■何とかなるって思える元気は、あの時の彼に必要なものだったのかもしれません
Contents
■オススメ度
フィリピンパブに興味のある人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.4.11(MOVIX京都)
■映画情報
情報:2023年、日本、114分、G
ジャンル:フィリピンパブの実態を調べていた大学生が騒動に巻き込まれる様子を描いたヒューマンドラマ
監督:白羽弥仁
脚本:大河内聡
原作:中島弘象 『フィリピンパブ嬢の社会学(新潮新書)』
Amazon Link(原作新書)→ https://amzn.to/3Uc3Nwl
キャスト:
前田航基(中島翔太:フィリピンパブを研究対象にしている大学院生)
一宮レイゼル(ミカ:フィリピンパブ「マリポーザ」のパブ嬢)
ステファニー・アリアン/Stefanie Arianne(アキ:ミカの親友、「マリポーザ」のパブ嬢)
浦浜アリサ(アリスママ:ミカのパブ「マリポーザ」の店長)
田中美里(池内薫:翔太の大学の先生)
津田寛治(会長:ミカの身元引受のヤクザ)
飯島珠奈(李:ミカのマネージャー)
仁科貴(小久保正義:ミカの偽装結婚の相手、ヤクザ)
近藤芳正(シバタ:パブ狂いの客)
勝野洋(柏原警部:地元の警察)
藤原基樹(警部に監視を託される警官)
鈴江あずさ(小川:訪問巡回の婦警)
宮本忠博(中島陽平:翔太の父)
五十嵐美紀(中島ちひろ:翔太の母)
Arrian Labios(ミカの父)
Geraldin Aleria(ミカの母)
Kyla Galang(ミカの妹)
Adela Talampass(ミカの祖母)
Jose Talampas(ミカの祖父)
Uchiyama Lerma(マリア:「MOON RIVER」のパブ嬢、翔太がコンタクト)
Ramos Marjorie(ジャネット:「MOON RIVER」のパブ嬢、最初に付くパブ嬢)
Raine Dione(ミズキ:「MOON RIVER」のパブ嬢、シバタに呼ばれる若い娘)
Mark Anthony Viray(サンディ:客引きの男?)
岸本華和(綾香:翔太の大学の友人)
イマニ・スタンフォード/Emai Stanford(カナコ:翔太の大学の友人)
■映画の舞台
2014年~2015年
愛知県:春日井市
フィリピン:マニラ
ロケ地:
愛知県:春日井市
イーアス春日井
https://maps.app.goo.gl/Czic9YNGyCXbbymK8?g_st=ic
白山亭
https://maps.app.goo.gl/9YkLyJkEnJ8z9VRbA?g_st=ic
フラワーショップ・レトワール
https://maps.app.goo.gl/LFBHM3NTxu14c8HK7?g_st=ic
落合公園
https://maps.app.goo.gl/UqCQgbJHJMraaaVt7?g_st=ic
鬼ヶ島公園
https://maps.app.goo.gl/oTfd1guHx7wddmAZ9?g_st=ic
中部大学
https://maps.app.goo.gl/P9B7nUPJCD3ZrvdG7?g_st=ic
■簡単なあらすじ
中部大学の国際関係学科の大学院生の中島翔太は、論文のテーマを「フィリピンパブの実態調査」として、フィリピンパブに出向くことになった
教会でパブ嬢と落ち合って「MOON RIVER」に出向いた翔太は、そこでパブ常連のシバタと出会う
翔太は同世代から話を聞きたくて、失礼を承知で「若い子はいませんか」と聞いてしまう
シバタはミズキという女性を呼び、翔太は警察のような質問を始めてしまった
数日後、街頭の客引きに「シバタさんの紹介で」と伝えた翔太は、「マリポーザ」というパブを案内される
そこには少し年上のパブ嬢・ミカがいて、彼女は母国にいる家族のために出稼ぎで来日していた
タレントビザではなく、偽装結婚でファミリービザを所得している彼女の背景にはヤクザがいて、そんな中でも翔太とミカの距離は接近してしまう
パブに通うお金のない翔太は、「外で会えないか」とミカに告げ、彼女は休みの日に彼と会うことになった
近くのショッピングモールに出かけたりしながら、マネージャーの李に見つからないか怯えるミカ
翔太はシステム化されたパブの仕組みを論文にまとめながら、ミカとの距離を近づけたいと考えていた
テーマ:システムと需要
裏テーマ:生きていく覚悟
■ひとこと感想
映画館のスケジュールは大体新作が上の方に並んでいるのですが、MOVIXのウェブスケジュールではなぜかめっちゃ下の方にありましたね
評判が良さそうだし、映画館前にでっかいポスターもあったのに扱いが小さくでびっくりしました
映画は、実録系ということで、パブの実態調査をしていたら、いつの間にか対象者に恋をしていた、というものでした
どの時点で恋愛的な要素が生まれていたのかはわかりにくいところがありますが、このあたりも実体験なのかもしれません
物語は、案の定という感じて裏社会の人間が登場しますが、スッカスカな感じが面白かったですね
その理由は最後にわかるのですが、そんなものなのかなあと思ってしまいました
経済格差があるのはわかりますが、フィリピンで仕事がない「程度」というものがわからない感じになっていました
そこまで踏み込むと別の映画になってしまいますが、現地で仕事がなくて日本に出稼ぎに来ているのにiPadは買える環境というのは不思議な感じがしましたね
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
ネタバレというほどのものではありませんが、ヤクザだと思っていたのが実は違ってというものですが、むしろ中途半端な裏社会の人間の方がヤバいように思えてしまいます
パブ嬢を日本に送り込むのはシステム化され、それは広く流布していて、タレントビザで入るダンサー、偽装結婚でファミリービザで入る人などが描かれていました
映画を観ていて思ったのは、「フィリピンパブの実態を論文で書いて発表したら筋の人に狙われるんじゃないか?」というもので、その後「手口バラされた危ない人から何もなかったのか」は気になってしまいます
公然の事実として、実態が伴えば偽装結婚も取り締まれないと思いますが、税金関係をクリアにしていれば問題ないのかもしれません
物語は、どんどん深みにハマっていく翔太を描きながら、このまま突き進む覚悟があるのかが試されていきます
いきなり契約書見せろは大人の対応ではありませんが、このあたりも含めて学生さんなんだなあと思ってしまいます
■フィリピンパブの歴史
フィリピンパブとは、日本においてフィリピン人が接客するタイプの飲食店で、飲酒、会話、ショーやカラオケなどで楽しむ場所となっています
1970年代に日本人観光客の旅行先としてフィリピンが選ばれ、マニラにある歓楽街は日本人男性から人気を博していました
その後、フェルナンド・マルコス政権のクーデターをきっかけに、日本人客の足が遠のいてしまいます
70年代のフィリピンブームの少し前あたりから、日本にフィリピンのバンドなどが来日し始め、ディスコやクラブでの演奏を始めます
その流れを受けて、フィリピン人の入国には「興行査証」が発行され始めます
そして、80年代から、キャバレーにフィリピン人エンターテナーを「ホステス」として起用し始めます
先の政権交代を機に日本人観光客のフィリピン離れが起こってしまい、それによってフィリピンから日本に来るホステスが一気に増えていきました
2004年頃には、年間8万人以上のフィリピン女性が「興行査証」にて入国していたとされています
でも、この年にアメリカ合衆国国務省による「人身売買に関する年次報告書(Trafficking in Persons Report)」において、日本が人身売買容認国と名指しされてしまいます
フィリピン女性をはじめとした、若い外国人女性の日本入国は「性的搾取による人身売買であり、被害者である外国人女性を全く保護していない」とまで書かれてしまいました
その報告を受けた日本は、国連安全保障理事会入りを目標にしていた背景を受けて、興行査証の運用の厳格化に踏み切ります
2006年にて、興行査証の発行は従来比10%程度に激減し、日本中のフィリピンパブに大きな影響を及ぼします
今では、「日本人との結婚や育児のために滞在許可や永住権のある人」「親族訪問査証にて来日している人」「不法滞在者」などがなどが働いているとされています
映画では、この永住権の獲得のために偽装結婚する手口が描かれていて、それを就労契約のようにしています
実際に、偽装結婚ブローカーの暗躍によって、多額の借金を背負わされて、強制労働をさせられるというケースに至ってるものもあるとされています
今では査証の所得の際に指紋採取を伴うJ-BIS(Japan Biometrics Identification System)などの適用で来日が難しくなっていて、容易に査証が降りる国(韓国、台湾、香港、マカオ、中東など)に流れていっていると言います
それでも、日本のように水商売で働くケースはほとんどなく、家政婦や工場などで勤務しているとされています
■日本におけるビザ関連の問題
査証(Visa)とは、国家が自国民以外に対して、その人物の所有する旅券(パスポート)が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す証書のことを言います
査証は入国を保障するものではなく、あくまでも「入国許可」の申請のために必要な書類のひとつとして扱われています
不法滞在者の少ない信頼度の高い国ほど、「査証免除」と言うものが行われていますが、開発途上国は観光ビザから不法滞在するケースが増えていて、免除と言う概念はなかったりします
基本的には「入国する者に対する身元審査」であり、犯罪歴などがあって、不適格とされると発行されません
査証の発行は、主に各国に駐在する領事機関(総領事館、領事館、大使館領事部など)が発行し、入国審査は出入国管理当局が行います
なので、渡航前に領事館などへ出頭し、申請・所得するのが原則となっていますが、旅行代理店などの代理審査で認められるケースもあります
これらは、留学、就業などの長期滞在では必須の書類でありますが、観光や商談などの短期滞在においては査証免除と言うものが多くの国で行われています
日本における査証の種類は「外交査証、公用査証、就業査証、留学査証」などの「就労が認められる査証」と、「観光査証、一般査証、短期滞在査証、通過査証、医療滞在査証」などの「就労が認められない査証」と言うものがあります
この他には、個々の許可内容による「特定査証」と言うものもあります
他の国にも多数の査証の種類があり、その国に行く目的、出国元の職業などによって細かな区分があります
自分の渡航目的を明確にする必要があり、それによって必要な書類を揃えなければなりません
とは言え、正式なルートで申請して所得すれば問題ないわけで、今では電子版「JAPAN eVISA」なんてものもあったりします
このあたりの申請方法などを書いていくと日が暮れるので、外務省などのホームページを参考にして、正しいルートを使うことをオススメいたします
(個人的にはパスポートを所得するところから始めないといけないので、当分外国に行く気はなかったりします)
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
個人的には、水商売のお店が怖くて行けない人で、かれこれ50年の人生で「バーに行ったのが2回(勤めていた会社の系列)」「キャバクラに行ったのは1回(社長に連れて行かれた)」ぐらいで、「クラブ」には行ったことがありません
無論、安いと聞いていても「パブ」には行ったこともなく、店内の様子などは「テレビドラマとか潜入系の映像」ぐらいでしか知りません
そもそも繁華街を避けている傾向があって、何かの飲み会などの居酒屋とか、焼き鳥屋とかしか行かないのですね
その理由は、外で飲むのは高いからと言うのと、初対面の女性と話すのが苦手と言うところがあります
それでも憧れみたいなものはあって、『BAR レモンハート』『酒のほそ道』と言うコミックスはほぼ全巻家にあるし、自宅飲みの銘柄もこだわっています
個人的な体質で「コーンスターチ」「醸造用アルコール」がダメで、ビールも日本酒も飲めるものが限られています
なので、大半のアルコールが外では飲めず、自宅飲みの際も「アルコールの成分表示とにらめっこして決める」と言う感じになっています
それぞれが好きな飲み方をしたら良いと思うので、飲み会などで「これを飲め」みたいな強要さえ無ければ良いのでしょう
アレルギー体質かどうかは飲んでみないとわからないところはありますが、週末の救急は半分ぐらいが「お酒絡み」なので、不用意な飲み方はあまりオススメできません
新年会や忘年会などの急アルは日常茶飯事で、酒でふらついて転倒して通行人に救急車を呼ばれてしまうパターンもあります
お酒が入っていると受け身ができないのか、大体の人が後ろ向きに倒れて後頭部を怪我することが多いですね
それで脳出血になった事例も結構見るので、自分の飲酒許容量というのは知っておいた方が良いと思います
個人的には、1番美味しい状態の時に、1番美味しいと思う酒を飲むのが至極だと考えています
毎日のように安いお酒を浴びるのが楽しみの人もいますが、親族にアルコール依存症で死んだ人がいて、その人の部屋の惨状を思うと、ああはなりたくないと思ってしまいます
ワンカップ大関が6畳の部屋に1000本以上放置と言う状況
ちょっと想像していただけると、酒への節制ができてしまう理由がわかるかもしれません
映画は、飲まれる映画ではなく、お酒との付き合いは適度な感じになっていましたね
学生だからお金がないと言うこともありましたが、お店の人と外で会うのは結構すごい行動力だなあと思います
あの場所を夢のような場所だと思って現実逃避のために行く店だとしたら、外で会いたいとは思わないように思います
でも、店の外にいる素の相手を見たいと言う欲求が強ければ、翔太のように行動的になれるのかもしれません
とは言え、ヤクザっぽい人に喧嘩を売るのはなかなか強烈な体験ではありますが、本当のヤクザって、もっと距離感あるんですよねえ
この話はまた別の機会にするとしましょう
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/97796/review/03704849/
公式HP: