本当に事件が起きて、容疑者っぽい人がたくさん登場する流れになっていて、捜査に加わるところまでという感じになっています
青島が登場することはないので、その代わりに松下洸平が演じる新キャラの桜章太郎が最後に登場する流れになっていたように思えました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作に関してはほぼネタバレはなく、キーキャラの杏ですら、室井目線で真奈美の娘であることが瞬時に察知されていましたね
とりあえず、あの雰囲気によく似た女優さんを探して、そこそこのネームバリューを持ってきたという感じになっています
映画は、室井の身辺で起こることがメインで、納屋にいつの間にか潜伏していた杏とか、地元民との関係性が強調されていました
村に監視カメラが置かれるようになるのですが、あれは村人を監視しているというよりは、そこに出入りする人物を探そうとしているようにも思えました
後半では、室井&桜の新バディが事件を解決するという流れになり、その現場の行動を新城がどのように許容するのか、という物語になるのでしょう
そして、室井がいたから解決できたというものと、新城が現場を信じたから解決に向かったというわかりやすい着地点になっていくのかな、と感じました
■スピンオフの楽しみ方
本作は、『踊る大捜査線』シリーズのスピンオフで、シリーズで活躍した管理官・室井慎次の退職後を描いていました
映画内でも多くの回想シーンが登場し、シリーズを観てきた人にだけわかる室井慎次の思い出というものが語られていきます
スピンオフは本編ありきの構成になっているので、本編を観ていないと意味がわからないことが多いと思います
所謂公式による二次創作の部類になっていて、ファンたちが長年妄想してきたものの答え合わせとなっています
スピンオフの楽しみ方は一つしかなく、それは本編を観ることなのですね
あらすじサイトを覗いても空気感はわからず、かと言ってリアルタイムである必要はありません
当時を知る人が思い出すという意味ではあらすじサイトなどの意味はありますが、記憶にないものを補完することはできません
なので、ある程度のシリーズを完走している必要があると言えます
本作の場合は、中核をなすキャラクターであり、彼がどんなキャラクターで彼と相対するキャラクターがどんな人物なのかを知らないと意味がありません
青島の存在と関係性、すみれさんとの関係、新城との絡みなどが最低限の情報になってきます
それをあらすじサイトだけで保管するのはほぼ不可能な内容ですが、記憶にある人なら「現場と偉いさんの温度差」「不器用だけど部下思い、たぶん恋心あり」何よりも仕事優先」みたいなワードで思い出せたりします
ある種の積年のファン向けのご褒美のようなもので、そこにある程度のビジネスが絡んでるのは仕方がないことのように思います
でも、そう言った大人の事情も込みで楽しむのが、リアルタイムで観てきた人の特権のように思えます
■今更ながら、勝手に犯人予想
本当なら、後編が公開される前に予想をしようかと思っていましたが、思いっきりタイムオーバーになってしまい、間抜けなことになってしまいました
すでに答えが出ている状態なので何を書いても意味はないのですが、前編公開当時に考えていた犯人像についてちょっとばかし書いてみたいと思います
映画では、レインボーブリッジ事件の犯人の一人が犯行に関わっているとされていて、わざわざ室井慎次の住んでいる場所の近くに遺体を遺棄することになりました
出所後に何らかのトラブルを抱えていた犯人たちの内ゲバのような感じになっていますが、彼らがあの場所に捨てたのは偶然ではないと考えられます
なので、室井慎次が退職して、あの場所に住んでいることを知っている、というのが前提となります
警察官僚の個人情報なので、かなり狭い世界でしか知る人はいません
なので、室井に近しい人に近づける人物が必要で、しかも警察の個人情報にアクセスできる人物となります
彼らは獄中にいたので、そこで出会った人物がキーパーソンになる可能性が高いのですが、彼らが室井慎次をターゲットにするのには動機が弱いように思えます
レインボーブリッジの一件はかなり大規模に報道されていますが、そのリーダーが室井であると知る人がどれだけいるかは何とも言えません
個人が入手できる映像などから室井がリーダーであるとわかるのは、記者会見などの座りの並びなどを理解している人で、それを考えると報道関係者である可能性が高くなります
また、一次情報にふれつつ、警察内部の関係性などに熟知している人物と接触できる可能性のある収監中の人物というのはかなり限られていると思います
そんな中で、退職後の室井慎次を追い回そうと考える人物はほとんどいません
なので、与えられた状況から推測すると、情報を知る者の命令によって行動することを強いられたか、利益が相反しない人物となります
それを考えると、室井と出世争いをしていた警察官僚の誰か、ということになるのかな、と感じました
これが前編当時に考えていたことで、それが誰かまでは予測できませんでした
室井と敵対していた警察官僚の記憶がなく、誰が首謀者としても初登場のように思えました
でも、実際にはその予想は大外れで、まさかの獄中から彼らを操っていたエスパーがいた、ということになりました
しかも、裏付けも何もない一捜査員の妄想ということになっていて、かなり脱力していまいましたね
予想できる人がいたとしたら、その人は本当にエスパーなんだと思います
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、ネタ切れを起こしたコンテンツ業界が既存のドル箱を再度持ってきたというもので、今更「踊る」なの?と思った人が多いと思います
今後も俳優さんがOKなら色々と作られていくと思うのですが、コンテンツ業界の末期感は世界的な傾向のように思います
映画が娯楽として一般化してだいぶ経ちますが、その黎明期にのめり込んだ人たちも、その作り手側もそこそこの年齢になってきているのですね
新しいものを作るのは若い人に任せて、当時を知る人たちの娯楽として、人生を一緒に閉じようよという流れは悪くないと思います
スピンオフやリバイバルは使い古されたコンテンツの焼き回しなので、テンプレ的な展開が好まれると思います
なので、本作だと「室井慎次が現場に復帰するか」というもので、そこで部外者が命令系統を無視して関わるのかどうかというところをファンは待ち望んでいたように思います
実際にどうだったのかは答えが出ていますが、その反応を見れば推してしるべしというところでしょう
結果として、望むものを作られなかった要因に大人の事情があるとは思いますが、それを打ち破ってこそのエンタメでしょう
仕事は仕事なので、それを完遂できないのなら、企画の段階でお蔵入りした方が良いものもあるのかな、と感じました
詳しくは後編のところで熱く語りたいと思います
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101442/review/04379255/
公式HP: