■LOST LAND/ロストランド
Contents
■オススメ度
移民の現実を体感したい人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.4.24(MOVIX京都)
■映画情報
情報:2025年、日本&フランス&マレーシア&ドイツ、99分、G
ジャンル:ロヒンギャたちが命懸けで密航する様子を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本:藤元明緒
キャスト:
ムハマド・ショフィック・リア・フッディン/Shofik Rias Uddin(シャフィ:ロヒンギャの少年)
ソミーラ・リア・フッディン/Shomira Rias Uddin(ソミーラ:シャフィの姉)
Aisha(アイーシャ:シャフィとソミーラの叔母)
Kafayatulla Nurul Isiam(祖父)
Mohammed Yousuf Abdu Rashid(ユスフ:シャフィを助ける青年、船上で歌う)
Md Yasin(ヤシン:国境で二人を助ける青年)
Husni Mubarak(助ける青年)
Sitara Begum(セタラ:シャフィを引き取る母親)
Soyedui Amin Abul Husson(引き取る母親の息子)
Shamshu Alam(国境のブローカー)
【バングラデシュ・パート】
Noor Islam(アイーシャの息子)
Abu Taher(船上の老人)
Alicia bin(祈る女性)
Md Ali(祈る女性)
Michael(エージェントのリーダー)
Mohd Tarikh(船上のエージェント)
Abul Kasim Arif(船上のエージェント)
【タイ・パート】
Jack Choi(漁師の父)
Billy Chong(漁師の息子)
Alan Khairul(警察官)
Jimmy Chow Jun Meng(エージェント)
Sean Lim(エージェント)
Ady(エージェント)
Jody Shin(水をくれるタイ料理店スタッフ)
Ninew(小店のスタッフ)
Akmalhakim(タイの軍人)
Mohd Zakirul(タイの軍人)
Mohamad Rofique(国境付近のエージェント)
Nur Shana(子守唄を歌う若い女)
Md Ayes Najimullah(エージェント )
Nasaruddin Albab(国境警備隊)
【マレーシア・パート】
Abdul Rahman(エージェント)
Sadek(エージェント)
Anuar Islam(エージェント)
■映画の舞台
バングラディッシュ
タイ
マレーシア
ロケ地:
上記に同じ
■簡単なあらすじ
ミャンマー南部に位置するラカイン州に住んでいたロヒンギャの一族は、ミャンマー政府から不法移民とみなされ、国民登録カードなどを剥奪されていた
ロヒンギャの少年シャフィと彼の姉ソミーラも迫害から逃れるために国外に脱出する必要に迫られ、叔母のアイーシャ、祖母、近くに住んでいた青年ユスフ達とともにブローカーを頼る事になった
行き先はマレーシアで、そのためにはボートを使って沖合に出て、船に乗ってタイに向かう必要があった
脱出当日に船に乗り込んだ彼らは、2週間かけてタイ南部のある村に到着する
そこでブローカーたちに檻に入れられるものの、ソミーラは脱出を計画し、シャフィを連れて逃げる事になった
その後、サトウキビ畑などを転々としていたが、ロヒンギャの青年に見つかってしまった
二人は青年を追っていくと、そこには同じように迫害から逃れようとしていたロヒンギャたちがいた
そして、彼らとともにマレーシアを目指すことになったのである
テーマ:本能でたぐる命
裏テーマ:無慈悲の先にある呆然
■ひとこと感想
ロヒンギャという存在を知らず、あらすじなどをほぼ見る事なく鑑賞に至りました
なので、冒頭はどこにいるのかすらわからず、とりあえずマレーシアに向かう事だけがわかりました
パンフによると、出発地点はバングラディシュのあたりで、そこからタイを経由してマレーシアに入るという流れになっていましたね
このあたりの位置関係もわからないと流石に厳しいと思いますが、一般教養の範囲のように思います
映画は、ほぼドキュメンタリータッチで28日間を描くという内容で、一緒に逃げている感覚になります
彼らがほとんど状況を理解していないのと同じくらいの情報量でついていくという感じなので、本能的にどうするかというのが試されているように思います
日本国内にあんな感じの少年がいたら即通報されて保護されると思いますが、日常的に移民や難民が国境を越えてくる場所だと、そこまで反応しないのでしょう
パンフレットには、かなり詳しい情報と道端の人々までキャスト名として掲載されていましたね
そこで驚いたのが、「氏名」表記じゃない人が結構いたことですね
そこにも文化の違いというものが示されているのですが、それが意味を成すには最低限の家族の形がないとダメなんだろうなあと思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作のネタバレについては、ネタバレブログでも書かないほうが良い感じで、この展開には流石にビビってしまいました
ある意味、現実的という感じで、あのような場面で最優先すべきは自分のことだけと言えるのかもしれません
それでも、心優しき人だからあのような行動に移るわけで、その現実が生まれたのが「ソミーラが初めて劇中でお祈りをした直後」というのが意図的なのだと思います
映画では、ムスリムたちが迫害を受けて逃げている様子が描かれますが、これが宗教対立ではなく、国家の防衛戦になっているのが現実的なのですね
その理由は様々だと思いますが、この越境行為を野放しにしておくと、多くの問題が生じてきて、それはやがて人権問題にまで発展して行きます
日本でもステルス移民政策の末に様々な問題が起きているのですが、もともと文化の違う民族同士の共生というものは難しく、土着的なものへの浸潤というものに拒否反応が示されるのは当然のことでしょう
それを人権的になんとかしようとする人たちがいるのですが、彼らは全ての面倒を見るわけではなく、そこにはこの映画に登場するようなビジネスにしている人たちもいるという現実があります
映画では、そこまでのことは描きませんが、どこかで聞いたことのあるような現実がそのまま描写されている印象がありましたね
誇張をしているわけではないけれど、これくらいのことは行われているであろうと思える奇妙な感覚
それに対して、個人で何かができるわけではなく、問題が顕在化した時にはすでに遅いという現実があります
それを食い止めようとする動きが起こるのも必然なのですが、それほどに「文化の違い」というものは困難な問題を生み出して行きます
そして、やはり「祈りを捧げる人々が無慈悲に死んでいく」というのがなんともやるせない気持ちにさせられますね
最後まで祈ることすらしなかった人々が生き残っていることを考えると、信仰とは何なのかを突きつけているようにも思えました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
移民問題が語られるとき、そこには必ず文化の衝突というものが起点になっているように感じられます
文化の根底に宗教観があるのですが、それはあるコミュニティの結束の中に根付いている価値観があって、それを広めるのが宗教の役割のように思います
法律が生まれるよりも先にコミュニティを統括するものがあって、それが人生の指針のようになってくる
宗教というものがどのように生まれて広まって行ったかは諸説あると思いますが、同時多発的に地球のあらゆるところで生まれて、それぞれが派生していることを考えると、人間という存在は、自身のアイデンティティの確立や、コミュニティの存続のために「共通認識を言語化しなければならない存在」であるとも考えられます
法律が生まれる前に機能していたのが宗教で、それがもう少し現実的に落とし込んだのが法律だとすると、その言語化の根源が違うと相入れないという現象が起きます
それが昨今で生まれている文化の衝突のひとつの要因と考えていて、法律というものが宗教の教義を包括的に捉えている事も要因のひとつなのでしょう
それぞれの基軸で多文化共生を図ろうとしている部分があって、様々な場所で起こる文化観の軋轢に関しても、宗教的な拒否反応と法律的な拒否反応というものがあるのですね
これが法治国家と宗教国家の大きな違いだと考えられます
この観点において、共生というものが何なのかを考える必要があり、その前提条件を飛び越えて、どちらかの観点で強制していくと、うまく行くものも行かなくなってしまいます
ある文化圏において、どの価値観が最優先されているのかを捉える必要があるのですが、価値観の優先順位というものを根底に置く前に行動を起こすと、根本が違うので話し合いにすらなりません
人が人を理解するためには様々なものがあると思いますが、その中でも最優先すべきは「何を許さないか」という価値観であると思います
それをないがしろにして、宗教的あるいは法治的な価値観のどちらかで物事を進めて行くことは愚の骨頂と言えるのではないでしょうか
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/104326/review/06428530/
公式HP:
https://www.lostland-movie.com/
