■自分のリバウンドを拾いながら、仲間のリバウンドを拾うことで、相互扶助の連鎖が生まれるのではないだろうか


■オススメ度

 

弱小バスケ部の奇跡の実話を堪能したい人(★★★)

スポ根系実録映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.4.27(MOVIX京都)


■映画情報

 

原題:리바운드(リバウンド)、英題:Rebound

情報:2023年、韓国、122分、G

ジャンル:廃部寸前のバスケ部を任された元選手と訳ありチームの奮闘を描くスポーツ&青春映画

 

監督:チャン・ハンジュン

脚本:クォン・ソンフィ&キム・ウニ

 

キャスト:

アン・ジェホン/안재홍(カン・ヤンヒョン/강양현:釜山中央高校のバスケチームの新コーチ、公益勤務要員、元バスケ選手)

 

イ・シンヨン/이신영(チョン・ギボム/천기범:伸び悩む天才、PG、7番)

   (幼少期:ゴ・ヒド/고희도

チョン・ジンウン/정진운(ペ・ギュヒョク/배규혁:足のケガで離脱していた選手、SF、10番)

   (幼少期:キム・ジュンフン/김중훈

チュン・グンジョ/정건주(チョン・ガンホ/정강호:路上バスケから勧誘、PF、22番)

キム・テク/김택(ホン・スンギュ/홍순규:サッカー部から引き抜く選手、C、11番)

 

アン・ジホ/안지호(チョン・ジヌク/정진욱:新加入するお調子者、SG、4番)

キム・ミン/김민(ホ・ジェユン/허재윤:試合未経験の新入生、14番)

 

イ・テヒ/이대희(ハン・ジョンヨン:有力校に転校する高身長のメンバー)

 

【釜山中央高校関連】

イ・ヒョンヒュク/이준혁(イ先生:バスケ存続に肩入れする先生)

ソン・ヨンサム/서영삼(校長先生)

カン・エシム/강애심(校長の妻)

キム・ジンス/김진수(教頭先生)

ペ・インソル/배성일(教師)

カン・シンチョル/강신철(教師)

ユ・インヘ/유인혜(教師)

ソン・チャンギュ/송창규(教師)

 

ホン・スンギュ/홍순규(ラグビー部のコーチ)

 

イ・サンウォン/이상원(イム・ホジュン:ヤンヒョンの前任のバスケットボールのコーチ)

キム・ヨンヒョン/김용현(速攻で辞める部員)

ジョ・ジョンギ/조준기(速攻で辞める部員)

 

キム・グジン/김회진(パク・ユンホ:試合を見にくる生徒)

オ・ヒョンス/오현수(ユンホの父)

ソ・ジャヨン/서자영(ユンホの母)

ホン・ソンピョ/홍성표(チャン・ウォンソク:試合を見にくる生徒)

ジュン・ソイン/정서인(ウォンソクの母)

 

ユ・スンウン/유순웅(卒業生の後援会長)

パク・ギョングァン/박경관(卒業生)

ホン・ジュユン/허재윤(観客)

チョン・ガンホ/정강호(観客)

 

【選手の家族関連】

キム・スジン/김수진(ギュヒョクの母)

ミン・ムジェ/민무제(ギボムの父)

チェ・ジュンユン/최정윤(ギボムの母)

ペ・ジンワン/배진완(ジェユンの父)

キム・テヨン/김태윤(ジェユンの母)

パク・シファン/박시환(スンギュの父)

サン・ミジン/선미진(スンギュの母)

イ・ナムウ/이남우(ガンホの父)

キム・バンソン/김방선(ガンホの母)

イ・ヒョンソク/이형석(ジヌクの父)

イ・ウンジュ/이은주(ジヌクの母)

 

【龍山高校/ヨンサン:大韓バスケ協会長旗大会の決勝&群山大会初戦】

チャン・ヒョンソ/장현성(コーチ)

ノキョン/노경(トレーナー)

ユ・インヒョク/유인혁(トレーナー)

イ・ソクミン/이석민(ホ・フン:選手宣誓するキャプテン、9番)

ジョン・ヨンホ/정윤호(7番)

コ・ジュノ/고준호(11番)

ユ・ヒョソ/유효수(12番)

チェ・グァンウ/최관우(13番)

ユ・ヒョンウ/유현우(14番)

ハン・ジュヒ/한주희(ハン:22番)

ペク・ジェミン/백재민(30番)

 

【安芸高校/アニャン:準決勝】

イ・スンウォン/이순원(コーチ)

ソン・ドヒョン/성도현(トレーナー)

チョン・デギョン/정대경(8番)

キム・ドンヒョン/김동현(9番)

イ・ジュンソ/이준서(7番)

チャン・ウニョン/장우녕(ジョンス:12番)

キム・ドゥギョン/김두경(ソンジュ:10番)

イム・ハクソプ/임학섭(32番)

ヨン・テドゥ/용태두(ジョンヒ:13番)

 

【クアンサン高校:準々決勝】

キム・ソウォン/김서원(コーチ)

パク・ハンサム/박한샘(トレーナー)

キム・ファン/김환(4番)

キム・ヒョンジョン/김병준(5番)

クァク・ドンヒョク/곽동혁(6番)

パク・ジョンゴン/박중건(7番)

チョ・ヘミン/조혜민(10番)

チェ・ジンウ/최재우(11番)

ユ・チャンソク/유창석(22番)

 

【漢城附高校/ハンソンプ:予選第三試合】

カンヨン/강연(コーチ)

チョ・ユンダム/조윤담(トレーナー)

チャン・ドンイク/장동익(6番)

ムン・ドンホ/문동호(7番)

キム・ジュンヒョン/김준형(11番)

チョン・イソ/전이수(14番)

ドヒョン/도형(23番)

チョン・ヒョンギ/전현기(選手/チョン・ギボムのスタント)

 

【済物浦高校/チョムルボ:予選第二試合】

ヒョン・ジンホ/현진호(コーチ)

イ・ジンハン/이진한(トレーナー)

キム・ウォンシク/김원식(7番)

ペク・スンヨン/백승연(9番)

ホン・ソンウ/홍성우(10番)

チョ・ヒョンミン/조형민(12番)

チャ・チョンフン/차충훈(14番)

カン・ドンギュン/강동균(33番)

 

【シナン高校:予選第一試合】

アン・チョンビン/안정빈(コーチ)

ハン・デフン/한대훈(トレーナー)

イ・ハンヨプ/이한엽(6番)

パク・ゴンウ/박건우(7番)

イ・ソクヨン/이석영(22番)

パク・ジハン/박지한(10番)

 

【長旗大会関連】

キム・チョンス/김청수(審判)

キム・ドンハ/김동하(審判)

イム・ジンス/임진수(審判)

チョン・ジフン/이경환(審判)

ファン・ヒョンウ/황현우(審判)

 

パク・ジェミン/박재민(大会の実況)

チョ・ヒョンイル/조현일(大会解説者)

 

【群山大会関連】

キム・ヒサン/김희상(試合実況)

ビュン・ジンソ/변진수(試合解説)

ペク・ドギョム/백도겸(審判)

 

【その他】

イ・テヨン/이태영(ギボムを職質する警察)

パク・テスン/박태순(ギボムを職質する警察)

 

チョン・ヨン/전영(試合会場の待機医師)

チョン・スンウォン/정승원(救急隊員)

 

カン・ヒョンオ/강현오(賭けに負ける半グレ)

イム・デギョ/임대규(賭けに負ける半グレ)

チョン・ユンス/전윤수(賭けに負ける半グレ)

 

ソン・イェスル/송예슬(ヤンヒョンの回想ビデオのインタビュアー)

 

キム・ウォンギョン/김원경(テレビのニュースアンカー)

 

チャン・ジュンヒョク/장준혁(取材記者)

ハ・ヨンジュン/하영준(大会関係者)

カン・ヨンヒョン/강양현(焼肉屋のオーナー)

キム・ジョンウン/김종은(パブのオーナー)

パク・サンミョン/박상면(校長先生の向かいに住む50代の男)

 


■映画の舞台

 

2010年~2012年

韓国:釜山

釜山中央高校

https://maps.app.goo.gl/vNB222peGUYRP2Bt8?g_st=ic

 

ロケ地:

韓国:釜山

 


■簡単なあらすじ

 

韓国・釜山にある釜山中央高校では、大会で恥ばかりかいているお荷物のバスケ部をどうすれば良いかで悩んでいた

校長は廃部を考えるものの、イ先生は「形だけ存続」と言うアイデアを出し、元バスケ選手で今は公益勤務要員をしているカン・ヤンヒョンをコーチに推薦した

 

ヤンヒョンはその話を引き受け、本気でバスケをしようと考える

ツテを辿りながら、残ったメンバーを集めていき、なんとか体裁を整える

そして、群山での大会を迎えるのだが、そこで思わぬ出来事に遭遇してしまう

 

審判のジャッジに反抗するヤンヒョンは退場処分となり、選手が投げたボールが審判に直撃したことで没収試合となってしまう

下された処分は6ヶ月の試合出場停止

 

それでもヤンヒョンは新入生が来るまでにチームを立て直そうと、チームに残ったギボム、ギュヒョク、ガンホ、スンギュたちは、練習に明け暮れる

そして、新入部員として、マイケル・ジョーダンになりたいジヌクと、試合未経験のジェユンが加わることになった

 

そして、チームは大韓バスケット協会の長旗大会へと挑むことになったのである

 

テーマ:不屈のためにすべきこと

裏テーマ:チームのために動くということ

 


■ひとこと感想

 

弱小バスケが成り上がるスポーツ映画ということで、フィクションなら使い古されたようなネタではありますが、本作は2012年に実際に存在したチームの奮闘を描いていきます

キャラも漫画的な人が多く、おそらくは脚色が入っているのだと思いますが、エンドロールにて主要メンバーが顔出しをしていましたね

カメオ出演にて、観客席にもいたように思います

 

物語は、本当に漫画のような展開で、キャラの性格とか属性もバスケあるあるに思えました

監督のビジュアルもそっくりで、選手に心の中を曝け出すシーンは感動的だったと思います

 

大会に関してどこまで忠実なのかは調べないとわかりませんが、実際の試合をそのままペーストしたかのような完成度がありました

エンドロールでも登場しますが、試合の中のワンシーンなどは、実際の試合と同じアングルになっていたりしていて、かなりのこだわりがあったと思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

フィクションだとありがちでありえないという感じになるのですが、実話を基にしているだけあって、選手やコーチの内面の描かれ方が深かったように思います

かつての栄光を廃部という形で終わらせたくない先生が体裁を取り繕って存続させたことが奇跡へと繋がっていましたね

彼こそが真の主役だったのかな、と思いました

 

合計7試合ほどあるので、どのように描いていくのかが気になりましたが、そこまでダレることもなく、テンポよく大会が進んでいきましたね

選手たちが喜ぶ、生徒が喜ぶ、生徒の家族が喜ぶ、OBたちが喜ぶというように、歓声が波及して広がっていうのは良きアイデアだったと思います

 

映画の主人公はコーチなのですが、物語の主軸がそこにあっても、目立つのは選手というところが絶妙なバランスになっていたと思います

タイトルの『リバウンド』の回収の仕方も最高で、スポーツならではの視点と、負け戦でも次に繋がる気概というものが見えてよかったですね

選手たちは疲労がピークでも笑顔を絶やさずにプレイしていたので、エピローグで語られる「龍山高校戦の本当の凄さ」というものが際立っていたように思いました

 


実際のところ

 

映画に登場する釜山中央高等学校は、釜山広域市の南区鎮南路に実在する学校のことを言います

1973年に開校した「公立一般系高等学校」となっていて、教訓は「勤勉、共同、自活」として、長い歴史を持った学校になっています

映画でも、かつてはバスケの強豪校という感じに描かれていて、実際にも1992年に全国体戦高校バスケットボール大会にて優勝、2000年には推計全国バスケットボール連盟戦にて優勝しています

映画はこの時期の後、2010年〜2012年を描いているのですが、その後の2022年には全国大会で銅メダル、2016年にはバスケットボール部全国大会三冠王(連盟会長長期大会、全国男女種目別選手権大会、全国体育大会)に輝いていて、映画で描かれた奇跡によって、さらに強いチームが出来上がる下地ができたことがわかります

 

映画に登場したチョン・ギボムはソウル・サムスン・サンダースにてプロ生活を送っていますが、そこに行く前に延世大学に進学しています

大学でもプレイを続けていて、そこでも活躍をしていて、その後KBLの新人ドラフトにてソウル・サムスンに指名されることになりました

2016年〜2022年までを過ごし、その間に兵役にも就いています

また、チョン・ガンホはサンミョン大学から2017年にドラフトにて安養正官庄レッドブースターズ(安養KGC)に入団(2022年まで)、チョン・ジヌクもサンミョン大学から釜山Ktソニックブームに入団(2021年まで)していますね

 

対戦校も実在の高校で、決勝で戦った龍山高校はソウル特別区にあり、70年以上の歴史がある学校となっています

バスケットボールが強い高校で、バスケットボールで韓国版Wikiに載っている人が少なくとも40人ぐらいはいます

龍山高校のエースは選手宣誓をしていたホ・フンという選手で、この選手も実在の選手ですね

2012年、2013年の最優秀選手で、延世大学に進学し、釜山の水原Ktソニックブームにて活躍しています

 


スポーツ映画が感動を生む理由

 

映画は、さながら実写版『スラムダンク』なのですが、実際に起こった出来事であり、登場人物も高校もそのまま登場するリアルなものになっています

実在の人物をそのままトレースしていることで、等身大のキャラクターとして描かれていました

そのため、漫画的なキャラクターがおらず、試合展開なども高校生の試合としてのリアルさが感じられるようになっています

 

スポーツを題材にして創作物だと、物凄い天才が無双するものと、泥臭い等身大が大敵を倒していくものに分かれていて、プロスポーツのリアルな世界だと前者の方が盛り上がります

でも、映画や漫画の世界だと、「持っていない者」が成り上がっていく方が感動を呼びやすいのですね

一人のスター選手で勝ち上がっていくチームはどこか味気なくて、足りない選手がお互いを補い合って絆を深めていくことに意味を感じていきます

映画の場合は、すでに持っている人は「何かを失う物語」になりがちで、それをスポーツの映画で持ち込むと「天才が挫折して全てを失って終わる」という夢も何もない物語になってしまうのですね

なので、創作の世界では「失うよりは得る」が着目され、それがどのような過程を経て「得るのか」という物語が作られるようになっています

 

本作の場合は、プロになったけど泣かず飛ばずのコーチが主人公で、彼が仲間を得て偉業を成し遂げる結末へと向かっていきます

そして、絆を深める生徒たちも「持っていない人」たちばかりになっていて、唯一「持っているジェニョン」がライバル校に引き抜かれるというハードルが存在します

でも、ジェニョンは強豪校の中の駒にしか過ぎず、彼らのハードルにすらならないという未来へと向かっていきます

マイナススタートの仲間が結束することによって、それぞれの覚悟を共有することになっていて、それが輝きを増していくのですが、この乱高下が観客の感情を揺さぶることになります

「もうダメか」と思わせておいて、そこから「明確な転換点」というものを描く

そして、その転換点が示す方向へと向かっていくのが、本作の爽快感を生み出していると言えるのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作の爽快感は「リバウンド」という言葉がもたらす強さによって形成されていて、その言葉は物語の転換点と結びに引用されています

バスケの試合におけるリバウンドの重要性というのは、相手の得点を阻み、チームの攻撃へと転換する役割を担っています

そして、転換を繰り返すことによって、相手の攻撃圧が減っていくのですね

さらに、場を支配している空気というものを変えていくことに繋がります

 

人生のほとんどは逆風で、思い通りに行くことの方が稀であると思います

何か事を起こせば抵抗に遭い、他人が足を引っ張ることもあれば、自分のマインドが弱過ぎて失敗することもあります

これが「相手に攻撃されている時」のような状況に思え、その攻撃圧に晒されるというのが人生であると言えます

問題は、この逆境の時にどのように振る舞うかが重要で、起こっていることに対して感情的になっても意味がないと思います

 

これらの流れを掴めるほど機敏であれば良いのですが、実際には流れというのは後からわかるものなので、流されている間はそれを掴むことは不可能に近いと言えます

でも、自分が居た場所と向かう場所さえわかっていれば、現在地がおかしいかどうかには気づけるものなのですね

そして、全体の流れを見ながら、どこに向かえば流れが緩やかで、どのポイントをクリアすれば流れが変わるのかを見ることになります

そうした経験が熟練となり、多くのパターンに対応できるようになり、それを「成長」と呼ぶのではないでしょうか

 

経験値を積むには、自分が傷ついたり苦しんだりする方が早いのですが、そのためには自身の感情と真っ向から向き合う必要があります

「自分に起こる問題や障壁」が別の人に起きても同じ結果にはならないのですが、それは個々の経験値とか反応が違うからなのですね

なので、啓発本などを読んで成功した人の真似をしてもうまくいかないことの方が多いのですね

成功者と同じマインド、経験値、反応があれば有効だとは思いますが、実際にはそううまくは事が運びません

多くの場合は、やれるような気になるぐらいの効果で留まるので、深く追い過ぎない方が良いでしょう

でも経験することは無駄ではないので、たとえ成功に向かわなくても「失敗のパターンを学べた」とプラスの思考で意味付けすることで、変わっていくものがあるのだと思います

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101297/review/03756619/

 

公式HP:

https://rebound-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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