■原題の回収を考えると、邦題の改変は罪深いと思う
Contents
■オススメ度
捨て犬の復讐劇が観たい人(★★★)
Fワード連発の下品な映画が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.11.17(MOVIX京都)
■映画情報
原題:Strays(迷子)
情報:2023年、アメリカ、94分、PG12
ジャンル:捨てられた野良犬が飼い主に復讐する様子を描いたコメディ映画
監督:ジョシュ・グリーンバウム
脚本:ダン・ペロー
キャスト:
ウィル・フォーテ/Will Forte(ダグ:レジーの元飼い主)
ブレット・ゲルマン/Brett Gelman(ウィリー:動物管理官、看守)
ダン・ペロー/Dan Perrault(ハーゲン:ダグを治療する医師)
デニス・クエイド/Dennis Quaid(デニス・クエイド:バードウォッチャー)
ウィル・フェレル/Will Ferrell(レジー:ボーダーテリア、ダグの元飼い犬)
ジェイミー・フォックス/Jamie Foxx(バグ:レジーを助ける野良犬のボストンテリア)
イスラ・フィッシャー/Isla Fisher(マギー:オーストラリアン・シェパード、ダグの仲間)
ランドール・パーク/Randall Park(ハンター:グレートデーン、ダグの仲間)
ジョシュ・ギャッド/Josh Gad(ガス:ラブラドール・レトリバー、都会の捨て犬)
ジミー・タトロ/Jimmy Tatro(フィン:ロットワイラー、ガスの仲間)
グレタ・リー/Greta Lee(ベラ:ポメラニアン、ジェナの飼い犬)
ハーヴェイ・ギレン/Harvey Guillén(シットステイン:チワワ、ジェナの飼い犬)
ソフィア・ベルガラ/Sofía Vergara(ドロレス:路上に放置されているカウチ)
ジェイミー・デメトリウ/Jamie Demetriou(チェスター:魔法のフェンスから出られないブルドッグ)
フィル・モリス/Phil Morris(バブシー:公園の口の悪い捨て犬、ハンターのライバル)
Charity Cervantes(ジェナ:マギーの飼い主)
Andrea Laing(ジェナの友達)
Alexandra Ficken(ジェナの友達)
Jade Fernandez(アシュリー:ダグの元カノ、レジーの名付け親)
Tinashe Kajese(キャシー:行方不明捜索隊)
ロブ・リグル/Rob Riggle(ロルフ:ジャーマン・シェパード、警察犬)
ジャック・デ・サンス/Jack De Sanz(マンチカン:ブラッドハウンド、警察犬)
Mikayla Rousseau(ライリー・アンダーソン:迷子になる少女)
Mike Dolphy(ケビン:ライリーの父)
AJ Bernard(リアム:ライリーの弟)
Aven Lotz(エマ:メガネ少女、ダグの元飼い主)
Hannah Alline(エマの母)
Garrett Hines(エマの父)
Hedy Nasser(カーリー:遊園地でナンパされる女の子)
Dexter Masland(ジェームズ:カーリーを狙う男)
ダビッド・ハーマン/David Herman(アンダーバイト:パウンド・ドッグ、ナレーション犬)
Gabriella Garcia(10代の女の子、花火?)
Andrew Nicolas Starr(10代の少年、花火?)
Ryan Dinning(ニヤつく郵便配達人)
Stephanie Dunnam(ガーデニング女性)
Deadra Moore(公園のおばあちゃん)
Alonzo Ward(公園のおじいちゃん)
【吹き替え】
森川智之(ダグ)
秋山竜次(レジー)
森久保祥太郎(バグ)
津田健次郎(ハンター)
マギー(マギー)
■映画の舞台
アメリカ:ジョージア州
オークウッド/Oak Wood
ロケ地:
アメリカ:ジョージア州
アトランタ
■簡単なあらすじ
オークウッドの郊外でダグと一緒に住んでいるレジーは、ダグの浮気をばらして以来、雑な扱いに甘んじていた
レジーにはいじめられている感覚はなく、テニスボールダッシュも遊びの一環だと考えていた
ある日、何度も戻ってくることに嫌気が差したダグは、レジーを都会に連れてきて置き去りにしてしまった
これもゲームだと思っていたレジーだったが、夜の都会は恐ろしく、多くの凶暴な野良犬が生息していた
二匹の凶暴な犬に囲まれたレジーだったが、そこにイカれた野良犬・バグがやってきた
バグは仲間のハンターとマギーを紹介し、レジーは次第に打ち解けていく
だが、レジーはまだ自分が捨てられていないと思っていた
ある時、レジーはふと悟ったかのように、自分が愛されていないことに気づく
そして、自分を捨てたダグに仕返しをしようと考える
バグたちはレジーに同行し、4匹はダグのいる家へと向かうことになったのである
テーマ:犬と飼い主の絆
裏テーマ:愛されることの大切さ
■ひとこと感想
『テッド』の捨て犬版という感じで、とにかく汚い言葉が連発する作品だろうなあと思っていました
内容は予想以上にヒドいワードが飛び交うのですが、そのほとんどが汚物系下ネタになっていました
ノリとしては小学生ぐらいのノリになっていて、かと言ってファミリー向けかというとそうでもない
おそらく家族連れでいくと、母親が激おこになりそうな感じになっているので、父子ならセーフと言った印象でしょうか
映画は、捨てられた犬の逆襲ということですが、野良犬たちも楽しそうでいて、どこか孤独を感じているシーンがありましたね
それは、彼らが元飼い犬だったからであり、その時代と比較すると今は幸せとは言えないということになるのだと思います
生まれながらに野生だと話は変わるのですが、ほとんどの野良犬はかつて飼い犬だったので、この考え方は一般的なものになるのではないでしょうか
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
Fワード連発で下品ではありますが、犬を捨てることの重さというものを随所に散りばめていました
彼らがおかしくなっているのも、孤独感を埋め合わせようとしているのも、捨てられたという感情を理解しているからだと思います
実際に犬たちがどんなことを考えているのかはわからないのですが、映画で描かれる彼らの行動には妙な説得力があったのも確かだと思います
映画では、元飼い主に復讐を果たすというもので、局部を噛みちぎるというグロっぽいものがあるのですが、そこら辺はオブラートに包んでいましたね
ラリってカクカクしているシーンでマギーまで同じことをしているのは笑ってしまいますが、この役をマギーに依頼した人の目論見を知りたくなってしまいます
とは言え、字幕版で観たので、どこまで際どいセリフを言わせているのかはわからないのですが、それを愉しむ人も一定数いたりするのかもしれません
■捨てられた犬の末路
日本の場合、環境省の発表によれば「2020年度に保健所や動物愛護センターに飼い主が持ち込んだり、所有者がわからずに引き取られた犬と猫は72433頭いる」とのことで、この半数にあたる39866頭が新たな飼い主に引き取られているとされています
殺処分が23764頭で、犬は4059頭でした
アメリカの具体的な数字はわかりませんが、1年間の殺処分数は270万頭にも上り、州によっては「No Kill」を掲げているところもあります
ドイツでは殺処分ゼロを達成し、動物愛護施設「ティアハイム(Tierheim)」という施設があり、イギリスでも10%前後まで下がっています
イギリスの場合の10%は、ほとんどが病気を持っているか、攻撃性を持っている場合に限られています
ペットが捨てられると、地域の保健所やボランティア団体にて保護され、一定期間シェルターの中で過ごして、新しい飼い主が現れるのを待ちます
諸外国では「ペットショップ」は完全許認可性で、ライセンスを持たないペットショップのを作ることはできません(イギリスの場合)
いわゆる展示販売というものが少なく、直接ブリーダーから買うことの方が多いようです
他にはシェルターから引き取るのですが、頻繁に「譲渡会」というものが行われます
日本でペットショップを開業するためには「第一種動物取扱業」の登録が必要で、販売を行う場合に「第一種動物取扱業者として、都道府県知事等から許可を得る必要」があります
また、動物愛護法というものがあり、令和2年には改正がなされています
これによって「第一種動物取扱業の登録拒否事由が追加された」のですが、これまではそれがなかったということになります
また登録の条件が厳しくなり、販売場所も事務所に限定されることになりました
ちなみに、これらの改正の中で「飼養管理数の上限」というものが規制されるに至ったのですが、2024年6月まで3年間の先延ばしになっています
これは「現行のままでは13万匹以上のペットの行き場がなくなる」というペット業界の声を反映したものになっています
悪質な業者がペットを抱えることへの規制になっていますが、優良事業者も巻き込まれることになっているので難しい問題だと思います
個人的には、売る側にも許可が必要ですが、買う側にもライセンスのようなものが必要だと思います
マイクロチップによる管理であるとか、遺棄した場合の罰則規定、再度購入する場合の規制などは最低限管理する必要があると思います
買う時のハードルが低いことで業界が成り立つという状況ではなく、業界全体が責任を持って事業に取り組んでほしいですね
殺処分費用、保健所の費用は動物を飼わない人の税金も使われているわけで、殺処分費用に応じて購入&売却時に税金がかかるぐらいでも良いように思えます
ゼロになれば税率が安くなるのであれば、自然的に殺処分ゼロの意識が生まれるように思います
以上、飼わない人としての一意見でした
■愛玩犬としての宿命
映画では、ほとんどの犬が捨てられて登場していて、冒頭は「拾う瞬間」で、その後「捨てる瞬間」というものが描かれます
ダグは恋人の嫌がらせでレジーを引き取っていますが、元々犬に興味がないので扱いもかなり雑になっていました
テニスボールを投げて置き去りにするという「野良になること」を前提にした投棄で、ダンボールに入れて置き去りよりもタチが悪いものだと思います
マギーも半野良犬で、相手にされない理由は「成人犬だから」というもので、飼い主のジェナは小型犬しか価値がないと思っています
また、エマに飼われていたバグは事故をきっかけに捨てられているのですが、この家族も正しい処理の仕方をしているとは思えません
飼えない事情は色々とありますが、野良にならないように手配するのは最低限のことだと思います
愛玩という言葉は個人的には嫌いで、動物をそのような目線で見ることはどうなのかなと思います
映画では、ジェマのペットに対する考え方がそれで、エマやダグは少しばかり違います
レジーの名付け親であるアシュリーがどの目線なのかはわからないかったのですが、ダグの思惑通りに置いていくところを考えると、家族の一員とは考えていないように思えます
動物にまつわる様々な問題は動物愛護の観点で語られますが、その根幹となる「飼う理由」というものを規制するような動きはあまり見受けられません
あくまでも、飼った後の放棄などの問題が取り沙汰されるのですが、飼い主の責任というものがどこまで飼う側に認知されているのかはわかりません
犬が生活する道具を揃えたりというのはわかりますが、法的な問題に対する告知書とか同意書の類に法的な罰則規定とかはあるのでしょうか
犬の飼い方をググっても、そこには費用のことばかり書いてあって、飼い主の義務に関しての注意喚起を飼う時に書面で交わすというようなものはほとんど書かれていません
犬を飼う場合に生じる義務としては、登録(所得日から30日以内に管轄の市町村に届け出)の義務、予防注射の義務(狂犬病予防法第5条)などがあります
登録をした際に「鑑札(所有者がわかるもの)」と「注射済票(年1回の接種義務による)」が定められているのですが、現在では耐久性のあるもので首輪などにつけるということになっています
なので、悪質な投棄の場合は、所有者を限定することもできなければ、狂犬病の注射歴などもわからないのですね
動物愛護の観点からマイクロチップなどの管理に反対の声が多いとは思いますが、性善説で捉えていてはいつまで経っても状況が良くなるとは思えません
なので、動物愛護の観点から投棄される動物を減らす意味合いにおいても、管理というものは十分すぎるほど行う方が良いと思います
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作の邦題は『スラムドッグス(Slum Dogs)』に変わっていて、それは原題をそのままカタカナにしたものではありません
「スラム」には「貧困街」などの意味があり、レジーが捨てられた場所を示していると思われます
原題は『Strays』で、映画内翻訳では「迷子」「野良犬」などど訳されていました
「Stray」自体は「迷っている」という意味があり、それをバグが「野良犬」と言っていたのは意味深でしたね
彼らの生活には迷いはないのですが、元々は飼い犬だったために、誰かの所有こそが「迷っていない状態」であると考えているのですね
これは、制作サイドの考えになっていて、それぞれの犬は「新しい所有者のもと」に行くようになっていました
ただし、それで自由が束縛されているということはなく、自由に出入りし、気が向いた時に戻る場所があるという感じになっていました
本来の、犬と飼い主の関係からアップデートされていますが、この関係性は現実には難しいもののように思えてしまいます
映画は、下品なFワードが連発する内容で、小学生以下は助言が必要なレベルではありますが、描かれているコメディ要素は小学生低学年が好む下ネタが連発していましたね
でも、腰カクカク系の要素も十分に描かれていたので、性教育の観点からPG12はやむを得ないように思います
宣伝が思いっきりファミリー向けにミスリードされていますが、実際に家族で行くとすごい地雷を踏むことになっていると思うのですが、この映画を観てどんな感想を言い合うのかは気になってしまいますね
犬の生態を考えれば、それに準じた感じにはなりますが、それをどう繕うのかによって、親の力量が試されるのかなと思いました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
公式HP:
https://slumdogs-movie.jp/
