■自分の中にある理想が目の前に現れた時、何もかもを犠牲にしても良いと思える瞬間が訪れるのかもしれません


■オススメ度

 

胸キュンピュアラブストーリーが好きな人(★★★)

キャストのファンの人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.8.23(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、111分、G

ジャンル:幼馴染と親友を中心にした六角関係を描いた恋愛映画

 

監督:酒井麻衣

脚本:大北はるか

原作:水野美波『恋を知らない僕たちは(集英社)』

Amazon Link(原作:Kindle版)→ https://amzn.to/3MfguSt

 

キャスト:

大西流星(相原英二:幼馴染の泉に想いを寄せる高校2年生、図書委員)

窪塚愛流(別所直彦:英二の中学から親友、泉の彼氏、陸上部)

莉子(汐崎泉:英二の幼馴染、直彦の彼女、転勤族)

齊藤なぎさ(藤村小春:直彦に想いを寄せる泉のクラスメイト)

志田彩良(池澤瑞穂:英二に想いを寄せるクラスメイト、図書委員)

猪狩蒼弥(瀬波太一:瑞穂に想いを寄せるクラスメイト、軽音部)

 

小宮璃央(上条タカヒロ:小春の彼氏、3年生)

 

戸塚玲陽(軽音部、ギター)

柴崎帆貴(軽音部、ベース)

中野晴太郎(軽音部、ドラム)

 

井上こころ(タカヒロの同級生)

後藤紗暮(タカヒロの同級生)

三角英恵(タカヒロの同級生)

 

佐久間大介(花火大会の露天商)

 


■映画の舞台

 

日本のどこかの高校

 

ロケ地:

福岡県:北九州市

西南女学院

https://maps.app.goo.gl/CP8ui8ozFh6hXDpM9?g_st=ic

 

福岡県:福岡市

福岡女子高校

https://maps.app.goo.gl/VMknUhR8M6LwpG7P8?g_st=ic

 

鷲尾愛宕神社

https://maps.app.goo.gl/NsmEHBF6kSGD7dGh7?g_st=ic

 

福岡市海浜公園

https://maps.app.goo.gl/aeUmPiyvuLZqFfKQA?g_st=ic

 

大濠公園

https://maps.app.goo.gl/jiRHKGuE2L3rn4zy7?g_st=ic

 

西公園

https://maps.app.goo.gl/1PH934rzFcChfuXt6?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

中学時代からの親友である英二と直彦は、転勤族の泉とも仲が良く、三人で行動を共にしていた

中学の終わりに泉の転校が決まったが、直彦はそこで泉への想いをぶつける

そして、二人は付き合うようになり、英二は歯がゆい想いを抱えることになった

 

高校に進学した英二と直彦は腐れ縁のようにつるんでいたが、ある日、同級生の小春が先輩からひどい扱いを受けていたところに遭遇する

二人は彼女に声をかけるものの、小春は失恋の痛手をフォローしてくれた直彦に恋をしてしまった

 

その後、泉が転入生として彼らの前に現れ、小春は直彦と泉が恋愛関係であることを知る

だが、彼女は自分の気持ちに素直な性格で、二人の仲を引き裂こうと考える

英二はその企みを見抜き、なんとか二人の邪魔をさせないように奮闘するものの、小春に自分の気持ちがバレてしまうのである

 

テーマ:好きはぶつけるもの

裏テーマ:誰かの幸せを願うこと

 


■ひとこと感想

 

明らかに少女漫画のジャニーズ映画だったので、初日はヤバいだろうなあと思っていましたが、若者がほぼ6割の席を埋めていましたね

黄色い声援が飛ぶということはありませんが、大人が観ると恥ずかしくて仕方ないという内容になっていました

 

ベースは4角関係で、そこから枝葉が分かれて二人がいる、というもので、とにかく好きになるのがめっちゃ早い人たちの集まりだったように思います

女性目線だと泉は不人気キャラで、裏のある恐ろしい女にも思えそうですね

逆に男目線だと、そういった部分が見えなくて騙されそうにも思います

 

取り扱っている恋愛模様は真新しいものではありませんが、同世代だと共感性は高めのように思います

なぜだがわかりませんが、青春期の初恋は衝動的で、言葉よりも先に行動が出てしまうのですね

ともかく美しいシーンが多いので、映像的には満足できると思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

幼馴染の関係から恋愛に行く人と友達で終わる人との悲哀があって、泉がそれをちゃんと伝えるシーンは良かったと思います

好きの種類が違うのですが、これはもう戻れない関係だったりするのですね

英二と泉は恋愛関係になる前に友達になってしまったので、泉の中の恋愛感情を引き出すのは難しいと思います

そんな時に現れたのが直彦で、彼とは異性を意識させるものがありました

この差が決定的なものになっていて、英二をずっと燻らせるものになっています

 

映画は、恋愛に向き合う様々な価値観が描かれていて、男性陣は「好きな人が幸せならば良い」というスタンスが共通していましたね

ある意味ファンタジーなのですが、その真逆の価値観のタカ先輩は随分と悪者になっていたと思います

この関係も小春が生み出しているところがあって、小春自身もその関係性を許容してしまっているところがあります

 

ラストでは、彼らの親友である太一が想い人・瑞穂に歌で告白をするのですが、それがどうなったのかは描かれていません

おそらくは想像にお任せしますという感じですが、太一がずっと押していけばワンチャンあるのかな、という感じになっています

エンディングよりも劇中歌の方が刺さる人が多そうですが、歌詞を監督が書いているというのはびっくりしてしまいましたね

てっきり原作者が作ったのかなとか思っていましたよ

 


友達という呪縛

 

本作は、6人の男女の恋愛が描かれていて、それが様々なハプニングを通じて、収まるところに収まっていく、という物語になっていました

初期の恋愛衝動から転じていく場合もあれば、サプライズなどで恋愛に落ちるというものもありました

 

それぞれの恋愛をざっくりと紐解くと、

英二(泉が好きだが言い出せず、泉のために工作をした小春と真剣になる)

小春(年上彼氏にフラれ、直彦の優しさに惚れ込むも振り向かせられず、工作のために付き合った英二と真剣交際を始める)

直彦(英二から紹介された泉と恋に落ち、そのまま交際を続ける)

泉(英二の恋心を知らぬまま友人関係になり、直彦と恋に落ちて交際を続ける)

瑞穂(英二に思いを寄せていたが断念、太一のアプローチに少しだけ心を開く)

太一(瑞穂に惚れていて、彼女の気持ちを最優先するものの想いは爆発する)

という感じになっていました

 

明確に恋愛関係になっていたのが直彦と泉で、英二と小春との関係は偽装恋愛でした

でも、直彦と泉が不動のために、英二と小春の恋愛は完全終了となっています

この際に英二が砕けたのが「先に友達関係になったから」というもので、この流れは恋愛映画のあるあるのように思います

 

もともとは泉にも恋愛感情があったと思いますが、英二はそれらしい素振りや想いを見せることなく自然消滅し、そこに直彦が現れます

直彦は英二とは真逆のキャラで、いわゆる王子様タイプでした

これが泉の中にあった幻想的な恋愛を現実化させることに繋がり、英二への想いを完全に断ち切ることになります

いつの世も、男女の関係は難しいものですが、友人関係になってから恋愛関係になるというのはハードルが高いのですね

それは、相手との関係性が先に規定されてしまったからで、それを覆すのは「友人」以外の関係でも難しいことからもわかると思います

 


区切りは転換点

 

恋愛映画あるあるとして、何かしらのイベント発生というものがあります

これは、行動を起こすための動機付けのようなもので、限定的なイベントは「期限を作ること」に繋がります

日常を過ごしていると区切りというものが訪れますが、恋愛などの感情の区切りをそれでつけられる人は少ないと思います

それでも、学生生活にはたくさんの区切りというものがあるので、感情のリセットをしやすい環境であると思います

 

入学式、卒業式、クラスがわりなどがあり、そのイベントではコミュニティそのものが変化します

コミュニテイが変化すると会う機会も少なくなってしまい、それによって関係が疎遠になってしまうということもあります

大枠で同じ学校内にいる、とかなら会う機会もありますが、違うコミュニティに属することになると生活リズムなども変わるので困難になってしまいます

 

学生生活には、このようなコミュニティチェンジ以外にも、学内交流を主としてイベントというものがあります

これは生徒同士が力を合わせて一つの目的を達成するという学習の一環なのですが、そこに恋愛的なものが乗りやすいと言えます

学校が大々的に交流してもOKという雰囲気を作り上げていることもありますが、それが行動を後押ししやすい状況を生みます

夏祭りの花火大会のイベントなどの外部イベントは「誘う」という行動が必要になりますが、学内イベントは放っておいてもやってくるものなので、リミットを設定しやすいと考えられます

 

それでも、このようなイベントで期限がついても、目的が違う場合が多々あります

想いを伝えて完結する場合と、その後の展開を考えている場合なのですね

卒業式などのコミュニティチェンジが起こる前に行われる告白は前者である場合が多く、その後もコミュニティが継続する場合は後者が多いように思います

映画ならば、文化祭というリミットを利用して告白する太一は、その後に瑞穂との関係を持ちたいと願っているので、その想いは未来に継続されるものと言えるのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、恋とは何かわからない学生たちが描かれていて、その着地点は無難なものになっています

英二が小春と付き合うことになるのは変化球のように思えますが、英二から見た小春という人物は自分にないものを持っている存在のように思えます

恋愛依存体質ではあるものの、想いを果たすためには手段を選ばず、自分の感情を常に肯定し続けるキャラでした

このまっすぐな感情と行動のリンクというものが英二にはなくて、その要素が少しでもあれば、泉との関係が変わっていたかもしれません

 

恋とは、その相手がそばにいなくても常に考えている状態を差しているのですが、英二は泉よりも小春のことを考えている時間が多くなっていたのだと思います

彼女が直彦に向かっていくのを止めるのも、本来ならば泉がフリーになるので利害が一致しそうではありますが、そう言った関係の始まりを良しとはしていないところがありました

自分の想いを完遂するために誰かを傷つけても良いのかというジレンマがあり、小春はそれを難なく突破していく気質がありました

小春目線だと、自分の行動で壊れるぐらいなら大したことはないと考えていて、実際には小春の行動は泉と直彦の想いをより強力にしていくだけだったとも言えます

 

この小春の行動で一番傷つくのは小春自身であり、英二はそれを見ていられなかったのでしょう

この時点では、小春への想いはなかったはずですが、少しずつ小春の行動が英二の心を侵食していくことになりました

それが泉に想いを伝えるシーンへと繋がり、彼自身の泉との恋は終わりを告げます

そこから英二は小春を意識するようになり、自分はそんな人間じゃないと思い込むようになります

それは、先輩にフラれた直後に直彦に行った小春と同じもので、そこまで自分が否定していた行動を自分が行おうとしていたからでした

 

でも、小春の先輩への想いは付き合っている間にすでに消えているし、英二の泉への想いもすでに薄くなっています

なので、実際には継続に見えて継続ではない、という状況なのですね

過去の恋愛を終わらせたい衝動が潜在的に存在していて、そのきっかけが同時に起こったに過ぎないのですが、潜在的な衝動を生んだものが実は別の異性の存在だったということは往々にあると思います

それは、目の前に現れるまでは自分の心の中にある種の理想として存在していて、それが小春にとっての直彦であり、英二にとっての小春だった、ということなのかな、と感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101551/review/04169359/

 

公式HP:

https://movies.shochiku.co.jp/koiboku-movie/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA