■体から始まる関係だとしても、満たし合うのは心の方だったりするのですね


■オススメ度

 

原作ファンの人(★★★)

城定秀夫監督作品が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2023.7.26(T・JOY京都)


■映画情報

 

情報2023年、日本、99分、R15+

ジャンル:バツ2のシングルマザーが初恋の相手と再開して、セフレ関係を始める様子を描いたラブロマンス映画

 

監督脚本城定秀夫

原作湊よりこ『セフレの品格(2011年、双葉社)』

 

キャスト:

行平あい佳(森村抄子:派遣会社で働くバツ2の女性)

青柳翔(北田一樹:抄子の初恋の相手、産婦人科医)

 

片山萌美(新堂華江:抄子の親友、一樹のセフレ)

 

新納慎也(栗山:抄子に言い寄る上司)

 

川瀬陽太(一樹の父、産婦人科医、院長)

田中美奈子(一樹の母)

佐倉萌(亀子:産婦人科医の看護師)

こころ(多恵:産婦人科の看護師)

演者不明(大樹:多恵の息子)

 

伊藤克信(屋台の客)

寺島まゆみ(屋台の客)

 

坂上梨々愛(森村遙:抄子の一人娘)

 


■映画の舞台

 

都内某所

 

ロケ地:

不明

 


■簡単なあらすじ

 

都内でコールセンターで働いている抄子は、バツ2で高校生の娘・遙を育てていた

ある日、同窓会に参加した彼女は、そこで高校時代の初恋の相手・一樹と再会を果たす

過去の思いが蘇り、そしてあるきっかけを経て、ホテルに行くことになった

 

一樹はホテルの部屋の前で「自分で開けてみて」と言い、抄子に選択を委ねていく

そして逢瀬を交わした抄子だったが、一樹から「恋人ではなく、セフレの関係でいたい」と告げられる

 

抄子は承服しかねるものの、彼からの誘いを断ることができず、何度も彼に抱かれるようになっていく

そんなある日、親友の華江から呼び出された抄子が彼女の部屋に向かうと、そこに一樹がいたのである

華江は何年も前からセフレの関係を続けていると言い、「3人でしない?」と彼女を誘う

抄子は苛立ちを隠せないまま部屋を飛び出すものの、その後も一樹の誘いを断れずにいたのであった

 

テーマ:寂しさを埋めるもの

裏テーマ:プライドと快楽

 


■ひとこと感想

 

レディコミとは知らずに、城定秀夫監督作ということで鑑賞

意外と女性客が多いなあと思いながら観ていると、少女漫画的な展開になってきて、もしやと悟ってしまいました

 

冒頭からラブホでガッツリとセックスシーンがあり、容赦ない感じにVシネマ状態が続いていました

さすがに過激過ぎではないかと思いながらも、大画面で長々と情事を見ていると妙な気分になってしまいます

 

物語は、セフレの関係を迫られてどうするかという感じになっていて、二度失敗している相手に、結婚がゴールだと思う上司が迫るというコミカルな流れになっていました

セフレの関係を続けるには理由があるのですが、それを救済と呼べるかは何とも言えません

 

華江のセフレ事情はわかりますが、でも夫には言えないというところに背徳感はあるようですね

幾つになってもセックスを楽しむのは良いと思うし、体だけの関係でも割り切れるなら良いでしょう

でも、やはり、結婚を失敗した人間ですら、その関係を求めてしまうところに、ある種の悲哀というものを感じてしまいますね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

ガッツリとセックスシーンが何度も登場する映画で、これでR15なのかと驚いてしまいます

一応、見えていないのでセーフという基準ですが、大丈夫なのかは心配になってしまいます

何せ、高校生はOKということになっていますからねえ

 

映画は、パンフレットが作られておらず、キャストを調べるのはほぼ不可能な感じで、なんとか「亀さん」だけは突き止めましたが、娘・遙役だけは無理ゲーですね

後編の「決意」にて、エンドロールを記憶するしかないのですが、全く自信はありません

 

物語は、後半に怒涛の展開を迎え、一樹の数奇な運命が描かれていきます

亀さんの「多恵さんだけはダメ」というセリフがじわじわ来ますね

てっきり、物陰から見ている家政婦状態のショットがあるんじゃないかとドキドキしてしまいましたが、残念ながらありませんでした

 


セフレとは何か

 

セフレとは、セックスフレンドのことで、セックスを楽しむことを目的として交際している関係性を言います

英語では「Bed Buddy」、スラングで「Fuck Buddy」と言います

映画内でも言及されるように、「セックスだけを目的とした関係」で、それ以外の行動を伴わないという特徴があります

また、金銭が生じず、相手の私生活に踏みいらないというルールもあります

 

映画の抄子と一樹の関係は、抄子は初恋の人という前提がありました

なので、抄子としては憧れの人から誘われたということで、相手も自分に対して好意を持っていると感じたのですね

でも、一樹にはそれがなく、その理由は後半に判明することになりました

 

一樹がセフレの関係を続けるのは、一人の女性を満足させられなかったという劣等感からくるもので、多恵の性欲もしくは支配欲が想定外だったということもあるでしょう

もともと院長と関係があったために、そこから乗り換える感じになっていましたが、ぶっちゃけるとセックスに関しては院長の方が上だったということになります

身体の相性というものもありますが、自分よりも体力的に劣っている父親に負けたというのは結構なダメージがあると思います

 

セックスの技能を身につけるのは数をこなせば良いというものではなく、各個体の特性を理解することだと思います

抄子との関係は、一樹の技量によって得た快楽もあれば、抄子の気持ちが後押しした部分もあり、かつこれまでの男性との経験値の差を感じたこともあるでしょう

セフレには双方の合意が必要になりますが、その合意なしの状態で行為が先に来てしまうと、今回のような感じになってしまうのだと思います

とは言え、体の関係から入る文化圏もあるし、告白という文化のないところもあるので、今回の関係は日本ならではの流れになっていたように思えました

 


寂しさよりも大事なもの

 

セフレを選ぶ理由は様々ですが、恋人関係のような執着関係が合わない人もいますし、執着関係だからこそセックスにまで至れる人もいます

それぞれの価値観が合致すれば問題がないのですが、さすがに婚姻関係を維持したまま他の異性と関係を持つというのは無茶かなあと思いました

華江は乳癌の乳房切除を受けていて、それ以来夫とのセックスはないという感じになっていますが、とは言え患者とそのような関係になるのはナンセンスでしょう

「寂しさを紛らわす」という名目があっても、欲求をコントロールできていないだけにも見えるので、共感性は低い行動になっています

 

寂しさとは、社会的な結びつきの欠如によって起こるとされていて、それは社会的な繋がりの多さによって脳が活性化するという事実の反証のようなものになっています

寂しさの行き着く先にある孤独と、それに対する恐怖感というものがあって、それは孤独というものが人類の生存本能に深く関わっているからだと言えます

人類は群れて生きるもので、共通の言語を使用して意思疎通を図り、共同体として生活する特徴があります

共同生活をすることによって、衣食住の効率化が生まれ、そうした先に進化というものが起きているので、孤独に対する恐怖感というのは、進化の源泉であったとも考えられるのですね

 

人は良くない感情から逃げるか克服するかの二択の生き物で、工夫によって克服することで進化してきたと言えます

不便な生活を知恵と発明によって変えていくのですが、それらの根幹にあるのは感情なのですね

この流れと同じ中に「寂しさを紛らわすための方法」というものがあって、その派生となるのが体だけの関係ということになるのでしょう

セックスではなく会話でよければ、キャバクラとかになりますし、添い寝でOKなんてものもあったりします

人は何かしらの形で人と繋がることで癒やされている部分があって、その喪失が与えるストレスというものは思った以上に強いものだと考えられます

 

この寂しさの感情をうまく紛らわせる人もいて、娯楽や趣味に身を浸す人もいれば、体を動かすという人もいるし、場所を変える(出かける)という人もいます

その状況を変えることがストレスの軽減になっているとも言え、それは単純な寂しさであると思います

でも、抄子が感じる寂しさは喪失感なので、喪失の対象でしか埋められないものなのですね

抄子にとっての一樹はそれだけ大きな存在で、でも一樹にとっての抄子も、そのような存在になりつつあるのだと言えます

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は前後編の前半で、主に抄子と一樹の関係の変化を描いていました

変化が大きかったのは一樹の方で、恋愛はしない、家庭は持たないと考えていたのに、抄子との関係でそれが生まれようとしていました

一樹の警戒心を解けるかどうかが抄子の正念場なのですが、映画の感じだとほぼ陥落状態のようになっています

それでも一樹との関係に一線が敷かれるのは、それほどまでに多恵との過去が強烈だったからだと言えます

 

後半がどのような感じになるかわかりませんが、予告編と追加キャストを見る限り、一樹に若い女性が接近し、抄子に別の若い男性ができるという流れになりそうですね

おそらくは双方に喪失感が生まれ、執着が激しくなると考えられます

多恵で生まれた心的外傷が今度は一樹の行動を封じる枷となっていて、それを壊すのは一樹の寂しさの力になるのですね

最終的に、抄子がどちらを選ぶのかは分かりませんが、感覚的には「抄子の中で清算が終われば、一樹は完全に過去となる」ので、抄子と新しい男の関係性が終わっても、手に入れられるかは難しいかもしれません

 

本作はレディコミックが原作なので、女性の願望の赴くままに動いていくと思われます

なので、男性の私が考えるよりも、もっと女性的な思考で物語が展開していくのだのでしょう

後半のサブタイトルは「決意」ですが、これは抄子の決意で、それはどっちを選ぶのかということだと思います

若い男を選ぶのか、経験豊富な初恋の人を選ぶのかというのは微妙なところもありますが、個人的には一樹を選ぶのではないかと予想しています

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

映画.com→https://eiga.com/movie/99036/review/03076850/

Yahoo!検索レビュー

 

公式HP:

https://sfriends-pride-movie.com/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA