■ヴァラクとの戦いの先に、いずれは1981年以降が描かれるのかもしれません
Contents
■オススメ度
シリーズのファンの人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.10.16(イオンシネマ京都桂川)
■映画情報
原題:The Nun II(修道女2)
情報:2023年、アメリカ、110分、PG12
ジャンル:ある教会で起きた不可解な事件を調べることになった修道女を描くホラー映画
監督:マイケル・チャペス
脚本:イアン・ゴールドバーグ&リチャード・ナイン&アケラ・クーパー
前作『死霊館のシスター』
↓Amazon Prime Video リンク
キャスト:
タイッサ・ファーミガ/Taissa Farmiga(アイリーン・パーマー:事件の調査を依頼される修道女)
(幼少期:Margot Bernazzi)
ジョナ・ブロケ/Jonas Bloquet(モリース・テリオー/フレンチー:アイリーンと関わりを持つ学校の用務員)
ストーム・リード/Storm Reid(デブラ:アイリーンに同行する若き修道女)
ケイトリン・ローズ・ダウニー/Katelyn Rose Downey(ソフィー:寄宿学校の生徒)
アナ・ポップウェル/Anna Popplewell(ケイト:ソフィーの母、教師)
スザンヌ・バーティッシュ/Suzanne Bertish(マダム・ローラン:校長)
Gaël Raës(セドリック:ローランの亡き息子)
レンティーヌ・ドンシュー/Léontine d’Oncieu(シモーヌ:ソフィーをいじめる生徒)
アヌーク・ダーウィン・ホームウッド/Anouk Darwin Homewood(セレステ:ソフィーをいじめる生徒)
Margot Morris(オーレリー:生徒)
ボニー・アーロンズ/Bonnie Aarons(ヴァラク:悪魔の尼僧)
アンドリュー・モルガド/Andrew Morgado(悪魔の声)
マキシム・エリアス=メネ/Maxime Elias-Menet(ジャック:タラスコンのサッカー少年)
Pascal Aubert(ノワレ:タラスコンの教会の神父)
Alexandra Gentil(アストリッド:タラスコンの修道女)
Peter Hudson(リドリー:カトリック文書館の神父)
Fuvia Patrizia Olivieri(イタリアン修道院の修道院長)
Tamar Baruch(アマラ:イタリアン修道院の修道女)
Natalia Safran(クロエ:イタリアン修道院の修道女)
Viviana Moin(マリア:イタリアン修道院の修道女)
Renata Palminiello(ピア:イタリアン修道院の修道女)
Lieve Carchon(コンセッタ:イタリアン修道院の修道女)
Sarah Pachoud(エミリー:配達員)
Grégory Di Meglio(ホテルの受付)
Philippe Josserand(医師)
デヴィッド・ホロヴィッチ/David Horovitch(コンロイ枢機卿:アイリーンに事件の調査を依頼する枢機卿)
ケイト・コールブルック/Kate Colebrook(セント・ルーシー:アイリーンの母)
パトリック・ウィルソン/Patrick Wilson(エド・ウォーレン:悪魔学者)
ヴェラ・ファーミガ/Vera Farmiga(ローレン・ウォーレン:悪魔学者)
■映画の舞台
1956年、
フランス:ブーシュヌ・ド・ドュ・ローヌ
タラスコン
https://maps.app.goo.gl/56hQZxmknAyRRiHb9?g_st=ic
ロケ地:
フランス:プロヴァンス
Couvent des Prêcheurs/修道院
https://maps.app.goo.gl/LFey9obfmmJkvgW48?g_st=ic
■簡単なあらすじ
前作にて奇跡を起こした修道女のアイリーンは、イタリアン修道院の修道女として日々を過ごしていた
彼女のいる修道院では、修道院長の言葉を無視する若い修道女デブラがいて、彼女は両親からの言いつけでここに来ていた
それから数週間前のこと、フランスのタラスタンで不可解な事件が起きていた
教会内で神父が焼死したというもので、それ以外にも不可解な聖職者の死が相次いでいた
教皇庁のコンロイ枢機卿はアイリーンを招聘し、事件の調査に当たらせる
一方その頃、フランスの寄宿学校では、生徒のソフィーが同級生からいじめられ、立ち入り禁止の礼拝堂に閉じ込められていた
ソフィーはそこで何かを見てしまい、用務員のモリーンに変調が起きつつあった
テーマ:信じる者は救われる
裏テーマ:修道女と恋心
■ひとこと感想
シリーズをどこから観ていたかは覚えていませんが、前作の記憶がほとんど抜けたまま鑑賞
パンフレットに時系列順にシリーズが載っていて、記憶にはないけれど身覚えがあるものばかりでした
映画は、前作『死霊館のシスター』の続きで、時系列的には『アナベル 死霊人形の誕生(2017)』の前日譚にあたります
ユニバース的にはエンドクレジットの途中で登場するウィーレン夫妻の物語が最初で「エンフォールド事件」あたりとリンクしてくるものがありました
ホラー映画として怖いかは何とも言えないのですが、「信じる者は救われる」を地で行く映画なので、そのご都合主義的な神様の力を許容できるならOKかと思います
逆に、祈ればOKがアホらしく感じてしまう人は、このシリーズのみならず、キリスト教系ホラーには向いていないように思えます
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
前作の記憶がすっぽりと抜け落ちていて、モリーンって誰?状態で観ることになっていました
とは言え、本作の情報だけで関係性がわかり、アイリーンが恋していることはわかります
モリーンの方は未亡人にくびったけで、娘ソフィーの策略にハマりつつあるところがおかしくもありますね
ヴァラク登場、悪魔の山羊などの造形は怖いですが、全体的に映像も暗いので、何をやっているかわからないシーンが結構あります
シリーズを観ていないと、最後の夫婦誰やねんとなると思いますが、観ている人にとっては「次回作の予告だね」とわかる感じになっていました
物語は、タラスコンの神父燃える事件、寄宿学校のいじめ問題、イタリアン修道院内のあれこれが描かれていて、それらが結びついてくるまでは関連性がわかりにくいように思えます
パンフレットだと、そのあたりはスッキリする感じに整理されているので、ビジュアルで理解したい人なら購入してもOKではないでしょうか
■シリーズについてのおさらい【 】内の数字は時系列順(本作が2番目)
【死霊館(The Conjuring、2013)】5
監督はジェームズ・ワン
実在するウォーレン夫妻の1971年の事件を描いたホラー映画
人形に憑依したアナベル・ビギンズを巡るもので、ロードアイランド州に住む一家の娘の異常行動を追っていく
【アナベル 死霊館の人形(Annabelle、2014)】4
ジョン・R・レオネッティ監督
前作『死霊館』の前日談として、スピンオフ的な作品になっている
前作同様「アナベル」と言うの終われた人形について語られ、ある夫婦が購入したアンティーク人形には悪魔が憑依していたと言う感じで紡がれていく
【死霊館 エンフィールド事件(The Conjuring 2、2016)】8
監督はジェームズ・ワン
『死霊館』の正当な続編で、ウォーレン夫妻の活躍を描いていく
舞台は1977年のロンドン・エンフィールド
そこで起きたポルターガイスト現象を調査する夫妻が描かれていく
【アナベル 死霊人形の誕生(Annabelle:Creation、2017)】3
監督はデヴィッド・F・サンドバーグ
ユニバースの4作目で『アナベル 死霊館の人形』の前日譚
1945年に事故で娘を失った人形職人が6人の孤児を受け入れ、子どもたちがその家にあった人形を見つけると言うもの
【死霊館のシスター(The Nun、2018)】1
監督はコリン・ハーディ
本作『死霊館のシスター 呪いの秘密』の続編、『死霊館 エンフィールド事件』に登場した悪魔の尼僧ヴァラクのルーツに迫る
暗黒時代にルーマニアで召喚されたヴァラクが1952年に蘇ると言うもので、見習い修道女アイリーンとフレンチーがヴァチカンの指示の元に事件を調査していく
【ラ・ヨローナ 泣く女(The Curse of La Llorona、2019)】7
監督はマイケル・チャベス
中南米の怪談「ラ・ヨローナ」を描くスピンオフ作品
舞台は1673年のメキシコ、ヨローナは夫の裏切りから狂い、我が子を殺して自殺をする
時を経て1973年、アメリカのロサンゼルスにて、川で子どもが死ぬ事件が起き、ソーシャルワーカーのアンナが呪いに巻き込まれると言うもの
【アナベル 死霊博物館(Annabelle Comes Home、2019)】6
監督はゲイリー・ドーベルマン
ウォーレン夫妻がアナベル人形の呪いを封じるために自宅に持ち帰る道中にて、事故現場に遭遇し、そこで幽霊を目撃する
その1年後、夫妻の家を訪れた子どもたちがアナベル人形が保管されているコレクションルームに忍び込んでいたずらをし、それによってアナベル人形の呪いが発動してしまうと言うもの
【死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(The Conjuring:The Devil Made Me Do It、2021年)】9
監督はマイケル・チャベス
1980年を舞台にウォーレン夫妻が悪魔に取り憑かれた少年と対峙すると言うもの
少年の犯した罪は憑依した悪魔によるものだと証明する物語になっている
※説明文の下のURLはAmazon Prime Video(字幕版)のリンクです
■聖ルチアの目について
映画に登場する「聖ルチア」は「シラクサのルチア(Santa Lucia)と呼ばれるキリスト教の殉教者のことを指します
視覚障害者であり、シラクサ(イタリアのシチリア島北部の都市)の守護聖人とされています
ルーテル教会の信徒が多いスウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェーで崇敬される聖人で、12月13日には「聖ルチア祭」と言うものが行われています
5世紀頃の殉教によって有名になっていて、ディオクレティアヌス帝に迫害され、304年にシチリア島にて処刑されたとされています
彼女は、西暦283年に裕福な家に生まれ、幼少期に父親が亡くなっています
生まれつき目が見えなかったわけではなく、様々な文献では処刑に至る迫害の際に目をくり抜かれたとされています
迫害の理由は、時の権力者シラクサ総督パシャシウスを糾弾したから、とされています
6世紀頃に彼女の物語が広まり、教皇グレゴリウス1世の秘跡にルチアが登場しています
そして、12月13日に英国国教会と聖公会にて栄誉を与えられます
遺体はシチリア島に放置されていて、その一部はシラキュースで保管され、その後ヴェネツィアに移動しました
最終的には、1861年にサンジェレミア教会に移されますが、1981年頃に頭以外の骨が盗難に遭っていて、その年の12月13日に警察が回収に成功したと言う逸話も残っています
彼女の遺体は、ローマ、ナポリ、ヴェローナ、リスボン、ミラノに加え、ドイツやフランスにも流出していると考えられています
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、シリーズの時系列では2番目になり、当初のシリーズの過去譚を描いていくシリーズになっています
アイリーンの物語が、いずれはウォーレン夫妻へと繋がっていくのですが、時系列最新の『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』が1981年で、前作『死霊館のシスター』の舞台はわずか29年前の1952年になっています
アイリーンの時代が1950年代で、ウォーレン夫妻の活躍は1950年代後半になりますので、いずれは「同じ舞台に立つ」のではないでしょうか
本作の2年後にはアナベルが誕生するわけですが、本作で登場したヴァラクはウォーレン夫妻の物語では1981年に登場します
なので、今後はアナベル人形の物語の時系列の背景で「ヴァラクVSアイリーン」の戦いが描かれ、そして、ウォーレン夫妻へとバトンタッチすることになります
ウォーレン夫妻のこれまでの物語にアイリーンは登場しないのですが、今後のシリーズのどこかで邂逅があるのかもしれません
本作は、その予兆と言う感じになっていて、その後のウォーレン夫妻の物語にアイリーンが登場しないことを考えると、ある程度の流れは読めてくるかもしれません
これからの『死霊館』ユニバースは他の「ユニバース系」と同じくらいに「観ていることが前提」になってくると思うので、ふるい落としが起きてしまうかもしれません
それでも、単体の物語で意味がわからないところまで複雑化するかはなんとも言えません
スピンオフで「色んな地域の悪魔伝説」を絡ませて箸休めがあると思いますが、今後はヴァラクとの戦いがメインになってくるので、最終的には「ウォーレン夫妻から引き継がれる新勢力」と言うものが訪れると思います
ウォーレン夫人(ロレイン)はヴェラ・ファーミガが演じましたが、彼女の妹タイッサ・ファーミガがアイリーンを演じているので、新勢力のキャスティングも気になってしまいますね
このペースだと5、6年後には1981年に追いついていくと思うので、ロレインの娘(ジュディ・ウォーレン)、あるいは彼女の夫トニー・スペラが登場したりするのかもしれません
ジュディはオカルトを忌避していて、今でも両親の作った博物館は怖いそうですが、その活躍を批判されるのは我慢できないと語っています
このあたりの番外編は、下記のURLを翻訳してみると面白いかもしれません
↓The Cinemahilic『Judy Warren: Where is Ed and Lorraine Warren’s Daughter Now?』の記事リンクです
https://thecinemaholic.com/where-is-ed-and-lorraine-warrens-daughter-now/
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
公式HP:
https://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-himitsu/