■過去を変えるということは、生殺与奪の権利を与えられたのと同じことになるのかもしれません


■オススメ度

 

ヒーロー映画が好きな人(★★★)

タイムトラベル系の映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.6.21(イオンシネマ四條畷 IMAX LaserGT


■映画情報

 

原題:The Flash

情報:2023年、アメリカ、155分、G

ジャンル:父の無罪を晴らすために過去を帰ってしまったヒーローを描くファンタジーアクション映画

 

監督:アンディ・ムスキエティ

脚本:クリスティーナ・ホドソン

原作:ジョン・フランシス・デイリー&ジョナサン・ゴールドスタイン&ジョビー・ハロルド

 

キャスト:

エズラ・ミラー/Ezra Miller(バリー・アレン/ザ・フラッシュ:セントラル・シティの法医学捜査官)

   (幼少期:イアン・ロー/Ian Loh

 

【現在パート】

カーシー・クレモンズ/Kiesey Clemons(アイリス・ウェスト:「ピクチャー・ニュース」のジャーナリスト、バリーの恋人)

シアーシャ=モニカ・ジャクソン/Saoise-Monica Jackson(パティ・スピボット:バリーの同僚)

ルディ・マンキーソ/Rudy Mancuso(アルバート・デズモンド:バリーの同僚)

サンジーブ・バスカー/Sanieev Bhaskar(デヴィッド・シン:バリーの上司)

 

ベン・アフレック/Ben Affleck(ブルース・ウェイン/バッドマン:ジャスティス・リーグのリーダー)

ジェレミー・アイアンズ/Jeremy Irons(アルフレッド・ペニーワース:ブルースのアシスタント、執事)

ガル・ガドット/Gal Gadot(ダイアナ・プリンス/ワンダー・ウーマン:バッドマンと行動を共にするヒーロー)

 

ルーク・ブランドン・フィールド/Luke BrandonField(アル・ファルコーネ:バッドマンたちが追うテロリストのリーダー)

 

【過去パート】

サーシャ・コール/Sasha Ca Calle(カーラ・ゾー=エル/スーパーガール:スーパーマンのいとこのクリプトン人)

マイケル・シャノン/Michael Shannon(ゾッド将軍:クリプトンの将軍)

アンチェ・トラウエ/Antje Traue(ファオラ・ウル:ゾッド将軍の副司令官)

 

Gabriel Constantin(謎の科学者)

 

マイケル・キートン/Micheal Keaton(ブルース・ウェイン/バッドマン:ゴッサムシティの自警団)

 

ロン・リビングストン/Ron Livingston(ヘンリー・アレン:バリーの父)

マリベル・ベルドゥ/Maribel Verdu(ノア・アレン:バリーの母)

 

Karl Collins(ヘンリーの弁護士)

 

シアーシャ=モニカ・ジャクソン/Saoise-Monica Jackson(パティ・スピボット:バリーのルームメイト)

ルディ・マンキーソ/Rudy Mancuso(アルバート・デズモンド:バリーのルームメイト)

Sean Rogers(ゲイリー:バリーのルームメイト)

 

【その他】

テムエラ・モリソン/Temuera Morrison(トーマス・カリー:アーサーの父)

Rosie Ede(トーマスの妻)

ジェイソン・モモア/Jason Momoa(アーサー・カリー/アクアマン:海を支配するヒーロー)

 

ニコラス・ケイジ/Nikolas Cage(カル・エル/クラーク・ケント/スーパーマン)

ジョージ・クルーニー/George Clooney(ブルース・ウェイン/バッドマン)

 

クリストファー・リーヴ/Christpher Reeve(カル・エル/クラーク・ケント/バッドマン)

ヘレン・スレーター/Helen Slater(カーラ・ゾー=エル/スーパーガール、アーカイブ)

アダム・ウェスト/Adam West(ブルース・ウェイン/バットマン、アーカイブ)

ジョージ・リーヴ/Geroge Reeve(スーパーマン、アーカイブ)

テディ・シアーズ/Teddy Sears(ジェイソン・ギャリック/ザ・フラッシュ、アーカイブ)

 

Kieran Hodgson(サンドウィッチ店のトロい店員)

Nina Barker-Francis(フラッシュのファン)

Isabelle Bernardo(アイリス:NICUの看護師)

 


■映画の舞台

 

セントラル・シティ

ゴッサム・シティ

 

ロケ地:

イギリス:リンカンシャー州

スタンフォード

バーリー・ハウス

https://maps.app.goo.gl/QXnhJJhjN8MRUCdWA?g_st=ic

 

イギリス:グラスゴー

イングラム・ストリート

https://maps.app.goo.gl/4ikgcuQMx6DdCDMe9?g_st=ic

 

ジョージ・スクエア

https://maps.app.goo.gl/QCYgzvXSBGHYxy1d8?g_st=ic

 

イギリス:ロンドン

St Paul‘s Churchyard

https://maps.app.goo.gl/5cy7197mHFtfz7pE8?g_st=ic

 

Waltham Cross

https://maps.app.goo.gl/RapmhygAjGYYByxP6?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

セントラルシティにて警察の法医学捜査室で働いているバリーは、フラッシュという名のスーパーヒーローを兼任していた

ジャスティスリーグに入っているフラッシュは、バットマンことブルース・ウェインの執事アルフレッドから指令を受けて任務にあたっていた

彼の能力は「速く走れる」というもので、時間が止まったように見える速度で瞬間的な移動が可能だった

 

ある日、ゴッサムシティでの強盗事件で呼ばれたバリーは、フラッシュとなって「サンドウィッチが出来上がるまで」の数分で任務を完結させる

病院の崩壊から赤ちゃんを救ったフラッシュは、ジャスティス・リーグでは雑用係のような扱いだった

 

バリーには妻ノア殺しの罪で服役している父ヘンリーがいて、バリーはなんとかして父の無罪を勝ち取ろうと証拠集めに奔走していた

証拠が揃わないまま、再審の日が近づいてくる

そんな折、精神的な不安定から猛スピードで走りまくったバリーは、そこで「自分の過去に戻っていること」を知る

そして、父の無罪を晴らすために、「事件の時に買うべきだったトマト缶」をノアのカートに入れたバリーは、「影響を与えない」つもりでその世界を後にしようとする

だが、何者かはバリーにぶつかられてしまい、別の場所に飛ばされてしまった

 

それはバリー18歳の時の世界で、母の死を回避することができていた世界だった

 

テーマ:今が存在する理由

裏テーマ:過去改変がもたらすもの

 


■ひとこと感想

 

予告で「速く走るヒーロー」ぐらいしか情報を入れずに鑑賞

スケジュールの都合でIMAX Laser GTを確保できたので、懲りずに最前列のリクライニングに突撃しました

冒頭のゴッサム総合病院崩落の迫力が凄まじく、一見するとギャグに見える「過去ダッシュ」もすごいことになっていました

 

物語は、父の無罪を晴らそうと奮闘しているバリーが、過去を変えてしまうというもので、その影響力の凄まじさが描かれています

トマト缶を母親のカートに入れたことで買い物に行かなくて済んだ父がいて、それによって母の殺人事件が起こらなかった世界観

そこで生きるバリーは、自分の恥ずかしい青春期を目の当たりにする拷問でもありましたね

 

この場所に行き着いた理由は後半で示されまずが、その理由は納得のいくものでした

また、現在の自分を構築するものの大切さというものを再確認できる内容で、バリーが能力を有することになった理由も、その事件が原因となっていましたね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

光よりも速く走ることで過去に行けるという、相対性理論の世界を体現した内容で、自分が作り出した時空の歪みに過去がなだれ込んでくる映像は圧巻でした

フラッシュ自身がランニングマシンを使っているようなヴィジュアルで間が抜けているのですが、それを装飾する映像が凄かったですね

ある意味『スパイダーバース』と被るネタではありますが、物語の方向性は真逆になっていました

 

誰にも気づかれないであろう「トマトの缶」ですが、ラストでは、その缶の場所を変えたことで、父が防犯カメラに写っていたことが証明されています

この防犯カメラに顔が映ったかどうかというだけでは歴史は変わらないのかと思っていましたが、きちんと変わっているところが面白くもありました

 

ラストでは盟友のバットマンの中身が別人になっていて、これが次回作の『バットマン』シリーズを生み出せる下地になっていましたね

DCUのシリーズを考えても、うまく俳優を変える理由になっていて、それはそれですごいことをするなあと思ってしまいました

 


過去改変で起こること

 

本作では、トマト缶を母のカートに入れたと言う改変があって、それによって様々なことが起こっています

トマト缶の存在によって、母が死ななかった世界線になっていて、それによって「バリーの進路と性格が変わっている」のですね

母が死んで、父が逮捕されたためにバリーは法医学の道を歩んでいるのですが、母が健在だとその道に進む必要性がありません

また、息子思いの母親に育てられているために、若干奔放で甘えた性格になっていました

 

バリーは「トマト缶」と言うわずかに思える改変をしたために大きな変化が起こっていて、ラストの缶の場所を入れ替えると言うことでも変化が起こっています

ラストの行動による改変はバットマンの中の人が違っていると言うものですが、次作以降にその影響が語られることになるでしょう

 

これらの微細に思える改変は「バタフライエフェクト」と呼ばれるもので、全く別の場所で蝶々が羽ばたいたことが原因となって、地球上に大きな影響を及ぼすと言う意味になります

タイムトラベル系ではパラレルワールドを生み出しますが、本作では、変化によっと生み出された未来は「同時に過去をも作る」と言う概念になっていました

パラレルワールドは分岐して並行した世界を作るのですが、この映画の概念だと「分岐は交差」と言うことになるので、一度できてしまった世界線が消えることはないと言うことになります

 

世界線は交差点を中心にした円を描き、世界線の隣接距離は改変の内容に依るのだと推測されます

なので、バリーが作った二つの世界線の一つは遠距離で、もう一つは近距離になりますが、交差点から現在の距離が長ければ長いほど、その距離感は遠くなるものだと推測されます

 


過去を変えたいのは自分だけではない

 

本作では、バリー以外にも歴史を変えようとした人物がいて、それは別の世界線、すなわち未来のバリーでした

未来のバリーは何度も現在のバリーを邪魔をしようと考えていて、そして現在に戻るのを阻止します

その後、未来のバリーは18歳のバリーを殺してしまうのですが、自分を殺したことになって、自分自身も消滅してしまうのですね

この18歳のバリーと未来のバリーの世界線では彼がいない世界になっていますが、その後どうなったのかはわかりません

 

非常にややこしい感じになっていて、バリー自身がメタバースの扉を開けたために生まれた世界線は、バリーの能力が共有されているのだと思います

それによって、未来のバリーは交差点に来ることができて、現在のバリーを邪魔することができるのですね

邪魔する目的は未来のバリーが「母が生きている世界」が悲劇的なものだったからだと推測されます

未来のバリーが18歳のバリー(自分自身)を殺したことで、現在のバリーは「自分が生み出した世界の悲劇」を目の当たりにして、そして「母を救うこと」を諦めることになりました

 

その後、トマト缶置き換えによって父の無罪が証明されるのですが、それすらも歴史の改変になっていました

父の無罪を勝ち取れた世界線が生まれたことで、現在のバリーは自分がいた世界には戻れていません

もしかしたら、その世界にも別のバリーがいるかもしれませんが、本作では言及がありませんでしたね

おそらくは、次作以降で「新しいバリー」の世界というものが描かれ、その世界のバットマン(ジョージー・クルーニー)と何かを成していく物語になるのかもしれません

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、かなりややこしい物語になっていて、過去を変えるリスクについて描いています

バリーは「挑戦を果てしなく繰り返して老人になった自分」を見るのですが、母の死というものが彼の人格形成に大きな影響を与えたことを悟ります

18歳のバリーは母と共に過ごしてきたのですが、本来ならば「幸せな時間を過ごしてきた自分」のはずなのですね

でも、現在のバリーからすると、気恥ずかしいほどに「アホな子」になっていて、人生に対する危機感も何もあったものではありません

 

青春期と両親の関係性は人格形成においてかなり重要なものがあり、反抗期を含めて、そこでどのような価値観が生まれるかが決まってきます

反抗期の中では、自分のやりたくないものが漠然とわかり始めるけれど、親はそれをしろという期間でもあり、その衝突の度合いによって様々なトラブルが発生します

現在のバリーは頼まれたことは断れない性格で、わずかな時間でもヒーローの時間として捧げています

でも、18歳のバリーは天真爛漫で、能力をおもちゃのように扱っていました

 

現在のバリーが能力を得た時にどんな状況だったかは覚えていませんが、その力を人のために使うし、ジャスティスリーグに参加するなど、正義や人のために能力を使う人格というものを有していました

18歳のバリーがその自覚を持てるかは微妙な感じになっていて、それは家庭環境の影響が大きいと思えてきます

何の不自由もなく生きてきた人生と、不条理に晒されまくった人生では、正義というものに対する観念も違うし、欲望のコントロール方法も違います

現在のバリーが18歳のバリーを精神的に幼く感じるのは当然のことで、両親との関係性が育てる精神性というものはとてつもなく大きいものなのだと思います

 

悲劇は無いに越したことはないのですが、それをどう捉えるかで人生は変わってきます

母の死、父の逮捕によって、自暴自棄になる世界線もあったと思うし、悪魔に魂を売り渡す可能性もあったと思います

能力を悪用して、法制度を壊すようなこともできたと思うし、闇堕ちしていても不思議はないのですね

法医学を学ぶまでの日常が正義感に溢れていても、能力の獲得によって歪む可能性はあったわけで、それが起こらなかったのは、父の不当逮捕を「正しい方法」で正そうと考えたからだと思います

 

この「正しい方法」が行き詰まったのが本作のバリーであり、偶然手にした「新しい能力」に取り憑かれて闇堕ちしているのですね

それを諌めることになるのが「自分が自分を殺す」というエピソードになっていて、それが物語の深みになっていると思います

バリーを諌める存在がいない時、彼を止めることになるのが自分自身であるという皮肉があって、でも「完全には諦めきれない自分」がいる

それがラストの改変になっていて、能力によって生まれた欲望というものは、そう簡単には切り離せないことを描いています

次作以降でどのような物語になるかわかりませんが、個人的な想像だと、バットマンの改変があったためにアイリスに何かが起こるというものになるのかなと思います

能力の発露によって、生殺与奪の権利が与えられたのに等しい感じになっていて、その代償というものは「バリー自身と彼を取り巻く環境」から何かを奪うというものが繰り返されるのではないでしょうか

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/387085/review/d87dfc11-a6d8-47d1-99d4-4503134440ce/

 

公式HP:

https://wwws.warnerbros.co.jp/flash/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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