■ファンムービーとして観たいものを作れても、持続的に興収を伸ばすことは難しいのだなと痛感してしまいます


■オススメ度

 

原作ファンの人(★★★)

吉岡里帆さんのぶっ飛んだ演技みたい人(★★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.8.28(イオンシネマ久御山)


■映画情報

 

情報:2023年、日本、120分、G

ジャンル:ならず者ばかりのクラスに転校してきた高校生を描くアクション&コメディ映画

 

監督:瑠東東一郎

脚本:加藤正人&丸尾丸一郎

原作:小沢としお『Gメン(秋田書店、2014年、全18巻)』

 

キャスト:

岸優太(門松勝太:女子にモテたくて転校してきた高校1年生)

 

【私立武華高校 1年G組】

矢本悠馬(肝田茂樹:プロレスをこよなく愛する根っからのヲタク)

森本慎太郎(梅田真大:昭和気質の老け顔)

りんたろー。(薙竜二:G組イチの武闘派)

 

私立武華高校 その他】

竜星涼(瀬名拓美:成績トップのイケメン、1年A組)

奥野壮(八代省吾:勝太にやられて兄を頼る1年E組の生徒)

吉村界人(八代勇一:省吾の兄、2年生)

 

星田英利(渡辺:G組を疎ましく思う学年主任)

吉岡里帆(雨宮瞳:キレると怖いG組の新担任)

 

【伝説の不良グループ Gメン】

高良健吾(伊達薫:勝太を想う空手の達人、3年生)

田中圭(八神紅一:カフェを経営している伊達のマブダチ、3年生)

大東駿介(桜井稜:抗争で大怪我を負った高校のOB)

 

【天王会】

尾上松也(加藤侠介:刑務所から出所した天王会のヘッド)

後藤武範(松永:天王会のメンバー、ナンバー2)

黒崎高大(天王会のメンバー?)

渡部龍平(山口:天王会のメンバー)

酒井靖史(山岸:天王会のメンバー)

軍司眞人(天王会のメンバー?)

中村祐志(山口:天王会のメンバー)

 

【多摩黒天使】

恒松祐里(上城レイナ:恋愛に奥手の多摩黒天使のヘッド)

小野花梨(チーコ:千人斬りの多摩黒天使のメンバー)

今村美乃(ナオ姉:チーコのツッコミ役)

 

【その他】

落合モトキ(友則:瞳の元カレ、別れても付きまとうDV男)

 

榊原有那(葉山優菜:殴られる女子高生)

河村花(勝太がナンパする女子高生)

大山実音(堂上リサ:拓美の取り巻きの女子高生)

黒崎レイナ(梅田がナンパする女子高生)

吉村優花(梅田がナンパする女子高生)

 

兼近大樹(路上のナンパ男)

間宮祥太朗(難破剛:路上で猫を探す男、「ナンバMG5」の主人公)

 


■映画の舞台

 

私立武華高校

 

ロケ地:

埼玉県:さいたま市

寂徳与野中学・高等学校

https://maps.app.goo.gl/9gZmNh4zi9mLfCEU7?g_st=ic

 

神奈川県:横浜市

American House Diners

https://maps.app.goo.gl/GTdNf8VhBRZNo3xP9?g_st=ic

 

Hotel La Lune

https://maps.app.goo.gl/nJsYMET6DKxZefYW9?g_st=ic

 

野毛山公園

https://maps.app.goo.gl/HfypuzojknmEMVsu5?g_st=ic

 

神奈川県:藤沢市

寂光山龍口寺

https://maps.app.goo.gl/iiDsaFXrfvrjxNLx7?g_st=ic

 

湘南なぎさパーク

https://maps.app.goo.gl/EHnAPw8jCCx6E37F6?g_st=ic

 

神奈川県:鎌倉市

ヴィーナスカフェ

https://maps.app.goo.gl/sxdQYS9gjKz1fFrN7?g_st=ic

 

鎌倉パークホテル

https://maps.app.goo.gl/HSbsj3z2LtMp5e3V7?g_st=ic

 

栃木県:足利市

旧東映プラザ

https://maps.app.goo.gl/krCdKmJcxQVb2EkM7?g_st=ic

 

埼玉県:草加市

モンマートまつやま

https://maps.app.goo.gl/eibmqAHgC2P63iwCA?g_st=ic

 

東京都:中央区

And People

https://maps.app.goo.gl/mTq3T9H2Je6wqP2TA?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

前の学校で問題を起こしていた勝太は、女子にモテたいという理由で、女子校に囲まれた私立武華高校に転校してきた

そこは成績によってクラス分けがされていたが、勝太は最下層でクラス替えのないG組に入れられてしまう

そこには昭和気質の梅田、プロレスオタクの肝田、喧嘩っ早い薙たちがいるクラスで、女子とは無縁の空間だった

 

校庭に出てナンパを試みるものの、誰からも相手にされることはなく、学校イチのモテ男・拓美の取り巻きたちからもバカにされてしまう

勝太は拓美を「先生」と呼んで女子と仲良くなれる方法を教えてもらうものの、拓美にもある秘密があって、男女関係は表面上のものだった

 

そんなある日、顔を殴られた女子高生・葉山優菜が勝太の元に来て、ある場所へと連れてくる

そこに来たのは拓美で、女子に手を出したことに怒っていて、勝太と喧嘩になってしまう

だが、それは2年の八代兄弟の陰謀で、勝太たちは八代兄弟を締め上げていく

そんな様子を眺めていた3年の伊達と八神は彼らに興味を持ち始めていた

 

テーマ:腹を割って話せる存在

裏テーマ:底辺のプライド

 


■ひとこと感想

 

予告編の吉岡里帆さんの演技を見て、迷わずに参戦

主演がジャニーズということで、パンフ売り切れを懸念して先買いをするという事態になりました

落ち着いた平日に鑑賞しましたが、それでも結構な女性客がいて、黄色い声援らしきものが飛び交っていましたね

 

映画は、昭和っぽい雰囲気のヤンキードラマで、女性を渇望するバカな高校生たちが描かれていきます

思いっきり大人が演じていますが、意外なほどに違和感がなかったですね

登場する高校生の中身がみんなおっさんだからかな、と思ってしまいます

 

物語は、戦いの中で友情が芽生え、難敵に対抗する様子が描かれていきます

何も持っていないと思われる主人公が「実は強い人」で、メンター的な存在は明かされていません(たぶん桜井だと思う)

彼の一本木溢れる感情が周囲を動かしていくベッタベタな展開ですが、飽きさせない日常パートのゆるさが大好きですね

かなり下ネタに振り切っているので、そのあたりは好みが分かれるかもしれません

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

鑑賞動機そのままに吉岡里帆さんを堪能する映画で、予告編のキレっぷりも面白いし、お色気シーンもあったりするので、意外と貴重な一本かもしれません

なんとなく「恥ずかしそうな演技」というのがツボで、フェチ勢御用達の映画になっています

過去の写真集騒動に付随する、頑張ってやらされてる感をうまく利用していて、それが妙な味になっていたように思えました

 

映画は、勧善懲悪系の成り上がりで、敵は何でもありの人たちになっています

G組のメンツ全員が喧嘩が強くて、キモオタの肝田ですら、結構な身体能力を有していました

彼の恋愛の顛末は可哀想ではありますが、相手が相手だけに同情を禁じ得ません

 

物語の深みはさほどありませんが、これぐらいわかりやすい方がテイストにあっていますね

キャラ映画だとは思いますが、ミスキャストもなく、ハマり役だったように思えました

 


ヤンキーと恋愛

 

本作は、ダメダメなクラスにやってくる喧嘩の強い高校生ということで、彼自身はヤンキーではないものの、環境はそれに近いものがありました

私自身は、ヤンキーだった時代もないし、そう言った友人もいないのですが、学ラン改造ぐらいはしたことがあります

当時は、普通の格好をしているということが狙われる理由だったりするので、隣町の「改造制服を売っている店」に出向いて、とりあえずは裏ボタンを既製品から変えるということをしましたね

お金がある人は裏地を縫い変えて、竜とかのかっこいい感じのものに変えていて、体制に反するというのがブランドになっていました(同調圧力でしたねえ)

 

ヤンキーの人々とは距離を取れていましたが、どうしても絡むことが多いクラスでもありましたので、いろんな話を聞くことになりました

その中で多かったのは「喧嘩」と「恋愛」で、実体験として「漫画のように校門に別の中学校のヤンキーが来て抗争になる」というのを体験したことがあります

いわゆるテリトリー争いのようなもので、学校で強いのは誰か問題で喧嘩になっていくのですね

たまたま、自分の学校のトップみたいな生徒がクラスメイトということで、「クラスに乗り込んできて大乱闘」みたいなことがしょっちゅうありました

 

ヤンキーと喧嘩は切っても切れないのですが、それと同じくらい恋愛というものが「普通の高校生より進んでいる」という感覚がありました

また、クラスに一人か二人は「化粧が進んでいる女生徒」というのがいて、それがまたド派手で、という時代でもありました

でも、そう言った人は進んでいると思えて、意外と進んでいないという現実もありましたね

そう言った噂の的になり、そういったことも進んでいると思われがちだったりするのですが、中学ということもあって、そこまでではありませんでした

 

その後、進学校に進んだために疎遠になりましたが、その後街で会うと、ドロップアウトしたのかなあと思うような身なりをしていたり、噂になっていた二人が大人になっていたり、いつの間にか子どもと一緒にいたり、とカルチャーショックがすごかった記憶があります

誰かを守るために強くなるという下地があって、仲間意識が強いのが特徴で、中学2年の時に「あるヤンキーっぽい子が電車に飛び込んで死んだ」という出来事があったのですが、その時に強く仲間意識の強さというものを感じました

直接的には関わりはなく、同世代の死は初めてのことだったのですが、自分が今死んでも、これだけの人が悲しんでくれるのかはわからないな、と漠然と感じたことを憶えています

 


肯定しあう優しい世界

 

映画では、G組に転校した勝太がクラスメイトを鼓舞し、みんなを立ち上がらせる様子が描かれていました

G組でも「武華だから」と根拠なき自信を持っていたのですが、勝太はいついかなる時も自己肯定と他者肯定に溢れていました

この肯定感が人を惹きつけて、そして周囲も自己肯定をしていくのですが、この波及というのはとても大事なことだと思います

 

波動は連鎖して広がるもので、それは正負に関わらず広がっていきます

自己肯定感の強い人の周りには同種の人が集まり、それが塊となっていきます

逆のタイプの人は居心地が悪くて離れていくもので、事あるごとに相手を否定していきます

そうして、ある種のグループというものが生まれ、それが派閥となって、さらに両種の波及効果を増幅させます

 

自分がどちらにいたいのかを問うた時、勝太のそばにいたいと願うのなら、同じマインドでいないと辛くなってしまいます

そして、一度同じマインドの波長が合うと、意外なほどに分かり合えるものとなっていきます

勝太が単独で行動を起こした時、真っ先に彼のために動いたのは拳を交えた拓美でした

彼は勝太と喧嘩するように仕向けられたのですが、その拳を通じて、「こいつが優菜に手を出すのか?」ということを感じたのだと思うのですね

卑怯かどうかは拳に宿り、戦い方にその人となりが出てきます

伊達も同じものを感じ取り、そして勝太に集う人々が増えていくことになりました

 

彼らの特性は、お互いを尊重し合い、肯定しあっていることだと思います

あいつならできると思っていて、そのマインドは「自分もできる」につながっていきます

こうしたマインドの波及は盲目的ではあるものの、結局のところ、根拠のない自信以上に人生を変えていけるものはないのですね

そう言った意味において、翔太が難敵を打ち破っていくのは必然のように思えてしまいます

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、いわゆるキャラ映画になっていて、原作の再現度と俳優陣のポテンシャルが試されている映画でした

原作は未読ながら、各種のレビューやSNSのコメントなどを見ると、概ね好評のように思えます

個人的にも、吉岡里帆さんの教師役の予告編で期待値を上げたのですが、それを軽く上回っていたし、他のキャストの弾けっぷりも良かったと思います

 

漫画原作の映画の難しいところは、リアリティのない世界にどうやってコミカルを融合させるかというところで、動きが出た瞬間に嘘くさくなるものだと思います

本作も、リアリティの境界線が難しい作品になっていて、シーンだけを見るとコミカルの局地になっています

でも、全体を通してみると、キャラクターはイキイキとしているし、オーバーアクションがそこまでおかしく感じないという不思議な感覚がありました

 

おそらくは、実写化では成功の部類ではあるものの、興行収入としては厳しい類の作品になると思います

それはジャニーズ映画であることと、原作がちょっとマイナーなところがあって、一般ウケしづらい内容だからなのですね

映画で描かれているのは、ヤンキー(ほぼ死語)の世界で仲間を助けるために活躍する高校生を描いていて、物語の訴求力は中年向けとなっています

演者も若年層とはいえず、高校生の青春ムービーでもありません

SNSでバズる要因は若年層のシンプルな波及効果なので、それを望むのは少し難しいのですね

 

ジャニーズに付随する別の問題、主演の問題による敬遠も考えられますが、それ以前にハードルの高い作品になっていると思います

それぞれの演者のファンと原作のファンの絶対的な総数というものは限られていて、それぞれがリピートするというのも限度があるので、それだけではロングランに結びつかないのですね

初動はそこそこでも、2週目からガタッときてしまうのが、このタイプの映画の特徴でもあるのと、ファンムービーであることがわかると初週を避けるという一般層もいたりします

私としても、基本的にファンムービーは初日は避けますし、そこでの混雑、映画鑑賞の阻害となるマナーの悪さというものは痛感してきたので、それらが改善されない限りは厳しいのだと思います

映画制作としてはファン向けに作られていても、映画館としては興行収入が見込めないとドライな部分があるので、その辺りを踏まえた戦略というものも必要になってくるのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

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公式HP:

https://g-men-movie.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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