■セカイを滅ぼす悪魔たちの正体は誰だろうか?


■オススメ度

 

浅野いにおの漫画が好きな人(★★★★)

キャストのファンの人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.3.26(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、120分、G

ジャンル:突如上空に現れた謎の物体に翻弄される人類を描いたSF青春映画

 

監督:黒川智之

脚本:吉田玲子

原作:浅野いにお 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(小学館)』

Amazon Link(原作漫画:検索ページ)→ https://amzn.to/496J7dy

 

キャスト:

幾田りら(小山門出:イソベやんを溺愛する女子高生)

あの(中川凰蘭/おんたん:門出の親友、戦争ゲームオタク)

 

種崎敦美(栗原キホ:小比類巻を想う門出の友人)

島袋美由利(出元亜衣:癒し系の門出の友人)

大木咲絵子(平間凛:亜衣の幼馴染、BL好き女子)

 

和氣あず未(竹本ふたば:門出の友人、侵略者保護団体、福井県出身の駿米大学の学生)

白石涼子(田井沼マコト:ふたばの中学の同級生、福井県出身の駿米大学の学生)

 

入野自由(大葉圭太:8.31で行方不明になったアイドル「LOVE♡無限大」似の少年)

内山昂輝(小比類巻健一:サブカル好きの青年)

坂泰斗(渡良瀬:門出の担任教師)

 

諏訪部順一(中川ひろし:凰蘭の兄)

伊原正明(中川大五郎:ひろしの兄、おんたんの居候先)

 

津田健次郎(小山ノブオ:門出の父、8.31で行方不明)

柚木涼香(小山真奈美:完全防御の門出の母)

佐藤せつじ(高畠:真奈美の新しい恋人)

 

松田健一郎(宝田:S.E.S社の技術者)

大西沙織(須丸光:S.E.S社の広報)

河西健吾(三浦太郎:S.E.S社に取材するジャーナリスト)

 

若林佑(神鳴:防衛大臣)

こはけまさふみ(荻野克彰:総理大臣)

 

杉田智和(イソベやん:遠い未来からやってきたきのこ人)

TARAKO(デベ子:イソベやんの内緒道具に頼る怠け者)

斉藤こず恵(メスゴリラ:デベ子をいじめる女)

引坂理鈴(ヒネ美:メスゴリラの仲間)

 


■映画の舞台

 

日本:東京&千葉&福井

 


■簡単なあらすじ

 

突如、関東南の沖合に現れた謎の物体によって、首都圏は未曾有の混乱に見舞われてしまう

米軍主導のもと、新型兵器「A」を投入するも、その影響によって、首都圏の一部は避難命令が出る事態に発展してしまう

 

それから3年後、高校に通う門出とおんたんは、変化のない日常を過ごし、それぞれの将来に不安を感じ始めていた

政府は米軍と協調体制を敷いているものの、母艦から切り離された小型船の撃墜に成功しても、その成果は全て米軍に奪われてしまう

独自の対抗兵力を開発し対抗するものの、以前として母艦の正体は分からなかった

 

門出は担任の渡良瀬に恋をしているが、おんたんはリアルを真っ向から揶揄する性格で、仲良しの涼、亜衣、キホたちと何気ない日常を過ごしていた

話題の中心はキホの恋愛で、彼女はリア充になるべく、クラスメイトの小比類巻に告白をしようと考えていた

そんな折、S.E.S社が開発した「歩仁」によって小型船を撃ち落とすことに成功し、その様子がSNSにアップされてしまう

巷ではそれに宇宙人が乗っていると噂され、様々な憶測が飛び交っていくのである

 

テーマ:青春の礎

裏テーマ:震災が遺したもの

 


■ひとこと感想

 

原作は未読で、窓口で名前を言えるかどうか選手権の表題のようなタイトルですが、リズミカルな言葉なので、意外とスッと読めたりします

映画は、あのちゃんと幾田りらが声優を務めているということで話題になっていましたが、観た感じそこまで変とは思いませんでしたね

あのちゃんはあのちゃんにしか聞こえませんでしたが

 

物語は、思いっきり「3.11」と「ドラえもん」のオマージュのようになっていて、言葉遊びの非常に多い作品になっていました

言い回しが独特なものが多く、ああアニメを見ているなあという感じがしましたね

実写でそのままやるとイタいキャラしかいないという微妙な展開になってしまうような気がしました

 

宇宙船らしきものが地球を観察していて、その理由や目的がわからないために人類が過剰反応している様子を描いています

勝手に敵だと認識して攻撃する政府と、それらの裏側にある陰謀論をそのまま信じる若者たち

現代の病みっぽいところがズバッと描かれていて、攻めているなあと思ってしまいました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

どこからがネタバレになるのかはわかりませんが、前章としては「門出の過去」が暴露される部分になると思います

おんたんが宇宙人と接触したことで判明する過去で、門出の黒歴史が延々と描かれていくパートはなかなかキツいものがありました

 

前章なので、どこで終わるのかと思っていましたが、結構ヘビーなところで終わりましたねえ

4月に公開予定が延期になってしまったのが残念ですが、どうやら原作とは違うエンディングを原作者が書き下ろしているという話も聞きます

後章公開直前くらいにタイミングが合えばおさらい鑑賞しても良いのかな、と思いました

 

映画を単体で評価するのは難しいですが、謎の宇宙船との絡みをきちんと描いているので、まとまったシナリオになっています

若干百合っぽさを感じる場面もありますが、女性同士のスキンシップってのは男性の距離感とは違うので感覚的にそう思えるのかもしれません

それにしても陰謀論にハマった彼の「みんながそう言ってる」「偉い人がそう言っている」には痺れましたねえ

 


社会の闇は誰が作り出しているのか

 

社会にはたくさんの闇が存在しますが、日が当たらないから闇になっている部分と、あえてその陰に入ろうとする闇というものがあると思います

デデデデのタイトルには「デストラクション」という言葉があり、これは「破壊」などの意味があります

なので、「デッド(死)デッド(死)デーモンズ(悪魔たち)デデデデ(?)デストラクション(破壊)」ということになり、「死神たちによって世界は破壊される」という意味になると思います

この「死神たち」というのが誰を指すのかですが、門出は幼少期に「デーモン」と呼ばれていました

でも、門出からすれば、自分をデーモンと名付けた相手こそデーモンであると考えているのだと思います

 

門出にデーモンと名付けた存在は、社会のどこにでも存在していて、それは「母艦」を攻撃することになった社会を作り上げているそのもののように思えます

一般人からすれば母艦への攻撃理由などは意味がわからないまま進んでいて、ある種の過剰防衛のように見えてきます

これは、ある対象の得体の知れなさに対する反応で、それは門出にあだ名をつけて攻撃するクラスメイトと同じくらいの精神性のように思えてきます

この攻撃というものは、やがて自分に刺さる槍に変わってしまいます

その応酬は社会の闇を生み出して、そこに逃げ隠れする属性というものを生み出すのでしょう

 

攻撃性が作る闇は、その行動に正当性を作る一方で、間違っていることを自覚するという特性があります

その自覚を無自覚に追いやることができるのが人間というもので、そう言った世界から乖離したがるのも人間なのかな、と感じています

映画では、何気ない日常を生きている女子高生たちが描かれますが、その背景ではそのような世界が広がって行って、無自覚なまま侵食されていく様子を描いているように見えます

でも、少年の登場によって、その世界を作り出したのは「無自覚に生きているあなたたちですよ」と警告を受けることになったのかな、と感じました

 


原作未読で結末を予想

 

原作はAmazon Primeにて、4巻まで期間限定で無料で読めました(執筆時点、いつまでかは不明)

映画とどれぐらい違うのかを確認する意味で読みましたが、ほとんどそのままだったという印象があります

5巻からは購入必須ですが、ネタバレサイトなどが無限にあるので、その先の展開を知ろうと思えば知ることができるでしょう

でも、それでも原作未読のサプライズ感がなくなってしまうので、それ以上は読み進めていません

 

というスタンスで「後半がどうなるのか」を無理やり予想するというコーナーなので、既出のコミックと見比べてツッコミをするのはお控えいただきたい

あくまでも「前章」にて提示された情報のみで、後半とラストがどうなるのかを予測するだけなので、ネタだと思って読んでいただければ良いかと思います

 

映画では、主人公グループは5人で、その中でキホというリア充側に行った人間が死んでしまうという流れがありました

その他のキャラは全て、「おんたん(戦争ゲームの世界)」「門出(渡良瀬=妄想の世界)」「涼(B L=妄想の世界)」「亜衣(実家とは違う場所で過ごす)」という感じになっていて、それぞれが自分が生きている実社会とは違うところに精神を置いているキャラだったと思います

その中で、実社会に出ていったキホは、実社会から自分を切り離そうとする小比類巻との間で破局し、理不尽な出来事で命を落とすことになりました

彼女の死は、他のキャラにこの世界が現実であることを伝え、3年経って日常化した異常というものを再確認させています

 

その後、福井県から二人のキャラが登場し、彼らは「滅びゆくと噂される東京」の真実を追求したいふたばと、東京なら自分でいられるマコトというキャラとなっています

今後は、この二人が門出かおんたんと接触していき、新しいスクールライフ(大学編)というものが描かれていくのでしょう

大学になると、門出は渡良瀬との間の禁忌がなくなるのですが、その関係が進展することはないと思います

それは、渡良瀬が門出を女性として見ていないというところがあって、彼の視線はあまり彼女を直視しないからなのですね

わざと視線をズラしているように思えますが、彼の部屋には元カノの私物がそのまま残っているので、元カノへの未練というものが残っていることを意味します

 

その他のキャラクターとして、小比類巻はますます陰謀論にハマっていき、侵略者を排除する自警団のようなものに入って傾倒し、戦いの中で死んでしまう感じがします

おんたんの前に現れた侵略者となった大葉は、実は門出がすでに侵略者であることを知らせにきていて、おんたんは門出の秘密を知っている人物であることが仄めかされるでしょう

あの母艦が現れたのは3年前ではなく、実は10年前の出来事で、それを生み出したのが門出であるように思います

なので、おそらくは「全て門出の脳内で起きていること」というオチなのかな、と感じました

 

門出の中で起きた「子ども時代のいじめ」であるとか、自分自身の存在意義への渇望などが行動となるものの、結果は最悪なものになってしまい、それによって自我を失って、闇に隠れたいと思うようになる

そうした精神が母艦を生み出して、自分自身を攻撃させていく

前章のラストは強力になった兵器が偵察機を打ち落とし、それによって多くの侵略者が地上に落ちてくるのですが、あのひとつひとつは門出のカケラのようなものなのかも知れません

自我が崩壊した瞬間の感情ということを考えると、あの瞬間に「門出は渡良瀬にフラれた」のかな、と思いました

 

かなり適当な予想なので合っている可能性は微塵もありませんが、原作とは違うエンドらしいので、どっちかに近かったらOKなのかも知れません

とは言え、合ってる合ってないはどうでもよくて、こう言った想像をしながら後章を待つ方が面白いんじゃないかという問いかけのようなものだと思ってください

それにしても、2ヶ月は長いですねえ

間違って原作をポチッとしそうなので、終わるまで指先に絆創膏でも貼っておこうかと思います

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

アニメは普段あまり観ない方で、それは大抵のアニメ映画がテレビの続編であることが多いからなのですね

唯一続きもので映画館で観たのは『鬼滅の刃』なのですが、テレビシリーズの続きということで、予習していないと爆死確定ですやんという内容になっていました

魅力的な作品がたくさんあることは知っているのですが、多くの時間を映画鑑賞とブログ執筆に費やしているので、今更テレビシリーズを見返す暇がない、というのが大まかな理由になっています

 

本作は前作つきの映画で、テレビシリーズの続きではないので鑑賞するに至りましたが、ある程度の長編を前後編でまとめるというのは結構無茶な感じがしました

無料で読めた4巻と門出の幼少期(多分後半のどこかの巻で登場?)で前章のボリュームなので、あと7巻分ぐらいを後章でまとめることになります

多くのエピソードが削られると思うのですが、それを思わせない構成には仕上げてくると思われます

 

本作は、思いっきり「3.11」を彷彿させる内容で、A線による隔離地域も原発の放射能汚染地域であることがわかります

東京は壊滅してしまうんじゃないかと思うのが関西人(福井だけど)で、遠くから見る震災のイメージに近いものがあります

でも、行ってみたら、普通に人が暮らしているし、数年も経つを何もなかったように思えてくるけど、視界には常に母艦があったりします

 

「3.11」を絡めていき、その得体の知れない何かに対して攻撃的である人類というのは、わからないものに過剰反応していたあの頃を思い出させます

コロナ禍でも同じようなことが起きて、日本人の特徴として、「大丈夫だとわかったのに尾を引きまくる」というものがあります

いつまでコロナ禍やってんの?という感じになっていて、ある程度情勢が落ち着いても、その世界を続けることで得をする団体というものが現れて、それを無理やり維持しようとするのですね

現状維持が利益になるという人の声が大きいと、社会はその方向に動いてしまうというわかりやすい例のように思えます

 

本作は、最終的に母艦を撃ち落とすか、母艦が何事もなかったかのように去っていくのだと思いますが、おそらくは「攻撃されて侵略者が地上にばら撒かれること」が母艦の狙いなのだと思います

侵略者は人間に同化して生きていく存在で、侵略者が同化しやすい人間が多く生まれる状況を作り出していくことを目的にしてるようにも思えます

同化しやすい人間がどのようなものかは明かされませんが、不慮の事故で命を落とした人というイメージがあるので、キホもいずれは侵略者として登場するのでしょう

そして、実はおんたんも侵略者で、彼女も門出の過去のどこかで命を落とすことになったのかな、と感じました

実際にどのような物語になるかわかりませんが、その時をじっと待って、できれば直前に予習して臨みたいと思います

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100133/review/03654879/

 

公式HP:

https://dededede.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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