■ママと神さまとシルヴィ・バルタン
Contents
■オススメ度
母の愛と呪いについての物語に興味のある人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2026.5.21(MOVIX京都)
■映画情報
原題:Ma mère, Dieu et Sylvie Vartan(私の母、神様、そしてシルヴィ・バルタン)、英題:Once Upon My Mother(かつての私の母について)
情報:2025年、フランス&カナダ、103分、PG12
ジャンル:内反足で生まれた少年と母親の愛を描いた伝記映画
監督&脚本:ケン・スコット
原作:ロラン・ペレーズ『Ma mère, Dieu et Sylvie Vartan』
キャスト:
レイラ・ベクティ/Leïla Bekhti(エステル・ペレーズ/Esther Perez:ローランドの母)
ジョナサン・コエン/Jonathan Cohen(ロラン/ローランド・ペレーズ/Roland Perez:内反足で生まれた少年、6人兄弟の末っ子、成人期)
(3~5歳:Gabriel Hyvernaud)
(5~7歳:Naim Naji)
(5歳、9歳:Liam Hinfray)
(11~13歳:Noé Schecroun)
ジョセフィーヌ・ジャピ/Joséphine Japy(リジー・ゴズラン/Litzie Gozlan:ロランの大学時代の恋人、のちの妻)
リオネル・ドレー/Lionel Dray(マクルーフ・ペレーズ/Maklouf Perez:ロランの父)
ジャンヌ・バリバール/Jeanne Balibar(フルーリー夫人/Mme Fleury:児童福祉のソーシャルワーカー)
シルヴィ・バルタン/Sylvie Vartan(シルヴィ・バルタン/Sylvie Vartan:ロランがのめり込むフランス人歌手)
ミロ・マシャド=グラネール/Milo Machado-Graner(ジャック・ペレス/Jacques Perez:ペレーズ家の長男)
(16~21歳:Nina Bouffier)
Iliana Belkhadra(ニコル・ペレーズ/Nicole Perez:ペレーズ家の長女)
(11歳:Zakeline Varesis)
Naël Rabia(エドモン・ペレーズ/Edmond Perez:ペレーズ家の次男)
(10歳:Eliott Taché-Maréchau)
Gabriel Alves Marques(リシャール・ペレーズ/Richard Perezペレーズ家の三男)
(5歳:Nehlen Hachelafi)
Jim Belleé Geffray(ジャックリーン・ペレーズ/Jacqueline Perez:ペレーズ家の次女)
(8歳:Ayoub Baccar)
アンヌ・ル・ニ/Anne Le Ny(ヴェルジュポシュ夫人/Mme Vergepoche:接骨師の妻)
Ariane Massenet(ソフィー・D/Sophie D:ロランの成人期の親友)
Gladys Cohen(ベナユン夫人/Mme Benayoun:エステルの友人)
Valentine Atlan(コレット・ベントリラ夫人/Mme Colette Bentolila:エステルの友人)
Anna Lebovits(フローラ・ダアン夫人/Mme Flora Dahan:エステルの友人)
Yaël Dyens(ヤスミン・ファラート夫人/Mme Yasmine Fahrat:エステルの友人)
Luc Sitbon(アロルド・ペレーズ/Harold:ロランの息子、青春期)
(24~28歳:Baptiste Carrion-Weiss)
(8歳:Yanis Ben Seghaier Cromier)
Romy Moukvoz(ロリー/Lorie:ロランの娘、長女)
(22~24歳:Sophie Arama)
(6歳:Capucine Guimet)
(赤ん坊:Antoine Venet&Valentin Venet&Léandre Calvagnac&Arséne Calvagnac)
Haïly Yssembourg Da Cunha(ルディヴィーヌ/Ludivine:ロランの娘、次女)
(18~20歳:Alice Abraham)
Astrid Whettnall(マイル・コルボー/Mile Corbeau:児童舞台芸術学校のバレエの先生)
Christophe Kourotchkine(バタニー医師/Docteur Balthany:ロランの幼少期の主治医)
Gérald Cesbron(コーヘン氏/Mr. Cohen:一家を気にかける八百屋の主人)
François Perache(ハウティエ医師/Dr. Hauthier:リジーの主治医)
Franck Mercadal(マリモン医師/Dr. Marimon:リジーの主治医)
Loïc Guingand(産業医/Médecin de la production)
Gilbert Coudurier(ドラマのプロデューサー)
Cédric Moreau(レコードの販売員/Vendeur disque)
Bertrand Goncalves(レコードの販売員/Vendeur disque)
Caroline Gay(ヴァグ/Vagh:精神科医)
Roland Perez(「d’école des enfants du spectacle」の監督)
Julia Duchaussoy(若い頃のシルヴィ・バルタン)
David Ayala(フェンキノス氏/Mr. Foenkinos:ロランの顧客)
Agnès Afriat(リジーの母親)
Didier Brice(腫瘍学者/Oncologue)
Yvon Martin(アシスタント)
Jean-Noël Martin(検事/Procureur)
Antoine Pinquier(舞台監督/Régisseur)
Zohar Wexler(スイス教授/Professeur Suisse:大学の教授)
Benjamin Gauthier(ユペール/Hubert Le Forestier:森林管理人)
Léonard Barbier(もう一人のアシスタント)
Edouard Michelon(断る医師)
Pascal Voglimacci(断る医師)
Nicolas Dangoise(断る医師)
Philippe Dusseau(ジャック・シラク/Jacques Chirac:フランスの大統領)
Ary Szenkier(ラビン・エリヤホウ/Rabin Ellyahou:シルヴィの秘書)
Victor Barbier(法学生/Etudiant en droit)
Laurent Gerra(ジョニー・ハリディ/Johnny Hallyday:シルヴィの共演者、声)
Jean-Bohémond Leguay(ピアニスト)
Justine Pesin(シルヴィの秘書/La secrétaire)
■映画の舞台
1963年、
モロッコ
フランス:パリ13区
ロケ地:
フランス
アルプ=マリティーム
パリ近郊
■簡単なあらすじ
1963年、のちに弁護士として活躍するロランは5人の兄姉と両親のもとに誕生した
だが、生まれながらに内反足だったロランだったが、母エステルは頑なに装具をつけることを拒んだ
そして、多くの医師のもとを訪ね、聖人たちに祈りを捧げていたが、その甲斐もなく、小学校に通学する年頃になってしまった
それでもエステルは「立てるようになるまで学校には行かせない」と言い切り、ソーシャルワーカーのフルーリー夫人を「クソ女呼ばわり」して態度を硬化させ続けた
その後、自宅で勉強をさせるという約束で、接骨師の施術を受けることになったロランは、姉たちのアイドルだったシルヴィー・バルタンに傾倒するようになった
一日中彼女の曲を聞かされて苦痛に感じていた家族だったが、シルヴィーが好きな戯曲などで読み書きを覚えるようになり、フルーリー夫人もその努力を認めざるを得なかった
それからロランは演劇、バレエなど多くのことに打ち込み、やがては母の望む弁護士への道を行くことになった
そして、法学院にてリジーと出会い恋に落ちた
母はリジーを気に入っていたが、彼女はすでに結婚をしていて、それ以上の関係は難しいと思われた
だが、ある夜に奇跡は起こる
その奇跡は二人を結びつけ、3人の子どもを授かるようになった
幸せな日々が約束されているかのようだったが、ある影が彼らに忍び寄っていたのである
テーマ:愛と呪い
裏テーマ:人生のスタート地点
■ひとこと感想
母の愛が深くて強すぎるという系統で、それによって、自我を持った頃にはウザく感じてしまう、という内容になっていました
冒頭は成人したロランがパソコンに向かっているシーンで始まり、これから描かれる映画が彼と母親との自伝であることがわかります
原作をそのまま忠実に再現している感じで、シルヴィ・ヴァルタン本人も登場します
若年期は別の俳優さんが演じていましたが、雰囲気はよく似ていたように思いました
内反足という「生まれつき足首が内側や下方向に向いている先天的な変形」のことを言います
母はその変形を矯正しようと考えていて、手術や装具などに頼らずに治したいと思っていました
彼女が思う理想系がよくわからなかったのですが、接骨師の矯正によって立てるようになり、歩くことができるようになりました
1960年代のことなので、内反足に対する理解や偏見のことをある程度知っていることが前提のように思えました
映画では、矯正術を施している間にシルヴィのビデオに励まされたというもので、彼女の代表曲でもある「Irrésistiblement(あなたのとりこ)」がラストで流れていました
シルヴィの生粋のファンでもないので、「この曲を歌っていた人なのね!」という感じでした
幼少期にファンだった人の顧問弁護士になったロランですが、そんな彼女がロランの生い立ちを知ることで「母親との物語を残した方が良い」というアドバイスを受けます
それによって描かれたのが原作ということになっていました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画は、幼少期の矯正、少年期の活動を経て、大学にて運命の出会いを果たすことになりました
そこで出会ったリジーとの生活も描いていくことになり、彼女との出会いも結婚も母親が支配していた、みたいな感じになっていました
それを指摘されたことでロランの堪忍袋の尾が切れるという展開になっていて、ある意味、母親が一線を超えてしまった瞬間のように思えます
このことがあってから、距離感が変わってしまい、それがさらなる後悔を生むことに繋がっていたと思います
母と息子の関係は特殊で、それはロランが内反足で生まれたことも理由の一つでしょう
それによって、疎外された兄弟もいたわけで、その内面がどのような波紋を広げていたのかはわかりません
映画では、兄弟との不仲のようなことは描かれないのですが、さすがに描く年月が長すぎて、かなりダイジェスト的になっていたと思います
どのエピソードを主軸にするかで物語の質は変わりますが、映画としては、素直に1から説明する、みたいなテイストになっていたと思います
その流れが人を感動の渦に巻き込むかは何とも言えないのですが、個人的にはあまりハマらなかったですね
シルヴィ・ヴァルタンだったことも偶然と言えば偶然なのですが、その後に出会ったリジーのことを考えると、ロランの好みのビジュアルだったようにも思えます
結局のところ、憧れの人の顧問弁護士になるのですが、彼自身は「ファンではない」という付き合い方wしたいと考えていて、母親が自分とシルヴィの間に入ってくることを、かなり嫌がっていたように感じました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、かなりパーソナルな内容で、いわゆる一般化されづらいものが根幹にあったと思います
母親の愛情の濃さにはハンデがあったから、という部分もあったと思うし、それは弱者としてロランを見ていたから、のように見えます
いわゆる「過保護」状態になっていて、親離れをできなかったというものですが、その執着はなかなか強烈なものがありました
ロランから見れば、自分の事務所の中に母親のスペースを作らないという方策で離れを加速させますが、「顧客には死んだと言ってくれ」と言い放つのはホラーのようにしか思えません
彼女自身の生きがいというものがロランの人生そのものであり、死ぬまで影響を与え続けたかったのかもしれません
それは世代を超えて孫にまで波及するのですが、この一連の様子をロランの兄姉たちがどのように見ていたのは気になりますね
自分に向かわなくて良かったと思うのか、それとも自分たちはぞんざいに扱われたと思っていたのか
兄姉たちの年齢差を考えると、エドモン14歳、ジャック12歳、ジャクリーヌ12歳、ニコル11歳、ルディ10歳、リシャール5歳のような間隔になっていましたね
5人産んでなおもというところに当時の風潮のようなものがあるように感じられます
映画の後半にて、ロランは初めてと言って良いくらいに「父親と二人きりで話す機会を設ける」のですが、それに関しても母親の過干渉ぶりはすごかったですね
ハブられることを極端に怖がっているのかはわかりませんが、ここまでくると執着を超えているようにすら思えてしまいます
母親の愛情の深さは時には呪いになってしまうのですが、このケースも愛情を飛び越えていると言えます
どの時点でどれだけ距離を取れば良いのかに正解はないと思いますが、自分の思い通りの人生を歩んでいるということに危機感を持てなければ変われなかったと思います
それに気づかずに無頓着だったのか、あえて見ないようにしていたのかなどはわかりませんが、単に隠し事が嫌いなだけにも見えます
彼女は思ったことを言わないとダメな人間で、大統領から勲章を貰った後にも「クソ女」呼ばわりしていたので、この性格は死んでも治らないんだろうなあと思ってしまいました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/105329/review/06539576/
公式HP:
https://klockworx.com/mamakami_movie
