■怨霊化のロジックは、その解決のために必要な要素であるように思います


■オススメ度

 

コメディホラー映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.8.26(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、108分、R15+

ジャンル:夢のマイホームにて奇怪な出来事に襲われる一家を描いたホラー&コメディ映画

 

監督:白石晃士

脚本:安里麻里&白石晃士

原作:押切蓮介『サユリ(幻冬舎)』

Amazon Link(原作コミック)→ https://amzn.to/4dSkjtb

 

キャスト:

南出凌嘉(神木則雄:新居に引っ越しする中学3年生)

 

近藤華(住田奈緒:霊感のある則雄の同級生)

 

梶原善(神木昭雄:則雄の父)

占部房子(神木正子:則雄の母)

きたろう(神木章造:則雄の祖父)

根岸季衣(神木春枝:則雄の祖母)

森田想(神木佳子:則雄の姉、高校生)

猪股怜生(神木俊:則雄の弟、小学5年生)

 

久保遥(九条小百合:引きこもりの女)

   (少女期:照井野々花

森田亜紀(九条美里:小百合の母)

池田良(九条夏彦:小百合の父)

今城沙耶(九条春奈:小百合の妹)

   (幼少期:吉田萌果

 

志水九九美(大浦奈都子:三軒隣の住人)

ジェントル(龍玄:大浦の知り合いの霊媒師)

 

太田湧大(鈴木:則雄のクラスメイト)

大友至恩(田中:則雄のクラスメイト)

 

久保田智夏(市川:則雄の担任の先生)

 

藤田あずさ(クラスメイトが推すグラビアアイドル)

旭桃果(クラスメイトが推すグラビアアイドル)

 


■映画の舞台

 

日本のどこかの地方都市

 

ロケ地:

静岡県・熱海市

南あたみ第一病院

https://maps.app.goo.gl/oKL57heBcM8wJTPE6

 

ファミーユ伊豆の瞳

https://maps.app.goo.gl/fCggZERaSnzAVckW9

 


■簡単なあらすじ

 

父・昭雄の夢であるマイホームに引っ越すことになった中学3年生の則雄は、弟・俊が怖がるのをよそに、新しい生活に馴染み始めていた

則雄は、父と母・正子の間に生まれた2番目の子で、姉・佳子は高校生、駿は小学5年生だった

一戸建てに引っ越すことになり、祖父・章造、祖母・春枝と一緒に住むことになったが、春枝は太極拳の達人で、幼少期はそのしごきが大変だった

 

ある日、話したこともない同級生の住田に声を掛けられた則雄は、彼女か唐突に「気を付けて」と謎の言葉をかけられてしまう

困惑するものの、その理由はわからず、日々を過ごすことになった

 

その後、何も起こらないと思われていたものの、深夜に佳子が俊を殴るという事件が起こった

佳子はその時のことを覚えておらず、俊は「悪魔みたいだった」と言う

命に別状はなかったが、それ以降、自宅内で奇妙なことが起こり、そして、父が突然死してしまうのである

 

テーマ:復讐の矛先

裏テーマ:復讐に立ち向かう心

 


■ひとこと感想

 

原作のことは知らず、いつものJホラーなのかなと思って鑑賞

まさかの斜め上の展開に、場内ではすすり笑いが勃発していました

 

認知症の祖母が覚醒し、まさかの音量退治を始めてしまうのですが、後半で明かされるサユリの物語は鬼畜の所業以外に言葉が見つかりません

サユリの妹はちょっと可哀想ですが、両親に降りかかる厄災は仕方ないように思えました

 

とは言え、やはりコメディホラーをどう受け止めるのかというところが鍵で、ダメな人にはダメなんじゃないかなあと思ってしまいました

原作を知らない人は、ネタバレなしで観た方が度肝を抜かれるのではないかと思いました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

引っ越した先がヤバい家ということで、わかりやすく「前の住人に悪いことが起きたこと」を描いていました

冒頭の引きこもりの反抗と、それに怯える家族というものが描かれ、それが後半で意外な登場をすることになりました

 

霊感のあるクラスメイトも強烈なキャラで、その関係が一瞬で変わっていくのも面白かったですね

ガッツリと「やりたい!」って言っていたのを聞き逃していなかったのは笑ってしまいます

まだ、ちょっと早いぞ、と

 

映画は、ホラー要素のあるコメディ映画という感じで、シリアスな笑いをところどころ挟み込んでいましたね

館内の特に高校生ぐらいの笑い声が響く感じで、直接的なお笑いになっている感じでしょうか

地上波で放映できるかわかりませんが、あの言葉を根岸季衣が叫ぶというのは金輪際ないんじゃないかなあと思ってしまいました

 


怨霊のつくりかた

 

Jホラーは大体怨霊の類が出現し、奇怪な出来事に巻き込まれるというテイストになっています

本作のサユリも、幼少期の近親相姦から引きこもりがちになり、さらに家族に殺されるという顛末を迎えていました

さすがにこれで怨霊化しない方がおかしくて、さらに地縛霊になったために、その土地から動けなくなっていました

その後も、多くの家族が引っ越して来ますが、サユリを成仏させてくれる存在はいなかったと言えます

 

怨霊となるのは、強烈な恨みが生じる関係が生まれた時であり、自分だけがあの世へ行かされた時に生まれるのだと思います

何かしら強烈な執着が生まれ、それが地縛霊となるのですが、地縛霊が怨霊になるためにはもう1段階の何かが必要になってきます

その何かは「恨み」以外にはなく、自分をその感情に貶めたことに対する報復を考えるようになると考えられます

 

サユリの場合は、父親の性的虐待に加え、家族に殺されるというものがあったのですが、その中でも妹に殺意を持たれたことは強烈な恨みを発生させていたと思います

母親は父を見過ごした同罪ですが、妹は「自分を殺しにきた最初の人間」なので、一番「恨みを持っている存在」であると考えられます

両親からの仕打ちは耐えられ、それは性欲が湧かない姿に変わることで解決できました

でも、自分が殺される存在であると認知したのは妹が最初だったと言えます

なので、サユリという怨霊は、妹が死ぬことでしか、成仏できなかったようにも思えました

 


霊的対処を捨てることの意味

 

Jホラーにありがちなのは、祈祷師や術師などが怨霊を鎮めるもしくは祓うというもので、本作にも龍玄という霊媒師なるものが登場していました

通常だと、この霊媒師が打ち負かされるか、サユリを倒すという流れになりますが、本作の場合は「門前払い」を食らうという流れになっていました

これは結構斬新な流れで、何事もなく霊媒師が帰ることができた唯一の例のようにも思えます

 

映画は、サユリに対して霊的な力で対処するのではなく、怨霊化の原因を突き止めることによって問題解決をする方向に進みます

サユリの実態を知り、その家族を捕まえて自白させ、彼らに処罰を加えることでサユリの心を鎮めようと考えていました

そして、その圧倒的な力が弱まったことで、則雄の家族たちが一緒にあの世へと連れて行けるようになりました

 

これは、怨霊化の逆を行なっていて、自らが罰せない存在を誰かに罰せさせることによって、恨みというものが晴れてくると考えたからだと思います

怨霊にしろ、生体にしろ、その力の源は魂の力であり、それを弱めるためにどうすれば良いのか、というものがあります

春枝は太極拳を極めている人間なので、人間の強さや弱さの根源を知っていて、それが霊体であるサユリにも通用するのではないかと考えていました

それが功を奏するかたちになり、また、サユリ自身がしたかったことの代行者が現れたことで、一時的な霊力の低下というものを生み出すことに成功していました

 

この解決方法は意外と効果的なもので、トラウマの根幹となるものの解消というのは理に適っていると思います

そして、その解決策は自分ではできないもので、今の状況を生み出しているとも言えるのですね

サユリが生前に家族に対してそれができていれば、彼女は怨霊化しなかったのですが、それができない弱さというものが彼女の本質だったのでしょう

妹に害が及ばないように犠牲になって来たのに、どうしてその想いを理解してもらえないのか

それが今回のキーシークエンスだったのだと思います

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は必殺技「おまんこまんまん」というパワーワードが登場し、この言葉がサユリを弱めることにつながっています

レイプされた人間に対して「セックスしたい!」と投げかけるのは怒りを買いそうに思いますが、こちらが弱くては対抗できないというものがあり、そこで則雄が強く考えていることが言葉になる、というものになっていました

この言葉は短絡的に奈緒とセックスしたいというものなのですが、それは言い換えれば「愛を交わしたい」というものになります

これはサユリの人生では起きなかった出来事であり、それが彼女の動揺を生んだようにも思えました

 

サユリの影響を最初に受けたのは姉の佳子なのですが、それはサユリ自身のあったかもしれない未来だったからかもしれません

佳子が恋愛で充実しているかどうかというのは映画では描かれませんが、愛される娘というポジションが得ていたので、一番の嫉妬の対象になっていたように思います

さらに、サユリの怨霊化のトリガーである妹を彷彿させるものがあって、この殺される順番というのは意味があったように思えました

 

もし、サユリが一番最初に手をかけたのが違う人物なら、怨霊化のトリガーの答えは別のものになっていたと思います

母親がトリガーなら母親が先に殺されていたと思うし、父親に恨みを抱いていたのなら、父親が真っ先に殺されていたのでしょう

また、春枝はサユリの家族を痛めつけますが、彼女にはサユリのトリガーがわからないので、適当な順番で痛めつけていくことになりました

でも、意外なほどにサユリの怨霊化の原因の順番になっていて、もしかしたらサユリから感じていたものをそのまま行動に移した結果だったのかな、と思いました

 

このあたりの細かな描写までははっきりと覚えていませんが、物事には理に適った順番というものがあるので、もしかしたら「サユリの恨みと連動して被害が出て、その解消の順番に痛めつけられた」のかもしれません

霊的なものに合理性があるかどうかはわかりませんが、その実態は人間なので、根幹的には同じなのでしょう

そう言ったことを踏まえると、自分の身に何か起きた時の対処法になるかもしれません

私には霊感がまるっきりないので何も見えませんが、誰かの恨みのトリガーになるようなことだけはしないように生きていきたいなあと感じました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101479/review/04183406

 

公式HP:

https://sayuri-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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