■カッコ良さに特化したファンムービーなので、対象外の人が観たら退屈なのかもしれません
Contents
■オススメ度
とにかく殺しまくる系の映画が好きな人(★★★)
ネジが飛んでる系のキャラが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.6.1(T・JOY京都)
■映画情報
原題:더 킬러: 죽어도 되는 아이(殺し屋:死んでもかまわない子)、英題:The Killer: A girl Who Deserves to Die(殺し屋:死に値する少女)
情報:2022年、韓国、95分、G
ジャンル:引退した殺し屋が妻の頼みを断れずにトラブルに巻き込まれるアクションクライム映画
監督:チェ・ジェフン
脚本:シン・ドンチョル&ナム・ジウン
原作:パン・ジノ『The Kid Deserves to Die』
キャスト:
チャン・ヒョク/장혁(バン・ウィガン:引退した殺し屋)
イ・ソヨン/이서영(キム・ユンジ:ウィガンが保護する女子高生、妻の友人の娘)
ユ・ソジン/유서진(ブタのママ:ユンジの義理の母、ヒュンソの友人)
イ・チョヨン/이채영(ヒュンソ:ウィガンの妻)
イ・スンジュン/이승준(イ・ヨンホ:汚職刑事)
ホン・ソジュン/홍서준(キム:裁判官)
キム・ホンギョン/김홍경(ウィガンの回想に登場する少女)
バン・ウンジョン/방은정(スンヨン:人身売買に巻き込む女子高生)
チェ・ヨンウ/최영우(キム・ユンジの先輩)
ブルース・カーン/브루스 칸(ユーリ:ロシア人の殺し屋)
チュン・スンホ/정성호(ユーリの部下)
チェ・ギソプ/최기섭(チョムバギ:あざのある男、人身売買のブローカー)
シン・スンファン/신승환(パク・ヒョンジュ:人身売買のブローカー)
イ・ゴング/이건구(ドレッドヘアの人身売買のメンバー)
ハン・ヒョンジュン/한현준(「Don’t Tell Papa」の男)
ウィ・ミングク/위민국(「Don’t Tell Papa」の男)
パク・ヨンウン/박영운(「Don’t Tell Papa」の男)
ソン・ヒョンジュ/손현주(銃の密売人、ウィガンの友人)
チャ・テヒョン/차태현(特殊清掃屋、ウィガンの友人)
■映画の舞台
韓国:ソウル
ホンデ/弘大
https://maps.app.goo.gl/FCco3hASKDt8gMFYA?g_st=ic
ロケ地:
韓国:ソウル
■簡単なあらすじ
殺し屋家業を引退して妻ヒョンソと暮らしているヴィガンは、今は不動産投資を成功させて優雅な暮らしをしていた
ある日、妻から「友人の娘」を旅行の間だけ預かってくれと頼まれたウィガンは、頼みを断れずに引き受けることになった
友人の娘・ユンジは今時の若者でウィガンの言うことを聞かない
ひたすらスマホに入り浸り、深夜にも関わらず、友達たちとどこかに向かう
当初は放置するつもりだったが、嫌な予感がして、ユンジを追うことになった
彼女らが向かったのは町外れの寂れた雑居ビルで、スケートリンクのあるカフェだった
そこは、売りを斡旋する隠れ蓑で、ウィガンはそこにいた奴らをぶちのめす
だが、翌朝そこで倒しただけの男たちが死体で発見されてしまった
ウィガンはユンジを取り巻く背景に不穏なものを感じ、その背景を探ることになったのである
テーマ:妻には頭が上がらない
裏テーマ:不安な顔した女子高生の親は毒親
■ひとこと感想
ほぼ情報なしで、パンフレットもない映画でしたが、ひたすら最強の殺し屋が雑魚を殺しまくる映画になっていましたね
売春斡旋のチンピラはまだしも、ロシアン・マフィアの殺し屋をキャッチ&リリースしまくるのは面白かったですね
汚職刑事に目をつけられても、それを逆手に取っていくところもうまく、次から次へと背景が見えてくる展開も良かったと思います
相手の犯罪組織の全容がわかりにくかったですが、権力者がアウトローを使って若い女を漁っていたところはゲス中のゲスになっていました
そこからの広がりは大したことはありませんが、ともかく「一方的に惨殺」と言うのが好きな人なら合うかもしれません
とりあえず、女子高生に腕を掴まれて見つめられたら、その願いを断るわけにはいかないですよね
物語に深みはありませんが、次から次へと飽きさせない展開になっているので、ハードルを下げればOKじゃないかなと思いました
それにしても「ブタのママ」って言うネーミングセンスはどうなんでしょうねえ
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
ネタバレと言うのがあるのかはわかりませんが、妻の友人である「ブタのママ」が暗躍し、旅行中に娘を始末しようと考えていた、と言うことなんだと思います
ブタのママは義理の母ということで、彼女には未練がなく、新しいパトロンである裁判官との間には不要だったということでしょう
でも、殺す前に頂いてしまおうというのが裁判官のゲスいところで、それによって全てを失っていくことになりました
映画は、ひたすら殺しまくる系で、ファンムービーとしての楽しさというものがありますね
カッコいい戦闘シーンがたくさんありますので、跳弾が無視されているとか、体力が無尽蔵などのツッコミはなしで活躍を追いかけていくのが良いのかなと思います
ウィジンの回想で登場する「絶望している少女」が嫁ということなのですが、大人になっても病んでいる感じになっていましたね
「お仕事終えたらいくらでも撃っていいよ」と言うパワーワードも登場し、一触即発系の危ない匂いだけはプンプンしていたと思います
■ファンムービーとしての潔さ
本作は、どこからどう見てもチャン・ヒョクさんのファンムービーになっていて、ピンチらしいピンチも訪れなければ、大怪我を負うこともありません
圧倒的な力差で薙ぎ倒していく感じになっていて、女性が弱点と言うファン心理をくすぐる内容になっていました
彼のファン層がマダムなのかJKなのかは知りませんが、どっちにも振れる感じになっていましたね
「守られるJK」と「プンスカマウントのマダム」と言うキャラが出ていて、大人でも子どもでもOKと言うスタンスになっていました
敵の規模は単独で戦えるレベルになっていて、国家権力も個人レベルになっていたのは良かったと思います
相手が強すぎると嘘っぽさが混じるのですが、そこそこの規模で、少しだけ苦慮する相手というのは匙加減がバッチリでしたね
ロシアン・マフィアと人身売買組織が繋がっていて、その顧客に裁判官がいて、事件は公権力を使ってきちんと揉み消せる
利害が一致していて、金の流れもスムーズで、それぞれがそれ以上を望まないために関係性もブレません
ファンムービーの難しさとして、等身大に見せるか否かというものがあります
完全にファンタジーの世界に入ってしまうと距離ができるのですが、あまりにも等身大すぎても魅力が損なわれてしまいます
今作では、チャン・ヒョクさんに守られたいという感じのテイストで作られていて、過剰にJKが色目を使うことがないのも配慮なのでしょう
妻のことは裏切らないし、ロリコンでもないので、理想的な男性像なのかなと思います
同性から見て魅力的かは何とも言えないのですが、女の人に翻弄されていくけど、締めるところは締めるキャラというのは、嫉妬という感情があまり湧きません
かといって憧憬とはまた違うので、感情的に波風が立つ感じのキャラではなかったように思いました
あくまでも個人的な趣味の話になりますが
■殺し屋ものの未来とは何か
年に100本ぐらいはありそうな「殺し屋もの」ですが、ぶっちゃけると「ネタ切れ」の感は否めません
敵もヤクザ、マフィア、国家権力(警察)、法的機関(裁判所)、政治家と、それ以上を求めるとファンタジーの世界になってしまいます
主人公の設定も、「元特殊部隊」「退役軍人」「普通だけど実はヤバい」などのように、日常パートとの乖離を生むアイデアは出尽くしていると思えます
「元⚪︎⚪︎」みたいな設定は、銃器を扱うことに長けている説明で、記憶がある場合とない場合に大別されます
基本的には無双状態になることが多く、誰もが「誰かを助ける」か、「巻き込まれてやむを得ず」という状況に陥りがちですね
一時期は「相手の規模」でマウントを取り、「第三次世界大戦前夜」という戦争と破滅を匂わせるものがありました
でも、昨今では「暗殺者の背景」にフォーカスを当てることが多くなっています
映画におけるウィガンは、かつて壊れかけた少女を保護した(手を出してないとは言っていない)過去があり、それが現在の妻になっていました
少女の保護は定番で、それが戦いの足枷になるのもセオリー通りですが、本作では「聞き分けの良いJK」のために「枷がない」という状況になっていました
ウィガンに対するピンチを身内で作らないというパターンは比較的少なめで、それが新めかなと思いました
戦闘シーンに関しては、ドローンショットの多様により、これまでとは違うアングルが可能になっていますね
やっていることは変わらなくても、それをどう見せるかというところに特化していて、最近の主流は演者の周りを360度周回しながら展開を作る感じになっています
暗くて何をしているかわからないというものが減って、より鮮明でスローモーションを効果的に使うものが増えて来たように思います
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
映画は、良くも悪くも、これまでの映画にあったものが多いので、そこまでサプライズを感じるものはありません
グロさも控えめで、物語も簡略化されていて、ファン層に向けた特化型となっています
どことなく壊れている主人公がいて、殺しに関しての躊躇がない
このあたりの設定には背景があるのですが、映画では綺麗にカットしていて、職人さながらに無感情で殺していきます
彼が無感情なのは、これまでの日常が心を殺したのか、仕事として割り切っているからなのかはわかりません
今回の事件では、単に仕事の邪魔が入ったので、それを徹底排除しているように見え、ユンジと妻を重ねているように見えても、それがミスリードのようにも思えて来ます
ユーリが何度も復活するのは、格下の殺し屋を相手にする圧倒的なマウントになっていて、心底殺しが好きなのかなと思ってしまいますね
それ以上に狡猾なのがイ刑事なのですが、彼の暗躍をかなり早い段階で察知していて、それを逆手に取っていくのは、現場からあらゆるものを察知する能力に長けているのだなと思いました
事件は、裁判官の欲求と合致したロシアン・マフィアと人身売買組織の繋がりがあって、その隠蔽を図るために公的機関が暗躍しています
ウィガンからすれば、警察の初動と事件性の把握が異常に早かったので、それによってウィガンは警察の関与に早々に気づいていましたね
当初はスンヨンが始末したと考えていましたが、おそらくはイ刑事が暗躍しやすいように大きな事件にするために殺したのだと思います
捜査の規模をわざと大きくすることによって、その担当に自分がなれば、組織を別の方向に誘導することが可能になってくるのですね
このイ刑事の思惑を最初から見抜いて利用していたのですが、ウィガンがいつの段階で組織的な犯行を見抜いていたのかは分かりません
彼の有能さというものをクローズアップしている展開なのですが、アウトロー的な武器屋と掃除屋などの人脈の広さはわかるのですが、公的機関の汚職に気づいた理由は分かりません
このあたりは妻からヒントをもらうのかなと思っていたのですが、そういうシーンはなかったですね
てっきり、妻が「ブタのママ」の正体に気づいていて、わざと夫が関わるように仕向けていたのかなと思いました
ほぼ大人の17歳のガードを、殺し屋だと知っている夫に託す意味を考えると、妻側に何らかの情報が届いていたのかな、と思わざるを得ません
それでも、妻暗躍&事情に精通をシナリオに組み込んでも蛇足のように思えるので、そこを排除してアクションに特化したのは正解なのかな、と感じました
■関連リンク
Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://movies.yahoo.co.jp/movie/387411/review/f20bf0f9-1b13-4145-8699-cd46e37f490a/
公式HP:
http://klockworx-asia.com/killer/#smooth-scroll-top