■最後のMVで記憶が飛んでしまうけど、この目論見ならもう少し本気になれば結果を変えることができたと思いますよ


■オススメ度

 

カーリング映画に興味のある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.11.11(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、99分、G

ジャンル:小学生時代のチームを再建させる高校生を描いたスポーツ映画

 

監督:本木克英

脚本:谷本佳織

 

キャスト:

本田望結(清水香澄:カーリングを愛する高校生、みよステラのスキップ)

   (幼少期:泉智奈津

 

長澤樹(江藤実乃梨:チームに加わる転校生、みよステラのサード)

泉智奈津(中澤優芽:香澄の幼馴染、みよステラのセカンド)

   (幼少期:町田埜乃花

白倉碧空(牛山沙帆:香澄の幼馴染、みよステラのリード)

   (幼少期:佐藤彩海

 

川口ゆりな(曽根原舞:かつてのチームメイト、軽井沢ECのスキップ)

   (幼少期:平岡灯代莉

 

秋山ゆずき(鈴木あゆみ:みよステラの雇われコーチ)

 

山崎竜太郎(清水幹太:香澄の兄、軽井沢ECのコーチ)

内浦純一(清水太一:香澄の亡き父、みよステラの元コーチ)

松本享子(清水陽子:香澄の母)

 

柄本明(小宮山進:老人ホームの利用者、カーリングのレジェンド)

 

六角精児(土屋一郎:カーリングホールみよたの管理者)

高島礼子(植田貴美子:カーリングホールみよたの管理者)

 

田中麗奈(江藤真紀:実乃梨の母、介護士)

 

萩原彩矢(野呂朔:軽井沢ECのセカンド)

北澤響(郷田香菜子:軽井沢ECのサード)

山田遥(園部日向子:軽井沢ECのリード)

 

(川瀬彰:施設の介護士)

山田明郷(ヨネさん:施設の利用者、車椅子のお爺さん)

石山紀明(施設の利用者)

 

草田敏彦(ニュースレポーター)

 

原田凛花(香澄のクラスメイト)

曽川咲葵(香澄のクラスメイト)

甲斐心愛(香澄のクラスメイト)

 

小林由紀子(シニアのメンバー)

市川美香(シニアのメンバー)

古清水恵子(シニアのメンバー)

土屋真知子(シニアのメンバー)

 

土屋一男(エキシビジョンの司会)

市川美余(エキシビジョンの解説)

 


■映画の舞台

 

長野県:北佐久郡

御代田町

https://maps.app.goo.gl/qdHVDwebrHeANrhm9?g_st=ic

 

ロケ地:

長野県:北佐久郡

御代田町

カーリングホールみよた

https://maps.app.goo.gl/5ysAAom68pshZSzW8?g_st=ic

 

ハートピアみよた

https://maps.app.goo.gl/gczgFrqaa6mQxaGA8?g_st=ic

 

龍神ノ杜公園

https://maps.app.goo.gl/1Tsam8RrRtbw9J8d9?g_st=ic

 

ミネベアミツミ

https://maps.app.goo.gl/mt7cDD71g57rziBV7?g_st=ic

 

浅間山 真楽寺

https://maps.app.goo.gl/KiCKtXtwTSMyxAKz9?g_st=ic

 

軽井沢町

軽井沢アイスパーク

https://maps.app.goo.gl/QyLnvX1QSULTrEME8?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

かつて小学校時代に結成したカーリングチーム「みよステラ」で優勝した経験のある香澄は、高校生になってもカーリングを続けていた

だが、チームメイトの舞が軽井沢の名門チームに移籍して以来、みよステラは休部状態になっていて、試合に出る機会などなかった

 

ある日、地元・御代田町にてカーリングのエキジビションが開催されるという話が持ち上がり、香澄は舞を連れ戻してチームを再生させようとした

だが、舞は馴れ合いチームには嫌気を指していて、オリンピックに出るために強いチームで戦いたいと拒んだ

失意に暮れる香澄だったが、カーリングクラブの前にいた転校生の実乃梨を捕まえて、強引にチームに入れてしまう

 

実乃梨はカーリング初心者で基礎も全くできていない

シニアチームと試合をしてもボロ負けで、そこで香澄はかつて日本代表寸前まで行った鈴木あゆみにコーチになってくれないかと頼み込む

あゆみはチーム練習に訪れ、素人同然の実乃梨をサードに入れるように提案する

だが、元々サードは沙帆のポジションで、その配置に納得のいかない優芽はチームを降りると言い出してしまうのである

 

テーマ:勝つため必要なこと

裏テーマ:楽しむことの意味

 


■ひとこと感想

 

カーリングを題材にしたスポーツ映画で、カーリングの最も古い競技場があるというふれ込みになっていました

いわゆるご当地復興もののひとつではありますが、カーリングを題材にするには歴史もあってちょうど良いのかなと思いました

 

映画では、小学生の時のチームメイトが再会してチームを再建するという物語ですが、案の定、チームが解散になった理由が足枷になっていました

チームの仲を大事にしたい香澄と、何がなんでも勝ちたい舞の間に軋轢があるというもので、チーム競技のスタイルとしてどちらかが良いのか、という感じになっています

 

とは言え、物語の展開は非常に読みやすく、そこまで話はうまくないよねという感じになっていましたね

この地には龍神が眠る池があるそうで、それをカーリングの神様と掛け合わせることで物語にメリハリをつけていました

 

それでもねえ、EDのアレはさすがに無茶だろうとしか思えません

てっきり主要メンバーに出演しているのかと思ったのですが、どうやら観客席のモブ3人だったようで、学校で仲良くしているシーンもないので、あの熱狂的な人は誰だろうという感じになっていましたね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

スポーツ系青春映画としては及第点の内容ですが、エンドロールのアレでかなり減点されてしまっている内容だと思います

舞が改心してチームに戻るという展開は読めましたが、一人余ったらどうするんだろうと心配になってしまいましたね

転校生の実乃梨は実力的には戦力で必要なので、優芽と沙帆が割りを食うんだろうかとか、余計なことを考えてしまいます

優芽を外したら辞めそうだし、沙帆が引くのも可哀想に思いますが、このあたりはカーリングに詳しい人なら大丈夫なんだよ、と言ってくれるのかもしれません(チーム構成は4人+補欠1名だそうです)

 

映画は勝つために必要なことに対する哲学のぶつかり合いなのですが、本来は切磋琢磨しながらチームメイトをリスペクトし合うのが理想だと思います

競い合う環境がないと上達しないのですが、映画では「何が上達すれば良いのか」がいまいち伝わりきれていません

投げるコントロールの良さはもちろんですが、指示を出す人の的確さなども重要視されると思います

練習風景で走り込みや体幹を鍛える風景などがありましたが、劇中で挿入されるプロのフォームと比べると雲泥の差であることはわかります

 

映画は、弱小チームがエリートチームと互角に戦うというものですが、実力差がはっきりしない(相手の強さがわからない)のと、2チームで代表を争うというスケールの小ささが気になりました

てっきり長野代表くらいのノリなのかと思いましたが、御代田町も隣の軽井沢町も北佐久郡の中にあるので、郡の選抜か何かだったのでしょうか

カーリングのオリンピック代表がどのように決まっていくのかはわからなかったのですが、その辺りの五輪までの道みたいなものを簡潔に説明してもらえたら、彼女たちは今どのあたりにいるんだろうということがわかったように思いました

 


日本のカーリング事情

 

元々、カーリングは15世紀の北欧あたりで始まったとされていて、1511年と刻まれたストーンが発見されたりしています

子どもたちが凍りついた池で石を滑らせて遊んでいたものがスポーツへと発展していったのですね

現在では、67の国と地域が世界カーリング連盟(WCF)に加盟しており、日本でカーリングが始まったのは、1936年頃と言われています

ドイツの冬季オリンピックにてストーンを持ち帰った選手がいて、長野県の諏訪湖でデモンストレーションをしたのが最初でした

でも、1970年まで競技として成り立たず、ようやく北海道・常呂町に日本初のカーリング専用施設が誕生し、競技として始まりを迎えることになりました

 

その後の歴史としては、1988年に常呂町にカーリングホールが建設され、1998年の長野オリンピックにてカーリングが正式種目となります

成績としては、2006年のトリノオリンピックにて女子代表「チーム青森」が7位に入賞し、2016年の世界選手権でも銀メダルを獲得することになります

そして、2018年の平昌オリンピックにて、女子代表「LS北見」がオリンピック初の銅メダルを獲得し、2022年の北京オリンピックにて、初の銀メダルに輝くことになりました

 

日本カーリング協会の統計によると、2020年度における登録競技者は2306人で、そのほとんどが北海道に集中しているとされています

内訳は男性1709名、女性587名

ちなみに、映画に登場するカーリングホールみよたは、1995年に誕生した「本州初のカーリング専門施設」として、現在も稼働している由緒あるホールとなっています

 


勝手にスクリプトドクター

 

本作は、本州初のカーリングホールの地・御代田町にて、国際大会のエキシビジョンマッチ出場を目指す女子高生チームを描いていました

この目標が一般人にわかりにくいところがあって、その先に何があるのか?と思ってしまいました

カーリングに詳しい人ならわかる頂上も、競技に精通していない人にはわかりにくい部分がありました

特に、オリンピックや世界選手権でもないところがネックなのですが、その出場を掛ける試合となると、素人同然のチームの勝利はファンタジーっぽくなってしまいます

 

小学校の時に強かったチームが紆余曲折を経て高校で再結成されるのですが、その仲間が「勝つために別のチームに移籍」していました

そのライバル対決がメインとなりますが、大会自体が地味で立ち位置がわからず、敵チームの強さというものもわかりにくかったと思います

ライバルもチーム内で孤立しているキャラの割にはそこまで強さを感じさせないので、せめて「連戦連勝している」みたいな「強さ」を誇示して、チーム全員が嫌なヤツぐらいのインパクトがあった方が良かったと思います

こんなチームに勝てるんだろうかと思わせることが大事で、チーム内ですでに内紛が起こっていて、それが原因で負けるんだろうなあと思わせてしまうところがナンセンスのように思います

 

映画では、とにかく仲の良いチームと仲の悪いチームの戦いに見えて、強さの違いがわかりませんでした

とは言え、カーリングの強さをビジュアルで証明するのはとても難しくて、やるとするならばショットが正確すぎて機械のようで、主人公チームがミスをしまくるみたいな感じになります

それでも、主人公側がミスしまくると「弱いというより下手」となるので、そのあたりのバランスも難しいと思いました

みよたには新加入するチームメイトがいて、この女子がスポーツ女子だったこともあって抜擢されるのですが、そのポジションの需要性というのもピンと来ないところがありましたね

この手のマイナー(失礼!)系の競技のネック部分になるのですが、それをライバルチームの快進撃で説明する、というのが一石二鳥だったのかな、と思いました

 

映画では、勝ったことによる爽快感をもたらすのか、負けても善戦したことで知名度を上げるのかというところがありますが、漫画的なスーパーショットを決めるみたいな展開にならないと厳しいと思いました

一応はカーリングの神様なるものが登場して、それがスーパーショットを生み出すのですが、このエピソードを描くのなら、過去譚などでみよたの伝説の選手が試合でスーパーショットを決めるシーンなどを描いた方が良いと思います

あの時の感動を再び!という感じに話を盛ることになりますが、やりすぎるとフィクション感が強すぎてしまうのですね

なので、これまでのカーリングの歴史の中において、どのプレイヤーのどのショットを「カーリングの神様が投げさせたのか」という、知っている人の中にある伝説を引っ張り出してくる方が良かったのかもしれません(難易度高そうですが)

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、地域振興と競技の知名度を上げるために制作されたと思いますが、エンディングによって作品の質がかなり下がってしまったように思いました

劇中でも登場するキャラを演じているグループのプロモーションビデオが流れるのですが、思わず「主人公チームの誰が歌っているんだろうか」と探してしまいました

誰一人それっぽい人もおらず、まさかの観客席に登場した応援のモブキャラとは思わず、それは無茶ではないかと感じました

ファンの人には申し訳ないですが、あのシーンの登場とエンディングのMVにお金を払う人もほとんどいないと思います

 

映画には観客を呼び込むための仕掛けは必要だと思いますが、今回はアイドルのファンで底上げしようという考えがあったのだと思います

その方向で行くならば、主人公チームは全員アイドルグループから選出するぐらいのことをしないとダメでしょう

でも、カーリングの素人からまともに見えるための練習とか、演技指導を行う時間もなく、それにトライしようという気概もありませんでした

なので、その方面で頑張らないのなら、MVは流さないほうが良かったと思います

 

映画が口コミで広がるには様々な要素があると思いますが、本作を鑑賞し終えた後に「観た人が何を発信するか」というところまで考えていないと思うのですね

アイドルのファンの人が発信するにしても「演技はほとんどしないし出てこない」ので、MV観るくらいならコンサートに行くと思います

映画ファンとしても、好意的な感想もMVで帳消しになっていて、その話題だけが先行してしまうのですね

なので、どっちにも悪いことしか起こりようがないので、プロデューサーは想像力がないのかと思ってしまいます

 

もし、アイドルを起用してEDを歌わせるとするならば、映画と完全に切り離すか、クラスメイト役で登場させるのなら、学生生活パートをもっと描く必要があります

主人公たちが学生だとしても勉強しているシーンはないし、クラブ活動でもないので、スクールライフ感が微塵にも感じられません

なので、その様子を取り込むのならば、学校でカーリングをいじられるとか、熱意がクラスに伝わって応援しにくる、ぐらいの展開が必要になります

 

いっそのこと、女子校にしてグループ全員をクラスメイトとして登場させても良かったと思うのですね

大した会話はないけど、学習シーン、放課後シーン、大会に出ると宣言する(あるいはバレる)シーンなどを撮っておいて、それから応援に駆けつけるというのでも良いと思います

それでも、MVはダメだと思うので、そこは歌だけにして、オフショットとして「NGシーンなどに巧妙に混ぜて出番を増やせば良かった」のではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100894/review/04461947/

 

公式HP:

https://curlingnokamisama.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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