■FPU 若き勇者たち
Contents
■オススメ度
中国ナンバー1映画がOKな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2025.1.14(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
原題:維和防暴隊(平和維持機動部隊)、英題:Formed Police Unit(武装した警察部隊)
情報:2024年、中国、101分、PG12
ジャンル:とある紛争地帯に派遣された中国平和維持警察隊を描いたアクション映画
監督:リー・タッチウ
脚本:ウー・モンチャン&ジャー・リアン
キャスト:
ホアン・ジンユー/黃景瑜(ユー・ウェイトン/余衛東:中国平和維持軍の第一隊のリーダー)
ワン・イーボー/王一博(ヤン・ジェン/楊震:中国平和維持軍の狙撃兵、寧広市の国境警備捜査官、1班に配属)
(幼少期:ワン・ホンリ/王泓力)
チュウ・ヤーウェン/朱亞文(ヤン・チェン/楊琛:楊震の父、ユー・ウェイトンの同僚刑事)
オウ・ハオ/歐豪(ジョウ・ジアシュエン/張永泉:機動隊員、小隊長、2班)
チョン・チューシー/鍾楚曦(ディン・フイ/丁慧:中国平和維持軍の連絡担当官、通訳、1班)
グー・ジアチェン/谷嘉誠(ジャン・シャオヤン/江小洋:機動隊員、1班支援隊員)
ツァオ・ファーウェイ/趙華為(シャンドウ/小社/杜一帆:機動隊員、2班車両係)
ナン・フーロン/南伏龍(チュン・シャオ/陳硯:機動隊員、2班砲手)
ユー・ペイビン/余沛彬(ワン・リンシェン/王林生:機動隊員、1班車両支援)
ナリス・バイ/白那日蘇(ツエン・ハオ/鄭昊:機動隊員、シャンドウの相棒)
イン・シャオテン/印小天(イェン・ジェンミン/厳正明:中国FPU政治委員)
シュエ・リウ/刘学(ファンリヤン/黄亮:隊員?)
リー・ミンチェン/李岷城(グオ・シーヤン/郭志陽:隊員?)
ウェイ・チョン/魏冲(ダイ・リージエ/載礼杰:隊員?)
【FPUの家族関連】
フォン・ウェンジュアン/馮文娟(アチン/阿琴:ユー・ウェイトンの妻)
リン・チェン/凌晨(シャオフー/小虎:ユー・ウェイトンの息子、幼稚園児)
ガオ・シュークアオ/高舒喬(ディン・フィの娘)
グオ・フイ/郭慧(ディン・フィの母)
ジャン・リンヤン/蒋林燕(シャンドウの姉)
リー・ジーリン/李梓琳(シャンドウの姪っ子)
ファン・アイリン/黄愛玲(シャンドウの母)
【反政府組織関連】
Dolca Kobondo Nyerrbo(アミール/Amir:反政府組織のリーダー)
Kevin Agossou(クアカ/Quoka:アミーゴの手下、立てこもりリーダー)
ショーン・ディオブ/Shaune Diop(ジョン/John:アミールの手下)
Yedigarov Hristofor(マーカス/Marcus:アミールの部下?)
ケヴィン・リー/Kevin Lee(ブレイク/Blake:アミールと通じる謎の男)
Evy Johannes AkoundouEpiet(スナイパー)
【サンタリオン共和国】
Luc Bendza(ルロワ・リロイ/Leroy:サンタリオン共和国の国会議員)
Alphonse Yanick Takujiou Tesjang(ファーゴ/Fargo:サンタリオンの警察官)
Sidanii Bell(パット/Pat:サンタリオンの警察官)
Jude Chukwudi Anyaegbu(ファーブル村の族長)
Favour Chukwudi Anyaegbu(ルカス/Lucas:広場で撃たれる少年)
Alazi Soumaila Rawdoth(ルカスとセリナの母)
演者不明(セリナ:ルカスの妹)
【国連関連】
ドミトリー・アントノフ/Dmitry Antonov(国連職員)
トーマス・フィケ/Thomas Fiquet(ファビオ・トーマス/Fabio Thomas:国連警察作戦部長)
【その他】
スチュアート・フォーブス/Stuart Forbes (イギリス人ジャーナリスト)
オードリー・オッタヴィアーノ/Audrey Ottaviano(ジャーナリスト)
アルテム・ペレヴィシュコ/Artem Perevyshko(ジャーナリスト)
ソン・イーハン/孫伊涵(シャオユー/小漁:中国人アンカー)
■映画の舞台
2018年2月
サンタリオン共和国(架空)
トゥラール(裁判所)
マナフ広場(難民地域)
アルカン(紛争地帯)
ファーブル(虐殺された村)
ロケ地:
中国:広西省
チワン自治区北海市
■簡単なあらすじ
2018年2月、反政府組織によって内乱が起こっているサンタリオン共和国では、国連軍が治安維持のために派遣されていた
だが、首謀者のアミールが逮捕されても内乱は続き、そこで中国政府にFPU(Formed Police Unit)の派遣が打診された
そして、ユー・ウェイトン隊長率いる小隊は海を渡り、作戦部長のファビオの指揮下のもとで任務に励むことになった
ユー隊長の部隊には、国境警備捜査官の経験を有する狙撃手のヤン・ジェン、小隊長のジョウ・ジアシュエン以下、10数名の隊員が配属された
彼らは難民が押し寄せているマナフ広場の治安維持のために突入するが、反政府組織のメンバーが彼らの前で少年ルカスを撃ち殺してしまう
さらに、その射撃はFPUのせいだと煽動する者もいて、現場は騒然となってしまう
ユー隊長は発砲を封じて防御に回るものの、狙撃犯を見つけたヤン・ジェンとジャン・シャオヤンは敵を追いかけて陣形を崩してしまった
やむを得ずに催涙弾を発砲して鎮圧に成功するものの、ヤンとジャンは狙撃犯を捉えることができず、命令違反として厳しい声が飛び交ってしまう
だが、中国の政治委員イェンはその場を取りまとめ、彼らは再び任務にあたることになったのである
テーマ:正義に国境はない
裏テーマ:正義を語る資格
■ひとこと感想
2000年代に入ってから行われてきた国連平和維持活動をベースにしたフィクションで、対象はアフリカのとある国(映画内ではサンタリオン共和国)となっていました
そこに派遣された小隊がメインで、隊長以下10名の構成となっていました
ユー隊長が1班、ジュウ小隊長が2班を取りしきることになり、ユー隊長のところに狙撃手のヤンとジャン、通訳のディン・フィ、運転手のワンがいました
2班には、砲手のチェン、運転手のシャンドウとシャンドウの相棒のツエン・ハオがいて、主要なメンバーはこんな感じだったと思います
ユー隊長とヤンの父は元同僚刑事で、その遺恨が残ったまま配属となっていますが、その歪みが戦いの中で解消されていくという流れを組みます
ヤンは外部から来た人間ですが、性格に難があるタイプなのに意外とすぐに打ち解けていましたね
映画内の時間の流れは分かりにくいのですが、数週間は滞在していたのかな、と思います
映画は、ファーブル村が反政府組織によって惨殺された後ということになっていて、その族長一家を助けるという流れになっていました
反政府組織のアミールは謎の白人とつるんでいるのですが、このブレイクという人物は最後まで何者がわかりませんでしたね
ブレイクとアミールの手下が暗躍して色々と事を起こしていますが、彼らが何をしたかったのかは良くわかりません
おそらくは現政権になりかわろうとしているのでしょうが、それはほぼ失敗に終わっていますね
裁判のための証人を保護する役割も担いますが、それで何が変わるのかはかなりわかりにくいものになっていると感じました
議員は1人登場しますが、現政権の大統領がどこにいるのかとか、かなりスルーされていたように思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作は突っ込んではいけないアクション映画ですが、とにかく派手な銃撃戦、爆破などが立て続けに起こるので見ていて飽きませんでしたね
とにかくドカン!ドカン!の連続で、さらに台風まで来て大変なことになるというキャラクターいじめの作品になっていました
敵の黒幕と思われるブレイクという人物が国に麻薬と銃を持ち込んで、それによってアミールが内乱を起こしたようですが、アミールが問われる罪はファーブル村の残虐行為みたいな感じになっていましたね
アミールがあの村の住人を皆殺しにした理由などは描かれず、あの地域への救援活動がないのも不思議な感じになっていました
難民地域よりも先に紛争地帯で生き残った人を保護しないとダメなんじゃないかと思ってしまいます
作戦部長とブレイクが裏で繋がっているとか、そう言ったものがありそうですが、最終的にはスルーされていましたね
この2人がよく似ているので、初めは同一人物かと思っていましたよ
ともかく何も考えずにドンパチしている映画なので、火薬大好きな人なら満足できると思います
■中国の平和維持活動について
中国は1989年に国連のPKOに初めて軍事要員を派遣し、その際はナミビア選手監視団の軍事監視員として参加しました
その後、1992年にカンボジアのPKOに参加し、2000年以降にもアフリカの紛争地域に大規模な派遣を行なっています
本作で描かれる「FPU(編成警察部隊)」もこの活動の一環とされています
中国におけるPKOの役割として、「軍部部隊に依る護衛、施設建設、医療支援、地雷撤去」「文民警察としての治安維持、現地警察の訓練及び支援」「編成警察部隊(FPU)としての暴動鎮圧、人質救出、要人警護」などがあります
中国からの派遣人数は常時世界トップで、2024年の時点で約2,500人が任務に就いています
派遣先もアフリカをはじめとして、中東、アジアなどに10ヶ国以上にわたります
さらに、非干渉主義を掲げ、政治的中立を強調し、現地政府との摩擦を避けるように努めています
最近では、習近平政権下で「人類運命共同体」の一環として、PKO活動を重視することを宣言しています
さらに、国連に1億ドル規模の平和基金を拠出し、PKOの訓練センター建設なども行なっていると言われています
ちなみに「人類運命共同体」とは、2013年3月に習近平がモスクワ国際関係大学にて演説に使用したのが最初で、その後、国連やG20などで繰り返し発言している内容となっています
その内容は「相互尊重(国の大小を問わない)」「協力に依る安全保障(軍事同盟よりも協調路線)」「共同発展(経済成長の成果の共有)」「文化や制度の多様性を尊重」「環境保護」などを打ち出しているとされています
これらは中国が進める「一帯一路政策」「国連PKOへの積極参加」「グローバル・ガバナンス改革」の延長線上にあります
とは言え、西側諸国からは「中国の影響圏拡大のための政治的宣伝」と見られており、「相互尊重」は形だけとも揶揄されていたりします
■勝手にスクリプトドクター
映画では、分隊長のユー・ウェイトンと狙撃手のヤン・ジェンとの間に因縁があることが仄めかされ、それはユーとヤン・ジェンの父ヤン・チェンとの間に生じたものが続いている、というふうに描かれています
この構成自体はよくあるタイプのもので、このような危険地帯において、外側と内側に爆弾を仕込むという方法で用いられます
外の安全が保証された時に内紛が起こるための装置として存在し、それをどのように効果的に配置するか、という問題があります
多くの場合は、露出した過去によって、再度結束が固まるとか、誤解が解消されて憎悪が尊敬に変わるという流れになります
問題は、この映画でその要素が必要だったかというところで、彼らの任務を遂行する上で「火種になりそうな人間関係をあえて持ち込むのか」という疑問が生じます
また、この2人の間に生じている軋轢をメンバーがどれぐらい認知しているのかというところも問題で、このような上下関係の場合は「立場がそれに蓋をする」という傾向があります
このトリガーのようなものが「一番ヤバいところで外れる」というお約束があり、その「元々は存在しなかった危機を回避すること」で結束が生まれるという妙な展開があります
これらは、チームを強くする上で必要とも思いますが、紛争地帯に送り込まれている部隊にその試練が必要なのかは微妙だと思います
それよりも必要なのは、この地域の紛争がここまで泥沼化している背景であるとか、さらにその後ろ側にいる黒幕の存在であり、それをこの部隊がどのように対処するのか、というところなのですね
なので、後退している暇はなく、次々に諸悪の根源が跋扈し、そのサバイバルを強いられるという方が緊張感を持てます
内部での軋轢とか、命令系統に支障が出るための装置というものは必ず存在しますが、この映画の場合だと「血気盛んな若者の暴走」みたいなもので十分でしょう
そして、血縁は関係なく、分隊長の過去の体験から「彼を正さなければ事故が起こる」という方向に持っていくことだと思います
そうした先にあるのは「経験値と視点の違い」であり、さらに弱者の視点の方が現状を別の視点で捉えることになり、奥底に潜むものを引き摺り出すことになる、というのがわかりやすい流れだったように思いました
ここで、欧米系の映画だと必ず黒幕に母国ないし国家権力の癒着というものが描かれるのですが、この映画でそれをするのはほぼ無理だと思うのですね
それはこの国の分断に中国共産党が関わっているなんてことは描きようがないとも言えます
それは「フィクションや冗談が通じない世界がある」ということで、創作作品ですら許されない風土があるからだと思います
あくまでも中国万歳カッコいい映画なのですが、あからさまな身近な敵を配置しないことで、従来の中国映画とは少し毛色が違うように感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、いわゆる途上国の危険地帯でドンパチする映画で、その混乱に陥っている状況というものが少しずつわかるようになっています
ある地帯を執拗に殲滅しようとしている黒幕がいて、その村は「目撃者だったから」というものになっていて、権力者による隠蔽というものが行われていました
中国に限らず、海外から派兵されている人たちがそれを解決する立場にはなく、あくまでも人道的な所業に対する対処をするという範囲に留まっていました
これを逸脱すると内政干渉に成りかねないし、どちらかの味方につくということもできません
このような微妙な立場だと助けるものも助けられないし、問題解決もできないので隊員のストレスも高まり続けると思います
目の前にいる人を根本的に助けることができないもどかしさがあって、それは同時に自分を根本から守ることもできないのと等しいのですね
この映画の場合だと、反政府軍を悪だと決めつけて、迫害を行っているのを取り締まるだけでなく、反政府軍を壊滅にまで追い込まないと根本解決というものはできません
でも、その紛争に至った経緯とかは外から見てもわからないもので、そこに介入するにはリスクが高すぎるように思えます
目撃者が何を見たのか、それによって何が変わったのかを映画で描けば、それを解決する方向へと展開していきます
でも、本作の主人公は中立であるはずのFPUなので、それが提示されるとさらに「どうして解決できないのか」という感情を引き起こしてしまうのでしょう
フィクションだと解決へ向けての暗躍ということも描けると思いますが、本作の性質がそちら寄りではないのでどうしようもないでしょう
むしろ、FPUをはじめとした活動に対する制限とか限界を描くことになり、それが意図的でなければ除外するのも止むなしのように思います
なので、この映画のスタンスだと、核心にはふれないままFPUカッコいいで終わる方が良かったのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/102474/review/04667585/
公式HP:
