■メタ的なネタを控えめにして、もっと郷土ネタで振り切った方が統一性が持てたと思います


■オススメ度

 

壮大な茶番劇が好きな人(★★★)

関西圏在住の人(★★★★)

北関東在住の人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.11.24(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2023年、日本、116分、G

ジャンル:埼玉の地方都市を団結させる旅に出る埼玉解放戦線を描いたコメディ映画

 

監督:武内秀樹

脚本:徳永友一

原作:魔夜峰央『翔んで埼玉』

 

キャスト:

二階堂ふみ(壇ノ浦百美:白鵬堂学院の生徒会長)

GACKT(麻実麗:アメリカ帰りの白鵬堂の生徒、埼玉解放戦線)

  (幼少期:L.shu

 

【埼玉関連】

加藤諒(下川信男:埼玉解放戦線の線員)

益若つばさ(おかよ:麗の家の家政婦)

戸塚純貴(野球部員)

かじまる(野球部副キャプテン)

矢柴俊博(大宮支部代表)

西郷豊(浦和支部代表)

山田菜子(松本うめ:埼玉解放戦線)

 

水野智則(与野支部長)

廻飛呂男(深谷支部長)

沖田裕樹(川口市支部長)

佐野泰臣(上尾支部長)

西岡ゆん(熊谷支部長)

川口直人(川越支部長)

 

【千葉関連】

小沢真珠(浜野サザエ:千葉解放戦線のメンバー)

中原翔子(浜野アワビ:千葉解放戦線のメンバー)

 

【滋賀関連】

(桔梗魁:滋賀解放戦線のリーダー)

堀田真由(近江美湖:滋賀解放戦線のスパイ)

くっきー!(近江晴樹:美湖の兄)

高橋メアリージュン(滋賀のジャンヌダルク、初代リーダー)

津田篤宏(滋賀解放戦線の線員)

桜井凜(琵琶湖周航の先生)

 

【大阪・京都・兵庫関連】

片岡愛之助(嘉祥寺晃:大阪府知事)

ハイヒールモモコ(元大阪府知事、嘉祥寺の母)

川崎麻世(京都市長、神戸市長の不倫相手)

藤原紀香(神戸市長、嘉祥寺の妻)

 

井本涼大(筒井:嘉祥寺晃の側近の黒子)

太田芳伸(嘉祥寺晃の側近の黒子)

 

山村紅葉(京都の女将)

本多力(京都・山科の男、料亭の客)

川上千尋(虎姫さま)

氏神一番(京都の橋の上の「御用だ」男)

 

竹原芳子(甲子園の地下工場長)

ゆりやんレトリィヴァ(粉物工場の踊り子)

Akane(粉物工場の踊り子)

 

【和歌山関連】

天童よしみ(和歌山の姫君の本当の姿)

トミコクレア(姿を変えられた和歌山の姫君)

 

【在来線関連】

山中崇史(JR埼京線代表)

ゴルゴ松本(JR京浜東北線代表)

杉山裕之(西武新宿線代表)

谷田部俊(西武池袋線代表)

デビット伊東(東武東上線代表)

はなわ(東武伊勢崎線代表)

 

【現代パート】

和久井映美(内田直子:智治の妻)

アキラ100%(内田智治:市役所職員)

朝日奈央(若月依希:直子の娘)

瀬戸康史(若月健太:依希の夫)

 

村田雄治(埼玉県の知事)

菊池麻衣子(与野出身の妻)

くわばたりえ(埼玉に来る大阪のおばちゃん)

ニクまろ(綱引きの選手:浦和)

ノッチ(綱引きの選手:大宮)

水内猛(綱引きの選手:浦和)

塚本泰史(綱引きの選手:大宮)

森昭一郎(綱引きの実況)

 

【その他】

魔夜峰央(ステーリーテラー)

山田眞央(バレエダンサー)

山田芳実(バレエダンサー)

山田眞里江(バレエダンサー)

 

ミルクボーイ(内海崇&駒場孝:エンドロールの芸人)

 

京本政樹(埼玉デューク:伝説の埼玉県人)

中尾彬(東京都知事)

北村一輝(阪流ドラマの俳優)

山本高広(完治:CMの俳優、「大阪ラブストーリー」の番宣)

坂下千里子(CMの女優、完治の相手役)

 

菅田将暉(出身地対決)

西川貴教(出身地対決)

戸田恵梨香(出身地対決)

北川景子(出身地対決)

加護亜依(出身地対決)

せんとくん(出身地対決)

明石家さんま(出身地対決)

 


■映画の舞台

 

日本各地

埼玉(熊谷、川越、行田)

滋賀(大津、野洲、彦根城)

大阪

京都(祇園)

兵庫(甲子園)

和歌山(白浜)

奈良

 

ロケ地:

埼玉県:越谷市

しらこばと水上公園

https://maps.app.goo.gl/jNTgAR8hnFTFkmt89?g_st=ic

 

埼玉県:行田市

古代蓮の里

https://maps.app.goo.gl/FSayKeRPfSkgZu5b6?g_st=ic

 

さきたま古墳公園

https://maps.app.goo.gl/bF8jjzeKwLC971bi9?g_st=ic

 

行田タワー

https://maps.app.goo.gl/FEaV6mkE2kvtkAvb6?g_st=ic

 

滋賀県:彦根市

彦根城

https://maps.app.goo.gl/TXMKam59nLPs4DFF8?g_st=ic

 

滋賀県:高島市

マキノサニービーチ高木浜オートキャンプ場

https://maps.app.goo.gl/RDReDPu5gke2qb316?g_st=ic

 

滋賀県:大津市

瀬田川洗堰

https://maps.app.goo.gl/wK1f8gYV4yXE3vKk7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

前作にて、関東圏の通行手形の廃止に成功した麻実麗と壇之浦百美は、埼玉の横のつながりを作るために、「武蔵野線」の開通を考えていた

だが、在京線のメンバーは乗り気ではなく、そこで麗は「埼玉に海を作る」と宣言する

そして、そのために和歌山の白浜にある白い砂を手に入れようと考えていた

 

麗は埼玉解放戦線のメンバーを募って船で和歌山を目指し、百美は埼玉に残って在京線メンバーの説得を続けることになった

麗の乗った船は嵐に巻き込まれ、気づいた時には白浜に漂着していたが、他の仲間たちとははぐれてしまう

 

そして、彼を助けたのは、滋賀解放戦線の桔梗魁で、彼は近畿圏が大阪・京都・神戸に牛耳られているという

そこで麗は、桔梗とともに大阪の悪巧みを阻止すべく力を貸すことになったのである

 

テーマ:郷土愛

裏テーマ:メタ構造の笑の功罪

 


■ひとこと感想

 

前作『翔んで埼玉』でも笑わせてもらいましたが、今回は関西が舞台なので見逃すわけにはいきません

ご当地ネタにメタ構造が入り混じっていましたが、ネタありきで物語を作った感がありましたね

 

埼玉は一応出てきますが、ほとんど関西の話になっていましたね

とは言え、滋賀を大阪がディスるというのはちょっと違う感じに思えました

オーバーアクトがちょうど良い感じですが、埼玉県民が楽しめたのかは何とも言えない内容だったように思えます

 

とびたくんネタには笑いましたが、伏線回収にもなっていましたね

大阪の粉物がヤバいものとして登場していますが、なんとなくその効果がありそうに思えます

 

映画は、ネタ構造になっていて、奇しくも阪神優勝が奇跡のコラボになっていたのは笑ってしまいました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

ネタバレと言えばタワー関連だと思いますが、さすがにその存在は知りませんでした

大阪側は読めたのですが、咲洲タワーでは力不足な感じになっています

甲子園がしれっと「大阪甲子園球場」になっていましたね

 

映画では、埼玉をひとつにまとめるために麗が動くのですが、そのルーツが明かされる内容になっています

埼玉と滋賀の共闘によって、大阪・京都・神戸と戦うのですが、奈良&和歌山はほぼ空気になっていましたね

 

物語としては、あってないような感じで、土地の距離感も無茶苦茶な感じになっています

埼玉である理由がほとんどありませんが、なんとか無理やり結びつけていたように思います

苦肉の策ではありますが、なんとか繋がっているようには思えますね

 


ご当地ネタと郷土愛

 

前作『翔んで埼玉』でも、埼玉ご当地ネタをぶっ込んできたように、今回はその範囲を関西に広げることになっています

一応、埼玉ネタで始まり、埼玉ネタで終わるのですが、東西ともなると範囲が広すぎて収拾していないように思えてきます

北関東関連は地元がわかっても、それが関西圏の話になると細かなところはわからないのですが、前作の場合は「全国的に有名な北関東の扱い」になっていたので、全国的にウケたのだと思います

 

「ださいたま」に代表されるような、深夜番組で扱われるようなネタを盛り込んでいますが、それをお国自慢にするか自虐にするかという感じになっていて、本作の場合は「自虐」の方が多いような印象があります

それぞれの県民性によって、その自虐の質も違うのですが、洒落にならないところもあれば、なんでもネタになる場所というのもあります

今回の場合だと、大阪は全開、奈良はスルー、滋賀は局地的、京都も印象論、神戸は飾りのような感じになっていました(あくまでも個人的な印象です)

 

これらのネタを笑えるかどうかは、その土地のことを知っていないとダメなのですが、マイナーな県になるほど扱いづらくなってきます

なので、今後の展開としても「全国的に有名なやつ」に限ってくるので、かなり限定的なものになってくるでしょう

今回は比較的メジャーな関西圏でしたが、三番煎じが通用するかは微妙な感じになってきたように思えてきますね

 

これらの事象は、郷土愛とセットになっていることが必要で、ただその土地を笑いものにすれば良いというわけではありません

その土地の人が自認してネタにしていることを扱うしかなく、ガチでキレる案件には手を出せません

そういったものは長い歴史と利権に結びついて、ややこしい人の相手をしなくてはいけないので、深掘りできない案件になっていると思います

京都ではサラッと流していましたが、深掘りすると事故が起こるので、その匙加減は難しいと言えるでしょう(詳しくは書きませんが)

 


勝手にスクリプトドクター

 

本作は、そこそこ楽しめるのですが、ネタの力に頼りすぎていて、肝心の物語がおざなりになっていました

話の骨子は「埼玉の横のつながりを作る」というものですが、それを果たすために関西に来ても、何も得ていないのと同じなのですね

なので、関西の横の繋がり(県を跨いでいるもの)との比較と、その反面教師的なものを教訓に盛り込まなければならないと感じました

 

映画では、大阪府と京都市と神戸市が関西を牛耳っているという設定で、京都市以外と神戸市以外にはふれられていません

大阪は府知事が登場するのですが、これは「市長」にした方が良かったように思います

関西圏は「県を跨いで主要都市が結託している」という構図にすることで、「県民性」というものを否定していると表現するのですね

これが「埼玉の横の繋がり」との対比になるので、より県民性というものの団結力を描くことになります

 

関西の主要都市による蹂躙の実態を埼玉に置き換えることで、埼玉県内の問題とリンクすることになります

それは埼玉の主要都市が東京との結びつきを強くすることで、その他の市の扱いが酷くなることを意味するので、なおのこと「武蔵野線エリア」としての地域性の確立が必要性を増してきます

これは、埼玉県内の他の市に対する牽制みたいなものになっていて、その是非を問うという流れになってくると言えるでしょう

 

これらの構成以外にも残念な点はあって、それは百美がほとんど活躍しないシナリオになっていることですね

埼玉のどこかにいるだけでは意味がなく、行田タワーに向かって、そこで何らかのアクションをさせるべきだったと思います

在京線代表に呼びかけるだけというのでは、いてもいなくても良いキャラになってしまうのですね

また、行田タワーについて百美が知らないという展開も微妙で、窮地になった麗を救うのが百美という構図の方が良いと思うので、そのひらめきは百美だった方が良かったのではないでしょうか

 

映画は、メタ的なネタをぶっ込み過ぎていて、例えば「藤原紀香と片岡愛之助」などのように、地域性度外視のネタをぶっ込んできています

このあたりは芸能ニュースに詳しい人が笑えるネタではありますが、そのあたりのメタ的なものは「ご当地出身者対決」のあたりで収めるべきでしょう

このあたりの悪ノリが微妙な感じになっていて、本当にネタを拾い上げるだけの作業シナリオになっているのが残念だったように思いました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

個人的には大阪生まれの大阪育ち、成人になってから京都人という人間なので、関西圏のネタはほぼ100%わかっていました

比叡山ネタも映画ブログでロケ地を調べるときに気づいていて、それをぶっ込んで来るのはセンスあるなあと思いました

あとは湖西線のネタ(比叡下ろしで結構止まっている)、「とびだしとび太」のネタも良かったですね

滋賀の主要幹線から逸れた地域だと、本当にたくさんのとび太くんに遭遇するのですが、夜になると本当に人が飛び出してくるように見えて怖かったりします

 

滋賀県の野洲に関しても、JR京都線(京都より滋賀方面は琵琶湖線)に乗っている人ならば「新快速の終点」というイメージがある割には降りたことがない人が多いというところがツボでしたね

これを近江八幡や彦根にすると「京都線・神戸線エリア」ではわからなくて、草津や瀬田、石山あたりにしてしまうとイメージが残っていたりします

なので、野洲というチョイスになっているのは、絶妙だなあと思いました

 

大阪の中のネタに関しても、甲子園の地下という絶妙なところになっていて、元大阪球場の地下(今はなんばパークス)とかマイナーではないところに、チャーリーのチョコレート工場を持ってくるのは反則に近いと思います

京都語翻訳機はかなりマイルドな感じになっていますが、もっとどぎつくても良かったかもしれませんね

全国的に有名な「ぶぶ漬け」を使うのもありで、実際のぶぶ漬けを見たことがない人が多いので、実写で登場させた方がインパクトがあったかもしれません

ちなみに「ぶぶ漬け」とはお茶漬けのことなのですが、本来の意味は「帰れ」ではなくて、「楽しい時間のまま帰りましょう」という意味があったりします

山村紅葉がいうと「帰れ」の意味が強調されますが、別の役者にも同じことを言わせて、「楽しい時間を過ごされましたね」と翻訳させても良かったと思います

これによって、京都人は何を考えているかわからないが強調されて、さらに奥行きがあるように思えました

 

本作は、かなり細かなところまで知識が必要になってくると思うので、「映画読本」などで「すべてのネタの解説」を入れても良いかもしれません

書けることと書けないことがあると思いますが、そこを攻め込んでこそかな、と思いました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

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公式HP:

https://www.tondesaitama.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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