■映画自体がサンタさんに持つイメージを壊してしまっているのかもしれません
Contents
■オススメ度
サンタ映画が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.11.9(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
原題:Red One(サンタのこと)
情報:2024年、アメリカ、123分、G
ジャンル:誘拐されたサンタを追う助手と協力者を描いたクリスマス映画
監督:ジェイク・カスダン
脚本:クリス・モーガン
原案:ハイラム・ガルシア
キャスト:
ドウェイン・ジョンソン/Dwayne Johnson(カル/カラム・ドラフト/Callum Drift:ELFの長官、北極の警備責任者)
クリス・エヴァンス/Chris Evans(ジャック・オマリー/Jack O’Malley:ハッカー、賞金稼ぎ)
(幼少期:Wyatt Hunt)
J・K・シモンズ/J.K. Simmons(ニック/Nick:聖ニコラウス、誘拐されるサンタクロース)
ボニー・ハント/Bonnie Hunt(サンタ夫人/Mrs. Claus:ニックの妻)
ルーシー・リュー/Lucy Liu(ゾーイ・ハーロウ/Zoe:MORA=神話監視復元局の局長)
Cynthia Barrett(MORAの監視技術員)
J.R. Adduci(MORAのエージェント)
Brandon M. Shaw(MORAのエージェント)
クリストファー・ヒヴュ/Kristofer Hivju(クランプス/Krampus:サンタの義理の弟、グリラの元恋人)
キアナン・シプカ/Kiernan Shipka(グリラ/Gryla:冬の魔女)
Mary Elizabeth Ellis(オリヴィア/Olivia:ジャックの元カノ、産婦人科医)
Wesley Kimmel(ディラン/Dylan:ジャックとオリヴィアの息子)
ニック・クロール/Nick Kroll(テッド/Ted:情報仲介人)
Regina Ting Chen(ジネルバ/Ginerva:ELFのエージェント)
James Cheek(ELFエージェント)
Reinaldo Faberlle(ガルシア/Garcia:ELFのエージェント、ホッキョクグマ)
Philip Fornah(フレッド/Fred:ELFのエージェント)
Kenny Waymack Jr.(ケニー/Kenny:ELFのエージェント)
Gissette Valentin(バルスコバ/Barskova:ELFのエージェント)
C.J. Padera(ELFのモニター監視員)
Ashleigh Domangue(ジャニーン・ハミストン/Janine Hummiston:IDを盗まれるNOGAの職員)
Matthew Cornwell(アーロン・エイブル/Aaron Able:スノードームの第1号)
【グリラの仲間たち】
Adam Boyer(グリラの息子)
Derek Russo(グリラの息子)
Michael Tourek(グリラの息子)
Kia Shine(グリラの息子)
Jay Peterson(グリラの息子)
Matthew Cornwell(グリラの息子)
Rick Nehls(グリラの息子、複元機の技術者)
Gabriel ‘G-Rod’ Rodriguez(サンタクロース夫人/Mrs. Claus Yule Lad:サンタ夫人の妖精)
【クランプスの城関連】
Jeff Chase(サイクロプス/Cyclops:クリンプスの部下、伝説の巨人)
Morla Gorrondona(オーガ・グリラ/Ogre Gryla:グリンプスの部下、荒野の怪物)
Marti Matulis(「Slap Fight」のジャッジ)
Cora Kass(パーティーゲスト)
Rod Maxwell(パーティーゲスト)
Jenna Kanell(パーティーゲスト)
Octavia Grace(パーティーゲスト)
Matthew Zuk(パーティーゲスト)
Fedor Steer(パーティーゲスト)
Ahmad Ghafouri(パーティーのステージマネージャー)
Andzelika Bobrova(パーティーのモデル)
【その他の人間】
Lanz Duffy(ジェネ/Gene:ジャックのいとこ)
Marc Evan Jackson(リックおじさん/Uncle Rick:ジェネの父)
Clayton Cooper(ジャックのいとこ)
Makana David(カフェのバリスタ)
Samantha Benson(クリスティン/Christine:コーヒーを盗まれる女)
Darryl W. Handy(空軍の将軍)
Martinez(航空管制官)
Drew Ater(「F22 Raptor」のパイロット)
Cody Easterbrook(「HIIT」のインストラクター)
Stephanie Brogdon(「HIIT」のメンバー)
Nikki Garza(プレゼントを奪い合う買い物客)
Abel Arias(プレゼントを奪い合う買い物客)
Eric Jermaine Lavette Jr.(サンタに話しかける子ども)
Pilot Bunch(「Candy Cane」を盗もうとする男)
Juan Alexander(怪しい行動をする男)
Megan Hayes(「Snickerdoodle」の母親)
Beau Kasdan(「Snickerdoodle」の子ども)
Lorelei Kasdan(「Snickerdoodle」の子ども)
Otis Kasdan(「Snickerdoodle」の子ども)
Jon Rudnitsky(ビーフシチュー/Beef Stew:自称インフルエンサー)
Greg Clarkson(ホットドック売り)
Hannah Aslesen(エッセンシャルオイルの女性)
Shane Costa(チュロスの販売人)
Alessandro Folchitto(テッドの傭兵)
Amber Abara(テッドの女)
Isabella Colt(テッドの女)
Maria Palomino(駐車場監視員)
Gary Peebles(警備員)
■映画の舞台
北極&世界各地
ロケ地:
アメリカ:ジョージア州
アトランタ/Atlanta
アメリカ:ジョージア州
ダンウッディ/Dunwoody
アメリカ:ハワイ州
ホノルル/Honolulu
■簡単なあらすじ
クリスマスを迎えたある家のパーティーにて、サンタはいないと豪語する少年ジャックがいた
ジャックは従兄弟たちに配られるプレゼントを見せ、サンタがいないことを証明しようとする
だが、叔父のリックはそれを嗜め、従兄弟たちの夢が壊れることはなかった
それから30年後、ジャックは裏稼業で稼ぐようになり、金さえ手に入れば何でもする凄腕ハッカーとなっていた
そして、ある以来にて、地震探知システムをハッキングし、北極圏のある位置情報を情報屋に売り渡した
一方その頃、北極圏にある北極ドームでは、今年のクリスマスに向けてのプレゼントの配布の準備が行われていた
サンタこと聖ニコラウス(相性ニック)は体力増強プログラムをして備え、ELFの長官カラムと今後の打ち合わせをしていた
カラムは一身上の都合で今期をもって退任の意向を固め、最後のクリスマスに挑むことになった
だが、何者かがドームに侵入し、ニックが誘拐されてしまった
カラムはMORAのゾーイと共に犯人を追うと、ドームの位置情報をハッキングした人物が特定される
ジャックはあっさりと彼らに捕まるものの、依頼人の情報は知らず、そこで依頼元を探るために協力するハメになったのである
テーマ:大人になると見えなくなるもの
裏テーマ:世界を平和にするいくつかの方法
■ひとこと感想
毎年何らかのクリスマス映画が公開されますが、今年はこの『レッドワン』が洋画の本命のようですね
わかりやすく「サンタが誘拐された」というファミリー向けのファンタジー映画で、ザ・ロックが妖精や悪魔と戦うという物語になっていました
訳あって任務から降りようとしているカラムと、事件の発端となったジャックが共闘する流れになっていて、サンタは超人というテイストで描かれています
サンタの義理の弟とか、その弟の元カノなどが登場する流れで、サンタの妻も普通に登場しています
かなりハイテクノロジーな現場になっていて、「悪い子リスト」が毎年のように積み重なって、とうとう過半数を超えてしまった、みたいな流れになっていました
映画は、ややロードムービーになっていたために、無駄に思えるような回り道をしていましたね
首謀者が中盤あたりで判明したために、それを探すために向かったのですが、その流れが若干クドくも思えてしまいます
主人公二人もあまり活躍する感じになっておらず、超常的な力の前ではなす術も無いという感じでしたね
カラムは伝説の戦士という設定だったので、最後は彼の力技でねじ伏せるという展開になっても良かったのかな、と思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
映画は「平和な世界にするために」というマインドがあって、「信じるサンタ」「信じられなくなったカラム」「そんなものは幻想と思うジャック」「悪い子排除すれば(人類を滅ぼせば)OKというグリラ」「グリラにはついていけねえクランプス」という立ち位置がありました
グリラの思想は選民思想で、悪い子リスト以上の人間をスノードームに閉じ込めようとしていたので、わかりやすい敵キャラとなっていました
サンタのパワーを利用してスノードームを量産するというものですが、サンタのパワーの根源にふれていないのは片手落ちのように思います
物語としては、迷いのあるカラムがジャックとディランの親子再生を通じて改心するという流れになっていて、少年時代のジャックが見えるようになって、カラムの迷いが消えたという流れになっていました
元カレ(結婚はしていない)との間にできた子どもで、自分はアウトローなので距離を置いてきたのですが、親の愛と仕事は関係ない、という感じになっていました
とは言え、悪影響は普通に出ているので、どんな親でも子どもは真似しようとするんだなあと思わされます
映画は、もう一捻り欲しい感じになっていて、ハッとするような教訓があった方が良かったですね
ファミリー映画なので、子ども目線では楽しめると思いますが、大人目線だと予定調和すぎるので、もう少しエッジの効いた現代風刺があっても良かったと思いました
■サンタを信じる意味
サンタクロースと言えば、クリスマスの日にプレゼントを持ってくる白い髭のおじいさんで、トナカイに乗って煙突から入るというイメージがあります
子どもの頃は信じられていて、それがやがて「両親からのプレゼント」とわかるようになり、やがては現実的な考え方をするようになります
親があえて「サンタさんからの贈り物」というのは、しつけの教育が結びついていて、「良い子にしていたら」という枕詞のようなものがついています
それによって、良い子にしていたら、自分の欲しいものをサンタさんがくれると思い込むようになります
由来としては、270年頃のキリスト教の主教、神学者であるミラのニコラオスという説が有力で、教区内の貧しい娘に持参金を恵んだという伝承が有里、その金塊が靴下(あるいは木靴)に入ったという民間伝承があります
煙突から入るイメージがついたのは、1822年にアメリカの学者クレメント・クラーク・ムーアがフィンランドの伝承「聖ニクラウスの訪い」を書いたことがきっかけとされています
その詩の中で、屋根の上にトナカイがいて、サンタさんが煙突を下りてきたという描写があります
サンタさんは頭から足まで毛皮の服を着て、煤まみれになっていた、とも書かれています
ちなみに、グリーンランドでは、長老サンタクロースの補佐をする目的で、グリーンランド国際サンタクロース協会が1957年に設立されています
教会は認定する公認サンタクロースは120人ほどいて、公認試験と受験条件というものが定められています
彼らは、クリスマスよりも早くに福祉施設や小児病棟などを訪問する仕事を請け負っています
毎年7月にデンマークのコペンハーゲンで世界サンタクロース会議が行われますが、彼らは自宅からサンタクロースの衣装を着て、飛行機内でもそのままの格好で現地入りを果たさなければならないとされています
サンタクロースを信じるかどうかというのは、その子どもの精神年齢に直結すると考えられ、純粋に物事に向き合う性格かどうかを試されているようにも思えます
徐々に正体がわかりつつも、どの時点で「いない」と確信するかとか、それを公言するかというのは、子どもの発育にとって重要なプロセスであると思います
また、弟などがいたときに「騙す側」に加わることになりますが、俯瞰的に見てどうしてそれが必要なのかを考えるようにもなります
単に慣習だからということだけではなく、架空の人物からの贈り物と規定して贈るという意味を考える必要があります
サンタクロースという見たこともない存在に対して、子どもが想像力を働かせて、親の言葉から映像を思い描くことも重要でしょう
また、サンタクロースはお伽話の入り口でもあり、様々な教訓を含んだ物語にふれるきっかけにもなっていきます
最初は絵本でビジュアルがわかっていても、彼らの動きというものは想像するしかありません
そう言った思考の勉強の入り口にもなっているので、単にプレゼントをあげる機会にせずに、「サンタクロースってどんな人だと思う?」のように、子どもに何かを考えさせることが必要なのではないでしょうか?
■勝手にスクリプトドクター
本作は、サンタクロースを信じていないジャックがサンタを助けるという物語になっていて、サンタの助手のカラムとともに冒険をすることになっていました
ジャックの幼少期のエピソードから始まり、そんな彼が息子のジャックとの関わりを変えていくことになります
冒険譚としては、サンタを誘拐した犯人を見つけるというもので、誘拐の手助けをしたと思われたジャックが巻き込まれる形になっていました
そこでサンタクロースとは何かを知ることになるという展開で、サンタを誘拐したグリラと戦うことになります
物語の本筋はとても良いのですが、カラムが任務を終えようとする理由とか、紆余曲折を経て復帰するという流れが余計だったように思います
また、有能なカラムを出し抜くグリラという構図で、クランプスをどうやって巻き込むかというところがポイントになっています
クランプスとグリラは元恋人という設定になっていますが、どうして別れたのかとか、今現在はどのような感情をお互いに持っているのかはよくわかりません
グリラ自身が悪い子が増えた世界を変えようと目論みますが、彼女自身がそう考えたのか、何者かに操られていたのかで黒幕というものも変わってきます
グリラを元々悪人という設定にするのならば、クランプスは奥底に秘める巨悪から逃げたという設定になるし、何者かに操られるようになったのなら、追い出された(不要になった)という流れも汲めます
最終的にグリラを倒すのか、グリラ以上のものを倒すのかというところがメインになるので、グリラ相手ではラストバトルが少々物足りないかな、と思いました
ジャックは人間なので無能に描かれるのは仕方ありませんが、カラムもそこまで強くは描かれておらず、最後の方は傍観者のようになっていました
彼が活躍する流れになるとしたら、サンタから力を譲り受けるというエッセンスも加えられたわけで、一極集中状態を緩和するために、カラム自身が本当の意味でのサンタの助手になっても良かったのかな、と思いました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作はクリスマス映画だったのですが、公開自体がかなり早く、クリスマスシーズンにはすでに配信がメインとなっていました
おそらく、配信をクリスマスに充てるという戦略になっていて、映画公開自体が配信に向けたプロモーションのようになっていました
実際にどのような効果があったのかはわかりませんが、映画のラストに何月何日から配信と謳うわけにはいかないので、あまり意味があるとも思えません
映画館で観た人がクリスマスにもう一度配信を観るかというと微妙で、ロングランを見越すというのも無茶だったように思えます
ここまで直球のクリスマス映画だと、クリスマスがピークになるような公開スケジュールになると思うのですが、それをしなかった理由はわかりません
新しい試みとしては良いと思うのですが、映画館の客層と配信の客層は違うので、「跨ぐ」というのはなかなかうまくいかないように思います
それでも、今後は配信になるまでの期間が短くなるとか、下手すれば同時公開なんて映画も出ないとは限らないので、時代は移り変わっていくのかな、と思いました
本作の場合、ターゲットはファミリー層になるのですが、映画館に幼い子どもを呼び込む目的なのか、家でも家族揃って配信で観てねということが目的なのかで、映画の作り方自体も変わってくると思います
ラストバトルをテレビサイズで観て面白いのかはわかりませんが、スケールを考えると映画館の方が良いと思うのですね
そう言った観点から考えると、本作は映画館向きの映画だったように思います
本国でも11月の初めに公開されているので、日本とほぼ同じ状況になっていたと思います
そこで躓いたことが尾を引いているようで、配信で盛り返そうにも前評判となる映画館公開が成功しないと、この手法も逆効果になってしまうのでしょう
本作は、クライマックスにかけての盛り上がりに欠けるのと、大枠でサンタさんの内情をバラしてしまっているのも問題で、大人が見ると面白いですが、子どもの夢を壊してしまうというところもあるので、ファミリー層に向けたは最悪な内容だったと言えるのかもしれません
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/102519/review/04453156/
公式HP:
https://wwws.warnerbros.co.jp/redone/
 
                                    