■ガッツリとドラマの続きで、映画内での補足説明はありません!
Contents
■オススメ度
韓国ドラマ『謗法〜運命を変える方法』を観た人(★★★)
走るゾンビ系が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.2.16(アップリンク京都)
■映画情報
原題:방법: 재차의(謗法、再び)、英題:The Cursed: Dead Man’s Prey(呪われし者:死者の獲物)
情報:2021年、韓国&イギリス、110分、G
ジャンル:死者を操って殺人事件を起こす犯人と、その裏側にある陰謀を暴こうと奮闘する人々を描いたホラー&アクション映画
監督:キム・ヨンワン
脚本:ヨン・サンホ
原作:ヨン・サンホ
キャスト:
オム・ジウォン /엄지원(イム・ジニ:事件を追うジャーナリスト、チュンジン日報社会部所属)
チョン・ジソ /정지소(ペク・ソジン:謗法師、高校生)
チョン・ムンソン /정문성(チョン・ソンジュン:ソウル地方広域捜査隊のチーム長、ジニの夫)
ナム・ヨヌ/남연우(ユ・ジョンフン刑事)
ソ・ジホ/연우진(カン・ヨンス刑事)
チョ・ヨンジュン/조용준(ジョ刑事)
パク・ガンソプ/박강섭(チョ刑事)
キム・ヨンミン/김영민(キム刑事)
キム・ヒチャン/김희창(主任捜査官)
キム・イングォン/김인권(キム・ピルソン:興信所「都市探偵」の代表)
パク・チャヌ/박찬우(パク・ウチャン:「都市探偵」の社員、機材担当)
イ・ソル/이설(ジェシー:「都市探偵」の新人)
(若年期:ユン・ソジン/윤서진)
コ・ギュピル /고규필(タク・ジョンフン教授:民俗学の専門家)
クォン・ヘヒョ/권해효(イ・サンイン:殺人予告をされる男、スンイル製薬の専務)
チョン・ジェソン/정재성(キム・ミンソプ:スンイル製薬の理事)
オ・ユナ/오윤아(ビョン・ミヨン:会長の娘、次期社長候補、常務)
チョン・グフファン/전국환(ビョン・スンイル:スンイル製薬の会長)
キム・グァンヒョン/김광현(キム・ジョンギョン:スンイル製薬の社員)
チョ・ハンチョル/조한철(パク・ヨンホ:自称呪術師)
チャド・パク/채드박(ドゥクン:呪術を使う謎の男)
イ・ジュンオク/이중옥(チョン・ジュボン:エンドロール後に登場する男)
■映画の舞台
韓国:ソウル
ロケ地:
ソウル某所
■簡単なあらすじ
ジャーナリストとして社会の闇と戦うイム・ジニの元に、あるインタビューの依頼が舞い込む
ラジオを通じてインタビューを果たした彼女は、男から「ある人物を殺す」という殺害予告を聞いてしまう
ほとなく殺人は実行されるものの、殺人犯は死後3ヶ月経過していた死人だった
その事件を担当することになったジニの夫チョンは広域で捜査を進めるものの、手がかりはないままに時間だけが過ぎていく
そんな折、巨大な呪いで蘇ったゾンビ集団は、予告を遂行するために姿を現して、標的を襲っていく
チョンたちはゾンビと応戦するものの、その戦いにてチョンは呪いを浴びて重傷を負ってしまう
夫を助けるために「呪うものを殺す」しかない状況が生まれ、ジニは夫のチームとともに事件の裏側を調べていく
そして、ある製薬会社の治験問題が急浮上してくるのであった
テーマ:呪いの連鎖
裏テーマ:因果応報
■ひとこと感想
ドラマ『謗法』の続きと全く知らずに参戦
直前にレビューサイトをチラ見してドラマの続きであること知り、慌てて「ハングルページを翻訳しながら予習すること」になってしまいました
何となく分かりましたが、ドラマ版はソジンがメイン(主役はジニですが)のようだったみたいですね
本作でもソジンはその実力を発揮しますが、物語としてはジニの方にウエイトが置かれた物語になっていました
物語の展開はさほど難しくはなく、ドラマのことを全く知らなくても、脳内補完は可能なレベルでした
ダッシュゾンビを倒していくソジンの強さと、ジャーナリストとしてのうまさを発揮していく後半は見応えがありましたね
テーマは因果応報的な流れの中で、呪いの連鎖を止めるべきかどうかという難題にぶち当たります
心からの謝罪があれば赦されるとは思いませんが、企業が認めることで変わるものがあるし、遺族の無念の着地点にはなるのかなと思いました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
まったくドラマのことを知らず、映画は単体で売りに出されている、と思うくらいにドラマがあった情報を消していましたね
予告編では『新感染ファイナルエクスプレス』の新作のような扱いになっていましたが、広告詐欺も甚だしいと言えます
とは言うものの、ジャーナリストと謗方師が巨悪と戦うと言う分かりやすい構図になっていて、巨大企業の隠蔽とそれに苦しむ遺族と言う関係性もわかりやすく描かれています
「呪い」が存在する世界において、謗法師と言う聞き慣れない呪術師が活躍するのですが、ソジンが出てきた後半は動きがあって良かったですね
前半が地味な展開でちょっと退屈でしたが、中盤から「ありえないゾンビ」の連発で盛り上がりを見せていきます
ラストは「呪いを止めることが正しいのか」と言う難題もあって、社会的な制裁で済まない問題もあるのかなと思いました
■ドラマ版はどんな話か
現在はネットフリックスで観られるドラマ『謗法』ですが、全12話で完結している物語で主要キャストは同じです
ドラマは2020年に製作され、韓国での視聴率は2.2%ほどでした
5%超えたら続編をやるという話があったそうですが、エピソード2の情報は今のところ確認できていません
物語はIT系の中小企業・フォレストの陰謀と戦うお話で、ジャーナリストのイム・ジニと謗法師のベク・ソジンが主役となっています
謗法とは、人を呪い、厄災をもたらして死に致しめるもので、ジニがさまざまな不可思議な事件に関わる中で、ソジンという少女と出会うことになります
「都市探偵」の代表であるキム・ピルソン、呪いに詳しい教授タク・ジョンフンも登場、夫のチョン・ソンジュンとその部下ヤン・ジンスなども出てきます
彼らと対立するのが「フォレスト」というIT企業で、代表のチン・ジョンヒョク(ソン・ドンイル)が信仰の狂信者となってしまいます
彼に助力をするのが巫女のチン・ギョン(チョ・ミンス)で、霊的な能力を有しているのですね
チラッと調べた感じではAmazonでDVD BOXが12話分出ているようですね
ネットフリックス、TSYTAYA DISCASのレンタル、FOD(フジテレビ系アプリ)、TVerで視聴が可能になっているようですね(2023年2月20日現在)
■謗法師とは何者か
「謗法」とは、誹謗正法の略で、日本の仏教、あるいは一部の宗派で使われる用語とされています
「誹謗正法」とは、「仏教の正しい教え=正法」を軽んじる言動や物品の所持などのことを言います
転じて、成仏しないという意味に通じています
「湛然(たいねん)」という中国唐代の天台宗の僧侶の「十四誹謗説」によれば、「高僧でも凡人ゆえに謗法を犯している」とされています
映画はこの仏教用語とは別の意味の「謗法」になっていて、それは「呪い殺す」という意味になっています
韓国の古い文献だと、チェ・セジンの『訓夢子会』にて「訓音」が定められたとされています
呪いに関しては「災いを下してくれと幽霊に祈る呪い」という意味合いがあって、このような言い回しが高齢者の間で残っているのですね
このドラマによって「謗法」という言葉が掘り起こされ、若者の間でも使われるようになったと言われています
高齢者の間で、かつて「紙に祈りを書く」という習慣があって、「願いごとや祈りごとを書いた紙」の一番下に「謗法」と追記するのだそうです
「謗法する」という言葉には「呪文を書く」という意味があり、「祈りや呪いなどを書いた紙」に「私は謗法する」と書くことで、「霊などの力を借りて、それを実現させる」という流れになっていきます
この行為を呪いに特化させたのが「本シリーズにおける謗法」で、霊的な力を呼び起こす呪文であるとか、呪符、結界などを作れる人のことを「謗法師」と読んでいるようですね
本作では、その敵対者であるドゥクンと呼ばれる謎の男が「呪術を使って死者を操っていた」のですが、これは謗法とは違うものでしょう
もっとも、ソジンには腕に紋章のようなものがあって、そこに刻まれたものによって、一般人とは比べ物にならないような力を発揮できるようになっている、ぐらいの解釈で良いのだと思います
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作はドラマの続きになっているため、人物相関であるとか、ソジンの能力の出自と内容などは映画だけを観てもわからない部分が多いですね
ハングル検索で人物に関しては分かりますが、ソジンがなぜ能力者なのかはわかりませんでした
一応は、事件を追うジニの前に現れて、フォレストと戦う中でバディのような感じになったようで、その関係性は「お姉さん」と呼ぶ微妙な距離感になっていました
この「お姉さん」呼びで、この二人は姉妹なのか?と勘違いしてしまって、随分歳の離れた姉妹なんだなあと誤解していました
ドラマ版ではソジンの実の母が出てきたり、彼女自身が能力を使うことに戸惑いがない理由なども出てきます
能力を使うと、「ソジンの中にある何かが喜ぶ」とのことで、彼女の能力は外的な要因によって宿ったのかなと思いました
映画は猟奇事件の影に呪術あり、というもので、そのアクションを楽しむ後半がメインになっています
そこからは面白いのですが、製薬会社の治験被害者のくだりとか、社内の派遣争いなどのドラマ部分は既視感があって微妙かなあと思いました
気になる人はレンタルか配信でドラマ版を観るということになりますが、その労力が必要な作品なのかは微妙な感じに思えました
宣伝がオリジナルゾンビ映画爆誕という感じで煽っていたのですが、さすがにこのミスリードはひどいものがあります
日本の場合だと「劇場版」とか「THE MOVIE」などと表記されていて、その公開に合わせて再放送をしたりします
今回の配給がどうしたかったのは分かりませんが、チラシや予告編で「あの謗法が帰ってきた!」ぐらいのテイストで煽ってくれた方がどっちも得をしたような気がします
全話を見直さなくても、数話を視聴して臨むことも可能ですし、事前に調べることもできます
映画の公式サイトでは「映画を観た後に楽しめるSpecial Contents」の中に「ドラマがあった」とコメンテーターが書いているのですが、「映画を観た後に知る情報」ではありません
そういった意味においては不誠実な宣伝に思えてなりません
映画がドラマを観ていない人でもわかるように冒頭で解説をするということもなく、メディアミックスのコンテンツとしては失敗していますね
今は少しの不満もSNSで拡散される時代です
本作を鑑賞した人の生の声が「実はドラマの続編だった」で、この文字を観て受け手はどう思うのか
観客が他の人に注意喚起を促すというのは、配給や制作のモラルが欠けた後に起こる良心のように思えてなりません
■関連リンク
Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/385393/review/96187903-6c51-482e-809a-4c70d6626586/
公式HP:
https://happinet-phantom.com/jujuju/