■憑依チャレンジが起きている間の「視界」を再現できていれば、もっと面白みがあったのかなと思いました


■オススメ度

 

オーストラリアのホラー映画に興味がある人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.12.22(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:Talk to Me(私と話して)

情報:2023年、オーストラリア、95分、PG12

ジャンル:憑依チャレンジで深みにハマる若者を描いたホラー映画

 

監督:ダニー・フィッリポウ&マイケル・フィッリポウ

脚本:ダニー・フィッリポウ&ビル・ハインツマン

 

キャスト:

ソフィー・ワイルド/Sophie Wilde(ミア:母レアの幻影に悩まされる17歳の少女)

 

マーカス・ジョンソン/Marcus Johnson(マックス:ミアの父)

アレクサンドリア・ステファンソン/Alexandria Steffensen(レア:ミアの母)

 

Ari McCarthy(コール:冒頭で弟を探す青年)

Sunny Johnson(ダケット:憑依チャレンジでおかしくなるコールの弟)

 

ゾーイ・ヘラケス/Zoe Terakes(ヘイリー:憑依パーティーの主催者)

クリス・アロシオ/Chris Alosio(ジョス:憑依パーティーの主催者)

 

アレクサンドラ・ジェンセン/Alexandra Jensen(ジェイド:ミアの親友)

ジョー・バード/Joe Bird(ライリー:レアが憑依するジェイドの弟)

ミランダ・オットー/Miranda Otto(スー:ジェイドとライリーの母)

 

Cookie(クッキー:レアの飼い犬)

オーティス・ダンジ/Otis Dhanji(ダニエル:ジェイドのボーイフレンド、ミアの元カレ)

 

James Oliver(ジェームズ:ライリーの友人)

Hamish Phillips(タイソン:ヘイリーたちの友人)

Kit Erhart-Bruce(ペック:ヘイリーたちの友人)

Sarah Brokensha(フィオナ:ヘイリーたちの友人)

Jayden Davison(ジェイデン:ヘイリーたちの友人)

 

Jett Gazley(アレックス・ヴァローリ:エルフのような動画の青年)

 

Kidaan Zelleke(アンティ・リー:ミアの叔母)

 

Helene Philippou(チャレンジ動画の女)

Jude Turner(チャレンジ動画の男)

 

【霊的存在関連】

Robin Northover(ミアが最初に見る不気味な男)

Frances Cassar(オルメン:ミアに取り憑く霊)

Kelly Butler(オルメンの魂の声)

Leeanna Walsman(ダニエルに取り憑くエリザベスの魂の声)

Cass Cumerford(ライリーに取り憑く霊、クエイン/クエインの魂の声)

 

Patricia Haycock(病院の老女)

Murray Haycock(病院の老人)

Kerry Reid(空腹の女)

Ava Stenta(オードリー:ミアの前に現れる少女)

Jacek Koman(バークの魂の声)

 

Catherine Purling(看護師)

Mark Duncan(事故った夫)

Ella Fenwick(事故った夫の妻)

 

【冒頭の憑依パーティの参加者】

Zac Scott

Jess Kuss

David Roberts

Demi Van Kasteren

Pia Gillings

Oscar Wangel

Courtlan Gordon

Louisa Giameos

Jem O’Callaghan

Joe Romeo

Alex Noel McCarthy

Charlie Morkunas

Tegan Nottle

 

 

【降霊する魂(Predator Spirit)】

Nicole Tiele

David Simmons

Joseph Baker

Alice Scheid

Anita Kimber

Ben Bullock

Brian Godfrey

Cooper Duncan

Daniel Pitt

Danielle Ruggiero-Prior

Dylan Warren

Emily Fogg

Emily Gun

Jason Moore

Jessica Homewood

Kate Portus

Lelum Rathnayake

Matt Goldwyn

Michael Gilmore

Philip Maynard

Sarah Baber

Saravjit Singh

Shadrack Kamau

Thomas Gardner

 

【ギリシアパート】

Michael Harpas(ギリシャの見知らぬ人)

Nikolas Gelios(ギリシャの若者)

Alex Philippou(ギリシャの男)

Con Lipapis(ギリシャの男)

Con Patelias(ギリシャの男)

Louis Vavaroutsos(ギリシャの男)

Uncle Mars(ギリシャの男)

Nick Lipapis(ギリシャの男)

 


■映画の舞台

 

オーストラリア:南オーストラリア州

アデレード

 

ロケ地:

オーストラリア:

アデレード/Adelaide

https://maps.app.goo.gl/NZJYtGcZ7URoEQWF9?g_st=ic

 

グレンサイド/Glenside

https://maps.app.goo.gl/LBZHJ9dws7L31WW36?g_st=ic

 

モーソンレイク/Mawson Lakes

https://maps.app.goo.gl/fZk7X7ZcLMARJoAo6?g_st=ic

 

プーラカ/Pooraka

https://maps.app.goo.gl/EDkzK7kbxmXCpVf6A?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

母を亡くして塞ぎ込んでいるミアは、同級生たちと馴染めず、唯一心を許せるのは、親友のジェイドだけだった

ジェイドの母スーは口うるさく、家でのパーティーや喫煙は禁止されていた

 

ある夜、ジェイドは仲間たちが主催する憑依チャレンジにミアを連れていく

誰もが「なぜミアを連れてきた」と訝しるものの、ジェイドは「すぐに仲良くなれる」と一蹴した

 

チャレンジは「死者と会話ができた呪術師の腕を形どったオブジェクト」と手を合わせて、「Talk To Me」と言い、霊が見えたら「Let You In」と続けることで、霊が憑依するというものだった

ルールは「90秒以内に手を離すこと」で、時間が過ぎると「居座る」と言われていた

 

ミアはそのチャレンジに参加し、90秒を超えた事で、その場の人々に受け入れられていく

だが、そのわずかな超過は、ミアをさらなる異世界へと引き摺り込んでしまうのである

 

テーマ:喪失が見せる妄想

裏テーマ:判断を狂わせる感情

 


■ひとこと感想

 

「Talk To Me」という合言葉で霊に乗り移られる系のホラーで、「Let You In」と許可を出すことが付随していました

初めの言葉では「霊とコンタクトを取る」という段階なので、「コックリさん出ておいで」クラスのステージになると思います

憑依されることが快感に繋がっているように見えるのですが、どのような種類の快感なのかはイマイチ伝わっていない感じでしたね

ミアの感想のままだと「意識があるけど助手席に座っている」というものですが

それだけで快感が得られるのかは何とも言えない感じになっています

 

わかりやすい若者のタブーチャレンジで、ガチな霊に取り憑かれていくのですが、取り憑かれるホラー感よりも、ヴィジュアルに寄せた作りになっていましたね

どうやって死んだ人なのかとか、背景が全く語られないゾンビのような集団が登場するだけで、それだけでは恐怖にはつながらないと思います

 

映画は、嫌ミス的なエンディングへと向かうのですが、このオチだけはうまいこと考えたなあと思いました

悪ノリで作った動画の延長線上になると思いますが、若者の弾けっぷりとか会話にはリアルな部分が多かったように思いました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

憑依したらブラックカラコンで瞳孔を真っ黒にしてのけぞって痙攣という古めいた手法になっていて、ドアがバタンと閉まるなど、ホラー要素は古典的なものになっていました

死者の造形に凝っていて、その特殊メイクなどに振り切っている感じになっていて、それを怖いと思えるかは人それぞれという感じになっています

 

物語は、母親の死に直面したティーンエイジが仲間からハブられて孤独になっていて、何とか孤独から逃れようと奮闘する様子が描かれていきます

若者のハメ外しに加担し、友人を困らさせる結果になり、未成年者を巻き込むという感じになっていました

 

一連のミアの行動が初回の憑依時からの霊による操作ということになっていますが、居座りつつうまく隠れていたということになります

ライリーを巻き込むことになったのもミアの判断と説得のような感じになっていて、ラストでは生贄を捧げようと動かされていきます

 

最終的には、ライリーのかわりに死ぬことになるのですが、それによって「憑依する側になる」というのは新鮮なオチだったように思いました

 


憑依を許す環境

 

映画は、日本でいうコックリさんのようなもので、ある呪術的なアイテムを利用して、その辺にいる霊と交信を図るというものになっていました

冒頭では、外国特有の乱痴気騒ぎが描かれ、そこに弟を探しにきた青年コールが登場します

彼は弟ダケットに刺されるのですが、劇の途中で再登場していたので、あの時には死んでなかったということになります

この辺りの描写がものすごくわかりにくく、不親切だったように思えます

 

ダケットに悪霊が憑いた理由はわかりません(会話からすると友人か誰かが死んだよう、ポールがどうのというセリフがありました)が、ミアとライリーは明白な理由があるように描かれています

ミアは母レアの喪失があって、降霊術で対話をしたいという願望がありました

その喪失というものが霊にとっては居心地の良いもので、初回の90秒を超えた段階で、彼女の中に入ったものだと想定されます

映画内の描写では、体の中に霊が居続けると弱るというもので、いずれはミアの中から消えていくはずでした

 

ライリーに関しては、一人だけ子どもだと思われていることへの反骨心があって、その感情の揺らぎは喪失に似たようなものになっていました

霊がそこに入ることになるのですが、ライリーの中に入った霊は、おそらくはミアの中に入ったものと同じだと思われます

明確な描写はありませんが、ミアの中に居続けられない霊はやがては外に出ますが、その体を支配するための方法を霊も考える事になります

霊自体は「腕」を通じて媒介されるもので、トリップ状態になるのは、霊が精神の中で居場所を居心地の良い居場所を探しているからでしょう

快楽を与え、依存させる事によって、何度も人の体に出入りできるので、それによって「計画」を遂行しようと考えて居たのだと思われます

 


勝手にスクリプトドクター

 

映画は、若者の憑依チャレンジの馬鹿騒ぎを描いているのですが、それ以上でもそれ以下でもない感じになっています

主人公はミアで、彼女は霊に操られて、計画に加担する役割を担っていますが、霊自体が何をしたかったのかについてはよくわからない部分が多かったと思います

そのまま人の中に居続けたかったのか、あの「腕」から抜け出したかったのかのどちらかですが、ラストを見る限りは、ミアの魂を「腕」に封じ込めて、自分自身が「腕」から抜けるということ考えていたように思えました

ミアは「腕」の中に居た霊とスイッチして閉じ込められ、そして、「腕」を介して全く別の地域の「腕」の中からチャレンジする若者を眺めることになっています

 

映画は、冒頭でショッキングなシーンを登場させますが、このシーンと本編とはほとんど関係がないのは微妙でした

霊に乗っ取られたら発狂して自殺をするとしても、それが精神の抵抗なのか、霊が操って肉体を損傷させているのかの境界線がわかりません

絵的には自損シーンはインパクトがありますが、肉体を必要とする霊が起こしているように思えるので、意味が通じないのですね

設定的には「助手席から運転席に移りたがっている」というシーンになると思うのですが、移った者として「冒頭の兄弟」が登場するのなら意味があると思えます

 

霊は超常現象で理解不能な行動をすると考えられますが、実際には人間だった存在でもあるので、何かしら理論的あるいは感情的なものを有していると考えるのが自然でしょう

オカルトホラーは現象は理解できないが、行動は理解できるというものがあるので、本作の場合はその論理性というものが弱く思えます

母親の死の顛末を知ることの意味はほとんどなく、これでは「生きている人間の方が怖い」というどうでも良いような帰結になってしまうのですね

それよりは、「腕」の秘密と霊の論理性を描いた方が良かったのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、オーストラリアが舞台となっていて、あまり馴染みのない宗教観などが登場するのかなと思っていました

描かれていたことは色んな国で行われている降霊術で、アイテムを媒介するものとしては画期的なビジュアルがあったと思います

霊能力者の手を取って霊と話すというパターンもありましたが、本作の場合は「切り落とされてコーティングされた呪術者の腕」となっていました

このビジュアルがヒットの要因で、SNS的なバズるパターンを駆使して、若者を取り込む事になったと思います

 

この手のオカルト系映画は「真似する若者」が出て世間を騒がせるのですが、本作の場合は「再現不可能」というところが斬新だったように思えます

日本のコックリさんとか、フランスのウィジャボードなどは、完全再現は難しくても、身の回りにあるもので代用しようとすれば可能であると思います

でも、呪術師の腕というのは再現しようがないので、こぞって若者が真似をして事件が起こるということが起きない構造になっていました

もっとも、同じような手を作って動画を上げるということはありそうで、その行為によって「本物を作り上げてしまう」という側面は否めませんが、それが起こる確率はほぼゼロであると思います

 

映画では、「Talk To Me」の段階で「霊が見える」ので、それだけで楽しめそうではあります

その先にある「Let You In」によって憑依が始まるのですが、その時に何が起こっているかという再現は弱めだったように思います

とにかく、ラリっている感じで恍惚の表情合戦になっていましたが、バラエティが少ないので、みんな同じことをしている感じになっていましたね

彼らがその瞬間に見えているものを映像で再現するのは大変だと思いますが、ダニエルが犬とイチャラブするシーンしかないのは勿体なかったですね

数人がチャレンジしているので、それぞれのパターンを用意して映像化していれば、単調にはならなかったのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

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公式HP:

https://gaga.ne.jp/talktome/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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