■重力よりも強い脅威は、歴戦の宿敵になり得るか


■オススメ度

 

ステイサム映画が好きな人(★★★★)

サメ映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2023.8.26(MOVIX京都 ドルビーシネマ)


■映画情報

 

原題:Meg 2: The Trench(海溝)

情報2023年、アメリカ、116分、G

ジャンル:海溝7000m強の深海から脱出するサバイバル・パニック・アクション映画

 

監督ベン・ウィートリー

脚本ジョン・ホーバー&エリック・ホーバー&ディーン・ジョーガリス

原作スティーブ・オルテン/Steve Alten『The Trench(1999年)』

 

↓前作リンク Amazon Prime Video

https://amzn.to/47OjYVy

 

キャスト:

ジェイソン・ステイタム/Jason Statham(ジョナス・テイラー:深海救助専門のベテラン潜水士)

ウー・ジン/Wu Jing(ジウミン・ジャン:メイインの叔父、海南海洋研究所の研究員)

スーヤ・ソフィア・カイ/Shuya Sophia Cai(メイイン・チャン:好奇心旺盛なジウミンの姪、14歳)

 

ペイジ・ケネディ/Page Kennedy(DJ:「Mana One」の陽気なエンジニア)

スカイラー・サミュエルズ/Skyler Samuels(ジェス:「Mana One」の作業員)

クリフ・カーティス/Cliff Curtis(マック/ジェームズ・マックライド:「Mana One」のオペレーション・マネージャー)

メリサリティ・マハット/Melissanthi Mahut(リガス:「Mana One」のセキュリティガード)

ウーピー・ヴァン・ラーム/Whoopie Van Raam(カーティス:「Mana One」の潜水士)

キラン・ソニア・サワール/Kiran Sonia Sawar(サル:「Mana One」の潜水士)

フェリックス・マイヤー/Felix Mayr(ランス:「Mana One」の潜水士)

シエンナ・ギリリー/Sienna Guillory(ヒラリー・ドリスコル:「Mana One」の投資家)

 

Sergio Peris-Mencheta(モンテス:海洋資源採掘者)

 

【ファンアイランド関連】

Ivy Tsui(ココ:ファン・アイランドのガイド)

Pippin(ピピン:ココの愛犬)

Lele Dai(女性観光客)

Xiong Jinji(女性観光客)

Able Wanamakok(女性観光客)

Stewart Alexander(観光客、電話しているビジネスマン)

Jingjing Cai(プロポーズされる女性)

Li Xin(プロポーズする男性?)

Longxi(ボートに乗った女性観光客)

Narisu Bai(ボートに乗った女性観光客)

Enzo di Bonaventura(下世話な観光客)

 

【その他】

Tao Guo(海洋研究所記念パーティーの司会者)

Emily Ng(記念パーティのウェイトレス)

Rui Shang(記念パーティのDJ)

 

Robin Hill(貨物船の船長)

Sara Dee(貨物船のオウムの声)

 

Richard Glover(ヘリのパイロット)

Billy Clements(傭兵)

Jonny James(傭兵)

Doug Robson(傭兵)

Ron Smoorenburg(傭兵)

 


■映画の舞台

 

マリアナ海溝(フィリピン沖)

 

ファン・アイランド(架空)

 

ロケ地:

タイ:

Phuket/プーケット

https://maps.app.goo.gl/U9z5MPteJaMgKvT96?g_st=ic

 

アメリカ:カリフォルニア州

ロサンゼルス

 

中国:香港

 


■簡単なあらすじ

 

前作にて、海洋研究所やリゾート地でメガロドンと死闘を繰り広げた潜水士のジョナスは、今回もマリアナ海溝の奥底への探検に同行していた

友人の研究者ジウミンとその姪にあたるメイインたちは、「Mana One」からマリアナ海溝のある地点を目指していた

 

目的のエリアに着いた彼らだったが、そこで未知の熱源を感知する

危険を顧みずに向かったその先には、誰の所有物かわからない海底ステーションがあった

だが、その場所にはメガロドンが数匹いて、他にも未知の獰猛な生物がたくさんいた

 

また、その海底ステーションは違法発掘の基地になっていて、採掘者たちの追っ手も迫ってくる

ジョナスたちは海の生物、謎の集団の両方から追われるようになり、それによって犠牲も出てしまうのであった

 

テーマ:自然界の掟

裏テーマ:人間の敵は人間

 


■ひとこと感想

 

前作『MEG』のラストバトルがしょぼいという思い出しかなく、内容に関しては1ミリも覚えていませんでした

それでも、前半の早い段階でメイインとジョナスの関係あたりをサラッと説明していて、海洋ステーションが襲われていた記憶だけは覚えていましたね

あの時の幼児が成長したのが今回のメイインのようですが、生育環境が最悪なので、抑えの効かない性格になっていました

 

映画は、マリアナ海溝に謎の施設があって、レアアースを掘っている連中と遭遇するというもので、そこで仲間を犠牲にして逃げ出すモンテスが登場していました

彼がジョナスと戦う理由はほとんどなく、邪魔された腹いせのようになっています

また、中盤で判明する採掘員の背景なども、いつものパターンのようになっていました

 

結構人が死ぬ感じに進んでいきますが、ジョナスたち主要数名は無傷といういつものパターンになっていますね

メガロドンのみならず、いくつかの巨大生物&水陸両用(しかも深海も行ける!)は登場するので「モンスターズ」になっていました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

海洋汚染と違法採掘という環境問題を取り扱ってはいますが、浅瀬ぐらいの深掘りになっていました

中国資本が入っているので、ほぼアメリカ&中国合作映画のような感じになっています

相変わらず脚本は無茶苦茶で、とにかく強いステイサム様を堪能するアクション映画のようになっていました

 

物語は、内部に裏切り者がいるという展開で、その傭兵との戦い、違法採掘のモンテスとの因縁など、しつこすぎる人間との戦いは「食われるまでの余興」のようになっていましたね

裏切り者のことがわかるのかと思うぐらいにピンポイントで捕食していくメガロドンですが、深く考えたら負けのような映画になっていました

 

パンフレットはそこそこ充実していて、おおまかなストーリー展開も描かれていました

人物相関図があればなお良いという感じですが、そこまで混乱することはありません

予告編で大体見せてしまっているので新鮮さはありませんが、3D感ははじめの白亜紀のシーンぐらいになっていましたね

それよりも4DXかMX4Dの方が良いと思います

 


深海のロマン

 

本作は「The Trench」ということで、未知なる地球=海溝を目指す冒険が描かれています

海南海洋研究所では、マリアナ海溝の実地調査を行っていて、その手助けに「潜りのプロ」を招聘することになりました

ジョナスは「深海救助専門」のダイバーで、サバイバル能力に長けた存在になっています

 

世界で一番深いとされているのが「フィリピン沖のマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵」で、その深さは10,920mあるとされています(ちなみに、エベレストは8,848m)

マリアナ海溝の底に人類が到達したのは1960年のことで、ドン・ウォルシュ米海軍中尉とスイス人技術者のジャック・ピカール氏でした

その後もチャレンジは続き、2020年の夏の時点でチャレンジャー海淵に到達したのは13名となっています

これは宇宙に行った人数(565人)よりもはるかに少ない人数だとされています

 

このチャレンジャー海淵にも生物は存在していますが、光のない世界なので、視力がないと考えられています

その代わりに水圧に耐えられる体を持っていて、水の振動などから周囲の様子を伺っているのですね

伝説では、メガロドンがこの海域に生息しているとされていますが、身体的な構造を考えると実現可能性はほぼゼロだと言われています

およそ1平方cmに1,086Kgの水圧がかかる計算で、メガロドンの体表の広さを考えると、ものすごい水圧下に生息していることになります

この環境に適した生物が地表に上がってくるということがファンタジーだと思います

 

海底は人間の調査の及ばない場所であり、光がないので照明を照らして見える範囲だけを捜索することになります

太陽光が届くのが最大1000メートルくらいで、水深10メートルの段階では全てが青く見えると言われています

ちなみに、人の視力で太陽の光を感じられるのは400メートルが限度なのですが、照明機器などを用いて、自分の周囲数メートルを写すことは可能だとされています

本作に限らず、大体の映画では照明が使われて演者が見えるようになっていますが、実際には手元にあるライトで写っている範囲以外は闇なので、全方向に光を発しないと一緒にいる人を認知できないと思われます(その分、何かに襲われるリスクがつきまといます)

 


環境問題と人類の末路

 

本作では、海洋投棄に始まり、違法なレアアースの採掘現場が描かれていきます

本編にはそこまで絡まず、メガロドンたちの放出は脱出のために爆破を起こしたことで、「海水温層」に穴が空いたからという感じになっていました

わかりやすいオゾンホールのメタファーになっていて、そこが空いている間は深海生物が入り放題という流れになっていきます

深海7000メートル級の生物が地上に出たらというリアリティは無視していますが、潜水服があれば人間が潜れるので、不可能ではないのでしょう

 

海洋投棄を含んだ問題は現在進行形の「原発の処理水問題」とリンクしているところがあって、この政府方針によって、近隣諸国の様々な反応が見られます

本当に環境被害を訴えている人もいれば、政局に利用している人もいるし、主義主張を重ねるだけの人もいます

実際のところ、IAEAの基準をクリアしても「IAEAが信じられない」で一巻している議員もいて、こういった人には何を言っても無駄という感じになっています

個人的には、原発について詳しくありませんが、国際機関が信用できないのなら、何を信用するのかというところに行きつくように思います

そのままタンクに入れ続けてコストをかけ続けるという案もあるのでしょうが、それはそのまま電気料金に乗ってくるものなので、それを容認するのかという問題にもなってきますね

政府の補助金が入る=税金で賄うということになっているので、全国民がタンクに貯蔵するのを容認するのかという議論にもなって行きます

 

生物内への蓄積などが懸念されたとしても、それを科学的に調査し、影響をモニタリングするには時間もかかります

現代の科学力を持って、どこまで可能なのかわかりませんが、完璧を目指すのは無理だと思います

どこで折り合いをつけるのか、というところで結論が出ている部分があるのですが、これらの問題の根幹は「信用されていない政府と東京電力」なので、これが解消されない限りは永遠に解決できない問題なのでしょう

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、伝説の海洋生物がたくさん登場し、それが地上に現れた人々を襲うという物語になっています

深海7000メートルで行きていた生物が0気圧で普通に動ける世界で、水陸両用という生物まで登場してしまう

面白いのは、地上に来るのは全て肉食で獰猛という感じになっていて、害のない生物が海水温層を突破したことで死んでしまうというようなことは描かれないところなのですね

あくまでも、地上にやってきて人々を襲い、それに対してジョナス(というよりジェイソン・ステイタム)がどう切り抜けるかという物語になっています

 

見どころは、どうやって倒すのかというところで、用意された武器ではなく、そこらへんにあるもので対処していくのですね

高度な殺戮兵器は使わずに、手元で工夫するという流れになっていて、「それは無茶じゃね」というものを、ステイサム様だからOKというジャンルになっているのは面白いと思います

 

サメ映画というのは、基本的には閉鎖空間パニックになっていて、自由に動けると思える空間に「縛りができて出られない」という流れを汲みます

無論、その閉鎖空間に入ることになる理由というものが存在し、それが人間の欲望に巻き込まれているというところになっています

この騒動を起こすきっかけとなった資産家のヒラリーはスナッパーズに虐殺され、事件の首謀者ジェスはメガロドンに喰われて死んでいます

最後まで執拗に抵抗するモンテスも非業の死を遂げていて、意外なほどにカタルシスがあったりします

 

メガドロンたちには罪がないのですが、人間を襲う装置のような描かれ方をしているので、殺し合うより他はない流れになっていますね

ラストでは、ハイチが正気を取り戻すという感じで和解らしきところに向かいますが、それを「気のせい」「調教できた」で意見を分かれさせているのは上手いと思います

ハイチに対する研究に懸念を示すジョナスは、一連のメガロドンとの戦いから相入れないと考えるのは自然で、それを覆すだけのデータも説得力もありません

一方のジウミンには、自分なりの確信があるのですが、それを証明できていると思っているのは自分だけだったりします

この議論も「海洋投棄問題」と同じように、「自分の思い込み」から派生する平行線の議論になっているのですね

狙っているのかはわかりませんが、このあたりの流れもうまくできているなあと思いました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

Yahoo!検索の映画レビューはこちらから

 

公式HP:

https://wwws.warnerbros.co.jp/megthemonsters/index.html

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投稿者 Hiroshi_Takata

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