■鳥のアニメで「FLY」は良いのかと、小一時間問い詰めたい気分ですねえ
Contents
■オススメ度
冒険アニメが好きな人(★★★)
飛行シーンの爽快感を堪能したい人(4DXが良いかも)
■公式予告編
鑑賞日:2024.3.20(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
原題:Migration(移住)
情報:2023年、アメリカ、83分、G
ジャンル:出不精のマガモ一家の初めての旅を描いたアドベンチャー映画
監督:バンジャマン・レネール
脚本:マイク・ホワイト
キャスト:
クメイル・ナンジアニ/Kumail Nanjiani(マック:マガモ一家の心配性の父)
エリザベス・バンクス/Elizabeth Banks(パム:マガモ一家の母)
トレシ・ガザル/Tresi Gazal(グウェン:マガモ一家の娘)
キャスパー・ジェニングス/Caspar Jennings(ダックス:マガモ一家の落ち着きのない息子)
ダニー・デヴィート/Danny DeVito(ダン:マガモ一家の叔父)
イザベラ・メルセード/Isabela Merced(キム:ダックスが一目惚れする渡り鳥一家の娘)
演者不明(エリー:キムの母)
演者不明(ジョー:キムの父)
キャロル・ケイン/Carol Kane(エリン:旅の途中で親しくなるサギ)
音声なし(ハリー:エリンの夫)
オークワフィナ/Awkwafina(チャンプ:ニューヨークのハト軍団のリーダー)
キーガン=マイケル・キー/Keegan-Michael Key(デルロイ:マンハッタンのジャマイカ訛りのオウム)
デヴィッド・ミッチェル/David Mitchell(グーグー:ヨガトレーナーのアヒル)
音声なし(ニューヨークのコック、デルロイの飼い主)
【日本語吹替】
堺雅人(マック)
麻生久美子(パム)
ヒコロヒー(チャンプ)
関智一(デルロイ)
鈴村健一(グーグー)
野沢雅子(エリン)
黒川想矢(ダックス)
池村碧彩(グウェン)
羽佐間道夫(ダン)
芹澤優(キム)
谷山紀章(ジョー)
喜多村英梨(エリー)
愛河里花子(グーグーの仲間)
■映画の舞台
アメリカ:ニューイングランド地域
ムースヘッド池
アメリカ:ニューヨーク
マンハッタン
ジャマイカ
■簡単なあらすじ
ニューイングランド地域のとある池では、マガモ一家がのんびりと暮らしていた
父マックは巣をメンテナンスするのが趣味で、息子ダックスと娘グウェンがところ狭しとはしゃぎ回っている
インドアな夫を不満に思っている妻パムは、もっと自由な生活をしたいと考えていた
ある日、彼らの家に渡り鳥の一群がやってきた
これからジャマイカに向かうとのことで、羽を休めに降りてきたという
ダックスはその一群の女の子キムが気になって仕方なく、彼女らを追って飛び立ちたいと考えていた
だが、マックは旅は危険なだけだと断罪し、一向に首を縦に降らなかった
そこでダックスたちは、叔父のダンを味方に引き入れて、父を説得しようと試みる
ダンは「ここにいると安全で、ずっと一人でいられるぞ」というものの、その言葉に将来の不安を感じたマックは、一転して旅に出ることを決意する
そして、ダン叔父さんをも巻き込んだ一家は、渡り鳥が目指す南へと飛び立つことになったのである
テーマ:定住の先にあるもの
裏テーマ:冒険の先にあるもの
■ひとこと感想
明らかに子ども向けのアニメで、しかもほとんど字幕版がなかったので、やむを得ずに祝日に吹替版を鑑賞
ものすごい子どもの数で、カオスな劇場ではありましたが、子どもたちは楽しんだんじゃないかなあと思いました
とは言え、前半で登場するサギのビジュアルなどはほぼホラーで、子どもが泣き出してしまうのではないかと心配になってしまいます
ハトのチャンプが何度も車に轢かれたりと、コメディ部分もややブラックだし、後半の対コック戦もなかなかのスリラーだったように思います
物語は、行ってそのままという物語になっていますが、この冒険でちゃんと成長できたのは良かったとは思います
でも、メッセージも子ども向けで、大人が得られるものってほとんど無さそうなんですよね
外にある危険と、留まることによる危険というものをもっと掘り下げられたら良いのになあとは思ってしまいますねえ
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作にネタバレがあるのかは分かりませんが、一応無事に到着するという安心の物語でもありました
街以外にもたくさんの危険がありますが、総じて「人間が一番危険」に描かれていて、それは「食材」だからだったりするのですね
しかも人間が動物を食する方法というのは、食べられる側からすると結構エグいんじゃないかなあと思ってしまいます
映画は、引きこもりのマガモ親父が「ここにいてはいけない」と思い立ったところから物語が始まりますが、その心変わりは結構唐突なものがありましたね
叔父を見て「これではいかん」というもので、失礼極まりない感じがしないでもありません
たくさんの動物(ほとんど鳥)が出てきますが、もっと野獣系が多くても良かったかもしれません
空中で狙ってくる鷹みたいなのとか、夜は猛禽類に狙われるなんてのもバリエーションがあっても良かったかも
人間に襲われるのがクライマックスになっていますが、野生の動物を捕獲して食材にするコックというのがリアリティに欠ける感じがありました
それなら「趣味」で動物を撃ち殺す人たちに理不尽に狙われる方が怖さがあったのではないでしょうか
■旅をする目的とは何か
本作は、出不精のマガモ一家が旅に出るという物語で、池の中のことしか知らない子どもと、外の世界に憧れを抱く母と、外の世界に出るのが億劫な父というものが描かれていました
今ここにある幸せでいいじゃないかという父と、自由にいろんなところに行きたいと考える母がいますが、一応は父親の判断を尊重しているように描かれています
マックは叔父の言葉「一人」に反応していて、おそらくは「妻が子どもたちを連れて出て行ってしまう」と思ったのかなと思います
そこからは人が変わったように外の世界に傾倒していくのですが、その判断への後悔というものはなかったように思います
可愛い子には旅をさせよと言いますが、旅することで「自分の世界が広がる」というのは事実でしょう
見識を深めることを目的にすると色々と考えてしまいますが、「こっちの道を行ったらどこにいくの?」という感じで「興味のある方向に向かう」というのは良いと思います
とは言え、方向感覚がヤバいとか、あまりにも無知すぎる場合は用心が必要だと思います
子どもは勝手にどこかへ行ってしまうものですが、意外と「勝手にどこかにいく」というのを利用して、子ども行動様式を見守るのも良いかもしれません
目を離さないようにして、子どもの危険を取り除きながら、どこに向かおうとしているのか
それを知ることで、子どもが本能的に感じていることが理解できるかもしれません
そして、その延長線上に旅というものがあるのならば、十分に危険を認識させた上で、快く送り出してあげれば良いのかな、と思います
目的はそれぞれですが、その多くは「この場に居続けるとヤバい」という感覚だと思うのですね
そう言った感覚はとても大事で、その時に動けないと、本当にヤバくなっても動けなくなってしまいます
そう言った意味においても、好奇心の裏側にある恐怖心というものは放置しない方が良いと言えるのではないでしょうか
■経験値が人生を愉快にしてくれる
旅はわかりやすい経験値のアップに繋がりますが、その先でずっとスマホをいじってゲームをしているとか、その土地にしかないものを食べるとかしないとほとんど意味がないと思います
わざわざ北海道まで行って、マクド美味しかったでは悲し過ぎるので、全国のマクドの限定品食べ歩きをしている猛者でなければ、色んなものを食べたり観たりするのが良いと思います
旅以外でも「自分でできるかどうかをやってみる」ということは大事で、個人的な話でダークなところを言えば、いわゆるグレーゾーン金利の過払い請求とか、行方不明で発見された父の相続放棄などを自分でやったことでしょうか
できないと思われがちなことでも、今では情報はたくさん転がっているので、はじめはプロに頼らずにやってみても良いのかな、と思います
話が一気にダークな方向に行きましたが、会社を設立して潰したりとか、株式取引をしたり、FXに参加したり、さらには仮想通貨に手を出したりとか、Open SeaでNFTを作ろうとしたりなども、とりあえず何でもやってみましたね
このブログもその一環で、レンタルサーバーの契約、ドメインの所得など、色んなことを独学でやってきました
プログラミングも初心者レベルではありますが、サイトの装飾などでHTMLの意味がわからないと困るので、その構成ぐらいはわかる程度に初心者向けコースをオンラインで受講してみました
このような知識は本やブログで読んでもイメージが湧きづらいもので、実際にやった方が早いと思います
旅行はあまり行かないのですが、一時期ポケモンGOにハマっていた時には、バイクで近畿一円、イベントで横浜(電車)に行ったこともあります
競馬が好きなので、出資馬がGIに出走した時などは、関東圏の競馬場まで足を運ぶことがあります
ディープインパクトが三冠を達成した菊花賞、負けた有馬記念なども現地参戦しましたね
あの時の空気感というのは今でも覚えていて、言語化できない経験値というものは、多くの感覚を成長させる様子になると言えます
文字や映像から想像を膨らませることもできますが、五感全てを使って感じる体験というものは、脳内妄想を遥に凌駕します
そう言った意味において、致命傷にならない経験というものはできるだけ享受した方が良いのではないでしょうか
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、完全に子ども向けのアニメなのですが、親子連れの鑑賞を想定している割には、大人にはキツい内容だったように思います
基本的には「親には教訓、子には共感」という鉄則がありますが、主人公がマガモ一家の父ということになっていて、そこに共感する子どもはいないと思います
また、物語としての教訓性というものがほとんどなく、外は危険だけど楽しいで結んでしまって良いのかは微妙なところかな、と感じました
映画は、4DXとかなら楽しめそうですが、自然を飛ぶ爽快なシーンは少なめで、ニューヨークに入ってからの危険なフライトばかりが目についていたように思います
たくさんの危険が登場しますが、実は良い人だったサギとか、車に轢かれまくっても大丈夫なハトなど、主人公一家よりも濃すぎるキャラが多かったですね
渡り鳥にとっての危険が「都会の人間」というのもどこかピントがズレている感じがして、もっと自然界の恐怖というものを落とし込んだ方が良かったように思いました
原題が「Migration(移住)」なので、邦題を考えるのに苦労したとは思いますが、本作の内容だと「マガモ一家と危険な街」みたいな感じですよね
「FLY」を強調されても、そこまで飛んでいたイメージがなくて、「ハエ」「唐揚げ」などと勘違いされてしまいそうですね
ちなみにスタート地点のニューイングランドはコネチカット州、メイン州、マサチューセッツ州あたりで構成されている場所で、アメリカの東部付近になります
ゴール地点はジャマイカ(キューバ南)なので、2500kmも離れているのですね
飛んで向かおうと考えるところが凄いと思いますが、本来の渡り鳥は本能で向かっているので問題はないのでしょう
疲れたら休めば良いと思いますが、風に乗ればそこまで体力を使わないのかもしれません
想像もつかない世界ですが、長距離トラックだと5日間で移動する距離だそうです
それを考えると、ドライバーさんは凄えなあと思ってしまいますね
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/99797/review/03626755/
公式HP:
https://fly-movie.jp/