■分かり合えない孤独の先に到達した、真のポートレイトとは何だろうか?


■オススメ度

 

キラキラした青春映画が好きな人(★★★)

森七菜さんのファンの人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.6.23(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2023年、日本、113分、G

ジャンル:眠れない秘密を抱えた二人の高校生を描いた青春映画

 

監督:池田千尋

脚本:高橋泉&池田千尋

原作:オジロマコト『君は放課後インソムニア(小学館、2019年)』

 

キャスト:

奥平大兼(中見丸太:九曜高校の天文学部の生徒)

森七菜(曲伊咲:水泳部と天文部を兼任する女生徒)

 

桜井ユキ(倉敷兎子:天文学部の顧問の先生)

萩原みのり(白丸結:天文学部のOG)

 

上村海成(受川太鳳:丸太の幼馴染)

永瀬莉子(蟹川モトコ:伊咲の友人、ツンデレ女子)

安斉星来(穴水かなみ:伊咲の友人、ソフト部の姉御肌)

川﨑帆々花(野々三奈:伊咲の友人、美術部)

 

工藤遥(曲早矢:伊咲の姉)

斉藤陽一郎(伊咲の父)

MEGUMI(伊咲の母)

 

田畑智子(伊咲の母の幼馴染)

粕谷優斗(伊咲の母の幼馴染の亡き息子)

 

萩原聖人(丸太の父)

 

でんでん(歴史資料館の館長)

 

八神慶仁郎(生徒会長)

 


■映画の舞台

 

石川県:七尾市

https://maps.app.goo.gl/JLXjo9spcBYLjKcm7?g_st=ic

 

ロケ地:

石川県:七尾市

ゲームセンターベティ

https://maps.app.goo.gl/toZjikvq2oRJpYqR6?g_st=ic

 

仙対橋

https://maps.app.goo.gl/AqMHdmfw1DuWAqBh8?g_st=ic

 

深浦白山社

https://maps.app.goo.gl/F5TJrEUy6D5gbTxk7?g_st=ic

 

小島橋 バス停

https://maps.app.goo.gl/JtVTnNf9gaSdFaqr9?g_st=ic

 

お好み焼き 平野屋

https://maps.app.goo.gl/7gbyFYHeFTbfiGA8A?g_st=ic

 

直火焙煎珈琲 中央茶廊

https://maps.app.goo.gl/gLiKAeUpSaQzoC3w6?g_st=ic

 

石川県:珠洲市

見附島

https://maps.app.goo.gl/GoFkJoEP3KkFMdFW8?g_st=ic

 

石川県:能登町

真脇遺跡

https://maps.app.goo.gl/UtrincJ6cn5LLJWg9?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

不眠症に悩む高校生の丸太は、幼少期に母が失踪したことが原因で眠れなくなっていて、昼間は睡魔と頭痛に悩まされていた

ある日、掃除道具を取りに天文学部の倉庫を訪れた丸太は、そこでクラスメイトの伊咲が寝ているのを見つけてしまう

伊咲も不眠症に悩まされていて、この場所は唯一誰にも知られずに眠れる場所だった

 

その場所は天文学部があった場所で、早々に元天文学部の顧問・倉敷先生に見つかってしまう

倉敷は「あの場所を存続させたいのなら部活動として認めさせろ」と言う

そこで二人は、天文学部を再開させ、街のみんなと一緒に望遠鏡で宇宙を見ようと企画を作り出す

 

二人でできるとは思えない企画だったが、それぞれは友人たちに頭を下げて手伝ってもらうことになる

そうして輪が拡がりかけたものの、大雨に祟られて企画は中止になってしまった

 

途方に暮れる二人は、天文学部OGの白丸から、「天体写真を撮って賞を獲ればいける」とアドバイスをもらう

丸太はかつて父から貰ったカメラを撮り出し、いろんなものを切り取っていく

そして、撮影ツアーを組もうと考えるのだが、伊咲には大きなハードルがあったのである

 

テーマ:限りない宇宙の下の私

裏テーマ:情熱が動かす心

 


■ひとこと感想

 

不眠症の高校生が秘密を共有しあって、それが恋愛に発展していくと言う王道ラブコメですが、本作の場合はラブコメ度はやや薄めで、青春映画と言う感じに仕上がっています

文化祭に向けて頑張る生徒とか、今しかできないことをやると言う感じのテイストで、それに対する障壁は伊咲の秘密であると紐解かれます

 

いわゆる難病ものに近い印象がありますが、それに立ち向かうと言うよりは、それでもできることがあるのではないかともがいていると言う感じですね

病気も爆弾を抱えているけど、常に危険と隣り合わせではないところが絶妙で、両親の心配症が二人の行動を阻んでいきます

 

彼らを支えるクラスメイトたちもピュアな感じになっていて、少しだけ恋愛要素が滲んでいると言うテイストで止まっていましたね

原作は長編なので色々とありそうですが、微笑ましい恋愛劇と言う感じになっていたのは好感が持てる内容だったかなと思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

インソムニアと言う不眠症を取り扱っていますが、それは物語の導入のような感じになっていますね

誰にも言えない症状で、それを共有できる相手ができると言うスタート地点になっています

 

伊咲の不眠症は「寝ている間に心臓が止まったらどうしよう」と言う不安から来ていて、丸太の不眠症は「幼い頃に母親がいなくなったから」と言うものになっていました

不安神経症と言う括りにはなると思いますが、それぞれは「悪い予感」を増幅させる傾向にあって、それはこれまでのうまくいかない人生が大きな影響を与えています

 

後半では、親子の和解というものが描かれていて、親が思うような子どもではないことに苦しんでいる様子が描かれていました

伊咲は「心配症」が行動を制限し、それがストレスになってしまうし、丸太の父との距離感もそれぞれが責任が自分にあると思い込んでいるところから来ていました

 

これらの問題は一気に解決するものではありませんが、伊咲と丸太が夢中になれるものができたことで、彼らなりの行動力が生まれ、それが親たちの心配を吹き飛ばしていくことにつながっていましたね

 


インソムニアとは何か

 

インソムニアInsomnia)」とは。入眠困難や短期覚醒などを伴う睡眠障害のことを指します

日中に眠気を催したり、活動力の低下、躁鬱状態に陥ることもあります

不眠症を引き起こす可能性として、心理的ストレス、慢性痛、心不全、甲状腺機能亢進症、むずむず脚症候群や更年期障害などがあります

映画の伊咲は心臓病手術後の心理ストレス、丸太の方は母親の失踪による心理ストレスにあたると考えられます

 

不眠症の治療方法として、睡眠衛生Sleep Hygiene、臨床医による睡眠分析と対策などを含む比較的古典的な治療法)やライフスタイルの変更などが行われます

睡眠衛生の場合は、一定の就寝時間の設定、静かな環境の整備、日光への曝露、定期的な運動が施されます

ライフスタイルの変更は、不規則なライフスタイルの見直しなどがあり、この二つは薬物療法に至る前の段階で行われることの方が多いとされています

睡眠薬の使用は、効果があっても、副作用としての傾眠による怪我、認知症や薬物依存症などとの関連が指摘されていて、通常の使用は「4〜5週間」に限定されることが推奨されています

まずは、薬物に頼る前に、その原因となる生活習慣や心理的要因の場合はその緩和に努めることが良いということですね

 

症状として、入眠困難(快適な寝る姿勢の難しさ)、夜中に目が覚めて寝れなくなる、日常業務や記憶定着の困難、日中の眠気、イライラ、憂鬱や不安、疲労感とエネルギーの低下、集中力の低下、攻撃的あるいは衝動的な行動の発現などがあります

発生原因として、原発性不眠症と呼ばれる起因要素が不明なものや、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠呼吸障害、特定の薬物(カフェイン、ニコチン、コカインなど)、アルコールや鎮静剤、心臓病、レストレスレッグス症候群(身体の不快感における睡眠時体動など)、周期性四肢運動障害(睡眠中に発生する運動障害)、持続的な痛み、ホルモンの変化(月経時、閉経期など)、精神的な緊張やストレスなどが挙げられます

こう見ると、多くの原因がありますが、いつなったらどうしようと考えることも、あまり良くないかも知れません

 


眠れない夜にはどうすれば良いか

 

私個人は重度の不眠症になったことはないのですが、軽度なら頻発する感じになっています

仕事が昼夜逆転のため、寝る時間も不規則で、当直中に暇なら寝る、日中に隙あらば寝るという感じになっています

褒められたものではありませんが、今なら隙間時間の10分などで仮眠して、次のスケジュールで動くということもあります

場合によっては、映画が始まる直前の宣伝と予告編の10分だけ仮眠する、なんて芸当もできるようになりました

ただし、体に良いとは思えないので、真似しないほうが良いと思います

 

不眠症には医学的な治療法がありますが、私自身が不眠症で悩んで病院に行ったことはありません

ひどい時は睡眠薬を使うことも考えましたが、今のところ使ったことはありません

基本的に「眠れない」という状況よりも、「眠る時間がない」ので、極度の睡眠不足になっているのですね

おそらくは不眠症の人の睡眠不足とは意味合いが違うので参考にはならないと思いますが、個人的にやったことのある対策をいくつか紹介したいと思います

 

当初は「何とか寝ようと」色々試みましたが、最終的には「眠くなったら寝れば良い」と開き直り、「目を閉じていても睡眠と同じ効果が得られるという俗説」を盲信して、時間があれば目を閉じて寝たふりをしています

入眠しやすい体勢というのはあって、私の場合は睡眠時無呼吸症候群予備軍みたいなところがあるので、横向きでないと寝られません

しかも、左肩を下にしないとだめという謎のポジショニングがあって、少しでも眠気が来た時はその体勢になるように心がけます

患者さんが来て寝るのは無理という段階だと、とりあえず腕組みをして体を支えて、座ったまま目を閉じてやり過ごします

眠気は瞬時に襲ってくる感じになっていて、ブログを書いている途中でも眠気が来たら「即中断」します

 

当直帯で仮眠がほぼ取れずに、そのまま映画を2本観るみたいなハードスケジュールになる場合もありますが、その時は一時帰宅の場合は10分でも時間があれば仮眠、最悪「映画の幕間で仮眠」を取ります

仮眠から目覚めるためにタイマーを10分に設定しておいて、鳴れば即行動、最低でも20秒以内には体を動かして起きる体勢にします

ソファーで仮眠の時はとりあえず座るという感じで、体の向きを変えます

幕間仮眠の時はタイマーをセットしませんが、この習慣を続けていると「なぜか仮眠は10分で目覚める」という感じに体が覚えてくれます

 

入眠誘導に際しては、真似するのはオススメしませんが、極限まで脳を使う、という感じになります

個人的には「脳が疲れたら眠りに入る」と考えているので、限界まで追い込む感じになりますね

脳が限界に達すると、視界不良が起き、タイピングができなくなり、頭の中にある言葉がタイピングできなくなるとか、思考がまとまらないとなると、即座に仮眠に入ります

結果的には、仮眠であれ、覚醒しないとパフォーマンスは上がらないので、トランス状態に入ったら継続は無意味なのですね

なので、どんなに途中でも「とりあえず保存」して、作業を止めます

 

仕事中に急な睡魔に襲われることがありますが、その時は仮眠モードに入ります

これは誰にでもできることではない(仕事の内容が違うので)のですが、事務仕事中だとそのまま腕組みして目を閉じますし、プラッターなどの機械作業中なら「エンジンを止めて、キーを抜いて」仮眠体勢に入ります

仕事中だと「電話が鳴る」「誰かに起こされる」の二択で覚醒させられますが、「隙あらば寝る」という感じで「リフレッシュを目的にする仮眠」なので、今のところは何とかなっていますね

思えば、学生時代やアルバイト時代でも「どこでも仮眠していた(ロール紙の上で寝たこともある)」ので、そういう基礎ができていたのかも知れません

 

結局のところ、ライフスタイルの中で「睡眠時間を決める」というのが効果的で、私の場合は昼夜完全逆転なのですが、体の睡眠のリズムには逆らえないところがあります

なので、深夜の2時から5時の間は、何かをしたくても仮眠体勢には入ります

運よく寝られればOKという感じに考えていますが、自分のライフスタイルの中で、どの時間がまとまって眠りに使えるかを決めておいて、それを起点にサイクルを決めると良いのだと思います

 

かつて、月〜水が当直、木明けから土までが日勤、土はそのまま当直というリズムで生活していましたが、この時が一番しんどかったですね

今では、毎晩当直なので、午前2時から5時の間にラッキータイムが訪れれば、翌日に支障をきたすことはほとんどありません

あくまでも「特異体質」だと思うので真似しない方が良いですが、日当直が入れ替わる人ならば、「どちらかに寄せる」方が楽だと思います

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作はにおけるインソムニアの設定は、丸太と伊咲の出会いの仕掛けのようなものになっていました

初めは不眠症で悩んでいる二人が描かれますが、その後は「不眠症が解消されていない」のに「昼間に活動的になって」寝ているシーンなどがほとんど描かれません

この映画の描写だと、夢中になれるものがあれば、心理的要因の不眠症は自然と克服できると思われても仕方ありません

 

また、伊咲の心臓病設定も、原作だと水泳部と兼務できるほど改善傾向ですが、映画だと山を少し登っただけでアウトという感じになっていて、不眠症よりも心臓疾患の影響の方が伊咲の行動を規制しているように思えます

伊咲の両親も「心臓病の再発」を恐れていますが、姉・早矢は「かわいそうだとは思わない」としても、両親との温度差が激しすぎるように思えます

この辺りは原作からの改変が尾を引いている感じで、作り込まれた世界観を部分だけイジった結果、その影響を細部まで考察できていないということになります

 

映画では、天文部存続のために動く丸太たちがいて、主題としては「不眠症による孤独からの脱却」になると思います

これまでは「自分はおかしい」と思っていて、それを誰にも言えなかったのですが、それが「目的の共有」によって、少しずつ柔和していくのですね

最終的に彼らの不眠症がどうなったのかは描かれませんが、本来ならば「不眠症であること」が仲間に認知されて、それをサポートし合うという流れの方が良いと思います

さすがにこのエピソードだけで治った!というわけにはいきませんので、せめて「孤独からの脱却」が「秘密の共有」に置き換わり、それによって「ストレスの軽減」が起こったり、「眠くなったら寝てもいいんじゃね的なパラダイムシフト&共感」があった方が親切だと思います

 

映画の目指す先が不明瞭のまま終わり、当初の主人公たちが置かれている状況の改善になっているのかどうかも微妙な感じになっている

本作のシナリオのテコ入れをするならば、「置かれている状況の変化」と「その変化をもたらしたエピソード」は必須項目で、それをどのエピソードにするかになると思います

不眠症の改善傾向としての秘密の共有がなされるのなら、集団への告知は必要ですし、秘密のまま孤独が癒やされるのなら、丸太が撮った写真によって変化が見えるといいでしょう

わかりやすいのは「孤独=風景のみ」「癒し=伊咲が被写体」ということなので、個人的には「遺跡の写真に伊咲が写っていたらOKだった」かなと思いました

その写真の存在が丸太の告白にもなっていると思うので、もう少しロマンティックにできたのではないでしょうか

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/386721/review/36bbc870-2bca-4c06-9d84-12db391c99f6/

 

公式HP:

https://kimisomu-movie.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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