■実在の人物を絡ませたらダメって言ってるでしょ!って怒られてそう


■オススメ度

 

お姫様映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.6.13(MOVIX京都)


■映画情報

 

原題:Challengers(劇中のテニスの大会の名前)

情報:2024年、アメリカ、131分、PG12

ジャンル:女性テニス選手を巡って戦う二人のテニスプレイヤーを描いたラブロマンス映画

 

監督:ルカ・グァダニーノ

脚本:ジャスティン・クリツケス

 

キャスト:

マイク・ファイスト/Mike Faist(アート・ドナルドソン/Art Donaldson:ジュニアダブルスのテニスプレイヤー)

ジョシュ・オコナー/Josh O’Connor(パトリック・ズワイグ/Patrick Zweig:ジュニアダブルスのテニスプレイヤー)

ゼンデイヤ/Zendaya(タシ・ダンカン/Tashi Dankan:アートとパトリックが惚れる女性、女子テニスプレイヤー)

 

Nada Despotovich(タシの母)

Naheem Garcia(タシの父)

A.J. Lister(リリー:タシの娘)

 

Hailey Gates(ヘレン:パトリックのデートの相手)

 

【2019年ニューロシェル大会関連】

Darnell Appling(決勝の審判)

Joan Mcshane(決勝の線審)

Jason Tong(決勝の線審)

Kevin Collins(駐車場の警備員)

 

Connor Aulson(レオ・デュ・マリエ/Leo Du Marier:アートの対戦相手)

Alex Bancila(グロス:パトリックの対戦相手)

Konrad Ryba(ロッカールームの全裸選手)

 

【2019年アトランタ大会関連】

Chris Fowler(テレビ解説者)

Mary Joe Fernandez(テレビ解説者)

Doria Bramante(アリス・フェスター?:タシの対戦相手?)

 

【ジュニア大会関連】

Burgess Byrd(USTA公認/全米オープンジュニアの線審)

Hudson Rivera(Y・クセラ/Y. Kucera:全米オープンのジュニアの選手)

Noah Eisenberg(T・スボボダ/T. Svoboda:全米オープンのジュニアの選手)

Emma Davis(アナ・ミュラー/A. Mueller:全米オープンのジュニアの選手、タシの対戦相手)

 

【その他】

Christine Dye(ニューロシェルのモーテルのフロント係)

James Sylva(モーテルを訪れる男性客)

Kenneth A. Osherow(モーテルを訪れる男性客)

 

Jake Jensen(フィン・ラーセン/Finn Larsen:?)

 

Andrew Rogers(アートのスタンフォード戦のチームメイト)

Beverly Kristenson(スタンフォードの試合の審判)

 

Brad Gilbert(2011年オハイオのアートのトレーナー)

Bryan Doo(アートの理学療法士)

Shane T Harris(アートのボディガード)

 

Sam Xu(アートのファン)

Caleb Schneider(パフォーマー)

 

Jack Amsler(テニスプレイヤー)

Sam Arnold(テニスのプロプレイヤー)

 

David S. Bookbinder(テニスのファン)

Tierre Diaz(テニスのファン)

 

Lachlan Boyle(ウェイター)

Courtney Brooks(ウェイトレス)

Lizzy Kircher(ウェイトレス)

Ian Dylan Hunt(バーテンダー)

Nicole Nassif(バーの常連客)

 

Elaine Victoria Grey(上流階級の観客)

Dennis Daniel(観客)

Jason Hewitt(観客)

Donna Martuge(観客)

Francis McGinny(観客)

Rhonda Araujo Smith(学生の観客)

Juan Szilagyi(観客)

 

Casey McNeal(アトランタの役人)

Annabella Valle(注目されるパーティーのゲスト)

 


■映画の舞台

 

2006年〜2019年

アメリカ各地

ニューヨーク&アトランタ

 

ロケ地:

アメリカ:マサチューセッツ州

ボストン

 


■簡単なあらすじ

 

女子ジュニアでは抜群の強さを誇るタシ・ダンカンは、ある試合後のパーティーにて、ジュニア選手のアートとパトリックと出会うことになった

二人はタシに惚れ込んでいて、パトリックは強引に部屋番号を告げた

来ないと思われたものの、タシは二人が泊まる部屋にやってきて、明日の決勝で勝った方に電話番号を渡す、と告げた

 

元々、アートに勝たせる八百長を仕組む予定だったが、パトリックは約束を反故にして、電話番号を賭けた戦いを始める

そして、試合にはパトリックが勝ち、タシへの挑戦権が与えられた

 

その後、恋仲になったタシとパトリックだったが、彼は練習に口出しをするタシを快く思っていなかった

ある日、そのことが原因で喧嘩別れした二人だったが、翌日の試合にて、タシは選手生命に致命的な怪我を負ってしまう

アートは彼女を献身的に支え、そして二人は夫婦となって、二人三脚でテニス人生を歩むようになった

 

だが、年齢的なピークを迎え、成績が下降し出したアートは、ある決意を固めるようになる

そんな決意を胸に戦うニューロシェルの大会には、パトリックの姿があり、彼はタシの元を訪れ、ある願いを伝えることになったのである

 

テーマ:お姫様気分は最高

裏テーマ:お姫様の押し付け合い

 


■ひとこと感想

 

ゼンデイヤ演じるタシを取り合うイケメンが描かれていて、彼女を巡って本気で試合をするなどの様子が描かれていきます

二人だけに通じるサインがあって、これが後半につながるのですが、このあたりの伏線の描き方は良かったように思います

それでも、時系列がゴチャゴチャ動きまくるので、追いかけるだけでも一苦労という印象がありました

 

基本的には現在軸である「ニューロシェル」の決勝から過去を回想する流れになっているのですが、回想からさらに別の時間軸に飛ぶというのが混乱の要因になっています

現在軸の試合の間に回想を何度も挟むのも微妙ではありますが、冒頭で描かれるニューロシェルにて「アートとパトリックは憎みあっている」とか、「タシがパトリックを嫌悪している」というものが分かれば混乱はしないように思えました

 

映画は、わかりやすく姫様の奪い合いなのですが、前述のサインによって、ラストの試合の勝利の意味が変わってきます

そして、タシの一言で映画は終わるのですが、とっても意地悪な展開になっていたのは笑ってしまいました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

かつて人気絶頂だったタシを取り合うアートとパトリックが描かれていて、最初の勝負はパトリックの勝ちということになっています

その後、ワンナイトラブではない関係が続きますが、ベッドとコートでは違うという感じでしたね

元々、男性をコントロールしたい願望があるタシでしたが、パトリックはテニスだけは聖域という感じで寄せ付けません

 

その後、アートと結婚することになっていて、この時点でタシはパトリックに嫌悪感を抱いているはずでした

でも、試合の前日に再会したタシとパトリックは、禁断の関係へと向かっていきます

冒頭の試合は、アートに勝たせてくれたらというタシの願いがあるのですが、それを蔑ろにするのがパトリックの思惑になっていました

 

試合の最後の方で、パトリックは「タシと寝た」という合図を送り、そこから試合は急転していきます

タシに愛想を尽かしたアートは別れる決意を持って試合に負けようとするのですが、パトリックもタシはいらないとばかりに勝負を捨てます

それでも、二人の駆け引きを知らないタシは「私を賭けて戦っている」と思い込んでいて、それによって「カモン!」と絶頂するように描かれていました

 


時系列シャッフルの効果

 

映画は、2006年と2019年が入り乱れる構成になっていて、2006年が出会いで2019年が現在軸としてのテニスの大会になっています

また、2019年が試合当日とその2週間前に遡るなどがあって、混乱はしませんが、かなり見づらい構成になっていると思いました

時系列的には、「試合を見て惚れ込む」「パーティーで誘う」「タシが部屋に来る」「パトリックが勝利し、タシと付き合う」「パトリック、タシの指導を受けて成長するも、やがて衝突する」「アートは独自に頭角を表す」「パトリックとタシが大喧嘩」「タシが試合で負傷し、アートが寄り添う」「パトリックとタシが別れ、アートとタシが付き合い始める」「アートとタシが結婚、出産」「アートが頭打ちになり、引退を考え始める」「パトリック、再起を賭けてトーナメントに出場し勝ち上がる」「決勝がパトリックVSアートに決まる」「パトリック、寝る場所を探して、ヘレンと付き合う」「タシ、アートに会って八百長を持ちかける」「タシ、パトリックと寝る」「試合中にパトリックがアートにサインを送る」「タシ、試合中に絶頂し叫ぶ」という流れになっています

 

このシャッフルにどのような効果があるかは何とも言えませんが、パターンとしては「アートVSパトリックの現在の試合の雰囲気」を描いていて、そこから「仲が良かった頃」に戻ることになっています

そこで「兄弟のように仲が良いのにどうして?」という疑問が起きて、「三角関係がどう変化したのか」という興味を惹きつけるようになります

シャッフルは、三人の関係性が変化するとともに過去から現在へと戻っては帰りを繰り返していき、ラストのパトリックのサインというものを伏線にしていました

これは、体の関係を持ったかどうかを知らせるというアートのアイデアで、相手のサーブと同じ構えで打つというものでした

それが、ラストの試合で披露されることになり、アートはパトリックとタシが寝たことに気づきました

 

これらの流れをそのまま流しても、そこまで面白いものにはなりません

まずは、タシを取り合ったところと寝たよサインを先に描かないと意味がないのですね

現在軸ではタシはアートと一緒にいるのに、過去はパトリックとの関係が先に始まるので、どうしてそうなった?を引っ張る意味にも繋がります

そして、そこまで繋げておいて、アートとパトリックがどうしたいのかというものを描くことになります

この試合は、ある意味タシと決別する決意を見せるものでしたが、タシに伝わっていないのは滑稽に映ります

 


お姫様は生粋の腐女子

 

タシというキャラは、一歩間違えれば腐女子っぽい部分があり、さらにお姫様気質があって、常に注目されたい人物だったように思えます

自分を万能だと思っていて、試合でエキサイトすることで絶頂を迎えるタイプで、自分の思い通りにハマるとアドレナリンが全快になるような気質を持っていました

そんな彼女が怪我でプレイヤーから脱落することになるのですが、その少し前にはパトリックとの関係は最悪なものになっていました

パトリックは自分のテニススタイルを持っているプレイヤーで、人の意見を参考にすることがあっても、押し付けられたくないと感じていました

 

対するアートは、向上するためなら何でも吸収しようとするタイプで、タシへの同情的な部分もあると思いますが、彼女のテニス遍歴を考えると、理に適っている部分もあったのだと思います

タシと二人三脚で戦い抜くことである程度の戦績は残せますが、彼自身は天才ではないので、その限界点が来ることになりました

そんな折、独学で壁にぶち当たっているパトリックは、もう一度檜舞台に上がるためにタシを欲するようになります

客観的な視点を欲しがったものの、彼に教えてくれるコーチなどはいなかったのですね

それはパトリックの年齢がプレイヤーとしては限界点に達していて、ロートルに教えるよりは若い才能を伸ばしたいと考えるのは必然だからでしょう

 

そうして、パトリックはタシと再び組むことを考えていましたが、タシはまだアートを見限れていないのですね

なので、この大会で優勝して、自信を取り戻してくれればまだ戦えると感じていました

でも、アートは精神的に終わっていて、パトリックに無様に負けることで、タシも諦めてくれるだろうと考えていたのだと思います

 

サインの後、アートはふざけたサーブをして、パトリックもまともには戦いません

それは、アートの中で「もうタシはいらない」という宣言のようなもので、負けに行っているのだと思います

でも、パトリックはアートに勝ちを譲らなければならない取引をしていて、アートに負けられては困るのですね

それでも、アートの意思の方が強く、ラストシーンは「故意に反則をする」ことで負ける意志を明確に打ち出していたと思います

 

そして、それを見ていたタシは自分が戦っている、あるいは自分のために戦っているという心情を投影していきます

それが叫びへとつながるのですが、その時のセリフは「Come on!」でしたね

単純に訳すなら「来て!」なのですが、彼女の特殊性癖を考えると違う意味に思えますね

彼女は過去パートでも二人にゲイプレイをさせていたように、そちらの趣味があるのですね

そういった意味において、ラストゲームは彼女には違ったものに見えていたのだと考えられます

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、いわゆる三角関係ものになるのですが、実際にはタシによる、現実を使った腐女子タイムの実現、みたいなことになっていました

彼女は性的な部分ではノーマルなのですが、趣味の方がアブノーマルでしたね

監督のこれまでの作風を考えると、こういう三角関係も撮るのだなあと思いましたが、随所に挿入される同性愛プレイというものが、やはりこの監督だなあと思わされます

 

タシはいわゆるコントローラー気質があるアナライザーで、理論や理屈が大好きで教えるのが好きな人だと思います

アートはサポーター気質があるのでうまくいきますが、パトリックはコントローラーかつプロモーターの気分屋なので、タシとぶつかるのは明白でした

パトリックは自信家なので、自分の思った通りのことをしていくのですが、彼のようなノリで戦っていく人はコーチにはなれないと思います

なので、タシに教えを乞うというのは建前で、今後「人に教える立場」を視野に入れているのかな、と感じました

 

映画は、テニス映画ですが、ルールを知らなくても大丈夫だと思いますが、ラストシーンで何が起こったのかは分かりづらいように思います

ラケットどころか体まで相手コートに乗り出しているのですが、これはオーバーネットという反則になります

テニスは紳士的な振る舞いも反則項目にあるので、あそこまで乗り出してしまうと、故意の反則として「コードバイオレーション」を取られてしまうように思います

これは1回目は「警告」ですが、2回目は「相手に1ポイント」、3回目は「相手に1ゲーム」あるいは「失格」になるものですね

重大な場合は1回目で失格になる場合(暴力行為)もあり、トーナメントでの賞金の没収や他のトーナメントの出場権を失う場合もあります

 

「コードバイオレーション」には、「時間厳守」「服装と用具」「許可なくコートを離れる」「やる気がない、適当なプレー」「正当な理由なき途中棄権」「遅延行為」などの沢山の項目があります

試合の全体像を把握できていないのでどの段階になるか分かりませんが、無気力プレイはどちらも行っていたので、アートの方は2度目の警告になるのかもしれません

このあたりはうろ覚えでなんとも言えないのですが、テニスに詳しい人がつぶさに見ていれば、あの後にどのような状態でゲームが再開したとか、あれで終わったなどがわかるのかな、と感じました

当方、そこまで詳しくないのですが、何となく終わったんじゃないかなあと思ってしまいました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/98955/review/03926120/

 

公式HP:

https://wwws.warnerbros.co.jp/challengers/

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投稿者 Hiroshi_Takata

“【映画感想】チャレンジャーズ【後半:ネタバレあり】” に1件のフィードバックがあります
  1. ラストの意味が全くわからなかったので助かりました。いろいろなレビューを読みましたが、「パトリックがタシと寝たというサインを送った」という解説は他になく、そう言われてみると納得です。ありがとうございます。

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