■生き続ける者が目指す世界は、過去の二番煎じで甘んじる世界ではない気がしてなりません
Contents
■オススメ度
『踊る』シリーズに思い入れのある人(★★★)
前作で期待値を上げた人(思いっきり下げてください)
■公式予告編
鑑賞日:2024.11.15(MOVIX京都)
■映画情報
情報:2024年、日本、115分、G
ジャンル:事件に巻き込まれた少年少女を保護している元管理官が事件に巻き込まれる様子を描いたヒューマンドラマ
監督:本広克行
脚本:君塚良一
柳葉敏郎(室井慎次:引退した元警察官僚、管理官)
福本莉子(日向杏:室井の元に転がり込んでくる女の子)
小泉今日子(日向真奈美:連続殺人犯、杏の母)
齋藤潤(森貴仁/タカ:慎次が里親となって育てている少年、被害者の息子)
前山くうが&前山こうが(柳町凛久/リク:慎次が里親となって育てている少年、加害者の息子)
緋菜&千尋(シンペイ:室井の愛犬)
松下洸平(桜章太郎:警視庁刑事部、捜査1課)
西村直人(仁狩英明:警視庁刑事部、管理官)
筧利夫(新城賢太郎:秋田県警察、本部長)
矢本悠馬(乃木真守:秋田県警の巡査)
真矢ミキ(沖田仁美:警察庁長官、官房審議官)
丹生明里(大川紗耶香:タカの同級生)
稲森いずみ(松本敬子:児童相談所の総務部長)
松本岳(端野則次:児童相談所の職員)
小沢仁志(石津百男:牧場の経営者)
飯島直子(石津紀子:百男の妻)
園田祥太(石津トモアキ:石津夫妻の息子)
木場勝己(長部音松:地区長)
いしだあゆみ(市毛きぬ:商店の店主)
加藤浩次(柳町明楽:リクの父)
マギー(国見昇:20年前の事件の加害者)
平島厚志(三波行:秋田県警の刑事)
長田拓郎(喜内三津留:商店の若者)
原沢侑高(商店の若者)
勝沼優(商店の若者)
小笠原道拓(商店の若者)
堀内京(紗耶香の彼氏?)
野口千優(タカのクラスメイト)
熊倉媛子(タカのクラスメイト)
髙橋ピロリ(医者)
畠山ななみ(看護師)
入江龍樹(進:リクのクラスメイト)
宇陽大輝(リクのクラスメイト)
長尾翼(リクのクラスメイト)
古米翔大(捜査本部の刑事?)
内田航(捜査本部の刑事?)
木林優太(古本屋さん)
佐藤愛純(ニュースのレポーター)
相葉詩織(ニュースのアナウンサー)
シャバ駄馬男(ラジオのパーソナリティー)
バリトン伊藤(ラジオのパーソナリティ)
笠井伸輔(ラジオのアナウンサー)
織田裕二(青島俊作:警視庁刑事部の捜査支援分析センターの職員)
■映画の舞台
秋田県:北大仙市
ロケ地:
新潟県:十日町市
ミティラー美術館(室井宅)
https://maps.app.goo.gl/uXccwzPFYSSVXDc89?g_st=ic
秋田県:仙北市
秋田県立角館高等学校
https://maps.app.goo.gl/uU1ZeP8v1tMvmpVz7?g_st=ic
田村商店
https://maps.app.goo.gl/vJPX8dkoPdQ5e2Uw6?g_st=ic
ラーメン46
https://maps.app.goo.gl/N1Wx9p6ZKMwwzZLX8?g_st=ic
妙乃湯
https://maps.app.goo.gl/7jKGLUiPd91vofa17?g_st=ic
新潟県:魚沼市
松尾ファーム
https://maps.app.goo.gl/iUcRLQ8s7yHN6L7w5?g_st=ic
ゆ~パーク薬師
https://maps.app.goo.gl/bDyjqmvGy3YdfQ9C7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
前作にて、死体遺棄事件に巻き込まれた室井は、何者かの手によって納屋を燃やされてしまった
地元民は犯人を捕まえるべきだというものの、室井は被害届を出さなかった
警視庁の桜は、室井に防犯カメラの映像を見せ、そこにある人物が映っているのを見つける
桜は削除することができると言って、席を立つことになった
室井は事件が起きても変わらぬ生活を送っていたが、リクの父が出所し、新しい生活を始めることを知らされる
児童相談所は親元に返すことを決定するものの、室井はどこか違和感を感じていた
そして、接見禁止と言われながらもリクの父に会い、「リクは人を怖がるので、手を挙げないと約束して欲しい」と告げた
リクのいない日常に空虚さが伴う中、事件は思わぬ方向へと向かっていく
それは遅々として進まぬ捜査本部を嘲笑うかのような犯人からの電話で、室井はその音声を聞いて、ある人物だと確信し、桜に告げた
テーマ:人として生きる道
裏テーマ:子どもを育てるのは誰?
■ひとこと感想
前作どころか、テレビシリーズから追いかけてきたにわか系のファンですが、さすがにこの終わり方をするとは思いもしませんでした
それは悪い意味で予想を裏切られたというもので、この結末にどれだけの人が感無量だと思えたのかはわかりません
詳しくはネタバレのところで書きますが、ぶっちゃけるとガッカリしたの一言に尽きると思います
映画は、なぜか死体遺棄事件に巻き込まれた謎を追っていき、さらに真奈美の娘までもが室井の元にやってきました
終始不穏なムードの中、あの火事の犯人はネタバレ的なサプライズもありません
でも、彼女がなぜそれをしたのかなどの「動機」の部分に関しては、刑事ドラマでそれをしたらおしまいだろうというものでした
これは、本編にあたる死体遺棄事件も同じで、この顛末だけで星がつかないレベルだったと思います
一応はヒューマンドラマということで、室井の子どもたちへの愛を試すという流れになっていますが、そのために必要に思えるエピソードはほとんどないと思います
児童相談所が登場する流れでも、児相は無能と言いたいだけで、事件後に彼らの弁明とかフォローなども一切ありませんでした
ともかく、話をまとめきれておらず、シナリオ教室に通った方が良いんじゃないのレベルでしたね
ラストにサプライズがありますが、だから何?、てかなんでそのナリ?みたいな違和感が募るエンドロール後だったように感じました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
思いっきりネタバレで文句を言うので、観た人以外はここでスクロールをやめてくださいね
と言うことで、鑑賞後(正確には途中)で「観るのやめてもいいかな」と思った今年最初の映画だったと言えます
桜の妄想のくだりで「この映画にかける時間が惜しい」と感じましたし、さらになんの前触れもなくシンペイが雪原に飛び出して、そこから予定調和のお涙エンドには腹が立ちました
刑事ドラマの解決編で刑事が妄想を語って終わりと言うのはおそらく前代未聞で、しかもその内容が「ぜんぶ真奈美が洗脳していた」と言う意味不明のものになっています
となると、杏の洗脳はいつどうやって解けたんだとか、そこまで特殊詐欺グループのある行動だけをコントロールできるのかなど、理解不能な部分が多すぎるように思います
さらにはシンペイが突然行方不明になって、それを追いかけた室井が死体で発見されると言うのもファンを馬鹿にしたような内容でしたね
せめて、父が怖くなってパニクったリクを追いかけて行ったとかなら理解できますが、ここでなんで犬?と言う感じになっていたと思います
その後も、ざっくりと警察無線で説明して終わりだし、いろんな人が訪ねてきて泣いて終わりとかも無茶苦茶だったと思います
そして、挙句の果てには「死んでから登場するのか」と言う彼の存在で、明らかに「新城と青嶋で続編作る気満々じゃないですかエンド」になっていましたね
しかも、ボロボロのコートを着てかつての繋がりを彷彿させるとか、仏前にすら手を合わせずに帰るとか、彼がその行動を取るとはとても思えないのが残念だったと思います
あのシーンを挿入するなら、無線で連絡が入ったけど、それを無視して室井の家のドアを叩いて終わる、とかになるのではないでしょうか
■スピンオフで許されるレベル
本作は、『踊る』シリーズの最新作ということで、主に引退した室井慎次の人生というものを描いていました
前半では、秋田に戻った室井と地域住民との関係性を描き、彼が養子を育てていることがわかります
そんな彼らのところに、かつての被疑者・日向真奈美の娘が転がり込んでくる、という内容になっています
室井の住んでいる向かい側の湿地帯で死体が発見され、それによって、再び捜査に戻ることになるのかを期待されるものの、すでに一般人である室井はそこまで積極的には関わろうとしません
それでも、現地の警察にシンパがいて、駆り出される中で、かつて取り逃した犯人が関わってくる、という流れになりました
前作のラストは、いよいよ管理官・室井慎次に再登板なのか!みたいな盛り上がりを見せて終わるのですが、後半はまさかの展開を迎えます
この内容をこの時期に公開しようとした意味はほぼ不明で、これから『踊る』シリーズを復活させようとしても無理が多すぎると思います
青島なくしての『踊る』はあり得ないし、室井と絡まない青島もあり得ないと思います
そんな中、本作では室井を退場させるということが念頭に置かれていて、それがどのような形になるのか、というところが焦点だったと思います
そのラストもまさかの展開で、悪い意味で語り継がれる続編となってしまいました
映画化に際して、前後編に物語を分けているのですが、実質的には「室井慎次の生き様」というものを追っていく映画だったと思います
それを考えるならば、じっくりとワンクールのドラマ版でやった方が良かったと思うし、映画にする意味があったのかはわからないのですね
スクリーンで観る必要があるシーンはほとんどなく、秋田の雪景色が綺麗だなあぐらいのものなので、どうしても描かれていることが地味に思えました
なので、引退後の引越しから丁寧に描いて、養子を取ることになった経緯とか、その後の生活をじっくりと描いて欲しかったと思います
そうした中で、大小の事件が起きて、それにどうやって関わっていくかという前提を描いた上で、「最後の2話は映画にする」というドラマにありがちなパターンを使った方が興行収入は伸びたでしょう
それでも、このラストだとワンクール付き合ったファンから物騒な手紙が届いてしまいそうですが、それぐらい期待外れな内容だったと言わざるを得ないと思います
■勝手にスクリプトドクター
本作は、室井慎次の引退後を前後編で分けて描いていましたが、最後さえよければ全て良しの典型的な評価の作品になっています
シリーズに思い入れの多い人ほど「ふざけるな」という感じになっていて、「室井慎次を退場させるにも他にも色々あるだろ」と思われても仕方のないことだと思います
映画を公開させるに至る大人の理由というのは色々とあると思いますが、室井慎次を物語から下ろすことは確定事項だったようですね
それ自体は構わないと思うのですが、ファンのついているキャラクターをどのように脱退させるかというのは非常に悩みの種だと思います
前半のラストでは、室井慎次が現場に復帰するのでは?と思わせる終わり方をしていて、現場の指揮官などから疎まれるという流れを汲んでいました
本庁から参加の命令をさせるというくだりのためにあるようなもので、聞き覚えのある声だから、みたいな感じであっさりと犯人を断定するみたいな流れになっていました
事件に関して、ここからどのように雪下の死体に繋がるのかと思えば、あっさりと「言葉で説明して終わり」だし、しかもイチ捜査員の「想像」で無理やり締めるという暴挙に出ていました
彼の想像に何も言わない室井も大概ですが、刑事映画としてこんな雑な事件の終わらせ方は初めてのように思います
その後、室井は犬を追って雪の中に突入して帰らぬ人になるのですが、これも「犬を追いかけて」というのが意味不明でしたね
そこは「リク、タカ、杏」の誰かだろうと思いますし、物語の流れを考えるならば、日向真奈美の洗脳関連を事件のキーシークエンスにしているのなら、杏に掛けられた洗脳か何かを絡ませた方が良かったように思います
ラストにはあの男が登場しますが、彼が線香をあげること無く去るというのも彼らしくないように感じました
結局のところ、室井慎次を殉職させることもできなければ(もう一般人なので単なる被害者ですが)、事件を解く最重要人物にすることもできない
子育ての延長線上で子どもを探してということもできず、青島俊作との再会も描けない
ぶっちゃけると、映画を作る意味はないと思うのですね
なので、このシナリオを手直すよりも前に、企画段階から詰め直すしかなかったように思いました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
久々に室井慎次を見れたということで、ある程度は満足していますが、さすがにこの終わり方は「大人の事情が入り混じりつつ、大した決断もできないまま、お金儲けだけしたのかな」という感覚が残りました
今をときめくテレビ局の制作で、今後を決める重要なコンテンツの転換期だったように思います
メインキャラクターとの死別に関して、遺体すら映らないので、生きていても不思議でないし、この手の演出方法は「助かっているパターンの方が多い」ように思います
とは言え、今後も室井慎次が登場するドラマを作れるかと言われれば、もう無理と言わざるを得ないでしょう
青島俊作が戻ったことによって、彼自身のドラマが始まる可能性はありますが、今更彼の物語を紡いで何になるのかは分かりません
見たい人がいるかもしれませんが、かなり高齢の部類で地方に回されているような状況でもあるので、そこから下剋上的に現場に舞い戻るのでしょうか
もし、室井慎次が何者かに殺されでもしたら前線に復帰する理由になりますが、愛犬を探しに行って死んだみたいな感じだと、「室井さんらしいね」みたいなセリフで終わってしまうように思います
なので、青島俊作がどのような動機を持って現場に復帰しようとするのかが見えてきません
この手の一度終わった作品を甦らせるというのは、ネタ切れ宣言にも等しいもので、それはコンテンツを公開する場所の多様性によって、クリエーターが希薄になっているからだと思います
かつては、テレビと映画しかなかった時代だと、コンテンツを発表する場所はそこしかありませんでした
そんな中、オリジナルビデオアニメ(OVA)のブームがあり、テレビでは流せないし、映画では回収できないけど、というコンテンツを披露する場が生まれました
でも、今は地上波、BS、CS、ネット配信、映画など、多様な公開の場があって、クリエイターの数が追いつかない時代になっています
ワンクールのドラマにしても、1ヶ月で公開される量に俳優の供給や成長も追いつかないし、作り手も奪い合いのようになっています
そんな中で、何かしらのコンテンツを作るとなると、強烈なキャラを生み出すか、長期的なシリーズの構想を練って始めるしかありません
頭の中ではいろんなコンテンツを作れても、それを実行するマンパワーはほとんどありません
そう言った中において、確実に「コケないやつ」という思考回路のもと、昔の名前を引っ張り出すというのが後を絶たないのだと言えます
パブリックドメイン(著作権フリー)になったキャラを使っての二次創作ホラーもたくさん出ていますが、そういったものに頼らないと何も作り出せない状況になってきているのかもしれません
才能がある人は、需要が大きい業界に行くし、見返りが大きい方に行くのは当たり前だと思います
クリエイターにとっては当たる当たらないよりも作りたいものを作れて発表できるかどうかが優先されていて、ぶっちゃけると見てもらうためだったら、Youtubeで無料公開でも良いのですね
なので、そう言ったクリエイターを「お金が回るルートに組み込んでいくムーヴメントが必要」であり、それが「昔の名前で確実に当てる作品」では弱いと思います
それよりは、ある程度の権限と資金を与えつつ、その後につながって行くような回収資金の分配方法などを整備していく方が先だと思います
そう言ったルートはすでにあるのですが、知っている人はそっちの方向に集まるので、なおのこと、昔の名前(テレビ局もすでにこれ)で縋りたい人のところは集まらず、空洞化が起こってしまうのは必然のように思えてしまいのだと感じました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101719/review/04472620/
公式HP:
