■本人役がたくさん出ている半分リアル世界だけど、内容は総じて平凡でカタルシスは低めに設定されている


■オススメ度

 

ボクシング映画が好きな人(★★★)

マイケル・B・ジョーダンさんのファンの人(★★★)

『ロッキー』のファンの人(別物です)

 


■公式予告編

鑑賞日2023.5.27(イオンシネマ久御山)


■映画情報

 

原題Creed

情報2023年、アメリカ、117分、G

ジャンル:かつての旧友との再会によって地位を追われる元王者を描いたボクシング映画

 

監督:マイケル・B・ジョーダン

脚本:キーナン・クーグラー&ザック・ベイリン

 

キャスト:

マイケル・B・ジョーダン/Michael B. Jordan(アドニス・クリード:すべての栄光を掴んだ伝説のボクサー、ボクシングジムの経営者)

 (15歳時:Thaddeus J. Mixson

テッサ・トンプソン/Tessa Thompsonビアンカ・クリード:アドニスの妻、音楽プロデューサー)

 

ジョナサン・メジャース/Jonathan Majors(デイム/デイミアン・アンダーソン:アドニスの旧友)

 (18歳時:スペンス・ムーア2世/Spence Moore II

Yahya McClain(デイミアンのトレーナー)

Lamont Lankfordデイミアンのカットマン)

 

ウッド・ハリス/Wood Harris(リトル・デューク/トニー・バートン:アドニスのトレーナー&ビジネスパートナー、フェリックスのトレーナー)

 

フィリシア・ラシャド/Phylicia Rashad(マリー=アン・クリード:アドニスの養母、アポロの妻)

ミラ・デイビス=ケント/Mila Davis-Kentアマーラ・クリード:アドニスの聾唖の娘)

 

Jose Benavidez(フェリックス・チャベス:デルファイ・アカデミーの現役チャンピオン)

Selenis Leyva(ローラ・チャベス:フェリックスの母)

 

フロリアン・ムンテヌス/Florian Munteanu(ヴィクター・ドラゴ:イワンの息子、かつてのアドニスの対戦相手、スパーリングパートナー)

 

Tony Bellew(プリティ/リッキー・コンラン:フェリックスの対戦相手)

Bobby Hernandezコンランのトレーナー)

 

【さまざまな本人役】

Corey Calliet(本人役、テレビ番組のパーソナリティ)

Al Bernstein(本人役、Showtimeのキャスター)

Mauro Ranallo(本人役、Showtimeのキャスター)

Kimberly Davis(Showtimeの通訳)

 

Michael A. Jordan(ゴールデングローブのレフリー、デイムVSマイケル・フィッシュバウム戦)

トニー・ウィークス/Tony Weeks(本人役:クリードVSデイム戦のレフリー)

ラッセル・モア/Russell Mora(本人役:レフリー)

ケニー・ベイレス/Kenny Bayless(本人役:レフリー)

 

ジミー・レノン・ジュニア/Jimmy Lennon Jr.(本人役、リングアナウンサー)

デヴィッド・ディアマンテ/David Diamante(本人役、リングアナウンサー)

 

トッド・グリシャム/Todd Grisham(本人役、DAZN放送局のキャスター)

ジェシカ・マッカスキル/Jessica McCaskill(本人役、DAZN放送局のキャスター)

クリス・マニックス/Chris Mannix(本人役、DAZN放送局のキャスター)

 

Stephen A. Smith(本人役、アドニスが出演するスポーツ番組のホスト)

Barry Pepper(本人役、テレビ番組のナレーションの声)

Jessica Holmes(本人役、KTLAのニュースアンカー)

 

カネロ・アルバネス/Canelo Álvarez(本人役、イベントの参加者)

フェルナンダ・ゴメス/Fernanda Gomez(本人役、カネロの妻)

Kehlani(本人役、レコード会社のイベントの歌手)

 

Ann Najjar(本人役、ボクシングの解説者)

Jacob ‘Stitch’ Duran(本人役、カットマン)

 

【その他】

Jeremy Lee Stone(アマーラの担任の先生)

 

Aaron D. Alexander(レオン:クリードのかつての因縁の相手)

Brian Neal(レオンの友人)

Corey Hibbert(レオンの友人)

 

Natasha Ofili(クリード家のシェフ)

Rose Eshay(クリード家のケータラー)

 

Butch Locsin(スケルトンコスチュームのパフォーマー)

 

Anastasia Wilson(マリー=アン・クリードの担当看護師)

Beth Scherr(マリー=アン・クリードの主治医)

 

Maya Page(リングガール)

Gonzalez Vazquezブリアナ・ヴァレリア:リングガール

Shayra Medal(リングガール)

Andreia Gibau(リングガール)

Soraya Yd(リングガール)

 


■映画の舞台

 

2002年〜2023年

アメリカ:ロサンゼルス

 

ロケ地:

アメリカ:ジョージア州

アトランタ

 


■簡単なあらすじ

 

ボクシングの世界で上り詰めたアドニスは、引退試合も勝利を収め、ジム経営に乗り出すことになった

ジムには現役王者のフェリックスがいて、トレーナーのリトル・ディックとともに防衛戦の準備をしていた

 

アドニスには耳の調子の悪い妻ビアンカと聾者の娘アマーラがいて、ビアンカは歌手から音楽プロデューサーへと転身を図っていた

アマーラは父に憧れていて、同級生相手にパンチをお見舞いするなど活発な娘として育っていた

 

ある日、20年ぶりとなる旧友デイムと再会したアドニスは、彼の願いを受け入れてジムの練習生として参加させる

フェリックスのスパーリングの相手として参加することになったが、喧嘩腰の彼をディックは良く思っていなかった

 

だが、フェリックスの対戦相手がレセプションパーティーで何者かに襲われ、防衛戦は白紙になってしまう

ファイトマネーを稼ぎたいフェリックスに対し、アドニスはある提案をする

それが、噛ませ犬デイムとのタイトルマッチだったのである

 

テーマ:過去との向き合い方

裏テーマ:幼さゆえの弱さ

 


■ひとこと感想

 

『ロッキー』シリーズの影も形もないというふれこみの本作は、本当に『ロッキー』の遠い続編にも思えない感じに、別のボクシング映画になっていましたね

内容は、かつて兄弟同然だったデイムにチャンスを与えるというもので、その中で周囲と距離ができて孤立するアドニスを描いていきます

とは言うものの、そこまで凝った話でもなければ、熱くなる展開もなく、無茶な流れの中「アドニスVSデイム戦」へ突入することになりました

 

この復帰戦に至るためにシナリオを構築しているのですが、これならば「引退戦」の相手に名乗りを上げるぐらいでも良かった感じですね

ジムの王者を負かすと言う流れがあって、その敵討のような感じになるのですが、ブランクからの復帰である理由はあまりないように思えます

 

冒頭でいきなりヤバめの引退試合があって、その相手が数年後の弟子のタイトルマッチに出てきたりと、かなり狭い範囲でも物語を動かしています

アドニスの過去がデイムを作り上げたと言う割には、試合が終わると聞き分けが良すぎて、デイムのキャラが良くわからない感じになっていましたね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

エンドロールの後に「謎のアニメ」があるのですが、それも含めて「監督が好きなことをした」感がすごく伝わってきましたね

良し悪しを一概には言えませんが、監督が主演をやるとダメなパターンの映画だったように思います

 

アドニスをカッコよく見せるのは良いのですが、本作に関しては「ロートルが復帰してきて、ロートルと戦う」と言う感じになっていて、自分よりもロートルと戦ってどうするんだ?と言う感じになってしまいます

 

アドニスが引退しているのなら、彼が育てた弟子とデイムの刺客(息子でもいい)が戦う方が流れとしてはマシでしょう

18年間ジムで筋トレだけをしてきた男がプロの王者に勝つ(反則ありですが)と言うところからリアリティはゼロだったりします

 

アドニスVSデイムをメインに据えたいことはめっちゃ伝わるのですが、デイムをもっと悪役にしないとダメだと思います

えげつないくらい憎い相手にして、それから「実は」の方が落差はあるので、デイムの人間らしさを中盤で見せすぎてしまう(ビアンカが警戒心を持たない)ところは微妙かなと思いました

 


過去の因縁をリングに上げる方法

 

映画の骨子は、「アドニスの過去が立ちはだかる」というもので、それが引退後になっていました

それゆえに「セレブにいっちょ噛みする旧友」みたいなポジションになっていて、個人的には何だかなあと思ってしまいます

アドニスに復帰のトレーニングをさせる尺を使うなら、引退試合の相手を襲ってリングに立つという方が、無駄を省けて過去をもっと掘り下げていけたように思いました

 

復帰戦にした理由は、デイムとリングに上げるためにアドニスの協力が必要と判断したからでしょうが、アドニスに対抗心を燃やすジムというのはいくらでもいるので、弱小のジムに所属しながら成り上がっていくことも可能でした

でも、そのあたりを端折って、アドニスのわがままでデイムをリングに上げたという流れになっていて、それはアカデミーから孤立させるという狙いがあったのだと思います

アドニスとデュークに亀裂が生じることを描きたかったのだと思いますが、さほど深い傷にもなっておらず、あっさりと和解になっているのは微妙かなあと思いました

 

過去をリングに上げるのは実に簡単で、アドニスのような誰にも言えない傷があると尚更でしょう

でも、あれだけの人物なのに、ゴシップによって過去が暴かれないというのは変な話なのですね

それをビアンカが知らないというのはわからないでもないですが、セレブを妬む層というのは必ずいるものなので、彼が施設の出身であるということはちょっと調べれば出てくるものでしょう

実際に同じ時を過ごした人(同級生)がいるわけで、デイム以外の誰かがマスコミにリークしたり、SNSに情報を上げるというのがないのは不思議でなりません

 


勝手にスクリプトドクター

 

映画は、セレブの転落を描いているので、どこまで堕ちるのかに興味が集中します

でも、転落はそこそこで、デイムサイドの悲哀も多く描かれていました

どちらに共感させるかでシナリオの流れが決まるのですが、本作はどっちつかずのような感じになっていましたね

アドニスを応援する流れにするならば、デイムはもっと凶悪な感じに仕立て上げないといけないのですが、旧友を悪く描けないのか、人種的な配慮かわかりませんが、とてもぬるい仕上がりになっていました

 

本作をどう改変すればマシになるかは色々ありますが、前提として『ロッキー』シリーズを彷彿とさせるか、というところになると思います

この逆転劇的な成り上がりを考えるなら、デイムの暗躍によって「ジムから追い出されるアドニス」ぐらいのところまでいかないとダメなんですね

元王者が恵まれた施設とトレーナーで復帰戦を果たしても、それほどアガる要素にはなり得ず、アドニスの転落は中途半端な感じになっていました

 

この『ロッキー』シリーズをとりあえず無視するという流れ(本作のテイストだとシリーズとは思えない)を汲むのならば、デイムとアドニスのガチバトルにして、ボクシング映画としてのクオリティを高める方が良いと思います

そうなると、デイムを凶悪にするラインで、もっともっとヤバい奴にするべきでしょう

逆恨みを利用してのし上がり、手段は選ばずに「裕福になったアドニスを引き摺り下ろすこと」を目的として、彼から「奪えるものを奪う」という流れになります

 

アドニスには地位、名誉、家族、教え子がいるので、それぞれを一つずつ奪っていくことが必要なのですね

地位と名誉に関しては、過去の事件が暴露され、施設出身であることが報じられれば、アドニスに幻想を見ていた人の目は覚めます

家族に関しては、さすがにプロボクサーが手をかけるわけにはいきませんが、アドニスが「家族の身に何かあるかも」と感じるだけで良いと思います

なので、わかりやすいのはレコード会社のイベントに乱入して暴れて、ビアンカの評判を落とすことでしょう

その場で、施設上がりを暴露するというのも効果的な手法になります

 

教え子に関しては、タイトルマッチに向かうまでにボッコボコにすれば良いだけなので、反則で勝つとか、やりすぎて選手生命を断つという暴れっぷりが必要になってきます

アドニスとしても、妻の仕事の邪魔をされ、施設出身と事件の顛末がバラされ、さらにジムは壊滅的な状況になってくる

さらにデュークからも見捨てられて一人になる

ここまでやってこそ、アドニスがブチ切れてデイムを圧倒する下地ができるというものだと思います

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、グダグダな感じでまとまっていくのですが、倒すべき敵も微妙で、試合も消耗戦になってしまうので、あまり爽快感が感じられません

アドニスとデイムの試合も1、2ラウンドから、いきなり12Rに飛んでしまうし、一番じっくりと見せないといけないのに、ダイジェストになっていましたね

12ラウンド戦う体力がある二人には見えないので、試合の駆け引きを考えると、どちらも消耗戦にして引き延ばさないように思います

 

ボクシング映画だと、相手の特性と戦術などの駆け引きがあって、お互いを研究して試合に臨みます

でも、本作では「とりあえず殴り合い」にしかなっていないし、あるモーションだとボディが空くみたいな戦術的な試合運びは冒頭の引退試合だけでしたね

せめて、旧友として彼の試合を見てきたのですから、少年時代に見つけた彼の癖を読むとか、もう少しマシな展開を作れたように思います

 

本作では、アドニスとデイムの関係性はブレブレで、さらにデイムのキャラがブレブレなのですね

デイムがムショに入っていた時に、アドニスの活躍を見てどう思っていたのか?

このあたりは手紙に書かれているはずなのに、手紙というアイテムですら「諍いを生むための道具」になっていて、うまく機能しているようには思えませんでした

 

『ロッキー』サーガとして足を運んだ観客も、ボクシング映画の熱さを体感したい人も眼中にない感じに作り方になっていましたね

少年漫画のようなノリで「努力、友情、勝利」があれば細かいことは気にしない、という人向きだったのかもしれません

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/385349/review/d7039bd5-29af-462c-822d-a0936e6339ce/

 

公式HP:

https://wwws.warnerbros.co.jp/creed/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA