■神の力でなんでもありにしてしまうと、今後の作品が白けたものにならないか心配になってしまいますね
Contents
■オススメ度
DCユニバースのファンの人(★★★)
脳筋系ヒーローが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.3.17(イオンシネマ久御山)
■映画情報
原題:Shazam! Fury of the Gods
情報:2023年、130分、アメリカ、G
ジャンル:力を魔術師に奪われた神の子供たちが、シャザムたちからそれを取り戻そうとするアクションファンタジー
監督:デビッド・F・サンドバーグ
脚本:ヘンリー・ゲイデン&クリス・モーガン
原作:ビル・パーカー&C・C・ベック
キャスト:
ザカリー・リーバイ/Zachary Levi(ビリー・バットソン:里親と衝突しまくる少年)
アッシャー・アンジェル/ and Asher AngeJack(シャザム:「ソロモンの知恵、ヘラクレスの強さ、アトラスのスタミナ、ゼウスの力、アキレスの勇気、マーキュリーのスピード」を備えた超人)
ディラン・グレイザー/Dylan Grazer(フレディ・フリーマン:足が不自由で学校でいじめられている少年)
アダム・ブロディ/Adam Brody(スーパーフレディ:フレディの超人の姿)
ロス・バトラー/Ross Butler(ユージーン・チョイ:ゲーム大好き少年)
イアン・チェン/Ian Chen(ユージーンの超人の姿)
ミーガン・グッド/Meagan Good(ダーラ・ダドリー:お菓子大好き少女)
フェイス・ハーマン/Faithe Herman(ダーラの超人の姿)
グレイス・フルトン/Grace Fulton(メアリー・ブロムフィールド:里親離れで悩む義理の姉&超人の姿)
D・J・コトローナ/D. J. Cotrona(ペドロ・ペーニャ:シャイで筋トレ好きの少年)
ジョバン・アルマンド/Jovan Armand(ペドロの超人の姿)
ジャイモン・フンスー/Djimon Gaston Hounsou(シャザムの力をビリーに与えた魔術師)
ヘレン・ミラン/Helen Mirren(ヘスペラ:アトラスの長女、力を取り戻そうと目論む老女)
ルーシー・リュー/Lucy Liu(カリプソ:アトラスの次女)
レイチェル・ゼグラー/Rachel Zegler(アナ/アンシア:アトラスの三女、フレディの想い人)
マルタ・ミランズ/Marta Milans(ローサ:ビリーたちの里親)
クーパー・アンドリューズ/Cooper Andrews(ビクター・バスケス:ビリーたちの里親、ローサの夫)
ガル・ガドット/Gal Gadot(ダイアナ・プリンス / ワンダーウーマン:シャザムが恋をする超人)
カーソン・マコーマック/Carson MacCormac(ブレット・ブライヤー:フレディをいじめる生徒)
エヴァン・マーシュ/EvanMarsh(バーク・ブライヤー:フレディをいじめる生徒)
ジェニファー・ホランド/JenniferHolland(エミリア・ハーコート:タスクフォースX)
スティーヴ・エイジー/SteveAgee(ジョン・エコノモス:タスクフォースX)
デヴィッド・F・サンドバーグ/David F.Sandberg(謎の芋虫の声)
マーク・ストロング/Mark Strong(シヴァナ:前作のヴィラン)
■映画の舞台
アメリカ:ペンシルバニア州
ブルックリン橋
https://maps.app.goo.gl/cbUM86NZriUxb2at8?g_st=ic
シチズンズ・バンク・パーク
https://maps.app.goo.gl/boiSLpZAC6XU1ahj9?g_st=ic
フィラデルフィア市庁舎
https://maps.app.goo.gl/qp7tG48YtUd1B2yq6?g_st=ic
ロケ地:
アメリカ:ジョージア州
アトランタ
アメリカ:ペンシルバニア州
フィラデルフィア
■簡単なあらすじ
前作にて、魔術師から「シャザム」の力を授かったビリーたちは、住民たちにウザがられながらも、日々街のヒーローになろうと奮闘していた
ある日、ブルックリン橋の崩落事故から人々を救った彼らは、自画自賛の有頂天の中、作戦会議と称して「アジト」に集まっていた
その夜、ビリーは夢の中で、魔術師からの警告を受け取る
それは「アトラスの娘たちがくる」というもので、彼にはその意味がわからなかった
その頃、美術館では、二つに折れた魔法の杖を奪いに、謎の甲冑の女が二人現れた
そう、彼女らこそ、魔術師が警告を発していた「アトラスの娘」たちだったのである
テーマ:力は誰のために
裏テーマ:力が宿るべき場所
■ひとこと感想
前作『シャザム』を観たので、「つい」鑑賞に赴きました
予告編でほぼネタバレという感じで、ともかく派手なパワー合戦が繰り広げられていましたね
ほとんどがCGで、眩しすぎるし、速すぎるのですが、コメディパートは相変わらずスベッていたように思います
物語は、家族に執着するビリーの本音を紐解くという流れになっていて、いわゆる存在価値の模索という感じになっています
与えられた力をどうしたいかよりも、なぜ彼が選ばれたのかという流れになっていて、わかりやすい自己犠牲が描かれていきます
少しばかり古めの価値観に思え、CGバトルは少しばかり単調でしたね
基本的に「体当たり&ビーム」なので、アクションとのバリエーションも少なければ、特徴的なカット割もありません
唯一アガるのは「あのお方の匂わせ」ですが、それをやったらおしまいじゃないの?と思わざるを得ませんでした
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
ユニバース系は他の映画のキャラが出てくるのはお約束ですが、今回は共闘というよりは神龍みたいな役割になっていましたね
シリーズの続編のことを考えるとやむを得ないとは思いますが、最近はこの手の復活が多すぎて、ピンチがピンチらしくありません
物語は家族にこだわるビリーが、なぜ束縛するのかというものなのですが、前作のビジュアルだとまだ「子どもの駄々っぽさ」がありましたが、さすがに18歳でこれはどうなんだろうと思ってしまいます
とにかくキャラが多いので、それぞれの見せ場の配分があるのですが、結局はビリーの物語なので、脇役が多すぎて渋滞している感は否めません
ここまでくると、最終決戦でシャザムVS敵にするために「どうして他のキャラを一時的に退場させようか」に苦心しているのかなと思ってしまいました
■キャラの渋滞問題
本作は「子どもが呪文を唱えると超人になる」というタイプの映画で、そのキャラが増えるごとに等倍で登場人物が増えてしまいます
ビリーを含めた6人の子どもそれぞれに大人のキャラがいて、一番年齢の高いメアリーだけが一人二役をこなしていました
この11人の主人公と里親2名という状況に対して、敵は三姉妹の神様ということになっていました
そのうちの末娘アンテアだけが、人間の姿アンとしてハイスクールに紛れ込むという流れになっています
実質的には、ビリー&フレディと三姉妹の戦いなのですが、6人の子ども全員にシャザムの力が分け与えられていることで、とにかく出番を確保しないといけない、という流れになっています
でも、最終的には「シャザムひとりで戦う」という構図になり、敵側も次女カリプソが立ちはだかることになりました
これらのキャラ多すぎ映画では、なんとかして「最終的に1対1に持っていくシナリオ」になりがちなのですが、本作のその過程はかなり無理矢理なものになっていました
モブ兄弟の能力はあっさりと奪われ、三姉妹は内紛によってカリプソが暗躍することになっています
前作では、シャザムが兄弟たちに力を分け与えていたので、本作では「偉大なる敵と戦うためにシャザムに力を返す」のかと思っていましたが、そんなことはなかったですね
本来ならば、敵が一枚岩になっていて歯が立たないので、シャザムに力を集中させようと考えるが基本的なシナリオだと思います
結局のところ、敵のやりたいことがブレブレで一貫性がなく、シャザム側も成り行きに任せて戦っているだけでした
シャザムの力を奪い合うというシナリオでしたので、その力を持つ意味と役割について言及した方が良かったように思えました
■復活と没入
映画のラストでは、ヘスペラの作ったドームを縮小させ、その中で姉妹から力を奪ったカリプソを倒すことに成功します
カリプソ自身を悪の権化にしたことで勧善懲悪的な感じになり、そして、自己犠牲を厭わない行動を描いていきます
シャザムは力を使い果たして死んでしまったのですが、それをワンダーウーマンが復活させるのですね
「神様の力」でビリーは復活を遂げますが、これによって「死んでもなんとかなる」みたいな感じになるのはどうかなあと思います
シャザムが主人公なのに、終わってみれば「フィラデルフィアを修復したのもワンダーウーマン」になっていて、これまでの戦いが無意味だったかのように思いました
この感覚は『ファンタスティック・ビースト』の1作目のような感覚に近く、「それをしたらおしまいでしょう」という感覚は拭えません
せめて、瀕死の重症を救うレベルにしないとダメで、その際にみんなのシャザムの力を分け与えるなどの描き方はできたと思います
ワンダーウーマンの登場はサプライズで良いと思いますが、ガッツリと物語に組み込まれてしまうと、それはそれでどうなのかという問題に行き着くように思えました
私個人はこのワンダーウーマンの登場で感情的にアガったものの、そこで起きた復活劇で醒めてしまいました
やはり「元通りに戻る」というのはどのような場合でも悪手であると思うので、このシナリオが採択されたシリーズというのは、後々「死んでも復活するんでしょ」と思わせてしまいます
それを考えると、今後のDCシリーズの足枷にもなってくるので、戦いのシーンなどへの没入感というものを削いでしまう可能性はあります
シャザムの世界観にもそれが起こったことは残念に思いますし、本作のテーマがかなり逸脱してしまったように思えました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画は、ビリーが真のヒーローになるというもので、身を挺して家族を守るという展開を迎えます
そして、その敵が「家族を犠牲にするカリプソ」ということで、この構図自体は胸熱な展開でしたね
兄弟たちの能力が奪われたことで孤軍奮闘になっていましたが、それによってヒーロー像が固定された感は否めません
映画の冒頭ではヒーロー戦隊みたいなノリになっていて、このわちゃわちゃ感は結構好きだったのですが、今後はシャザムが独り立ちしたことによって、兄弟たちの登場の機会が減りそうに思えます
それが良いのかどうかはわかりませんが、ジャスティス・ソサエティに兄弟姉妹全員が参加というのも、それはそれで渋滞問題がさらに深刻になるのでしょう
映画はスケールが大きいようで小さいという印象がありましたね
力を奪われた神がそれを取り戻しにくるのですが、来たのが三姉妹だけだし、しかも姉妹で喧嘩してるし、都合よく力を失って人間になったキャラもいるし、と雑多なところがありましたね
最終的には「フィラデルフィアの中にあるスタジアム」にて決戦が行われるのですが、映像的に徐々にフォーカスしていく流れになっていたのは賛否が分かれるところでしょうか
個人的には、肉弾戦&特殊ビーム攻撃の連続が単調に思えてしまい、後半は退屈さが優ってしまいました
次回作はDCEUの中になると思いますが、シャザム単体の続編がどうなるのかなと心配になってしまいます
と言うのも、ビリーも大人になるので、これまでの「中身は子ども」が通じなくなってしまいますからね
いきなりビリーの子どもに力を受け継がせる流れになるのか、兄弟の誰かの暴走を描くのかはわかりませんが、コンテンツの面白みとしては一段落したように思います
今後は、もろにスーパーマンの路線に近づくので、大人になったビリー&シャザムとして生まれ変わりを余儀なくされてしまいますね
ハイスクールを卒業したけど、おそらくチェリーのままなので、そう言った方面にお話が展開するのかもしれません
次回作でどのようなポジショニングになるのかはわかりませんが、精神年齢が低いままのビリーがいて、それで継続されて女の子にフラれまくるのかなと思わないでもないですね
ともかく、シリーズを追っていく中で、製作陣が方向性を見失ってグダグダになると言うことだけは避けてほしいと感じました
■関連リンク
Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/383978/review/0559b348-90bb-4f48-a3f9-6711d41ec313/
公式HP:
