■春秋戦国ならついていけたけど、趙宋とかになると一から勉強した気分になりますねえ


■オススメ度

 

中国の武術系アクション映画に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2024.1.5(TOHOシネマズ二条)


■映画情報

 

原題八部之(天龍八部の喬峯の伝説)、英題:Sakra(仏教用語でトラヤストリシャの支配者の名前)

情報2023年、香港&中国、130分、G

ジャンルある陰謀によって四面楚歌になった武人を描いたアクション映画

 

監督ドニー・イェン

脚本シェン・リンジー&ズー・ウェイ&ヘ・ベン&チェン・

リー&シェン・リージン&シュー・イーファン

原作金庸『天龍八部(1963年)』

Amazon Link → https://amzn.to/3tHdoRE

 

キャスト:

ドニー・イェン/甄子丹(喬峯/きょうほう:丐幇の幇主、降龍十八掌の遣い手)

   (幼少期:ユアン・ジンフイ/袁近辉

   (少年期:ヂャン・チシュウ/张治洲

 

チェン・ユーチー/陈钰琪(阿朱/あしゅ:少林寺から「易筋経」を盗もうとした女、慕容復の侍女)

 

リウ・ヤースー/刘雅瑟(阿紫/あし:阮星竹の娘)

カラ・ワイ/惠英红(阮星竹/げんせいちく:阿紫の母)

 

【大理国(だいりこく):現在の中国・雲南省西部、タイ族の国家】

チョン・シウファイ/张兆辉(段正淳/だんせいじゅん:大理国の国王)

チャオ・ハーウェイ/赵华为(段譽/だんよ:鳩摩智に捕まる段正淳の息子)

 

【丐幇(かいほう):宋国に支える部族集団(=幇会)】

グレース・ウォン/王君馨(康敏/こうびん:段正淳の愛人、白世鏡の愛人)

ヤン・ホア/严华(馬大元/ばたいげん:丐幇時代の喬峯の師匠)

演者不明(向望海:丐幇の戦士)

演者不明(祁六:丐幇の戦士)

 

ド・ユーミン/杜玉明(白世鏡/はくせいきょう:丐幇の執法長老)

リ・シャンフー/李中华(宋:丐幇の長老)

リャン・グオロン/梁国荣(吴:丐幇の長老)

チェン・チェン成城(奚:丐幇の長老)

チャン・デフイ/张德晖(陈:丐幇の長老)

グオ・ジウロン/郭九龙(徐:丐幇の長老)

 

【姑蘇(こそ):現在の中国・江蘇省】

レイ・ロイ/吕良伟(慕容博/ぼようはく:姑蘇の元君主)

ウー・ユエ/吴樾(慕容復/ぼようふく:慕容博の息子、姑蘇の君主)

チャイ・シャンウ/蔡祥宇(阿碧/あへき:慕容博の侍女)

 

【吐蕃(とばん):チベット民の統一国家】

チョイ・シウミン/徐小明(鳩摩智/くまち:吐蕃の国師)

 

【聚賢荘(しゅくけんそう)】

ユェン・シャンレン/袁祥仁(薛慕華/せつぼか:聚賢荘の神医)

ユカン/喻亢(游駒/ゆうく:聚賢荘の游氏の息子)

演者不明(游騎/ゆうき:游駒の兄)

 

【契丹(きったん):現在のモンゴル高原東部、モンゴル語族】

ドニー・イェン/甄子丹(蕭遠山/しょうえんざん:喬峰の実の父)

フラン/胡然(蕭遠山の妻:喬峯の実母)

 

【宋:中国の王朝】

ユー・チンフイ/喻庆辉(喬三槐/きょうさんかい:喬峯の養父)

ドゥアンム・イチェン/端木艺晨(喬の妻)

 

【少林寺】

シ・シャントン/徐向东(玄難/げんなん:少林寺の僧侶)

ソウ・シピン/曹世平(玄苦/げんく:少林寺の僧侶、喬峯の師匠)

リー・ウェイ/李卫(玄慈/げんじ:少林寺の方丈)

 

ワン・バオチャン/王寶強(虛竹/こちく:喬峰の義兄弟、少林寺)

 

【その他】

ハン・ホンリャン/潘宏梁 (鮑千霊/ほうせんれい:喬峯を狙う悪党)

 

バイ・リーウェイ/白利卫(養父母殺害を目撃する老人)

リウ・チンヤオ/刘敬尧(養父母殺害を目撃する老人)

 


■映画の舞台

 

元祐(1086年~1094年)、

中国:宋&契丹&西夏&吐蕃&燕雲

 

ロケ地:

不明(おそらく中国のどこか)

 


■簡単なあらすじ

 

元祐年間の中国大陸では、宋国を脅かす存在として、契丹、西夏がひしめき合い、吐蕃、燕雲などが虎視眈々と領土拡大を狙っていた

宋国にて、養父のもとで育った喬峯は、丐幇の中で腕を磨き、やがては幇主となり、宋国繁栄に寄与してきた

 

だが、ある日、義兄弟友言える馬大元が何者かに暗殺され、その嫌疑が掛かってしまう

また、謎の手紙によって、喬峯は宋人ではなく、契丹人であると疑われてしまう

 

そこで喬峯は幇主の座を降りて、自分に掛かる嫌疑を晴らそうと考える

だが、その矢先、修行をした少林寺にて、玄苦大師の死体を発見し、さらに秘伝の書「易筋経」を盗もうとしていた謎の女と居合わせてしまう

 

女は阿朱と言い、慕容復の侍女だったが、自分の出自と引き換えに書を拝借してこいと言われていた

追ってきた玄難大師の技を受けてしまった阿朱は瀕死の重傷を負い、喬峯は彼女を助けるため、聚賢荘の薛神医の元を訪ねることになった

だが、そこには宋国の英雄が集結していて、薛神医は「自分の命と引き換えにせよ」と絶縁の儀を執り行うように告げるのである

 

テーマ:仁義と愛

裏テーマ:仏への道

 


■ひとこと感想

 

中国の古典長編の映画化ということで、これまでにも何度もドラマ化されていたりする大作でした

なので、映画一本では無理やろと思っていたら案の定という感じになっていましたね

 

映画は、喬峯が自分の出自を知るというもので、映画のラストでは親父たちの顛末のいうものが描かれます

いわゆるポストクレジット後にちょっとした映像があるので、エンドロール直後に席を立つと、階段あたりで立ち見してしまうハメになってしまいます

 

物語は、とにかく登場人物が多く、公式HPに大体載っていますが覚えるのは不可能に近いですね(重大なネタバレもさらっと書いているので注意が必要)

1000年ぐらいの中国が舞台で、チベット、タイあたりの民族との衝突の歴史みたいなことになっていますが、はっきり言って、よほど歴史に詳しいか、ドラマ版を見たことある人でないと全くわからないまま話は進んでいくと思います

 

エンドロールが俊速すぎて読みのは困難で、映画自体の展開も物凄く速さを感じます

それでも130分あるので、少し長く感じてしまうかもしれません

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

映画のことをサラッと調べようと公式HPの人物相関図を見てしまったところ、かなりのネタバレを喰らってしまいました

映画では、喬峯と阿朱の関係が最後までわからないのですが、相関図にサラッと「妻」と書いてしまっているので、それはないだろうと思ってしまいました

 

ワイヤーアクションだらけで、ほぼ『ドラゴンボール』の世界観に近い印象がありましたね

気功でなんとかなる系になっていて、空とは言いませんが、屋根の上を飛びまくるし、目にも止まらぬ早業が繰り広げられます

 

物語は、喬峯と阿朱が夫婦になるまでなのですが、阿朱はその事実を知らぬまま眠ることになっています

次作の予告っぽい感じで、喬峯の父・蕭遠山と、慕容復の父・慕容博が登場し、戦いの本番が始まるという感じになっていましたね

 

次作があるとしたら、喬峯が生まれるまでの「断崖絶壁から喬三槐に預けられる経緯」になるのかなと思いました

 


時代背景について

 

舞台となっているのは宋の時代で、西暦で言うと1000年前後になります

五代十国の時代を経て、北宋→南宋に向かう時代で、北西に「西夏」、北に「遼」、南西の少し離れたところに「大理」があります

宋は960年から1279年までで、春秋戦国と分けて「趙宋」と言う呼び方をします

冒頭の説明で「元祐」とあったので、これは「北宋」の時代、1086年から1094年の間であることを意味します

 

映画に登場する「丐幇(かいほう)」は、中国の武侠小説に登場する乞食によって構成される幇会(組織)のことを言います

生活面の互助を行い、独自の武力を身につけて、義侠の行いをして、武林(映画内では杏子林)に居を構えています

丐幇は正義の組織として位置付けられていて、宋代、元代、清代などの異民族の侵略時には、抵抗勢力として活躍していました

原作者の金庸の小説にたくさん登場し、本作の原作にあたる『天龍八部』の他にも、『射鵰英雄伝』『神鵰剣俠』『倚天屠龍記』の三部作などにも登場しています

 

彼らは宋を守っている部族で、映画には「姑蘇」「吐蕃」「大理国」「契丹」と言う諸外国が登場しています

「姑蘇」はベトナム、「吐蕃」はチベット、「契丹」はモンゴル、「大理国」はタイと言う感じになっています(イメージです)

それらが宋の領土に進出しようとしていたと言う背景があり、丐幇はそれらと戦う集団だったとされています

 


タイトルの意味

 

映画のタイトルは『天龍八部之喬峯傳』と言う原題(日本語漢字の場合)と、『Sakra』と言う英題がありました

「Sakra」は中国語に直すと「帝釈天」となり、これは仏教の守護神である天部の一つのことを言います

インドの古典「リグ・ヴェーダ』に雷神として登場する帝釈天は、元の名を雷神インドラ神と言います

この「釈」を音訳した際の「Sakra」、これに「Deva(天)」「Indra(帝)」を加え、「シャックロー・デヴァーナーン・インドラハ」と呼ばれています

名前の意味は「天上の神々の主となり得る者」となります

 

原作の『天龍八部』は全3巻(全50章)の長編で、本作は「原作の第14章から24章」の喬峯編が中心となっています

原作の喬峯編は、馬大元の死の真相を探るために慕容復を探しに蘇州に来ると言う内容で、阿朱を助けるために戦うと言うのもそのままですね

この二人は恋に落ちますが、段正淳になりすました阿朱を殺してしまうと言うエピソードもあり、彼女の妹の面倒を見ることになります

その後は映画には描かれていないので割愛しますが、「大幅な改変」と言う注意書きが出るほどには改変されていない印象がありますね

 

映画の英題が『Sakra』になっているので、おそらくは喬峯がそのような存在になっていくのだと推測されます

シリーズ化のニュースまではわかりませんが、構想には入っているのかもしれません

喬峯の実父・蕭遠山もドニー・イェンが演じるとなると、このシリーズの全ての主人公を演じることになるのかもしれません

今後、どのような展開になっていくのかはわかりませんが、先の物語で大幅な改変があるのかなと思います

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、ワイヤーアクションが所狭しと登場し、地上での戦いでも人間離れしたものになっています

気功を使って術を使ったり、必殺技が登場するので、90年代の少年ジャンプのようなノリに近かったと感じました

このメンバーで『ドラゴンボール』の実写化をしたらクオリティが高そうに思えてきますね

 

物語は、最後に詰め込みすぎで、しかも序章的な扱いになっていたのは微妙かなと思います

断崖絶壁に置かれた赤子の喬峯が、養父のもとに届けられるまでの過去譚と言うものが次作になるのですが、「ビギニング」を2作目に持ってくるなら、時系列順にやっても良かったのではないかと思ってしまいます

この過去譚が原作のどのポジションになっているのかはわからないのですが、原作の前半は大理国の話で、喬峯の後の章は少林寺や西夏の話になっています

なので、この前日譚にあたる部分が「改変」と呼ばれる部分になるのかもしれません

 

映画は、登場人物が多いこともさることながら、あまり馴染みのない時代を取り扱っているので、地理の把握が困難になっています

この辺りは「中国の歴史の基礎知識」レベルの話になると思うので、本国では解説が不要なレベルなのだと思います

 

話は逸れますが、ブログやレビューを書く際に一番困るのが「使わない漢字を使う」と言うもので、本作の語句を登録するだけで結構な時間を使ってしまいました

登録も大変ですが、読みと連動させないと打ち込めないので、意外な勉強をすることになりました

一つぐらいならコピペでOKなのですが、登場人物全員読めねえ(一部は変換できたけど)と言う素の状態からのスタートでしたので、妙なスキルアップになってしまいましたね

できるだけ原語をキャスト欄や原題のところに入れるようにしていますが、グーグル翻訳さんだけでは拙い部分があるので、大きく間違っている場合はコメ欄やSNSでツッコミを入れてください

こちらも勉強になるので助かりますよ〜

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100376/review/03318172/

 

公式HP:

https://sakramovie.com/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA