■分断の先にある再集結と、新たなる伝説への布石


■オススメ度

 

シリーズのファンの人(★★★★)

クルマ好きの人(えらいことになるけど)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.5.20(MOVIX京都 ドルビーシネマ


■映画情報

 

原題:Fast X

情報:2023年、アメリカ、141分、G

ジャンル:かつての倒した敵の息子に付け狙われるファミリーを描いたカーアクション映画

 

監督:ルイ・レテリエ

脚本:ジャスティン・リン&ダン・マゾー

 

キャスト:

ヴィン・ディーゼル/Vin Diesel(ドミニク・トレット:元犯罪者のストリートレーサー、ファミリーを束ねるリーダー的存在)

ミシェル・ロドリゲス/Michelle Rodriguez(レティ・オルティス:ドミニクの妻、幼馴染、リトルBの養母)

 

レオ・アベロ・ペリー/Leo Abelo Perry(リトルB/ブライアン・マルコス:ドミニクとエレナの息子)

ジョン・シナ/John Cena(ジェイコブ・トレット:ドミニクの弟)

ジョーダナ・ブリュースター/Jordana Brewster(ミア・トレット:ドミニクの妹、ブライアンの妻)

リタ・モレノ/Rita Moreno(アブエリタ・トレット:ドミニク、ジェイコブ、ミアの祖母)

ポール・ウォーカー/Paul Walker(ブライアン・オコナー:ドミニクの親友、アーカイブ)

 

タイリース・ギブソン/Tyrese Gibson(ローマン・ピアース:ブライアンの親友、お調子者のストリートレーサー)

リュダクリス/Ludacris(テズ・パーカー:ブライアンとローマンの仲間、チームのメカニック)

ナタリー・エマニュエル/Nathalie Emmanuel(ラムジー:若き凄腕ハッカー)

サン・カン/Sung Kang(ハン・ルー:デッカードと因縁を持つファミリーのメンバー)

 

ジェイソン・ステイタム/Jason Statham(デッカード・ショウ:元MI6メージェントからファミリーに入った男)

ヘレン・ミレン/Helen Mirren(クィーニー/マグダレーン・ショウ:デッカード、オーウェン、ハッティの母)

 

ジェイソン・モモア/Jason Momoa(ダンテ・レイエス:麻薬王エルナン・レイエスの息子)

Joaquim de Almeida(エルナン・レイエス:ダンテの父、アーカイブ)

Michael Irby(ジジ:エルナンの部下、アーカイブ)

 

ダニエラ・メルシオール/Daniela Melchior(イザベル・レベス:ブラジルのストリートレーサー、エレナの妹)

エルサ・パタキー/ElsaPataky(エレナ・レベス:リトルBの母、ドミニクの亡き妻、アーカイブ)

ルイス・ダ・シルヴァ・Jr/Luis Da Silva Jr.(ディオゴ:ブラジルのストリートレーサー、ドミニクの仲間)

 

ブリー・ラーソン/Brie Larson(テス:ミスター・ノーバディの娘)

アラン・リッチソン/Alan Ritchson(エイムス:ミスター・ノーバディの部下、エージェント)

スコット・イーストウッド/Scott Eastwood(リトル・ノーバディ/エリック・リズナー:ミスター・ノーバディの部下)

 

シャーリーズ・セロン/Charlize Theron(サイファー:ドミニクと対峙する凄腕のハッカー)

 

マイケル・ルーカー/Michael Rooker(バディ:ドミニクの亡き父ジャックのピットクルー&メカニック、アーカイブ)

 

ルドミラ/Ludmilla(リオのレーススターター)

ピーター・デヴィッドソン/Pete Davidson(ボウイ:ラムジーの知り合いの何でも屋)

メドウ・ウォーカー/Meadow Walker(客室乗務員)

 

ドウェイン・ジョンソン/Dwayne Johnson (ルーク・ホブス:アメリカ外交保安部(DSS)の捜査官)

ガル・ガドット/Gal Gadot(ジゼル・ヤシャール:ハンの元部下のファミリー)

 

Jaz Huchins(エージェンシーの技術者)

Alexander Capon(サイファーの部下)

Luka Hays(サイファーの部下)

Shadrach Agozino(テスが暴れるバーのバーテンダー)

Miraj Grbic(テスにのされるロシアの悪い奴)

Debby Ryan(本人役、空港の利用客)

Josh Dun(本人役、空港の利用客)

 


■映画の舞台

 

ブラジル:リオデジャネイロ

イタリア:ローマ

イタリア:ナポリ

ポルトガル

 

ロケ地:

ポルトガル:

A24 Highway AKA Autoestrada Do Inter Morte

 

Vila Real/ビラ・レアル

https://maps.app.goo.gl/EPW7sG5JoakQw1YSA?g_st=ic

 

Viseu/ビゼウ

https://maps.app.goo.gl/n5TvHnX31zpeg7ca9?g_st=ic

 

Lisboa/リスボン

https://maps.app.goo.gl/qZ5eN1Jb7yoopYQu5?g_st=ic

 

イタリア:

Turin/トリノ

https://maps.app.goo.gl/fwMf5DicB1d3TzM68?g_st=ic

 

Rome/ローマ

 

イギリス:ロンドン

 


■簡単なあらすじ

 

かつて麻薬王エルナン・レイエスから金を強奪して葬り去ったドミニクたちのファミリーは、実家で和気藹々と過ごし、次なるミッションに備えていた

次のミッションのリーダーはお調子者のローマンが担うことになり、ハン、テズ。ラムジーが同行することになった

 

彼らが出発してから数日後、ドミニクの家にかつての敵サイファーが満身創痍で現れた

サイファーは危機が迫っていると告げ、ドミニクたちを狙っているのは、エルナンの息子ダンテだと教える

サイファーの部隊はダンテによって掌握され、彼は復讐を企てているという

 

ローマン一行はそんなことも梅雨知らず、マイクロチップを積載した装甲車に狙いを定めていた

うまく装甲車に乗り込んだラムジーとテズだったが、装甲車は何者かにジャックされていてコントロールができない

さらに、装甲車にはマイクロチップではなく、巨大な中性子爆弾が積載されていた

 

なんとかローマンたちに追いついたドミニクとレティは、彼らの装甲車を制止させようとするものの、バランスを崩して転倒した装甲車から中性子爆弾が街中に転げ落ちてしまう

車を薙ぎ倒して街を疾走する球体はテベル川の向こうにある教皇庁を目指して転がっていく

そこで、ドミニクは車でクレーン車に体当たりをして、クレーンで爆弾を川に落とそうと考える

カウントダウンが迫る中、ドミニクは橋から飛び出して、クレーンへと向かっていった

 

テーマ:ファミリーと覚悟

裏テーマ:復讐の果てにある執念

 


■ひとこと感想

 

シリーズをほぼ映画館で観ていたので迷うことなく観戦

スケジュールの都合で公開初日は無理だったけど、2日目にドルビーのスケジュールとマッチできたのは幸運でした

爆音とカーチェイスが売りの映画なので、最前列リクライニングを確保しましたが、やはり重低音を全身で浴びるのは気持ち良いですね

 

物語はまあ、突っ込んだら負けという流れになっていて、ナポリで死者ゼロという時点で、この映画で死ぬ奴がいるのか?という感じに仕上がっています

予告編で大体のシーンが登場しているのが勿体ないですが、チラ見せだけでは満足できないところを補っているように思えます

 

今回は「ファミリーを分断させる」という目的があって、それを無理やりシナリオに捩じ込んでいましたね

ナポリで逸れたあとは、シーンの切り替わりが多すぎるし、過去のメンバーを仲間に加えていくための寄り道などが多かったように思います

 

映画は「ガッツリと後半に続く」という終わり方をするのですが、次作が2025年というのは計画性が無さすぎるように思えます

次回作の前に1週間ほどリバイバル上映をしないと中身を忘れてしまうのではないでしょうか

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

なんでもかんでも仲間になってしまう系の物語で、今回はサイファーを無理やりに取り込んでいましたね

VSレティとのキャットファイトのシーンが必要なのかわかりませんが、脱出のための体力をそこで削りあってどうするんだ?というのはありました

 

アーカイブや回想、フォロギャラリーなどで過去作のキャラがたくさん登場し、ポール・ウォーカーの娘さんが登場するというサプライズもありますね

作品の中では死んでいないブライアンなのですが、どうにかして再登場させるのかは分かりません

2025年にもなるとCGも進化していくでしょうし、『スターウォーズ』のレイア姫ぐらいのヤバいインパクトが起こるのかもしれません

 

映画は『Fast X』が何部作になるかわからない感じで、とりあえず『Fast X-2』というのは確定のようですね

シリーズを終わらせるのか、スピンオフを作るのか、あるいはリトルBで新たな物語を作るのかはわかりませんが、この連作でドミニクが退場する(死ぬかはわからんけど)のは確定しているようなフラグが立ちまくっていましたね

 

でも、ハンと言い、ジゼルと言い、なんでもありのシリーズなので、最後は全員集結させて、ド派手にカマシてくれたら、それでOKかなと思います

 


後半に向けて布石を打つ

 

本作は、思いっきり続編ありきの終わり方をしていて、ファミリーをいかにして集結させるかに全力を注いでいましたね

物語の始まりはファミリーが中心となっていますが、これまでのシリーズのキャラを集結させるために、あえて「ばらばらにしてしまう」というストーリーテリングをしていました

 

ローマンをリーダーとした「嘘ミッション」にてドミニクの攻撃力を封じ、リトルBを守るためにミアとジェイコブに別行動をさせていきます

そして、ローマに到着したドミニクとレティをミッションの途中で分断させることによって、ドミニクを孤立させることになりました

ドミニクを孤立させることが目的のシナリオで、それがダンテの目的のように描かれていましたね

彼は「ファミリーの結束を物理的に取り除くこと」で自身の勝率を高められていると考えていて、裏を返せば「ファミリーの結束力」というものに恐怖を描いていたことになります

 

ダンテはドミニクからファミリーを奪うという苦痛を与えることを目的としていて、その準備段階をしていることになります

彼にとっては「完全なるファミリーの集結」こそが倒すべき価値があるものなので、そのために布石を敷きまくっている印象がありますね

ある意味、制作サイドの意図を損なわないようなキャラとしてダンテが描かれていて、思った以上に無理のないストーリー展開になっています

それでも、死んだキャラが生き返りまくるので、死に対する緊張感はほとんど感じられなくて、「多分、生き延びて極秘任務しているで」と思わせる展開になっていました

 


家族愛の先に描かれる物語とは

 

次かその次で終わってしまう「ワイスピ」なのですが、個人的な肌感覚だと、リトルBへの継承によって新シリーズが始まるような予感がしています

これまでのシリーズでは「戦ってきた相手がみんな仲間になる」というものでしたが、新しいシリーズで同じことをやっても意味がないので、リアルにリトルBが大人になっていく中で「ファミリー」の大切さを覚えていく物語になると推測できます

 

リトルBが大人になる中で、人生にとって大事なことを「ファミリー」から学び、そして「自らのファミリーを得ていく」のですが、同じようなテイストのファミリーを作るのかはわかりません

彼が「血縁以外もファミリー」と認識するためには教育が必要なのですが、このファミリーで普通の教育を受けることができるのかは未知数だったりします

おそらくは親の背中を見て育つ系なので、普通の生活をしていくとは思えないですね

 

本作は、ポール・ウォーカーが亡くなった際に終わった映画とも言われていて、方向を転換させてよくここまで続けることができたなあと思わざるを得ません

とりあえず「ファミリーと車さえあればOK」という風潮で、その方面に突っ切っているのは悪くないと思います

最後の最後で「難敵が現れる」ことになったのですが、ドミニク最大の敵のポジションのまま終わるのか、リトルBとの因縁が生まれるのかはわかりません

でも、ドミニクには「死亡フラグ」が立ちまくっているので、主演の降板も含んで、彼が退場することで新シリーズに向かうのかなと思いました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

「ワイスピ」シリーズの特徴は「改造車」と「パリピ好みの音楽」というイメージがあって、パーティーシーンで流れるような単調な歌詞と太いリズムがよく使われている印象があります

ノリ自体は好きですが、参加するのは躊躇われる感じになっていて、別世界感というのは常に付き纏っています

物語もアウトローのそれで、ほとんどの行動が犯罪という、実際には起こりえない展開がぶっ飛んでいますね

ゴッドアイの奪い合いとか、預金口座が消えてなくなるとか、送金先を突き止めるハッキングなど、どの要素も「ワルっぽさ」が付随しています

 

日本でこの手の映画を作るとなぜかおかしなことになってしまうのですが、その理由は音楽性の違いなのかなと思っています

邦楽と洋楽の違いは色々とありますが、リズム主体でガンガン鳴って、単純なコード進行でトランスを生み出し、ストレートな歌詞で叫ぶという印象がありますね

日本語訳にすると「大したことは言ってねえ」という感じで、リズムに乗せる言葉のチョイスを重視しているようにすら思えてきます

 

邦楽だと物語を語りますが、洋楽だと主張の延長線みたいな感じでしょうか

今流行っている洋楽を真面目に日本語に直すと、その強すぎるメッセージ性に圧倒されてしまいますね

また、英語はシラブルによって構成されている言語なので、1音の意味合いが少しだけ違います

このシラブルの違いによって、言語のリズムそのものが変わってくるので、必然的に音楽のリズムも変わっているように思います

特に顕著なのがラップ音楽で、英語ラップと日本語ラップを譜面に書き起こすと、随分と違うことがわかると思います

 

映画は、この独特のリズムを重視しながら進んでいき、ファミリー最高!を繰り返していく中で終局へと向かいます

映画のタイトルは「Fast」で単純に「速い」という意味なのですが、「色褪せない」という意味もあるのですね

いわゆる「普遍的である」という意味も含まれていて、それゆえに「喪失」とは無縁の物語が展開されているように思えます

また、「友情などが変わらない」という意味の「不変性」というものもあって、それが試されるのがラストシーズンのテーマになっています

 

劇中でも「どっちを選ぶのか?」というテーマがあり、「ファミリーを天秤にかけた究極の選択」というものがありました

このダンテの手法を考えると、後半でも「選択」というものが描かれていくことになります

その究極の選択は「レティか、リトルBか」というものになり、そのどちらをも選ばない第3の選択肢として、ドミニクが犠牲になるというものかなと思います

答え合わせは2年後になりますが、その時をのんびり待ちたいと思います

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/387050/review/46848b54-69b9-4387-8925-9327e081bf17/

 

公式HP:

https://wildspeed-official.jp/

 

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投稿者 Hiroshi_Takata

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