■想像力が実体を支配するとき、一体何が起こると言うのだろうか
Contents
■オススメ度
パペット系ホラーが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.11.14(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
原題:Imaginary
情報:2024年、アメリカ、104分、G
ジャンル:子どもが溺愛するぬいぐるみに翻弄される一家を描いたホラー映画
監督:ジェフ・ワドロウ
脚本:ジェフ・ワドロウ&グレッグ・アーブ&ジェイソン・オレムランド
キャスト:
ディワンダ・ワイズ/DeWanda Wise(ジェス/ジェシカ/Jessica:児童書作家、マックスの再婚相手)
(幼少期:Rhythm Hurd)
テイゲン・バーンズ/Taegen Burns(テイラー/Taylor:マックスの娘、長女)
パイパー・ブラウン/Pyper Braun(アーリーキャット/アリス/Alice:マックスの娘、次女)
トム・ペイン/Tom Payne(マックス/Max:ジェシカの夫、ミュージシャン)
デイン・ディリーグロ/Dane DiLiegro(チョンシー・ベア/Chauncey Beast:古びたテディベアのぬいぐるみ、声)
Ronald Binion(チョンシー・ベアの中の人)
ベティ・バックリー/Betty Buckley(グロリア/Gloria:ジェシカの幼少期時代の隣人、ベビーシッター)
ヴェロニカ・ファルコン/Veronica Falcón(ソト先生/Dr. Soto:精神科医)
Samuel Salary(ベン/Ben:ジェシカの父)
Matthew Sato(リアム/Liam:ジェシカの引っ越し先の隣人の青年)
Wanetah Walmsley(バーバラ/Barbara:リアムの母)
Alix Angelis(サマンサ/Samantha:マックスの元妻、テイラーとアリスの実母)
Shawn Sanz(警官)
Lawrence Weber Jr.(施設の用務員)
Suzette Lange(老人ホームの訪問者)
Noah Martinez(ルイス/Luis:ビデオの少年)
Lilly Sunshine(幽霊の少女)
Cecilia Leal(ホテルの母親)
Eduardo Campirano(ホテルの少年)
Michael Bekemeier(クモ男)
■映画の舞台
アメリカのどこかの田舎町
ロケ地:
アメリカ:ルイジアナ州
ニューオーリンズ
■簡単なあらすじ
ミュージシャンと結婚したジェシカは、家族を連れて、自分の生まれた家に戻ってきた
夫マックスはミュージシャンで、前妻サマンサとの間にテイラーとアリスという二人の娘を授かっていて、これからはジェシカが母親役を担うことになった
ある日のこと、妹のアリスは地下室にてクマのぬいぐるみを見つけ、「チョンシー」と名付けて可愛がるようになった
また、姉のテイラーは隣人の青年リアムと交流を深めるようになり、順調な滑り出しを見せているように思えた
だが、アリスとチョンシーの遊びは傍目に見てもおかしく感じられ、執着も酷いものになってくる
そんな折、かつてジェシカのベビーシッターをしていたグロリアが訪ねてきて、かつてジェシカもぬいぐるみに愛着を持っていたことを知らされるのである
テーマ:愛着と執着
裏テーマ:絆を引き剥がす代償
■ひとこと感想
ブラムハウスがお送りするパペット系ホラーということで、今度は愛着のあるクマのぬいぐるみの暴走が題材になっていました
実質的にはイマジナリーフレンドをいうことですが、それが誰と誰に見えているかというのが物語の鍵になっています
映画では、ジェシカの生家に来たことで過去の因縁が復活するというもので、物語の展開は予測できるものだと思います
問題は怖いかどうかなのですが、映画の演出としては、いきなり出てくるのワンパターンで、初発はびっくりしますが、その後は慣れが来るという内容になっていました
夫の連れ子との確執もそこまで深いものでもなく、隣人との絡みも浅くて、登場させる必要すらない感じでしたね
かつてベビーシッターをしていた女性がいきなりやってきますが、この「いきなり」という時点で怪しさ満点のように思えます
子ども目線だと移行対象的なぬいぐるみの暴走は怖いと思いますが、それがイマジナリーフレンドと混同するとややこしそうに思えますね
映画はジェシカ目線なので常にクマが見えていますが、それを暴露するタイミングは遅いように思えました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
あまり期待はせずに行ったのですが、思った以上に怖いシーンはなかったですね
いきなり飛び出る、音が大きくなるというありきたりの演出と、不気味さだけのために登場する虫の扱いなど、結構雑に思える部分はありました
ジェシカの幼少期の家に戻っているという時点でネタバレになっていて、しかも不気味な地下室に意味深なものがあって、さらに奥にも秘密の部屋があるという設定でした
この秘密の空間を姉妹で探検して迷い込むというものなら怖さがあると思いますが、常にジェシカの視点になっているために、子どもたちの行動を俯瞰しているだけになっています
ジェシカが怖い思いをするかどうかという展開の中で、子どもの行動が怖いというものになるのですが、予告編で登場する「いたいことをする」以上のものがないのは微妙だと思います
子どもが怖い思いをするという表現には限界があるのですが、その子どもが実の子どもではないというところに母性愛を強調できる材料が少ないのですね
なので、アリスはマックスとの子どもで、テイラーが連れ子という設定の方が良かったでしょう
アリスに傾倒するがゆえにテイラーと不仲になるという方が自然で、ジェシカがいきなり母親としての母性を見せるというのには無理があるように思います
また、父親が都合よく退場するので、彼自身も巻き込まれる流れになった方が良かったかもしれません
■イマジナリーとイマジナリーフレンド
映画では、児童書作家のジェシカと離婚歴のあるミュージシャンのマックスというカップルが描かれ、マックスには二人の娘がいました
上の娘は10代で、下の娘は幼いのですが、実子ではないことで、不穏な関係性というものが示されています
そんなジェシカは、夜な夜な自分の本に出てくるキャラクターや精神的に病んだ父の夢を見て、それに悩まされていました
そんな彼らは、ジェシカの生家に引っ越すことになり、下の娘のアリスはそこで「チョンシー」というテディベアを見つけることになりました
そんな彼らの隣には、ジェシカのベビーシッターをしていたグロリアという女性がいて、彼女はジェシカが思い出せない昔のことを話したりします
そのテディベアが幼少期のジェシカのものであるというのは想像に難くないのですが、実際にはジェシカとアリスにしか見えていないということがわかります
テディベアはジェシカの幼少期のイマジナリーフレンドのようですが、それがなぜかアリスにも見えているという不思議な状況になっていました
チョンシーはジェシカに捨てられたことを恨んでいて、それによって復讐を企てていることがわかります
また、幼少期の異変に気付いた父はチョンシーからジェシカを救いますが、それによって精神的に病んでしまったことが示されていました
映画は、「Imaginary」というタイトルが付いていて、テディベアが出てくるために「イマジナリーフレンド」と混同しがちなところがあります
実際のイマジナリーフレンドは固有の想像の中にあるもので、共有されることはないと思います
テディベアのようなぬいぐるみを友だちにした場合には見えますが、それはイマジナリーフレンドと言うよりは移行対象の擬人化に近いもののように思えます
本作でアリスにそれが見えるのは、イマジナリーに付け込んだチョンシーが「誰の意識の中にでも入っていける存在」だからと言えます
フレンドのふりをしているイマジナリーと言う感じで、それは子どもを別の世界(Never Ever)につれていくためのものでした
それゆえにジェシカの父にもそれが見えていて、その目を見たことによって精神がおかしくなってしまったと言うエピソードがありました
なので、本作では、ジェシカが想像したイマジナリーフレンドが悪さをしたと言うものではなく、チョンシーというイマジナリーのふりをした何かが一連の事件を目論んでいた、という構図になるのだと思います
■勝手にスクリプトドクター
本作は、アリスが溺愛していたチョンシーが実は彼女とジェシカにしか見えないものとなっていて、そんなチョンシーには思惑があった、というホラー映画になっています
イマジナリーフレンドは存在するものを溺愛して、その中に入れ込む場合があって、移行対象のような存在として、常に子どものそばにいるというものもあります
また、完全に他の誰にも見えず、その人物がいるときだけに姿を現すというものもあって、イマジナリーフレンドをどのように考えているかによって、映画の見方も変わってきます
本作では、実際には目に見えないものというイマジナリーフレンドとなっていて、それがジェシカとアリスで共有されるのはおかしいという流れになっていました
これ自体は問題ないものの、それがわかるシーンがほとんどラストになっていて、それまでにジェシカやアリスの言動をおかしく思う家族がいないという不思議な感じになっています
ジェシカとアリスには見えているので、そこでアリスがチョンシーに語りかけたりすることはおかしくはありませんが、それらはマックス(早々に退場してたけど)やテイラーが見るとおかしなものと気づくはずなのですね
でも、テイラーは早々にリアムという男の子と行動をするし、マックスはツアーに出掛けてしまうので、そう言ったシーンが訪れることはありませんでした
このあたりが脚本の妙というところで、いかにしてイマジナリーの共有がおかしいかをラストの大どんでん返しに持っていくか、という力技だったように思います
実際のところ、ネタバレ後もふーんという感じで、自分の想像の世界に閉じ込められていたジェシカが、そこに迷い込んだアリスを助けるという展開になっていました(あってる?)
そこに閉じ込めることが復讐になっているのだと思いますが、何層かの構造になっていて、ちょっとわかりにくいつくりになっているなあと思いました
ジェシカの作り出したものが記憶の奥底に閉じ込められてしまい、そこから抜け出すためにアリスを拐かすみたいな印象があるのですが、それは無意識下で人が繋がっていないと難しいように思います
そういったところを行き来できる存在がチョンシーなのかもしれませんが、結局は意識の中で起こっていることなので、それが実体験としての怖さには結びつかないのでしょう
なので、スクリーンではすごくホラーな展開になっていても、それ頭の中の話じゃんで終わってしまうように思ってしまいました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、子どもの周りにいるものが子どもを襲う系のホラーで、「M3Gun」で味をしめたブラムハウスが仕掛けた映画でした
その対象として、子どもたちが大切にするぬいぐるみというものを持ち出して、それには訳があったのです!という感じの内容になっています
イマジナリーと言う想像上の世界の物体?が実体化していると言う世界になっているように見えるのですが、実際にはジェシカを助けた父も彼女の意識下に入っていることになるし、アリスもそこに迷い込んでいることになります
子どもの名前をアリスにしたのもわざとだと思いますが、子どもの残酷さが招いたホラーとしては、そこまで怖いものではなかったように思います
ぬいぐるみが意思を持って動く系のホラーは結構ありますが、本作の場合だとジェシカのイマジナリーが実体であるぬいぐるみに乗り移って意思を持ったと言う方がわかりやすいように思います
誰にでもぬいぐるみが見えているのだけど、ジェシカとアリスとだけは話せると言う感じになっていて、そしてその対話は意識下で起こっていた、というものになるでしょう
そうして、チョンシーは自身が住んでいる領域(映画ではNever Ever)に引き摺り込むとか、それによって意識を入れ替えることができる、という方が怖いように思います
それは、アリスがぬいぐるみに閉じ込められて、チョンシーはアリスの肉体を乗っ取って自由になる、と言う物語になり、アリスだと接していたジェシカがその異変に気づくと言う流れになると思います
映画はそう言った展開にはならず、ぬいぐるみ怖し!を印象づける内容になっていましたね
ホテルにいたテディベアに驚くと言うエピローグがあるように、チョンシーなるものはどこにでもいて、あなたたちを狙っていると言うものでしょう
そう言った方向性も悪くないのですが、それだったら、ホテルにいるすべてのぬいぐるみがそう思えてしまうと言う物量的な怖さを印象づけた方が良かったように思いました
ぬいぐるみがイマジナリーの入り口になるのかはわかりませんが、それと心を開くことによって通じる世界があるとも言えるので、そう言った世界には「悪いイマジナリー」もいるんだよとか、そっちの世界にばっかり言ったら危ないですよぐらいの警鐘があっても良かったのかな、と感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101394/review/04469522/
公式HP:
