■ラスボスをレンガで殴り殺していれば、神映画になれたのかもしれません


■オススメ度

 

CIA関係のアクション映画ならとりあえず観る人(★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.3.28(T・JOY京都)


■映画情報

 

原題:The Bricklayer(レンガ職人)

情報:2023年、アメリカ&ブルガリア&ギリシャ、110分、PG12

ジャンル:隠居してレンガ職人をしている元CIA捜査官が暗躍する様子を描いたアクション映画

 

監督:レニー・ハーリン

脚本:ハンナ・ウェグ&マット・ジョンソン

原作:ポール・リンゼイ『The Bricklayer(邦題:脅迫、PN:Noah Boyd)』

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キャスト:

アーロン・エッカート/Aaron Eckhart(スティーヴ・ヴェイル:レンガ職人として隠居している元CIAの捜査官)

 

ニーナ・ドブレフ/Nina Dobrev(ケイト・バノン:スティーヴとタッグを組まされるCIA捜査官)

ティム・ブレイク・ネルソン/Tim Blake Nelson(オマリー:CIA長官)

イルフェネシュ・ハデラ/Ilfenesh Hadera(タイ・デルソン:CIAテッサッロキニの支局長)

 

クリフトン・コリンズ・ジュニア/Clifton Collins Jr.(ヴィクター・ラデック:元CIAのスティーヴの友人)

Johanna Harlin(リディア・ラデック:ヴィクターの妻)

Anastasia Doumtsis(シルヴィエ・ラデック:ヴィクターの娘)

 

Oliver Trevena(パトリシオ:スティーヴの友人、調達係)

 

Akis Sakellariou(コスタス・リオンタレス:CIAを独自に調べているギリシャ外務副大臣)

 

Ori Pfeffer(ステン/デニス・ステファノプロス:ギリシャのギャング)

Lili Rich(クリスタル:ステンの恋人)

David Kennedy(フォアマン:ステンの友人)

Chrysovalantis Mavridis(ヘルメス:ステンの友人)

Konstantin Adaev(トリトン:ステンの部下)

 

John T. Woods(ベルトック:ケイトの同僚)

Teodora Djuric(ワトキンス:ケイトの同僚)

Vagelis Tzikas(ケイトの同僚)

Manos Galanis(ケイトの同僚)

 

Zachary Willis(フィネガン:タイの友人、社交界)

Cristina Serafini(セレーネ:タイの友人、社交界?)

 

Veronica Ferres(グレタ・ベッカー:殺されるドイツ人記者)

Michael Siriopoulos(アレコス・メラス:狙われる記者)

 

Vasilis Kanelopoulos(ギリシャの警官)

Yuriy Vashurin(殺し屋)

Cristopher Kikis(殺し屋)

 


■映画の舞台

 

ギリシア:

テッサロニキ

https://maps.app.goo.gl/Ww8TqTM9oddKBuzZ9?g_st=ic

 

ロケ地:

ギリシア:テッサロニキ

 

Efkleidis Metro Station(地下鉄の駅)

https://maps.app.goo.gl/qAxARshs4nGJBjp68?g_st=ic

 

Aristotelous Square(街頭演説)

https://maps.app.goo.gl/GMdwP5L1sB7JikSb7?g_st=ic

 

Trainose Thessaloniki Car Workshop(自動車工場)

https://maps.app.goo.gl/rLbL7p4XN66RK76s8?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

元CIAのエージェントだったスティーヴ・ヴェイルは、今では隠居してレンガ職人として働いていた

そんな彼の元にCIA長官のオマリーからある依頼が舞い込む

それは、アメリカを揺るがすネタで脅迫してくる男がいるというものだった

 

その男の名はヴィクター・ラデックと言い、かつてヴェイルと組んでミッションをこなした同僚であり、最後のミッションにて「殺したはずの男」だった

彼が生きていることがわかり、ヴェイルは依頼を断れなくなる

そしてヴェイルは、新人のケイトと組まされることになり、ラデックを追うことになった

 

自分流の仕事術を持つヴェイルにとって、ケイトはキャリアの浅いお荷物でしかなく、自己流を貫くために罠を仕掛けて置き去りにしていく

そんな折、民間人の記者が犠牲になり、次のターゲットが浮上する

また、協力者も犠牲になり、ヴェイルたちは相手の本気度に戦慄することになるのである

 

テーマ:因果応報

裏テーマ:復讐の鮮度

 


■ひとこと感想

 

CIAを隠居してレンガ職人をしているという設定ですが、映画内ではそこまでレンガ職人の意味がなかったように思います

ある男の部屋に入って、そこでレンガがハマっているだけと見抜くのですが、本当にそこぐらいだけだったりします

 

物語はそこまで複雑なものではなく、かつての仲間を殺さなければならなくなった過去があり、それを隠蔽したのに、目の前に現れてくるというものになっています

かつての友は今の敵というプロットで、そこにCIAの思惑と、かつてコテンパンにやられたギャングが絡んでくるという展開になっています

 

秘密の仲間がいて、非合法な捜査を進めていく中で、相手が変わってしまったことを知るのですが、どちらかと言えば、自分が蒔いた種を刈り取っていくようにも思えます

黒幕も非常にわかりやすく、そこまで込み入った感じになっていないので見やすかったように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

いつものネタだなあと思いながら、レンガ使ってどうやって敵を倒すのかなあと期待していました

でも残念ながら、ちょこっとしか登場しなく、仕事の哲学に少しふれるぐらいのものになっていました

 

殺さなかった旧友と対決するハメになるのですが、先の偽装を見抜かれていたこと、妻子を手にかけたのがCIAだったということが判明して、絶対殺すマンになっていましたね

黒幕を殺すのが、軽視して配置した新人女というところが皮肉が効いていたと思います

 

全体的にそこまで特筆すべき点はなく、一昔前のスパイものを見た気分になりました

女の敵は女という雰囲気がありながらも、そこまで対立状態にしていなかったのは微妙でしたね

コケにされたケイトが思いっきり暴れる展開で、怒らせたら手に負えないというキャラにしても良かったように思います

 


CIAネタの枯渇度合い

 

洋画にはCIAをネタにした映画がたくさんありますが、大きく分けると「現役の凄腕」「引退した凄腕」のどちらかに分類され、大体が「足枷としての新人」がセットになってくると言えます

そして、凄腕のピンチを足枷が助けるという流れになっていて、不当に評価が低かった足枷が実は有能だった、という流れになることが多いですね

ある意味テンプレなので、そこから「凄腕と足枷の恋愛」とか、「凄腕と足枷は実は生き別れの家族」などのように展開するパターンと、「凄腕の家族が巻き込まれて足枷になるパターン」などのように展開していくことになります

本作は、年齢差があるので足枷との恋愛はありませんが、足枷は過去の恋愛への未練を断ち切る存在ということになっていて、ヴェイルの弱さというものが最後に現れるという展開を迎えます

 

CIAにしろ、FBIにしろ、特殊部隊にしろ、装飾は限られているので、あとは展開をどのように持っていくか、というところを苦心する流れが多いですね

本作の場合は、「過去の事件の蒸し返し」があって、「CIAのトップクラスが関与している」という、こちらもテンプレ的な流れになっていました

CIAの中に黒幕がいる場合、大抵は主人公よりも役職が上というのがデフォなので、今回の場合だとオマリーかタイしかいないのですね

ここで、タイと恋愛関係があったという流れになっているので、このプライベートが「=ウィークポイント」という設定になるので、必然的にタイが黒幕ということは読めてきます

 

ヴェイルの弱点が前半で登場しないのですが、このような主人公の場合は「加齢」「家族」「恋人」「トラウマ」のどれかがウィークポイントになります

これが前半でほとんど登場せず、「トラウマ」にあたる「過去=ラディクの事件」が仄めかされていますが、これはウィークポイントではなく、「物語を牽引する目的」として機能していました

なので、ラディクを倒すことができないというウィークポイントは、あることにはあるが弱めということになっていて、さらにラディクがパトリシオを殺したように見えることによって、ヴェイルの枷は取っ払われることになりました

この流れが前半の段階でわかるので、ウィークポイントは前半に紛れて後半に暴露されるもの、ということが推測できます

 

前半に登場していたのはタイが新支局長になっているという部分しかないので、単純にこの二人には過去に何かあったということがわかる仕様になっています

なので、この手の映画をたくさん観ている人からすれば、ラディクの事件をリークし、ヴェイルを貶めようとしている人物がタイであることは容易に想像が付きます

あとは、ヴェイルがラディクと決着をつけ、黒幕のタイ(元恋人を殺せるのか)というところになっていて、本作の場合は「殺せないので、ケイトが手助けをする」という結末を用意していたのだと思います

これによって、ヴェイルのキャラは「女性に弱い」というものなので、今後この二人がタッグを組むとなれば「心理的にケイトが上」という関係になります

それが面白いかはわかりませんが、これまで守る相手だったタイが自分よりも上の要職に就き、彼自身が守られる側になっているので、この流れになっているのは必然であるように思えました

 


勝手にスクリプトドクター

 

本作は、王道系CIA映画なのですが、主人公が隠居した「レンガ職人」という設定になっていました

でも、レンガ職人である必然性がほとんどなく、もっと「レンガ」が活躍した方が印象が強かったように思います

レンガ職人であることが役立ったのが、壁の隠し金庫ぐらいで、これは部屋をくまなく探していくと、レンガ職人でなくてもたどり着いたでしょう

特に有能なCIAエージェントならば、壁の中を捜索しないはずがなく、もっとスマートな方法で発見しているように思えます

 

このレンガ職人をどこまで利用するかは難しいところで、レンガを積む際に使う道具とか、レンガを武器するぐらいしか思いつきません

でも、それだとあまりに陳腐すぎるので、付加する設定としては「レンガを溺愛していて、その扱いが悪いと激おこになる」という人格部分を加味する方が面白いでしょう

かつての恋人タイも「なんでレンガ?」状態で、ケイトも「なんでレンガ?」という「女性にはわからない良さ」に対する偏愛があって、それをパトリシオだけがわかっている、という感じでしょうか

ヴェイルの怒りのスイッチが入るのがレンガが壊された時で、例えば敵の手下がレンガを割ってしまって、そこでスイッチが入って我を忘れるほど暴走する、とかになるでしょう

そして、ラディクはそのスイッチを知っていて、それはパトリシオの死よりも重みのあるヤバいスイッチという設定にすると面白いと思います

 

ラディクと組んでいる「レンガスイッチ」を知らない部下がそれをやってしまって、そこでヴェイルのスイッチが入ってしまう

そうして、手に負えなくなった彼は我を忘れてラディクすらも躊躇なく殺してしまう

でも、その部下に「レンガ」を壊させたのは黒幕で、ラディクを始末するためのトリガーに使っていたのですね

黒幕はタイなので、「なんで、レンガ?」というマインドだったけれど、ヴェイルを敵だと認定して調べて行った結果、ある法則を見つけた、という流れになっても良いと思います

 

あとは、タイをケイトが殺す流れを変えずに、レンガと絡ませることになるでしょう

単純に考えると、タイよりもレンガを取ったということで、その怨念(コケにされた)のようなものが、一連の事件の起点になっているというのでもありだと思います

そして、ケイトはその性癖を理解できる側について、ブチ切れたタイがその辺のレンガを足蹴にしてしまい、その報復を受けるというものになると思います

うーん、どう考えてもコメディ映画ですよね

でも、それぐらい振り切らないと、レンガを正しく映画に取り込めないのではないかと思ってしまいました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、映画館で公開されるには地味な作品で、それを見越しているのかパンフレットも作られていませんでした

パンフレットに何を書けば良いのかというところもあって、作れても「キャストの紹介&インタビュー」「監督のインタビュー」と「言葉選びだけ真剣な著名人の感想」を載せるのが関の山のように思えます

それで、800円ぐらいして、「高いわあ」と思われるのがオチで、それを読んだ上で作っていないのかなと思いました

 

このブログでも、この作品で何を書いたらいいんだと悩んでいて、本当に無色透明な映画だったと思うのですね

お約束の設定、お約束の展開で、主人公の特殊能力的なものもそこまで大したものがない

無理やりCIA映画あるあるとか、勝手にスクリプトドクターで濁しちゃいましたが、もう少し何らかのトリガーがあった方が良かったでしょうね

それが「レンガ」ということなのですが、レンガに魅入られている理由もいまいちはっきりとわからんし、レンガ職人の哲学みたいなものをラストで語られても、「それで?」としか思えません

 

面白いかしょうもないかで言えば、最後まで楽しめるとは思いますが、何も残らないというのが率直な感想でしょうか

とりあえず二時間ほど時間が空いて、あまり頭を使わなくて良さそうな映画を観たいというのならバッチリかもしれません

海外ドラマを薄めたような映画になっていますが、そこまで後悔することもないのでしょう

個人的にはパトリシオかわいそう以外の感情のフックがなく、鑑賞1週間後にこの記事を書いていますが、かろうじて記憶の奥底に残っている、という作品になっていました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/101010/review/03654701/

 

公式HP:

https://klockworx-v.com/bricklayer/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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