■黄金の河と関係する者が、実質的な主人公なのだと思います(答え合わせは後編で)


■オススメ度

 

インドの戦国映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.5.20(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題:Ponniyin Selvan:Part I(ポンニ河の息子:パート1)

情報:2022年、インド、167分、G

ジャンル:チョーラ王家の相続争いを描いた伝記系アクション映画

 

監督&脚本:マニ・ラトナム

原作:Ponniyin Selvan(ポンニ河の息子)

 

キャスト:

ヴィクラム/Vikram(アーディタ/Aditha Karikalan:チョーラ王家の皇太子、スンダラ国王の長男)

   (若年期:サントーシュ・シュリーラーム/Santosh Sriram

カールティ/Karthi(デーヴァン/Vanthiyathevan:アーディタの勅命を受ける戦士)

 

【チョーラ王家:王室関連】

ジャラム・ラビ/Jayam Ravi(アルンモリ/Arunmozhi Varman:アーディタの弟、スンダラ国王の次男)

   (若年期:Santhosh

トリシャー・クリシュナン/Trisha Krishnan(クンダヴァイ/Kundavai:アーディタの妹、スンダラ国王の長女)

プラカーシュ・ラージ/Prakash Raj(スンダラ/Sundara Chozhar:チョーラ王家の国王)

ヴィディヤ・スプラユニヤン/Vidhya Subramaniam(王妃/Vaanavan Maadevi:スンダラ国王の妻)

ラール/Lal(マライヤマン/Malayaman:王妃の父、家長)

 

ラフマーン/Rahman(マドゥランダカ/Madhurantakan:センビヤン皇太后の息子、正統後継を主張する本家の末裔)

ジャヤキトラ/Jayachitra(センビヤン/Sembiyan Maadevi:チョーラ王家の皇太后)

 

【チョーラ王家政治関連】

プラブ/Prabhu(ヴェーラール候/Periya Velaar:ランカ戦線の将軍)

ショービター・ドゥーリパーラ/Sobhita Dhulipala(ワーナティ/Vanathi:クンダヴァイの親友、ヴェーラール候の姪)

 

サラトクマール/R. Sarathkumar(パルヴェート候/Periya Pazhuvettarayar:チョーラ王家の財務大臣、ナンディニの夫)

アイシュワリヤー・ラーイ/Aishwarya Rai Bachchan(ナンディニ/Nandini / Oomai Rani:パルヴェート候の若き妻)

   (若年期:Sara Arjun

ヴィノーディニ・ヴァイディヤーダン/Vinodhini Vaidynathan(ヴァスキー/Vasuki:ナンディニの侍女)

シャクティ・ラァニ/Shakti Ramani(カニ/Kani:ナンディニの侍女)

 

パールディバン/Parthiban Radhakrishnan(カランダカ/Chinna Pazhuvettarayar:首都タンジャイの治安担当長官)

モーハン・ラーマン/Mohan Raman(アニルダ/Anirudhdha Brahmmarayar:チョーラ王国の宰相)

 

【デーヴァンとアーディタの交友関連】

ニカラブル・ラヴィ/Nizhalgal Ravi(カダンブル候/Sambuvarayar:カダンブル城の城主)

アシュウィン・ラーオ/Aswin Rao(カンダマーラン/Kandhamran:カダンブル候の息子、デーヴァンの友人)

 

ヴォクラム・プラブ/Vikram Prabhu(パールティバ/Parthibendran Pallavan:パッラヴェ朝の武人、アーディタの友人の戦士)

 

アシュワリヤ・ラクシュミ/Aishwarya Lekshmi(プーングラリ/Poonguzhali:アルンモリを慕う海の女)

アシュウィン・カクマヌ/Ashwin Kakumanu(センダン/Sendhan Amudhan:プーングラリの兄、花売りの男)

ヨーグ・ジャビー/Yog Japee(カルティルマン/Karuthiruman:シンハラ語を話せる漁師)

ニンミ・ラファエル/Nimmy Raphael(ラッカンマ/Rakkamma:漁師)

 

ジャラヤーム/Jayaram(ナンビ/Alwarkkadiyan Nambi:デーヴァンにつきまとう僧侶)

 

【パーンディヤ国関連】

キショール/Kishore Kumar G.(ラヴィーダサン/Ravidasan:パーンディヤ国の残党のリーダー格)

リヤズ・カーン/Riyaz Khan(ソーマン/Soman Sambavan:ラヴィーダサンの部下)

アルジュン・チダンハイム/Arjun Chidambaram(ワラグナン/Varagunan:パーンディヤ国の残党)

ヴィナイ・クマール/Vinay Kumar(デーヴァララン/Devaralan:パーンディヤ国の残党)

Harris  Moosa(カラパシ/Kalapathi:パーンディヤの残党)

Duresh Ekanmbarami(アファン・マラン/Aafhan Maran:パーンディヤの残党)

Anil Kumar(パスパティ/Pasupathi:パーンディヤの残党)

Nassar(パーンディヤ/Veerapandiyan:パーンディヤの国王)

Raaghavan Murugan(パーンデイヤ皇太子/Pandya Prince:パーンディアの皇太子)

Raghav(アマラブジャンガ・パンディヤン/Amarabujanga Pandiyan:パーンディヤ王の息子)

 

【諸外国】

バーブ・アントニー/Babu Antony(コッテッガ/Khottiga:ラーシュトラクータの国王)

バーラト・ラージ/Bharat Raj(カルカ/Karka:国王の甥)

A・シーモン/A Seemon(ウグラデーヴァン/Ugradevan:ラーシュトラクータ軍の将軍)

 

【その他】

Shyam Fernando(マヒンダン/Mahindan:アヌラーダプラの王)

Balaji Sakthivel(ヴァナンムディヤール/Vanangamudiyar:下位王)

Amzath Khan(マザヴァラヤル/Mazhavarayar:小国の王)

Aswin Rao(カンダマラン/Kandhamaran:カダンブルの王子)

 

Gopi Kannadasan(ダンブッラ・ビクシュ/Dambulla Bhikshu:?)

Jaichandram(タントンギ・カリングラヤル/Thanthongi Kalingrayar:?)

Kannan(クンドラトゥール・キジャール/Kundrathur  Kizhar:?)

Sundaram(マザパディ テナワン/Mazhapadi Thennavan:?)

Jaindhan(ムンヌディ・パラヴァラヤル/Munnudi Pallavarayar:?)

Nambi(ムッタラヤル/Muttharayar:

Heavens Raja(サイバイト:?)

Balla Bhoopalan(イドゥンバンカリ/Idumbankari:?)

 

Bharathiraja Sakthivel(城の将軍)

Manojkumar K(城の護衛)

Aadesh Bala(城の護衛)

Plabhu Mani(城の護衛)

 

カマル・ハーサン/Kamal Haasan(ナレーション)

 


■映画の舞台

 

10世紀頃の南インド

チョーラ王国とその周辺諸国

ラトカ島(現在のスリランカ)

 

ロケ地:

インド:

ポンディシェリ/Pondicherry

https://maps.app.goo.gl/BebH45V1d6SLfWZG8?g_st=ic

 

テランガーナ/Telangana

https://maps.app.goo.gl/gbRRDMf6wc8J8dzL6?g_st=ic

 

タイ:バンコク

 

タイ:

クラビー/Krabi

https://maps.app.goo.gl/J26jMN2n9wEpzdXz6?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

10世紀後半のインド・タミル地方には、チョーラ王朝が栄えていて、領土拡大のための戦争が行われていた

チョーラ王国の皇太子アーディタは北を目指し、弟のアルンモリは南方のランカ島を目指し進軍を開始していた

 

一方その頃、チョーラの首都タンジェイでは、かつて正統後継だったはずのマドゥランダカが王位継承を画策し、パルヴィート候たちが集まって秘密会議が行われていた

不穏な動きを察知したアーディタは、部下のデーヴァンを首都に向かわせ、秘密会議の内容を妹のクンダヴァイに伝えるように指示を出す

 

そんな最中、パルヴェート候が輿に妻ナンディニを連れて宮廷を訪れていたのに気づいたデーヴァンは、密行のナンディニに近づく

彼女は王家の指輪を彼に渡し、これを見せたら王宮に入れるという

 

そして、アーディタは首都に潜伏し、秘密会議の様子を観察することになったのである

 

テーマ:王家の諍い

裏テーマ:統治の裏にある個人の感情

 


■ひとこと感想

 

インドの歴史大作ということで、前後編が連続公開となっています

インドの南東部に流れているポンニ河流域を舞台にして、当時存在したチョーラ王朝の跡取り争いを描いていきます

 

前国王が隠居する際に正統後継者ではない系譜に権力を譲ったことで内紛が起きていて、王家の息子2人が戦地で領土拡大をしている間に隠密行動をしているという感じになっています

そのような動きを察知して、長男アーディタが密偵として送り込むのが、前編の主人公デーヴァンということになります

 

彼は「口がうまいキャラ」で、惚れやすい性格をしていましたね

彼にまとわりつく僧侶ナンビの秘密は明かされませんが、どう見ても敵側のスパイにしか見えません

あとはアーディタは悲恋、アルンモリはモテモテみたいな感じになっていますね

アーディタと因縁のあるナンディニの美しさは説得力がありますが、アーディタの妹クンダヴァイも絶世の美女という感じに描かれていました

この2人の暗躍が主たるストーリーを動かしていくのだと思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

前後編の物語で、前半はアーディタとナンディニの因縁がどんなものだったかを紐解く流れになっていました

それと並行して、デーヴァンが国家の裏側を覗いていくという感じになっていて、彼はいずれ大舞台に上がっていく存在なのだと考えられます

 

映画は、後半に向けての布石を残していきますが、パルヴェートの暗躍によってピンチになったアルンモリがどうなったのかというところで引きとなっていました

プーングラリが彼らを追って荒波の中に突入しましたが、この流れだと生きている可能性は高いのでしょう

でも、王室にはアルンモリが海の藻屑と消えたという報告が入っていて、それによってアーディタが激怒する流れになっていました

 

後半では、怒りのアーディタがナンディニを殺そうとするところから始まると思いますが、同時にデーヴァンが何者なのかを描いていくことになると考えられます

ナンディニの出自も不明なままになっているので、そこで何かしらのサプライズがあるのかな、と思いました

 


当時のインドについて

 

映画に登場するインド南部の国チョーラ朝Chola dynasty)とは、9世紀半ばから13世紀まで続いたタミル王朝でした

チョーラ朝の中心はカーヴェリー川流域の渓谷で、3世紀にわたって一つの国家として領土を保持していたとされています

この王朝が書物に記されているのは、最古の者で紀元前3世紀のものがありますが、現時点ではっきりしているのが西暦907年から1215年と言われています

紀元前600年頃の古代タミル文字などにも残されているようで、紀元前273年頃に記述があるとの主張もあります

 

チョーラ朝には4つの時期があり、初期チョーラ朝、空位期間、ヴィジャヤラヤによるチョーラ朝、後期チョーラ朝となります

映画は10世紀なので、ヴィジャヤラヤによって作られたチョーラ朝の頃を舞台にしていますね

チョーラ朝が海外征服を目論んでいた頃で、スリランカへの侵攻、マレーシアあたりへの進軍は、映画内の王朝が盤石になった後、ということになります

映画では、ランカ島(スリランカ)までは領土になっていて、チョーラ朝はその後、さらに領土拡大を東側の諸国へと向けていきます

 

チョーラ朝は、東南アジア地域に影響を及ぼし、交易を主体として富の拡大を行いました

映画の時点では、そこまで発展はしていませんが、ランカ島(現在のスリランカ)まで船団が行くなどの技術がありました

ちなみに映画の時期には、主人公たちのいるチョーラ朝、アーディタたちが滅ぼしたパーンデイヤ朝(チョーラ朝の南側)、チューラ朝(現在のケーララ州、西海岸側)があります

そして、当時のランカ島にはアヌラーダプラ朝というものがありました

 


今後の展開予想(wikiは見ない!)

 

本作は、続編ありきの作品で、すでに本国では公開されている『Ponnuyin Selvan:Ⅱ(邦題:PS2 大いなる河)』という作品が存在します

英語版ウィキなどは出揃っているので、どうなるかは調べればわかりますが、それでは面白くないので、『PS1 黄金の河』に出てきた情報でどうなるのかを予想したいと思います

 

映画の主人公はアーディタのように思えますが、それ以上に活躍したのがデーヴァンでした

彼の出自は謎のままですが、アーディタは「戴冠の準備をしておけ」と意味深なことを言っていたように思います

なので、アーディタが王となった場合、彼は側近として王国を支え、その後に続く可能性が示唆されていると思います

それでも、王家は血筋を重んじるので、全くの無関係だと1軍人で留まることになるでしょう

そうなると、血筋を引くものと結婚し、それによって直系の子孫を授かる存在となれます

 

この可能性が高いのはアーディタの妹クンダヴァイで、彼女にはこれと言った相手がいません

なので、彼女と結婚するというパターンはあるように思えます

おそらく、アルンモリはプーングラリによって助け出されていて、デーヴァンを救ったのは僧侶ナンビになると思うのですが、この流れになるのはナンビがナンディニに関係するスパイだからだと思うのですね

ナンディニは夫が目論んでいることを知るためにナンビをあの場所に寄越していて、デーヴァンの動向も一緒に探っていたのでしょう(殺されないように見守っているように思えます)

 

戦いに関しては、怒りのアーディタとナンディニの思惑が交錯する中で、おそらくは悲劇的な結末に向かうと考えられます

ナンディニを殺したけど、実は黒幕は別にいて、それを打ち負かすために無茶をするという流れで、そこでデーヴァンに託して、戦いの中で散るというイメージでしょうか

英語版ウィキで確かめることもできますが、それでは面白みもないので、『PS2 大いなる河』の公開にて本編を楽しみながら「え〜!」って驚きたいと思います

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、かなり登場人物の多い作品で、パンフレットの相関図や解説などを見て、ようやく頭に入ってくるという感じになっていました

おそらくインドでは、著名な戦国文学があって、日本人ならば源平合戦とか、戦国時代のような有名なエピソードのように思えます

言葉馴染みがないところが大変ではありますが、王家の正統後継者から外された一派が反逆を試みるというのはわかりやすい構図になっていましたね

映画は前後編でセットなので、評価するのは難しいのですが、前半の引きとしてはかなりわかりやすい繋ぎになっていたと思います

 

本作は、恋愛映画の要素も含んでいて、多くのカップル&候補というものが登場していました

アーディタは叶わぬ恋としてナンディニがいて、彼女のことが頭から離れずに、それを払拭するために戦いに没頭していました

デーヴァンにはこれと言った相手はいませんが、人たらしの部分があって、色んな女性と関わりと持っていきました

アルンモリにもこれと言った相手はいませんが、彼を慕う海の女プーングラリがいて、彼女は命懸けで彼を助ける覚悟を持っています

おそらくアルンモリは助かっていると思うので、これを機に命の恩人として側に置くことになると考えられます

 

このように、主要人物には美女がいるというわかりやすい構図になっていて、それがどうなるかを楽しむメロドラマ的なものもありましたね

また、インド映画特有のダンスも登場しますが、本作の場合は場面の切り替わりにて、パーティーや宴などにキャラクターが紛れ込むという演出になっていました

映画の主要人物の中でこのダンスに加わるのはデーヴァンだけなので、おそらくは彼が実質的な主人公なのだと思います

後編は来月にも公開されるので、さほど待たずして鑑賞できるのは幸いですね

ミニシアターの上映なので、鑑賞可能時間に上映されることを切に祈りたいと思います

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/98070/review/03841667/

 

公式HP:

https://spaceboxjapan.jp/ps-movie/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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