■夫婦になる前に予行演習をしておけば、それなりの耐性がつくと思われますよ


■オススメ度

 

ジュリア・ロバーツ&ジョージ・クルーニーのファンの人(★★★)

南国パラダイス系コメディを観たい人(★★★)

バリ島に行った気分になりたい人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2022.11.4(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:Ticket to Paradise

情報:2022年、アメリカ、104分、G

ジャンル:スピード婚で人生をリセットしようとする娘を止める両親を描いたコメディ映画

 

監督:オル・パーカー

脚本:オル・パーカー&ダニエル・ヒプスキー

 

キャスト:

ジョージ・クルーニー/George Clooney(デヴィッド・コットン:リリーの父、海沿いのロッジ生活を夢見るバツイチ)

ジュリア・ロバーツ/Julia Roberts(ジョージア・コットン:リリーの母、成功している画家、デヴィッドの元妻)

 

ケイトリン・デヴァー/Kaitlyn Dever(リリー・コットン:スピード婚しようとするデヴィッドとジョージアの娘)

マキシム・ブティエ/Maxime Bouttier(グデ:リリーが一目惚れするバリ島の若者)

 

ビリー・ロード/Billie Lourd(レン・バトラー:リリーの親友、プルマン大学主席の秀才)

リュカ・ブラヴォー/Lucas Bravo(ポール:ジョージアの恋人、パイロット)

 

Sean Lynch(ロブ:デヴィッドの同僚)

Arielle Carver-O‘Neill(キンベリー:ジョージアの仕事仲間)

Ling Cooper Tang(オークションの競売人)

 

Geneviève Lemon(ベス=アン・フラフリー:飛行機で同乗するおばさん)

Romy Poulier(ローレン:フライトアテンダント)

 

Dorian Djoudi(コマン:レンが目をつける現地のタトゥー男)

Ilma Nurfauziah(デウィ:コマンの妻)

 

AgungPindha(ワヤン:グデの父)

Ifa Barry(スリ:グデの母)

Cintya Dharmayanti(ロシ:英語が話せるグデの妹)

Nom Gunadi(ロシの叔父、結婚式を取り仕切る男)

 

Inaya Servais(クトゥ:指輪を奪われる少女)

Mia Amrisyanda(市場の値切り店員)

 

Casey Wright(ショーン:パーティーのバンドメンバー)

Rowan Chapman(サイモン:パーティーのバンドメンバー)

Kyoko Yates(エマ:パーティーのDJ)

 


■映画の舞台

 

インドネシア:バリ島

https://maps.app.goo.gl/oAA7UHMi68b7iBGFA?g_st=ic

 

ロケ地:

オーストラリア:クイーンズランド

ホウィットサンデイ・アイランズ国立公園

https://maps.app.goo.gl/P7ScgjD3YUmgkAKr9?g_st=ic

 

HOTA Gallery

https://maps.app.goo.gl/xaZDhDr7supNFDgU7?g_st=ic

 

Gold Coast/ゴールドコースト

https://maps.app.goo.gl/VUtpA6i3PGX99nfL8?g_st=ic

 

Bisbane Airport/ブリスベン空港

https://maps.app.goo.gl/5WLMHMg9HxVv9SGp6?g_st=ic

 

Nowell/ノーウェル

https://maps.app.goo.gl/pfwLgQm16NdJCPfe9?g_st=ic

 

Tamborine National Park/タンボリーン国立公園

https://maps.app.goo.gl/AFe4SmPseAgPVNtj7?g_st=ic

 

Queen‘s Wharf

https://maps.app.goo.gl/TEWSHoUYToat1qGP9?g_st=ic

 

Brisbane/ブリスベン

https://maps.app.goo.gl/MeHho22xvD1YpJAFA?g_st=ic

 

Hamilton Island Airport/ハミルトン・アイランド空港

https://maps.app.goo.gl/phTtkNZUeXAGzikD6?g_st=ic

 

Carrara Market

https://maps.app.goo.gl/w9GETR6mS2Qb8X8q8?g_st=ic

 

Tangalooma Island Resort

https://maps.app.goo.gl/4YRW8gqsfMNsvH786?g_st=ic

 

Palm Bay Resort/パーム ベイ リゾート

https://maps.app.goo.gl/PisDFBoNG7gmVb5C8?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

弁護士を目指してプルマン大学を卒業したリリーと親友のレンは、卒業旅行としてバリ島に行くことになっていた

父デヴィッドと母ジョージアに見送られて旅立ったリリーだったが、両親は15年以上前に離婚していた

 

ことあるごとに衝突する二人が仕事に戻ると、そこでリリーからの突然のメールが届く

それは「弁護士を辞めてバリ島の青年グデと結婚する」というものだった

 

結婚に後悔をしてきた両親は一目散にバリ島を目指す

飛行機内でも喧嘩ばかりしていた二人だったが、とりあえずは「トロイの木馬作戦」をすることになった

表向きは賛成しながらも、なんとか式を思い止まらせようと考える二人は、まずは結婚指輪を隠そうと目論む

 

だが、その犯行はリリーとレン以外にはバレバレで、グデは二人の祝福なしには結婚できないと考え始めていたのである

 

テーマ:結婚と愛情

裏テーマ:後悔と憤怒

 


■ひとこと感想

 

南国パラダイスな感じのビジュアルに往年のスターが共演で、しかも『ブックスマート』で共演していたケイトリン・ディーヴァーとビリー・ロード(外車のトランクの上で寝てたラリ女)が集結するとなって、これは初日に突撃することが決定していた映画でした

ベテランの掛け合いもさることながら、やはり脇役のレンが要所要所で仕事をしているなあと思って見ていましたねえ

 

映画は「賛成するフリをして妨害してたラバレる」という鉄板級の王道ネタで、バリ島に来てさらに拗れていく関係がおかしくもあります

でも、どことなく憎めない面々で、なんとかうまくまとまらないかなあと思ってしまいましたね

 

テーマは「夫婦と結婚」というテーマになると思うのですが、同時に「愛することと愛されることの違い」というものに言及していましたね

夫婦がそれぞれに求めてきたものは何だったのか

意外と深いテーマも隠されていたように思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

映画のタイトルは「Ticket to Paradise」となっていて、「楽園行きのチケットを手に入れたのは誰だ?」という謎かけがありました

娘の結婚を機に、数十年ぶりに元夫婦が旅行をする中で、この関係を壊してきたものが見えてきます

 

また、二人の結婚観の違いも面白くて、「愛することをやめたくないデヴィッド」は距離を置く事でそれを成していて、ジョージアも距離を置くことで「デヴィッドを本当の意味で攻撃せずに済む」という過去がありました

 

文字通りに「楽園行きのチケット」をもらった元夫婦ですが、それが往復券だったのに、彼らの選択によって「片道切符」に変わったのは笑ってしまいました

 

エンドロールは「NG集」になっていて、大学の卒業式で元夫婦のマウント合戦はとっても楽しかったですね

この家族にうまくいってほしいと思わされますし、娘夫婦も末長く幸せに過ごしてほしいと願わざるを得ません

 


結婚における「ふさわしい場所、時、状況」について

 

映画でデヴィッドが語る「結婚にはふさわしい場所、ふさわしい時、ふさわしい状況がある」というセリフに対して、ジョージアは「私たちには3つともなかった」と答えていました

それに対して、デヴィッドは「場所だけはよかった」と答えます

二人が破綻した直接の原因は語られませんが、ジョージアの仕事のキャリアを優先して生活が離れるようになったという趣旨のセリフはありました

夫婦がすれ違う要因は様々ありますが、お互いの人生を重ねていくのが結婚なので、それまでと同じように生活ができる訳ではありません

 

現在では共働きが主流で、子育てをどっちがするかに対して悲観的な場合だと断念せざるを得ません

映画では、どちらもある程度の要職についている様子が描かれていましたが、それは現在軸のもので、結婚当初の状況はキャリアアップを目指している段階だったと推測されます

そんな中でデキ婚のような形で一緒になった二人は、何かしらを断念してきたのですが、ジョージアはその鬱憤をデヴィットにぶつけ続けてきました

彼女の後悔は、自分の感情を相手にぶつけたことによって破綻に向かったというもので、お互いの愛が冷めたからではないところが愛おしくも感じます

 

個人的な感覚では「ふさわしい場所、時、状況」というものはないと思います

この3つを待たなければならないような結婚は最初からうまくいきませんし、こう言ったものを探し出したくなるのは、直感的に起きた行動に対する言い訳のようなものだと思います

ふさわしいかどうかを考えるのは「告白前」か「うまくいかなくなってから」のどちらかなのですね

なので、幸せな結婚の間は「結婚に対する評価」なんてことを考える余地はありません

 

もし、「ふさわしさ」を考えている自分に出逢ったら、その時は「間違った道に理由をつけようとしている」と考えた方が良いでしょう

破綻するときも「ふさわしさ」などというものが入り込む余地もないほどにあっと訪れるものなので、それらを待って行動をするとか、過去を振り返るという行為はあまり意味がないと気づくのではないでしょうか

 


夫婦生活の罠

 

夫婦というものは、これまでの単身の生活が重なることによって自由が奪われる反面、共通の出来事が増えて感情がリンクすることが増える活動であると言えます

同棲生活の末に結婚に至ると、結婚によって生活が激変するというリスクは避けられます

また、お互いの素の部分まで共同生活では隠せませんので、そう言ったものを許容できるかどうかの体験学習になるといえるでしょう

なので、ある程度の「相手との生活の経験」はリスクを考える上で必要なことであると思います

 

このような体験学習がない場合、まず直面するのは「生活のリズムの違い」であると思います

起きる時間、会社に行く時間、帰る時間などなど、生活はこれまでと変わらないので、そのルーティン的なものが衝突することは普通に起きてきます

この時に出現する罠は、どこまで相手のルーティンを許容できるかであると言えます

恋人関係の時に起こる見栄というものが、体験学習によって「かりそめである」ということが突きつけられ、ロマンスは夢だったかのように消えてしまう場合もあります

多くの大人はそれを理解した上で、恋人関係の時の虚飾というものを理解しています

でも、マレに結婚後も虚飾を望む人もいて、その裏側を見ると幻滅することが多いかもしれません

 

私個人は同棲生活15年ほどでミレニアム婚をしたのと、当初は共に学生だったこともあって、それぞれがそれぞれの生活をすることに抵抗はありませんでした

結婚のメリットはほとんどなく、卒業してからもそれぞれが働くことになったので、籍を入れる意味はほとんど感じていませんでした

それでも、2000年を区切りに籍を入れることに決め、それぞれの生活はそのまま(いわゆる財布は共有しない)の生活を続けていきます

なので、新婚で起こりがちなことはすべてクリアした段階で結婚生活が始まることになりました

どちらもが飾る気質ではなかったということもあって、ほぼノーストレスでしたが、夫婦生活で一度だけ喧嘩をしたことがあります

でも、今ではその内容ははっきりと覚えていない程度でしたね

その時にわかった相手の気質について、その後はその領域に踏み込まないということを自分の中では決めました

そのおかげかはわかりませんが、それから後も夫婦の危機というものは訪れないという稀有なカップルだったと思います

 

個人的には「好きなものが同じよりも、嫌いなものが同じである方が長続きする」と考えていて、好きという概念がふわっとした雰囲気に対して、嫌いなものは具体的であることが多いからという考えを持っています

特に自分がされたら許せないことが共通認識になっていると、わざと炎上させたい時以外は踏み込まなくなると思います

許せないことは、基本的に自分がされたら嫌なことなので、された時の感情が理解できる分、それをしない傾向があるでしょう

そう言ったものをどの段階で見つけるかですが、ぶっちゃけた話だと「攻め込んで痛い目を見た方が早い」と思います

そのまま破綻まで行く関係だとしたら、おそらくその後も長続きしないと思うので、「生活を共にするパートナーとしては気質が合わないという結論」をつけて、関係を解消する方が後々関わりを捨てずにいられるのではないかなと感じています

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は「娘のスピード婚を止めにきた元夫婦が紆余曲折を経て元サヤに戻る」という物語になっています

娘たちの結婚がまるで自分達の若い頃を見ているようで、失敗者としてのアドバイスをするつもりだったのでしょう

娘の性格を熟知していて、ジョージアの気質にそっくりだったのですね

いわゆる「反対されるほど意固地になる」というもので、それを案じて「トロイの木馬作戦」を敢行することになりました

 

映画のラストでは、グデがデヴィッドたちに再確認するという流れがありましたが、この時にはデヴィッドたちの中ではスッキリとしたものになっていました

でも、グデには不安があって、それを確認できないと前に進めなかったのですね

重要事項はデヴィッドが行うことになりましたが、それは彼が出会いの日に「結婚に対する未来像」という不安を植え付けたことのアンサーになると言えます

 

この結婚に反対しているのは二人とものように思えますが、実際にはジョージアだけが反対の立場でした

デヴィッドは結婚すること自体には否定的ではなく、おそらくは一過性のものになるだろうと予測していたのですね

そして、勢いで結婚し、それが破綻したことで受ける傷の深さというものが彼にだけわかっている

なので、デヴィッドとしては、この結婚が失敗したときに最も傷つくのがグデであるということがわかっていました

 

グデの中にできた疑念と、彼が真っ先に感じたデヴィッドたちの偽りの祝福は、それらが完全なる形で解消されてこそ、前に進む原動力になります

彼があの場面でナイフを止めたのは、神様に対する誓いでもあるので、このまま結婚が成立するとデヴィッドたちは娘を失うことになってしまいます

そうなると、一番悲しむのはリリーであり、彼女がその喪失を乗り越えられるかという不安はよぎります

なので、あの場面でのグデは「娘との絆を回復させて、共に家族になろう」という想いを成就させたかったのかなと思いました

 

グデはとても良い奴で、頭も回るしビジネスセンスもある

近い将来、二人よりも稼ぐかもしれないし、法学に長けた嫁もいるので、最強の夫婦になるかもしれません

エンドロールもとても楽しいNG集だったので、気持ち良い鑑賞後感で映画館をあとにできる最近では珍しい映画だったのではないでしょうか

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/384453/review/fc0f40d2-fd06-481a-8020-79e008b75d77/

 

公式HP:

https://ticket2paradise.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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