■夢の共有こそが、双方の人生を有意義にして、成就へ向かう最短ルートであると思います


■オススメ度

 

入れ替わり系の映画が好きな人(★★★)

ハートフルなファミリー映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

https://youtu.be/BZnF1jQlG1s?si=dnfLI-F-Kvz_Q78Y

鑑賞日:2023.12.5(京都シネマ)


■映画情報

 

原題:스위치(スイッチ)、英題:Switch

情報:2021年、韓国、112分、G

ジャンル:クリスマスイブの夜に不思議なタクシーに乗った有名俳優が無名俳優の人生を送るコメディ映画

 

監督&脚本:マ・デユン

 

キャスト:一人二役は分けて表記

【現実パート】

クォン・サンウ/권상우(パク・ガン:スキャンダルメーカーの有名俳優)

イ・ミンジョン/이민정(コン・スヒョン:独り身の美術講師)

オ・ジョンセ/오정세(チョ・ユン:ガンの友人、マネージャー)

 

キム・ミギョン/김미경(ナムスン:浪費しまくるガンの母)

 

イ・ソファン/이서환(オ:史劇TV監督)

チャ・シウォン/차시원(助監督)

ファン・スンオン/황승언(イ・ファヨン:映画大賞の受賞者を発表する女優、ガンの熱愛報道の相手)

 

キム・スンフン/김승훈(ガンの主治医、精神科医)

 

ユ・ジェミョン/유재명(パク・ドンペク:ガンを乗せるタクシー運転手)

 

【転生パート】

クォン・サンウ/권상우(パク・ガン:無名俳優→チョ・ユンのマネージャー)

イ・ミンジョン/이민정(コン・スヒョン:ガンの妻、絵画教室の先生)

パク・ソイ/박소이(パク・ロヒ:ガンとスヒョンの娘)

キム・ジュンニ/김준(パク・ロハ:ガンとスヒョンの息子)

 

キム・ミギョン/김미경(ナムスン:ガンの母、口うるさい姑)

 

オ・ジョンセ/오정세(チョ・ユン:有名俳優)

チャヒ/차희(ウヒ:ガンとユンの大学時代の後輩、演劇主宰)

ファン・サムエル/황사무엘(チョ・ユンのロードマネージャー)

キム・ヨンウ/김용우(チョ・ユンのマネージャー)

 

イ・ジフン/이지훈(ガンの住んでいた高級アパートから出てくる男)

イ・ハウン/이하은(アパートの男の妻)

チャン・ウォンヒョク/장원혁(アパートのセキュリティ)

チョン・チャヌ/정찬우(アパートのセキュリティ)

 

チョン・ヒョンソク/정형석(再現ドラマ「サプライズ」のプロデューサー)

ノ・ギョンソプ/노경섭(「サプライズ」出演者、チェ卿役)

ソン・ソクベ/손석배(「サプライズ」出演者)

キム・ハヨン/김하영(キム・ハヨン:「サプライズ」の口うるさい共演女優)

 

ファン・ビョンググ/황병국(ク監督:オーディションの審査員)

ペク・ギョソン/백경선(ク監督の映画の関係者)

イ・ジュハン/이주한(ク監督の映画の関係者)

 

キム・ジヌ/김진우(史劇の途中降板する俳優)

イ・ヒョンジ/이현지(史劇の衣装係)

キム・ムンチャン/김문찬(史劇ドラマの代役)

 

チョン・ユンミン/전윤민(カン・ユジュン:ユンとホノルル旅行に行く共演者)

 

キム・スンフン/김승훈(ガンを知らない精神科医)

ソン・ビョンスク/성병숙(レストランのオーナー)

キム・ヒョンミン/김형민(高級レストランのスタッフ)

ソンヨン/송연(和食店のスタッフ)

ソン・ボグジュ/손복주(キッズカフェの店員)

ムン・ジョンデ/문정대(タクシー会社のスタッフ)

キム・ヒジュン/김희정(集中治療室のスタッフ)

チョン・ガンイェ/천건예(エンターテイメントスタッフ)

 

ユン・デヨル/윤대열(ガンを取り調べる警官)

ミン・ユテル/민태율(ガンのことをスヒョンに説明する警官)

 

イ・ユンギュ/이윤규(シャツにサインもらうチョ・ユンのファン)

 

イ・ヒョンジン/이현진(ガンのファンのおばちゃん)

イ・ガギョン/이가경(ガンのファンのおばちゃん)

イ・セイン/이세인(ガンのファンのおばちゃん)

イ・ソジュン/이서정(パク・ガンのファン)

イ・ジャギョン/이자경(パク・ガンのファン)

 

ソン・ヨンジェ/송영재(ユンを乗せるタクシー運転手)

 

【その他】

ソ・ヘソル/서해솔(ベイビー・ロハ)

ソ・ガンソル/서강솔(ベイビー・ロヒ)

 


■映画の舞台

 

韓国:ソウル(現実&転生共通)

韓国:大学路(ソウル市内)

韓国:南揚州村(転生パートのガンの自宅)

 

ロケ地:

韓国のどこか

 


■簡単なあらすじ

 

スキャンダルばかりの有名俳優のパク・ガンは、マネージャーのチョ・ユンを顎で使い、周囲に気を遣わせる男だった

彼は数々の賞を受賞し、多くの色恋沙汰を経験していたが、いまだに独り身のまま浮ついた生活を送っていた

 

クリスマスイブの夜、ユンと飲み屋に行ったガンは、かつての恋人スヒョンが個展のために帰国していると聞く

思い出に浸るガンは、お互いの将来のために別れることを決意した日のことを思い出していた

 

その後、クリスマスツリーの電飾をつけたタクシーに乗ったガンは、運転手から妙なことを聞かれる

それは「違う人生を歩めるとしたらどんな人生を選ぶか?」と言うもので、ガンはバカバカしいと思って、そのまま眠り込んでしまった

 

翌朝、ガンが目を覚ますと、そこには見知らぬ子どもが2人いて、別れたはずのスヒョンが妻になっている世界になっていた

それまでの記憶を有したまま別世界に放り込まれたガンは、その世界では無名の再現ドラマの俳優でしかなく、マネージャだったユンは有名俳優になっていることを知る

ガンはユンと立場が入れ替わった世界に来たことを確信し、徐々にその世界に翻弄されていってしまうのである

 

テーマ:幸福の正体

裏テーマ:人生を変えるもの

 


■ひとこと感想

 

全くノーマークだったところに、スケジュールの空きにスッポリとハマり、これは「観るべき映画」何だろうなあと直感が働きました

こういう予感は大体的中するもので、ハートウォーミングで最高の映画だったと思います

 

映画は、もしもの世界に転生すると言うもので、記憶を有したままなので様々なハプニングに見舞われます

その先に変化があり、別れたはずの恋人との結婚生活に徐々に馴染んで行くことになります

 

後半になると、本来有していた才能が開花し、また家族のためと言うこれまでの人生とは違う目的のために生きていくガンが描かれて行きます

コミカルでいて、家族愛に満ちた作品になっていて、何よりもイ・ミンジョンが美しすぎて癒されますね

子ども2人もとてもチャーミングで、ガンの母の2パターンも魅力的なキャラになっていました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

不思議なタクシーに乗ったら、選択していたかもしれない世界に行くことになるのですが、いわゆる夢オチ的なものになっていると言えます

でも、その夢は1年間を過ごすと言う強烈なもので、徐々に馴染んでいって、夢から覚めることが悲しく思えてしまいます

擬似的に家族を持ったことでガンの意識が変わり、現実パートでも運命が転がっていくのは良かったと思います

 

夢(転生)パートは、マネージャーのユンと立場が入れ替わっているのですが、同時に不思議なタクシーに乗ったわけではないと言うオチが面白かったですね

もしかしたら、あの後に「同じ転生世界」にユンが放り込まれてしまって、同じようにウヒへの想いを募らせるユンが描かれていったのかもしれません

 

ともかく、コミカルなシーンもたくさんあって、理想的すぎる家族に出会えると言うのは夢物語のように思えます

それでも、その夢を見せているのが現実世界の渇望している自分となっていて、幸福は地位や名誉、金銭ではないと言うことを伝えてくれています

幸福はありのままを愛せるかどうかですが、そこには人生を愛する人のために必死に生きると言う前提が必要だと、改めて思わされてしまいます

 


渇望が見せるもしもの世界

 

映画では、トップスター・ガンが寸劇俳優に成り下がり、マネージャー・ユンがトップスターになっています

それぞれが「諦めた人生」を送った結果が付随していて、ガンは恋愛を諦め、ユンは俳優になる夢を諦めていました

なので、その夢を諦めなかった世界線というものが生まれていて、その世界線にガンが紛れ込むことになっています

 

2人は共に充実した生活を送っていますが、どちらもが100%自分の人生を生きているのではないのですね

可能性が結実した世界を見せられると、選択そのものが間違いだった気にもなってしまいますが、実際にはそこまで単純なものではありません

結局のところ、本人が持っている資質というものは開花する方向に向かっていき、そのきっかけが訪れるかどうかということにかかっています

 

本作では、ガンが夢タクシーに乗ったことで「もしも」の世界が生まれていますが、ユンが乗っても同じ世界にたどり着いていたと思います

立場が違えども、2人が諦めたのは「夢だけではなく恋愛」というところが一緒で、人生を華やかにするものは、「夢だけではない」というメッセージが込められています

いかにして、最愛の人と同じ時間を過ごせるかということが大切で、現実世界のユンが夢を諦めても生きていけているのは、ウヒというかけがえのないものを手に入れているからだと言えるのでしょう

 

夢は何かを切り捨てて実現するものではなく、大切な人を傍に置きながら、その過程を一緒に歩むべきものだと思います

その過程の充実が結果に伴うかどうかに関わらずに輝いていくもので、その結果に対して愚痴を言うのを避けねばなりません

夢の崩壊をパートナーに責任転嫁すると全てが終わってしまうので、それだけは避ける必要があるでしょう

映画では、俳優を細々と続けながらも、スヒョンはそれを否定しないし、ガンの才能を疑っていません

その信頼関係があるからこそ、ガンはスヒョンのために夢を叶える道を歩もうと決意したのだと感じました

 


愛されるよりも愛する人生の尊さ

 

映画内の二組のカップル(夫婦)は、それぞれが夢を持ちながら、相手の夢に対しても敬意を持っています

また、その夢を叶えられるだろうと言う漠然とした確信を持っています

現実パートにおけるユンとウヒのカップルの様子が描かれていませんが、どちらもが「今の家庭に満足している」と言う印象を受けます

エンドロール後の不思議タクシーによる「続編」のようなものがあれば、この2人の馴れ初めというものは描かれるのかもしれません

 

現実世界のガンは1人の女性では満足できず、スキャンダルまみれのだらしない生活を送っています

俳優業に関しては結果を出せていますが、スヒョンを諦めたという事実が殺伐とした世界を作り出しています

一方のスヒョンに関してははっきりとは明言されませんが、孤独な女性という感じに描かれていて、これは彼女が描いている絵を見ていけば想像がつくようになっていました

ラストに登場する「夢世界の戸建て」は、その色合いも暖色系なのですが、人というものがシルエットになっていました

人が登場しなくても、その家は暖かい場所だと想像できるのですが、そこにどうしても書き加えたかったのですね

それが誰なのかは絵を見た人の想像にお任せするというものですが、彼女の中では明白な「もしも」だったと言えます

 

人が誰かを愛するとき、それは笑顔を愛しているのだと思います

スヒョンのことが好きだとしても、ガンが心を奪われたのは夢に向かって輝いているスヒョンだったのですね

それは同時に、トップスターに向かってギラついているガンをスヒョンも愛しているわけで、それが失われては愛する意味が消えてしまいます

それぞれが好意を抱いているのは「人物」ではありますが、根幹的なものは「生命力にあふれた魂」であると考えられます

それが自分自身を鼓舞することもあれば、癒すこともあると思うので、人を愛するよりも「自分を愛すること」というのが必要になると言えます

 

自分を愛せるだけの人もいるし、人を愛せるだけの人もいます

でも、本当の意味で繋がりを持てるのは、自分を愛し人も愛せる人であると思います

人を愛するのは奉仕ではなく、その人の魂を輝かせることをサポートしたり、鼓舞したりすることなのでしょう

奉仕や犠牲は与える側のエゴになってしまう場合があります

なので、双方が何かを我慢している状態を誤魔化すのではなく、それをクリアするためにお互いができることをするというのが最適解に近いのかなと感じました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画では、不思議なタクシーに乗ることで「もしも」の世界に向かうのですが、この運転手はどちらも彼らの父親でした

そのどちらもがこの世にはいない存在で、迷える息子を助けるために舞い降りたサンタのような役割を担っていました

サンタがくれたものは「もしもの世界」に行ける切符なのですが、ガンはスヒョンと結婚したからと言って幸せであるとは言えないという状況になっていました

実際の「もしも世界のガン」は良きパパで充実しているかもしれませんが、「夢を半分叶えているガン」があの世界線に来ていると、その人生はとても緩いものに感じてしまったと考えられます

 

ガンは寸劇の俳優をしながらも、ようやく上を目指そうと奮起するのですが、それは自分の夢(わがまま)のためにスヒョンが我慢をしていることを知ったからでした

スヒョンの中ではガンに尽くすことは重荷にはなっておらず、むしろそれで充実感を得ています

でも、「夢を半分叶えたガン」からすれば、それは空虚な言い訳に聞こえるのですね

現実世界でも、女性と付き合うたびに「隣にいるのがスヒョンなら」と思い、でも自分が隣にいると彼女の夢の妨げになると考えてしまう

このような気持ちは「何かを目指した人」特有の感情であり、それが「枷」になってしまうものだと思います

 

どちらも諦めずに叶えられるのが最高ではありますが、人生はそううまくはいきません

夢に邁進する間は何かを犠牲にしてでもと思いがちですが、そうではなくて、夢の過程において、ビジョンを共有していくことが大事なんだと思います

その中で、双方が夢を追うことで、創意工夫というものが生まれ、たとえ多くの問題があってもアイデアを出し合えると思います

その際に何かの犠牲を強いるような状況が現れるかもしれませんが、それは「その方向には行くな」「次のタイミングを待て」という神様の贈り物だと考えることで、心に余裕が生まれるのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

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公式HP:

https://sangwoo-movie.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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