■時代を生き抜いた先に辿り着いた、信念の回想録


■オススメ度

 

シモーヌ・ヴェイユに興味のある人(★★★★)

記憶の旅系の映画が好きな人(★★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.8.1(アップリンク京都)


■映画情報

 

原題Simone, le voyage du siècle(シモーヌ:世紀を跨いだ旅)、英題:Simone Veil, A Woman of the Century(シモーヌ:世紀を跨いだ女性)

情報:2022年、フランス、140分、G

ジャンル:実在のフランスの政治家であるシモーヌ・ヴェイユの半生を描いた自伝映画

 

監督&脚本:オリヴィエ・ダアン

 

キャスト:(わかった分だけ)

エルザ・ジルベルスタイン/Elsa Zylbersteinシモーヌ・ヴェイユ/Simone Veil:フランスの政治家)

   (若年期:レベッカ・マルデール/Rebecca Marder

   (10歳時:Lucie Usal

 

エロディ・ブシェーズ/Elodie Bouchez(イヴォンヌ・ジェイコブ/Yvonne Jacob:シモーヌの母)

Bruno Georis(アンドレ・ジェイコブ/André Jacob:シモーヌの父)

 

Justith Chemla(マドレーヌ・ジェイコブ/ミルー/Milou Jacob:シモーヌの姉)

   (15歳時:Dali Jaspard

Bastien Bouillon(ピエール・ジャンポルスキー/Pierre Jampolsky:ミルーの恋人→夫)

 

Claudine Vincent(ドゥニーズ・ヴェルネ/Denise Vernay:シモーヌの姉、レジスタンスに参加、84歳)

   (14歳時:Lilou Kintgen

Max Libert(ジャン・ジェイコブ/Jean Jacob:シモーヌの兄、18歳時)

   (12歳時:Tanguy Mercier

 

オリヴィエ・グルメ/Oliver Gourmet(アントワーヌ・ヴェイユ/Antoine Veil:シモーヌの夫)

   (若年期:Mathieu Spinosi

 

Alain Guillo(ジャン・ヴェイユ/Jean Veil:シモーヌの長男、57〜59歳)

   (41歳時:Philéas Vassily

   (20歳時:Leopold Buchsbaum

   (11歳時:Tanguy Casalis

   (5歳時:Yossef Berdan

Jules Porier(クロード・ニコラ・ヴェイユ:シモーヌの長女、19歳時)

   (14歳時:Aurélien Feron

   (10歳時:Léon Monnier

   (4歳時:Zéphyr Elis

Cédric Weber(ピエール=フランソワ・ヴェイユ/Pierre-François Veil:シモーヌの次女)

   (14歳時:Antoine Glemain

   (8歳時:Gaël Raës

 

Séverine Warneys(Barbara Veil:シモーヌの孫?)

Juliette Pedevilla-Defaÿ(ヴァレンティーナ・ヴェイユ/Valentina Veil:シモーヌの孫?、10〜12歳)

 

【刑務所関連】

François Rollin(フレンヌ刑務所の所長)

Alain Carbonel(フレンヌ刑務所の副所長)

Brigitte Aubry(ラ・ロケット刑務所の所長)

Jean-Pol Brissart(刑務所の所長)

Yann Goven(アルジェリア・オルレアンビルの刑務所の副所長)

Luc-Antoine Diquéro(フューリー医師:アルジェリアの刑務所の衛生管理担当医)

Sacha Petronijevic(シュトラスガウトの医師)

 

【薬物・病院関連】

Guillaume Verdier(ピエール:薬物依存の男)

François Creton(ヨナス:薬物依存の女)

Camille Rutherford(ヘロイン中毒の若者)

Stéphane Hausauer(セルジュ・ヘフェズ/Serge Hefez:薬物依存患者を診る精神科医)

Cédric Dioméde(ダヴィトニ:シモーヌと話すエイズ患者)

 

【公職関連】

Jacky Nercessianエドガール・フォール/Edgar Faure:フランスの国会議員、下院国民会議の議長)

Philippe Dusseauジャック・シラク/Jacques Chirac:フランスの政治家、当時の首相)

Jean-Marie Frin(アルベール・リオジェ/Albert Liogier:フランスの政治家、文化・家族・社会委員会の副委員長)

Pascal Elso(ウジューヌ・クラウディス・プティ/Eugène Claudius-Petit:フランスの政治家、中絶に反対も法案に賛成するキーマン)

Stephen Szekely(ジャン=マリー・ダイエ/Jean-Marie Daillet:フランスの政治家、ヴェイユ法に反対する議員、「人間の胚が火葬場かゴミ箱に捨てられる」発言)

Emmanuel de Sablet(ルネ・デ・ラ・コンブ/René de la Combe:フランスの政治家、レジスタンスのリーダー、ヴェイユ法に賛成)

Jean-Gilles Barbier(ジャン・デサンリス/Jean Desanlis:フランスの政治家)

Jean-Luc Porraz(エマニュエル・アメル/Emmanuel Hamel:フランスの政治家、ヴェイユ法に反対し、胎児の心音を聞かせた議員)

Frédéric Darié(ルネ・フェイト/René Fait:フランスの政治家、アメル議員と共に胎児の心音を聞かせる議員)

JJean-Pascal Abribat(ボロ:ヴェイユ法反対の議員)

Sylvie Gravagna(エレーヌ・ミソフ/ Hélène Missoffe:フランスの保健・社会保障大臣の国務長官、ヴェイユ法に賛成)

Éric Franquelin(ジャン・フォワイエ/Jean Foyer:国会法務委員長、ヴェイユ法に反対の議員)

Bernard Blancan(ピエール・ブルソン/Pierre Bourson:フランスの政治家)

Marc Berman(ヘンリ・モンターニュ/Henri Montagne:フランスの政治家)

Rémy Steelcox(MRPの議員)

Mathieu Cayrou(国民戦線、シモーヌを目の敵にする政治家)

Antoine Gouy(ジャン=ポール・デヴィッド/Jean-Paul Davin:マント・ラ・ジョリーの市長)

 

【学生時代関連】

Bertrand Combe(アンドレ・ジークフリート/Andre Siegfried:フランス政治学院の教授、アントワーヌの教授)

Gills-VincentKapps(ピエール=アンリ・テジャン/Pierre-Henri Teitgen:MRP党の設立者)

Antoine Levannier(ミシェル・ド・ボワシュー/Michel de Boissieu:パリ政治研究所の講師、シモーヌが教えを乞う教授)

Philippe Lelloucheセルジュ・クラルスフェルト/Serge Klarsfeld:シモーヌの父と兄の行方を知らせる歴史学者)

 

【交友関連】

Grégoire Paturel(マチュー:ニース時代のシモーヌたちの友人)

Lucie Rouxel(ジネット・コリンカ/Ginette Cherkasky :シモーヌのホロコースト時代の友人)

(中年期:Laurence Côte

Esther Valding(マルスリーヌ・ローゼンバーグ/Marceline Rozenberg:シモーヌのホロコースト時代の友人)

(中年期:Sylvie Testud

Gábor Ónodi(マルスリーヌの父)

 

Philippe Torreton(アンドレ・ペルドリオ/André Perdriau:アルジェリア訪問時のシモーヌの協力者)

 

【マスコミ関連】

Antoine Chappey(ジャン・エミール=ジャネッソン/Jean-Émile Jeannesson:フランスのジャーナリスト)

Anthony Paliotti(ヤラセを仕込もうとするTVのマネージャー)

Patrice Morel(セルジュ・モアティ/Serge Moati:アウシュヴィッツ訪問を打診するジャーナリスト)

 

【EU会議関連】

Marie Brayルイーズ・ワイス/Louise Weiss:女性参政権運動「新しい女性」を立ち上げたジャーナリスト)

 

【イスラエル関連】

Benjamin Gaitet(イスラエルのキブツの若い男)

Noémie Zeitoun(イスラエルのキブツの若い女)

Isaïe Sultan(イスラエルのキブツの歌手)

Farrah Dionnet(イスラエルのキブツの少女)

 

【収容所関連】

Gilles Treton(作業現場の監督)

Karolina Piechota(スタニア:冷酷無比なカポのチーフ)

Szabolcs Ruszina(シモーヌと同い年のカポ、手助けしてくれる女性)

Cser Kinga(カポ)

Barbara Szitás(カポ)

Ildikó Bacsa(カポ)

Marcella Andruskó(若いカポ)

Elisabeth Duda(若いカポ)

 

Veronika Varga(オルガ:囚人)

Noémie Chicheportiche(ミリアム:囚人)

Héléna Dassault(既婚女性の囚人)

Marion Sicre(囚人)

Maud Imbert(囚人)

Lucie Leporowska(ネズミで叫んでボコられる囚人)

 

Zsigmond Lázár(列車の中のバイオリン弾き)

 

【その他】

Laura Puech(ミレーネ・ウェイル/Mylène Weil:フランス国立科学センターの研究者)

Florence Hebbelynck(コレット・モノ/Colette Mono:?)

Louise Danel(ミリアム・カラッティ/Myriam Karatty:?)

Marthe Drouin(ストラスブールの市場の女性)

Gisèle Worthington(ストラスブールの市場の女性)

Quentin Baillot(アンドレ・ウェイル/André Weil:ユダヤ人数学者)

Florence Muller(アリス・ウェイル/Alice Weil:アンドレの妻)

 


■映画の舞台

 

1974年〜2006年頃

フランス:パリ

 

フランス:ニース

https://maps.app.goo.gl/eAHB9kJYgJauqmuKA?g_st=ic

 

ドイツ:シュトゥットガルト

https://maps.app.goo.gl/s2GgCWJRDJaZtq1H7?g_st=ic

 

ポーランド:

アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所

https://maps.app.goo.gl/HkjeSLHJcRNvGHM29?g_st=ic

 

イスラエル

 

ロケ地:

フランス:

La Ciotat/ラ・シオタ

https://maps.app.goo.gl/CRk2iHpiyJ5GCpsk9?g_st=ic

 

フランス:パリ

 

フランス:

Strasbourg/ストラスブール

https://maps.app.goo.gl/syaBKRcN3pxfPwVP8?g_st=ic

 

ハンガリー:ブダペスト

 


■簡単なあらすじ

 

2007年頃、フランスの政治家シモーヌ・ヴェイユは、自身の自伝本を書くために、あるビーチを訪れていた

夫のアントワーヌと激動の時代を振り返りながら、「心のままに書けば良い」とアドバイスをもらう

浜辺で遊んでいる孫娘たちを眺めながら、シモーヌはニースで過ごした幼少期に思いを馳せていた

 

シモーヌは「ヴェイユ法」と呼ばれる女性の人工中絶を合法化に尽力し、政界内に多くの敵味方がいる激しい政治家だった

だが、彼女はゲシュタポに連行され、アウシュヴィッツにて強制収容された過去があった

母イヴォンヌ、姉ミルーと共に支え合いながら生きてきて、姉ドゥニーズはレジスタンスとして戦っていた

 

戦後になっても「強制収容所にいたこと」は公言できない雰囲気になっていて、無言を貫くことを強要されていく

そんな中、シモーヌは弁護士になる夢を叶えるために学校に行き、そこで生涯の伴侶となるアントワーヌに出会うことになったのである

 

テーマ:貫くべき信念

裏テーマ:記憶の旅が見せる人生

 


■ひとこと感想

 

フランスの政治はともかく、女性の人工中絶に関して調べたことがある人ならば、この人の名前を知らない人はいないと思います

アウシュヴィッツの経験を語った公人としても有名で、その激動の人生をどうまとめるのかにとても興味がありました

 

映画は、シモーヌが自伝を書くために「記憶を思い出す」というスタンスになっていて、時系列が激しく揺れ動いていきます

それでも、意外なほどに混乱することはなく、幼少期(ニース)、青春期(パリ→ドイツ→ポーランド)、戦後(パリ→ストラスブール→イスラエル)→老後(ニース?)という感じに流れていきます

 

とにかく情報量が多い作品で、彼女の年表を頭に入れておくか、当時のフランスの政治の流れを頭に入れておかないとパンクしてしまいます

キャスト欄を作るのが地獄の作業で、全部をまとめきれませんでしたが、概ね気になる人物に関しては辿れるのではないでしょうか

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

本人出演か?と思わせるほどに似ていて、議会の演説シーンはアーカイブなの?と思うほどに迫力がありました

ヴェイユ法を通すときに誹謗中傷を超えた発言は凄すぎて、シモーヌに対して「お前はナチスと一緒だ」と言った議員はヤバすぎて凍りついてしまいます

 

ヴェイユ法だけでも一本の映画になりますが、その後の法務官としての各刑務所の待遇改善であるとか、子ども学校の設立、エイズ患者の救済、薬物依存への取り組みなど、この人で10本以上映画が撮れると思います

 

とにかく信念と行動の人で、胆力が物凄いのですが、その説得力を演技で表現しているエルザ・ジルベスタインさんも見事だと思います

パンフレットも超充実しているので、彼女の半生を勉強する意味で購入しても損はないと思います

 


シモーヌ・ヴェイユについて

 

シモーヌ・ヴェイユは1927年にフランスのニースに生まれた女性で、第二次世界大戦中にホロコーストに遭い生還した人物でした

その後、アントワーヌとの出会いを経て3人の子どもを出産し、自身も治安判事、保健大臣を務め、欧州議会の議長も務めることになりました

保健大臣時代には、「ヴェイユ法Loi du 17 janvier 1975 relative à l’interruption volontaire de grossesse)」と呼ばれる人工中絶の合法化など、フランスにおける女性の権利を推進し、刑務所の処遇改善などの人道的な側面を行なってきた人物でした

ホロコーストでは、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所とベルゲン・ベルゼン強制収容所を生き抜き、平和のために「欧州が統合すべき」との考えを取るようになっていました

 

映画でも描かれるように、アンドレ・ジェイコブとイヴォンヌ・ジェイコブとの間に生まれた末っ子で、兄と父は強制連行の末行方不明となっています(第73輸送隊でバルト三国に送られた記録がある)

1944年の4月7日にシモーネとミルー、イヴォンヌの三人はドランシーの強制収容所に送られ、4月13日にアウシュヴィッツに移送されました

次女のドゥニーズはレジスタンスに入っていて、彼女はラーフェンスブリュック強制収容所に移送され、そこで生き残ることになりました

シモーヌたちは1945年の1月にベルゲン・ベルゼン強制収容所に送られ、そこでイヴォンヌはチフスによって亡くなっています

ミルーも同じくチフスに罹っていましたが、解放後に治療を受けることができました

 

フランスに戻った後は、パリ大学で法律の勉強を始め、政治学研究所に通い、この時にアントワーヌと出会っています

その後、3人の子どもを授かった夫婦は、アントワーヌの仕事の関係でドイツに移住し、アメリカの占領地域に住んでいました

1952年、ミルーはシュトゥットガルドにいるシモーヌを訪ねた帰りに事故に遭い、息子リュックと共に亡くなってしまいました

 

その後、パリ大学の法学部を卒業したシモーヌは、1954年に治安判事の国家試験に合格し、法務省傘下の国立刑務所の司法事務として働き始めます

そこでシモーヌは女性刑務所の環境改善と受刑者の処遇の改善に取り組みます

1964年、民事局長になるために職を辞し、1970年には最高治安評議会の事務総長にまで上り詰めます

 

1974年から1979年まで、ジャック・シラク首相とレイモンド・バレ首相の政府で保健大臣を務めます(保健大臣→保健社会保障大臣→保健家族大臣と名称は変わっている)

その際に「複合型経口避妊薬による避妊法」を促進し、「人工中絶」を合法化させます

1979年には、第一回欧州議会選挙にて、欧州議会議員に選出されます

新議会は最初の会期でシモーヌを初代議長に選出し、それは1982年まで続きました

 

映画で描かれているのはここまでですが、その後を知りたい人は英語版wikiなど翻訳してみてください

また、パンフレットにも彼女の年表が整理されているので見易いと思います

とても、ここには書ききれない数々の功績があります

 


アウシュヴィッツを語ること

 

シモーヌ・ヴェイユと言えば「ヴェイユ法」なのですが、それと同時にホロコーストを語った著名人としても影響力が大きかったと思います

当時のフランスでは、強制収容所送りはタブー視されていて、それを隠そうとする人もいるし、政府としても負の歴史を強調したくないという構造がありました

また、「アンネ・フランクの日記The Diary of a Young Girl)」は嘘であるという主張もあり、死亡した600万人はナチスの政策(ガス室送り)ではなく、病気や飢餓であるというものもあります

これらの根底にあるのは、ユダヤ人への憎悪があって、ホロコースト自体がユダヤ人の捏造や誇張であると見られています

 

ホロコーストの証拠は、ドイツ軍による「Aktion 1005作戦(Sonderaktion 1005)」によって、いくつかの強制収容所の集団墓地の破壊をしたり、証拠隠滅をしていました

その他にも、外部・内部・交流経験者などから様々な主張がなされています

フランスでは、文学教授ロベール・ファウリッソン(Robert Faurisson)を「ホロコーストを歴史的な嘘だと主張し、憎悪と差別を煽動した罪」によって有罪になっていますね

また、1990年には「1945年のロンドン憲章による制定」すなわち、人道に対する罪の規模または存在を疑問視することを犯罪行為とする「ゲソ法Gayssot Act)」というものが制定され、これは「ホロコーストを否定を明示的な犯罪とする欧州最初の法律」とされています

 

歴史の歪曲には様々なパワーバランスが働き、これらの人権問題を利用してビジネスにする者もいれば、個人的な憎悪などを増幅して、あたかもマジョリティの総意であると誤認させるものまで様々なものがあります

歴史に関しては、目撃者以外は真実を知らないし、当事者でも背景は分かりません

かと言って、そのこと自体がなかったという主張はナンセンスで、嘘であると主張することはホロコースト自体を肯定していると捉えられても不思議ではないのですね

これに関しては、ナチスがホロコーストを行うに至った背景というものがあって、それを支持する層はドイツ国外にもいるということなのですね

あからさまにホロコーストは正義だったという人はいませんが、ユダヤ人が自身の利益のために誇張していると主張する人は、自身の発言が何を意味しているのか理解していないと言わざるを得ない側面があります

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、記憶を辿る旅を映像化していて、想起には順番と関連性があるということを伝えています

物語の始まりは2006年頃の自伝執筆の前からになりますが、どこかの保養地で休息を取っているシモーヌは、目の前で遊んでいる孫娘たちを眺めながら、自分の幼少期を重ねていきます

その後、子どもに関する記憶ということで「ヴェイユ法」制定のシーンに移り、戦後を想起することになりました

 

シモーヌの中で起こる想起は「連想ゲーム」のようになっていて、孫娘を見る→自分の子ども時代を思い出す→生まれてきたことへの感謝→生まれることに関する法律「ヴェイユ法」という順番になっています

そこからは「ヴェイユ法」制定に至るまでの自身のキャリアを思い出し、パリ大学でのアントワーヌとの出会い→自分の出産→社会的な阻害(女性の人権軽視の経験)などが描かれていきます

アントワーヌの仕事の関係でドイツに移住することになったシモーヌは、三人目が生まれた後に自身のキャリアを考え始め、シモーヌが弁護士(法曹関係)に入る過程を描きます

ここでは、刑務所の待遇改善などの取り組みを思い出し、自分自身が強制収容所時代にいたことをインタビューで話すという内容に移っていきました

 

このインタビューによって、連行された時期のこと、収容所時代に知り合った人との人間関係というものが描かれていき、ストラスブールで再会した時のことに思いを馳せます

そして、EU会議の議長選出の後に、まるで総決算のようなアウシュヴィッツ訪問というものが描かれていきます

冒頭の自伝執筆は、この訪問の後のことで、アントワーヌは「好きに書いたら良い」と言っていました

この自伝は実際に2009年に出版されていて、本作の原案にあたるとまで言われている内容なのですね

タイトルは『Une vie』で、意味は「人生」

日本語訳として、『シモーヌ・ヴェイユ回想録』というものが発売されています

その他にも彼女が執筆した多くの本が日本語訳で出版されているので、気になる方はアマゾンを巡回してみてくださいまし

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

Yahoo!検索の映画レビューはこちらをクリック

 

公式HP:

https://simonemoviejp.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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