■とにかくビジュアルがダメだったので、正当な評価ができずにすんません
Contents
■オススメ度
シリーズのファンの人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2023.9.27(MOVIX京都)
■映画情報
原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem(若きミュータント忍者のタートルズ:ミュータントの騒乱)
情報:2023年、アメリカ、100分、G
ジャンル:ミュータント・タートルズ誕生を描くアニメーション映画
監督:ジェフ・ロウ
脚本:セス・ローゲン&エバン・ゴールドバーグ&ジェフ・ロウ&ダン・ヘルナンデスGベンジー・サミット
キャラクター創造:ピーター・レアード&ケビン・イーストマン
キャスト:
ニコラス・カントゥ/Nicolas Cantu(レオ/レオナルド:2本の剣で戦うタートル、青いマスク)
マイカ・アビー/Micah Abbey(ドニー/ドナテロ:ストックで戦うタートル、紫のマスク)
シャモン・ブラウン・ジュニア/Shamon Brown Jr.(マイキー/ミケランジェロ:ヌンチャクで戦うタートル、オレンジのマスク)
ブライディ・ヌーン/Brady Noon(ラファ/ラファエル:サイ使いのタートル、赤いマスク)
ジャッキー・チェン/Jackie Chan(スプリンター:ネズミのミュータント、タートルズの養父)
Alex Hirsch(スカムバグ:ゴキブリのミュータント)
アヨ・エデビリ/Ayo Edebiri(エイプリル・オニール:バイクを盗まれるジャーナリスト志望の女子高生)
マーヤ・ルドルフ/Maya Rudolph(シンシア・ユートロム:テクノ・コズミック研究所(TCRI)の幹部)
Derek Wilson(スパイダー:シンシアの部下)
ジャンカルロ・エスジポート/Giancarlo Esposito(バクスター・ストックマン:突然変異研究者、ミュータントの変異液の開発者)
アイス・キューブ/Ice Cube(スーパーフライ:ミュータントを率いて人類殲滅を主導するイエバエのミュータント)
ジョン・シナ/John Cena(ロックステディ:サイのミュータント)
セス・ローゲン/Seth Rogen(ビーバップ:イノシシのミュータント)
ローズ・バーン/Rose Byrne(レザー・ヘッド:アリゲータのミュータント)
ナターシャ・ディミトリウ/Natasia Demetriou(ウイングナット:コウモリのミュータント)
ポール・ラッド/Paul Rudd(モンド・ゲッコー:ヤモリのミュータント)
ポスト・マローン/Post Malone/Austin Post(レイ・フィレット:歌うことが好きなエイのミュータント)
ハンニバル・バレス/Hannibal Buress(ジンギスフロック:カエルのミュータント)
Michael Badalucco(バッド・バーニー:ニューヨークのギャング)
Dempsey Pappion(ボールド・ブロンソン:ショップのゴロツキ)
Myra Owyang(ショート・シャロン:ショップのゴロツキ)
DavidFaustino(ノーマル・ネイト:ショップのゴロツキ)
Daniel Mastrongiorgio(トゥービー・トム:ショップのゴロツキ)
【日本語吹替版】
宮世琉弥(レオナルド)
齊藤京子(エイプリル・オニール)
佐藤二朗(スーパーフライ)
土屋神葉(ラファエロ)
戸谷菊之介(ミケランジェロ)
榊原優希(ドナテロ)
堀内賢雄(スプリンター)
朴路美(シンシア・ユートロム)
草尾毅(バクスター・ストックマン)
木内秀信(モンド・ゲッコー)
落合弘治(ビーバップ)
中村悠一(ロックステディ)
竹内順子(ウィングナット)
沢城みゆき(レザーヘッド)
梶裕貴(ジンギス・フロッグ)
長谷川カオナシ(レイ・フィレット)
■映画の舞台
アメリカ:ニューヨーク
■簡単なあらすじ
ニューヨークのブロンクスにて、秘密裏に活躍するカメのミュータントたちは、かつて突然変異を研究しているグループの残した化学物質にて、ミュータントとなった者たちだった
同じくして、ネズミのミュータントになったスプリンターは彼らを育て、無事に成長を果たしていく
カメのミュータントのドニー、マイキー、レニー、ラファの4人はある日、女子高生エイプリルのバイクを転倒させてしまう
彼女に見つかってしまった4人だったが、直後バイクの窃盗に遭ってしまい、それを阻止するために動くことになった
エイプリルは高校生ながらにジャーナリストを目指していて、町で起きている不可思議な事件を追っていた
そこで、タートルズたちは彼女の取材の手伝いをしながら、町で起きている事件へと近づいていくのである
テーマ:ヒーロー願望と承認欲求
裏テーマ:結果と行動
■ひとこと感想
過去のミュータントシリーズをガチで観ていたわけではありませんが、なんとなく知っている程度の知識で鑑賞
予告編のビジュアライズが受け付けるかどうか心配でしたが、さすがに「虫系」が出るとダメな人なので、終始目を覆うような感じになってしまいました
物語としては、はみ出し者だと思っているタートルズたちが目的意識を持ってチームになる過程を描いていて、さほど難しい展開にはなっていません
それでも、キャラクターの数が多すぎて把握しきれない感じになっていて、名前とキャラを一致させるのが大変という感じになっています
映像としては凄いことをしている感じはするのですが、個人的には受け付けない感じでしたねえ
なので、ハマる人にはハマるけど、ダメな人は予告すら見返したくないという感じに二極化しそうな気がしました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
15年前の事件を機に、偶然ミュータントとなった彼らを描いていくのですが、科学者の暗躍とミュータント王国を作ろうとするスーパーフライの間に挟まっているという感じでしょうか
スーパーフライたちと会って、自分たち以外にもたくさんのミュータントがいることに仲間意識が生まれるのですが、彼の陰謀はとてつもなくて、それを止める(ていうか内紛?)になっていきます
そして、偶然巨大化することになったスーパーフライと戦うことになるのですが、その戦いの一部を切り取って、タートルズも暴れているという短絡的な報道が起こるのは微妙な感じになっています
エイプリルが乱入して、ゲロを吐きながら真実を訴えるのですが、それが伝わるのも無茶な展開になっていましたね
最終的にタートルズの活躍によって町は救われるのですが、それで人間サイドの掌返し(とは言っても批判していたのはニュースだけ?)みたいな展開になっていました
ぶっちゃけ、もっとなんとかできなかったのかなあと思いながらも、直視できない映像が多すぎるので、考察のために見返すハードルも高いように思えました
■ヒーローになるためにすべきこと
本作では、思わぬ出来事からミュータントになったタートルズを描き、彼らが街のヒーローになるまでを描いていきます
秘密裏に自警団的な活動をしていて、彼らの根底には優しさと勇敢さというものが宿っていました
それがスプリンターの教育によるものなのかわかりませんが、タートルズたちは健全な方向へ成長したと言えます
彼らの行動は隠密行動から始まり、それは存在認知が危険性をもたらすと考えていたことに由来します
それは、ミュータントという存在に対する社会の懸念を汲み取っている状況になります
それゆえに、ルッキズムと先入観、偏見によって、この事件の報道はアンチ・タートルズ一色になっていました
実際にここまで報道が偏るとは思いませんが、タートルズから見た人間社会というものを端的に表しているとは思います
そのヘイトが渦巻く中、タートルズの本当のところを知るエイプリルは反論し、彼女はトラウマを克服して、真実を告げることになりました
この行動を受けて、タートルズはより強力な意志のもと、敵を打ち破ることに成功します
結果として、タートルズが街を救ったという事実が生まれますが、その前段階でも、彼らを理解する人たちが手助けをしていました
報道に左右されない人もいれば、報道によって目覚める人もいるという感じになっていて、わかりやすい展開になっていましたね
このあたりは「子ども向け」であることを意識した内容になっていましたが、少年漫画的な胸熱展開になっていたように思えました
■勝手にスクリプトドクター
本作は、わかりやすい正義のヒーロー誕生譚なのですが、個人的にはビジュアルが合わなかったので評価軸はズレていると思います
それでも、シナリオ上で少し気になるところがあったので、それらをまとめておきたいと思います
映画は、謎の液体によってミュータント化したタートルズを描いていて、それは偶発的な出来事になっていました
その背景にて、ニューヨーク中でミュータント化する現象が人がっていましたが、下水道に落ちたのが一本のシリンジだったので、どうやって波及したのかはよくわかりません
もう少しわかりやすく、その液体が下水管の中で破裂して、それがニューヨーク中に拡散されたと描いても良かったように思います
タートルズはいつの間にか成長し、いつの間にか隠密行動をしているのですが、その行動に至った背景がすっ飛ばされていたのは気になりました
スプリンターの育て方が良かったで補完していますが、能力を得た人が必ずしも善行を行うとは限らないので、自警団的に動いていく理由は欲しかったように思います
彼らがルッキズムに悩んでいるのか、喋るカメが人間社会に受け入れられないと考えているのかはわかりませんが、人間との交流を避けているのに役に立とうと考えています
このあたりの心理とか論理展開が描かれないので、どうして彼らは人間社会に認められタがるのだろうと思っていました
タートルズたちの人間に対する感情はフラットなものになっていますが、状況を考えてもヘイト側になってもおかしくないのですね
ノラネズミであるスプリンターも人間社会を好意的に考えているというのは説得力が弱く、それゆえに彼らがどうしてこのマインドを持ち続けているのかは気になっていました
むしろ、スーパーフライが社会の転覆を狙っているという方が理解できて、それを止めようとするタートルズたちの説得力の方が無いように見えるのですね
正義の執行というわかりやすさはあるものの、突然変異の研究者を含めて、タートルズたらしめている人間には善人がいないので、余計に際立っていたように思います
また、タートルズを理解している立場であるエイプリルですが、彼女の根幹にあるのは真実の追求の方なので、タートルズを救おうというマインドよりも優先されているものがあります
このあたりがうまく組み合った結果になっていますが、エイプリルがタートルズを理解する経緯が、自転車泥棒を捕まえただけというのは、なんとなく短絡的なようにも思えてしまいました
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、これまでに何度も作られたタートルズ作品のリブートで、新しさと言えば「アメコミっぽい絵が動く」という、『スパイダーバース』から派生した表現方法になると思います
エピソード0という感じになっていて、今後も彼らの活躍をリブートしていくことになると思いますが、問題はそのビジュアルのリアルさであると感じました
私の場合は虫系がダメなので、タートルズはOKでも、スーパーフライとかスカムバグは受け付けない感じでしたね
そもそもがニューヨークの地下の下水管あたりがホームになっていて、スプリンターも綺麗なビジュアルではありません
このあたりをルッキズムと言ってしまうのはアレですが、生理的に無理なものは無理だろうと思ってしまいます
ビジュアライズのムービングとしては画期的なものがあるのですが、もう少し綺麗なものにできなかったのか、というところは気になるところですね
ストーリー自体は粗があっても面白いのですが、それをこの絵で見たかったか?と言われればNOという感じになってしまいます
このあたりは製作陣とか、美術スタッフの趣味の問題だと思うのですが、一部の動物や昆虫などを含む生理的嫌悪と戦う意味はあまり無いように感じてしまいます
本作の場合は、キャラクターのルッキズムだけでなく、ヒロインにあたるエイプリルの描写も可愛い女の子には見えず、ポリコレに配慮しまくったような造形になっていて、さらにゲロ吐きまくるキャラとして、かなり扱いがひどいように思えます
ヒーローの補佐的な立ち位置のキャラも汚れ役で、メンター的なスプリンターも汚れ役になっていて、その相乗効果が凄まじい感じになっていますね
このあたりは意図的なのだと思いますが、果たしてこのビジュアルで副産物的なグッズなどが売れるのかは何とも言えません
タートルズは比較的マシなビジュアルなのでフィギュアを欲しがる層はいるかもしれませんが、他のキャラが飛ぶように売れるというのは考えにくいように思えました
このあたりはメディアミックスの意識の違いなのかな、と思ってしまいますね
それとも北米では絶大な人気を誇るビジュアル嗜好なのでしょうか
う〜ん、このあたりは感性の違いでまとめて良いのかは悩んでしまうところですね