■新しい血脈を作るには、壊さないといけないものがあったはず
Contents
■オススメ度
シリーズのファンの人(★★)
ステイサムのファンの人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.1.7 字幕 イオンシネマ京都桂川
■映画情報
原題:Expend4bles(The Expendables 4)
情報:2023年、アメリカ、103分、R15+
ジャンル:核兵器を狙う悪党の野望を阻止する非合法武装集団を描いたアクション映画
監督:スコット・ウォー
脚本:カート・ウィマー&タッド・ダガーハート&マックス・アダムス
キャスト:
ジェイソン・ステイタム/Jason Statham(リー・クリスマス:エクスペンダブルズの副リーダー、ナイフ使い)
シルベルター・スタローン/Sylvester Stallone(バーニー・ロス:エクスペンダブルスのリーダー)
ドルフ・ラングレン/Dolph Lundgren(ガンナー・ヤンセン:エクスペンダブルズのメンバー、アル中のスナイパー)
ランディ・クートゥア/Randy Couture(トール・ロード:エクスペンダブルズのメンバー、ナイーブな格闘家)
ジェイコブ・スキピオ/Jacob Scipio(ガラン:バーニーを信奉する新メンバー)
レビ・トラン/Levy Tran(ラッシュ:新メンバー)
50セント、カーティス・ジャクソン/50 Cent、Curtis James Jackson(イージー・ディ:新メンバー)
アンディ・ガルシア/Andy Garcia(マーシュ:CIAのオペレーター、エクスペンダブルスの管理人)
ルーシー・ニューマン=ウィリアムズ/Lucy Newman-Williams(ルッソ:CIAエージェント、マーシュの副官)
ミーガン・フォックス/Megan Fox(ジーナ:クリスマスの恋人)
トニー・ジャー/Tony Jaa(デーシャ:バーニーの旧友、元エクスペンダブルズのメンバー)
イコ・ウワイス/Iko Uwais(スアルト・ラフマト:核兵器を奪う傭兵)
ダレン・ノップ/Daren Nop(ボク:ラフマトの右腕)
Cody Mackie(パベル:ラフマトの部下)
Dan Chupong(フェン・リョン・バイ:引き渡し要求される囚人、ラフマトの仲間)
Karim Saidi(フィーザン:核兵器のスイッチを持っているリビアの武器商人)
Tjasa Perko(フィーザンの妻)
Adam Masto(アーマッド:フィーザンの息子)
Samuel Black(ランドール:クリスマスのバイト先のインフルエンサー)
Mike Möller(ジャンボ・シュリンプ:バーニーの指輪を奪った男)
Nicole Andrews(チャーリー:シュリンプの連れの女)
Kenny ‘Cowboy’ Bartram(アントン:シュリンプの連れ?)
Cokey Falkow(バーテンダー)
Eddie Hall(アデル:シュリンプの用心棒)
Sheila Shah(マンディ:シュリンプの連れ?)
Oat Jenner(タイのバーテンダー)
Susanne Potrock(AC/DCのファン)
Alexander Hristozov(アーメッド:タンカーの護衛)
Antoni Davidov(マスカル:タンカーの護衛)
David Nop(タイ:タンカーの護衛)
Igor Pecenjev(シンギング:タンカーの護衛)
Stefan Ivanov(リード:タンカーの護衛)
Vladimir Mihaylov(タンカーの護衛のリーダー)
Martin Ghiaurov(タンカーの護衛の新しいリーダー)
Stefan Bahrun(リビアの護衛)
Asen Karanikolov(リビアの護衛)
Jason Lines(ナイトクラブのギャング)
Caroline Wilde(ナイトクラブの水着の女)
■映画の舞台
リビア:
ロシア近海:
タイ:
ロケ地:
ギリシャ:
テッサロニキ/Thessaloniki
https://maps.app.goo.gl/8dLhvVfKERviCxWX6?g_st=ic
ブルガリア:
ソフィア/Sofia
https://maps.app.goo.gl/P8Mz7UZrBHpchdNY7?g_st=ic
イギリス:
ロンドン
■簡単なあらすじ
消耗品軍団と呼ばれるエクスペンダブルズは、CIAオペレーター・マーシュの指示にて、リビアへと派遣されていた
リビアではオセロットと呼ばれる謎の男の配下である傭兵スアルト・ラフマトが武器商人から核兵器の起爆コードを強奪しようとしていた
エクスペンダブルズの到着は間に合わず、ラフマトは武器商人のフィーザンを殺して逃走してしまう
次にエクスペンダブルズはラフマトが潜伏している化学工場へと向かうものの、対航空機用のランチャーの迎撃を受けて、バーニーが乗っていた飛行機が撃墜されてしまった
奪還ミッションも失敗に終わり、チームを立て直す必要があったが、マーシュは命令に背いたクリスマスを外し、彼の恋人であるジーナをリーダーに据えることになった
ジーナたちはマーシュの指示のもと、ロシアに向かっているタンカーを目指す
そして、その頃、バーニーの仇を討ちたいクリスマスは、マーシュの旧友のデーシャにコンタクトを取るためにタイへと向かっていた
テーマ:消耗品の生き甲斐
裏テーマ:リーダーの資質
■ひとこと感想
予告編で「敵討ち」が明言されているのですが、「絶対生きているヤツやん」と思ってしまう流れになっていましたね
どこで復活するのかなと思っていましたが、ヒーローは最もカッコいい登場の仕方をするので、あのシーンしかないかなと思ってしまいます
映画は、ラスボスが誰なのかをミステリーにしていますが、このオチだとミステリー映画だったら暴動が起きているレベルのように思えます
あの程度でバレるのを10年以上隠し通す方が難しいように思えました
物語はあってないようなもので、クリスマスの恋人のヒスっぷりがなかなか道に入っていましたね
表情が乏しくてCGにしか見えないのですが、特殊部隊に配属されたAI搭載のアンドロイドだと思っておけばOKなのかなと思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
本作のネタバレといえばラスボスが誰かということになりますが、裏テーマ的なところでは「リーダーの伝承」というものが描かれていました
バーニー亡き後にジーナが選ばれますが、これは見事なまでに手のひらの上で踊らされている無能として描かれていました
クリスマスも探知機入りのナイフを渡し、ジーナもわざと追いかけさせているので、仕込みありきの追跡がバレバレなので萎えてしまいます
物語も、今更ながら「核兵器強奪」「ロシアを敵にする」「ラスボスは身内」というこれまでに100回ぐらい使われてきた古いシナリオが満載になっていました
クリスマスの危機に颯爽と登場するも、あんなヘリで向かっていたら敵にバレバレなのですが完全にスルーされていましたね
ラスボスの倒され方もかなり雑で、これでCIAのオペレーターが務まるというのはギャグにしか思えません
前作までの記憶はほとんどありませんが、まあステイサム単独の新作映画にスタローンがカメオ出演しているという認識でOKだと思います
今後はステイサムがリーダーとなってシリーズを続けるようですが、それならば「最後に本当に死んでもよかった」のではと思ってしまいました
■リーダーの資質
本作では、バーニー→ジーナへとリーダーがバトンタッチすることになりますが、それはマーシュが手のひらで転がすための布石になっていました
バーニーはオセロットを突き止めるために死を偽装し、相手がどう動くかを見ています
この段階ではオセロット=マーシュという構想はなく、筒抜けになっている情報を誰が流しているのかを俯瞰する形になっています
とは言え、偽装していた間にバーニーが何をしていたのかは一切描かれず、窮地に助けに来るとしても、命懸けの現場であることを考えると遅すぎるように思えました
マーシュは失敗することを前提でジーナをリーダーにするのですが、この流れだとクリスマス以外の誰でもよかったように思います
情報は彼自身が流していたので、おそらくはクリスマスでも看過できなかったでしょう
クリスマスを外したのはシナリオ上の都合で、デーシャを仲間に引き戻すための「迂回キャラ」にしか過ぎません
これは、死を偽装したバーニーが訪れていても問題ないのですが、バーニーが死んだと聞かされたからこそ動くというデーシャの性格を設定にしていたのでしょう
誰でも良かったリーダーにジーナを配したのは、クリスマスへの当てつけと、行動が単純だと考えていたからだと思います
このあたりはマーシュの中にある男尊女卑を示していて、それは彼の権力者像にも繋がっていましたね
彼の部下であるルッソが何もできないのと同じで、マーシュは自分の指示以外では何もできない人物を配下に添えることを念頭に置いていて、いつかはバーニーを排除したいと考えていたのだと思います
■勝手にスクリプトドクター
本作は、これまでに何回も使われてきた古いアイデアの総集編のようなもので、「敵は味方の中にいる」「リーダーの死は偽装」「核兵器を強奪」「敵は中東あたりにいる」という、既視感満載アイデアのオンパレードだったように思います
新しいと思えることはほとんどなく、今風のインフルエンサーが登場するぐらいで、彼の登場はほとんど意味がありません
これらのテンプレ的なものはそこまで問題ではなく、要は「クリスマスの窮地」というものをどこまで深く掘り下げて、そして「バーニーによって安堵をもたらすか」という部分が弱いのだと思います
バーニーの死の偽装は誰にでも読めるものだと思いますが、本当に死んだと思わせるほどの演出がないのが問題なのですね
この「死んだかどうかわからない演出」というのは、古典的なものだと「爆発シーンだけ見せる」みたいな感じで、死んだ瞬間を見せないというものがあります
本作では、代わりの死体を用意することで、本当に死んだように見せるのですが、その後のメンバーの喪失感というものの描き方があっさりし過ぎていました
さっさと次のミッションに入るのはいいのですが、そこでジーナへの交代などせずに、クリスマスのまま「感情が先走って失敗する」というミッションを入れた方が良かったと思います
失敗に失敗を重ねたことでクリスマスの自信が喪失し、リーダーとしての責務を負えなくなる
本来ならば、2回目の失敗でシーナが死んでしまうというのが理想的で、本当の死が起こることで、さらにクリスマスの落ち込み具合というものが加算されていきます
そして、ラストミッションに行かざるを得なくなるのですが、その精神状態ではまともには戦えないという状態になってしまう
そんな時に現れるのが「バーニーとデーシャ」で、バーニーは劣勢を覆すために「死を偽装してデーシャを招聘していた」という流れにすると良いと思います
デーシャはちょっとのことでは動かないのですが、バーニーは「自分の最後のミッションだから一緒に戦ってほしい」と言えば動きそうに思います
そうして、三人の共闘が始まり、最終的にバーニーは死んでしまい、クリスマスとデーシャのパーティーができると言う結末になった方が良かったと思います
バーニーを退場させるかどうかは今後の展開構想次第だと思いますが、本作以降は出演しないと言う情報もあるので、それを決定づけることもできたでしょう
2回目の死も「偽装」に見えてもOKで、とりあえずは「新章に向けての方向性を示す」と言うことを考えれば、本当に退場させても良かったのかなと思いました
本作は消耗品軍団の活躍を描いていますが、コアになっているのはバディなので、それを継承する意味合いでは「クリスマス&デーシャ」による「接近戦を主体としたバトルアクション」に変貌した方が明確な線引きになったように思いました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は火薬量の多い作品で、銃器と爆弾がたくさん登場し、最終的には核爆弾も海中で爆発することになりました
あの爆発で起きた津波で、デーシャの小舟が無事なのはあり得ないし、バーニーたちのヘリも無事で済んでいるはずはありません
とは言え、このあたりは漫画的なところがあって、そういうものだと割り切った方が良いのでしょう
爆撃機からの脱出もパラシュート使ってたら誰かが目撃しているだろうし、そもそも「あの死体がバーニーかどうかを確認するためにDNA検査をする」と思うのですが、指輪だけで本人確定というのも無茶なシナリオだったと思います
本作は、ツッコんだら負けという作品で、どちらかといえばコメディ映画だったように思います
なので、無駄に多い火薬、ほとんど意味を為さない会話劇などがあり、オフビートのゆるさを堪能する映画になっていました
ジャンボシュリンプとの指相撲とか、インフルエンサーの絡み、冒頭のジーナとの痴話喧嘩もそのテイストで作られていて、なので深刻な路線に行くわけもなく、ヘリの焼死体ですらコミカルなものになっていました
ラスボスの死に方もあっさりとしたものでしたが、ヘリで銃乱射よりは、いっそのことルッソが加わってマシンガンをぶっ放すというのでも良かったかもしれません
バーニーの登場シーンもあっさりしたもので、朝日と一緒に海面から登場するとか、ランボーのオマージュのような感じの格好をしているなんてのも面白いのですが、そこら辺は権利関係が難しいのかもしれません
映画は、何も考えずに金曜ロードショーなどで実況しながら観るというタイプの映画なのですが、そうなると「R15+」要因のシーンはカットされるのでしょうか
そうなると、バーニーが死んだシーンがさらに胡散臭くなってしまいそうですが、それはそれで良いのかもしれません
それにしても、シュリンプは可哀想でしたねえ
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/96732/review/03330851/
公式HP: