■音の再現に全勢力を捧げても、映画としての価値が上がるわけではなかったりする


■オススメ度

 

ホイットニー・ヒューストンの楽曲が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2022.12.23(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:Whitney Houston:I Wanna Dance with Somebody

情報:2022年、アメリカ、144分、PG12

ジャンル:若くして他界したホイットニー・ヒューストンの人生を描いた伝記的音楽映画

 

監督:ケイシー・レイモンズ

脚本:アンソニー・マッカーテン

 

キャスト:

ナオミ・アッキー/Naomi Ackie(ニッピー/ホイットニー・ヒューストン/Whitney Houston:歌手である母に育てられた国民的シンガー)

スタンリー・トゥッチ/Stanley Tucciクライヴ・デイヴィス/Clive Davis:ホイットニーをメジャーに押し上げた音楽プロデューサー)

 

ナフェッサ・ウィリアムズ/Nafessa Williams(ロビン・クロフォード/Robyn Crawford:ホイットニーの友人、アシスタント)

 

クラーク・ピーターズ/Clarke Petersジョン・ヒューストン/John Houston:ホイットニーの父、娘のマネージメント会社を設立する)

タマラ・チュニー/Tamara Tunieシシー・ヒューストン/Cissy Houston:ホイットニーの母、高明なゴスペルシンガー)

 

アシュトン・サンダース/Ashton Sandersボビー・ブラウン/Bobby Brown:ホイットニーの夫、R&Bの著名なシンガー)

Bria Danielle Singletonボビー・クリスティーナ・ブラウン/Bobbi Kristina Brown:ホイットニーとボビーの娘

 (8歳から10歳時:Bailee Lopes

 

Daniel Washington(ゲイリー・ヒューストン/Gary Houston:ホイットニーの異母兄)

Kris Sidberry(パット・ヒューストン/Pat Houston:ゲイリーの妻、ホイットニーの義姉)

JaQuan Malik Jones(マイケル・ヒューストン/Michael Houston:ホイットニーの兄)

 

Lance A.Williams(ジェリー・グリフィス/Gerry Griffith:アリスタレコードのA&R担当、クライヴにホイットニーを紹介する男)

 

Dave HeardRickey Minor:ベーシスト)

Isaiah K. Carter(コンサートのドラマー)

Evonne Archer(コンサートのキーボード奏者)

 

Jaison Hunterジャーメイン・ジャクソン/Jermaine Jackson:マイケル・ジャクソンの兄、デュエットソングを発売)

Lynn Legerアニタ・ベーカー/Anita BakerR&Bシンガー)

 

Jennifer Ellis(リサ・ヒンテルマン:ロビンのパートナー)

 

Luke Crory(2回もペンを持っていかれるファンの男性)

Brett Kline(余計なことを叫ぶパパラッチのおっさん)

Brandon G. Green(ラジオのDJ、R&B番組のパーソナリティ)

 


■映画の舞台

 

アメリカ:

ニュージャージー州ニューアーク(生家)

https://maps.app.goo.gl/L5viXXDVHd3639xj8?g_st=ic

 

フロリダ州タンパ(スーパーボウル国歌斉唱)

https://maps.app.goo.gl/LJoNK7ub3Gq74ptH8?g_st=ic

 

ロケ地:

アメリカ:マサチューセッツ州

Arlington/アーリントン

https://maps.app.goo.gl/CJBuSYiAd7Eixn9d8?g_st=ic

 

Worcester/ウースター地域空港

ウースター・リージョナル・エアポートhttps://maps.app.goo.gl/brSpiCSY1PNcuCgw7?g_st=ic

 

Wang Theater/ワン・シアター

https://maps.app.goo.gl/7DYAHhLCwrxaPmNH7?g_st=ic

 

Cutler Majestic Theatre/カトラー・マジェスティックシアター

https://maps.app.goo.gl/rFU4TyqzCxvMMdZF8?g_st=ic

 

Gillette Stadium/ジレット・スタジアム

https://maps.app.goo.gl/GnT5iKsSbpxBpcxa7?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

国民的シンガー・シシーの娘として、バックコーラスを務めていたニッピーことホイットニー・ヒューストンは、ある日のライブでアリスタ・レコードの音楽プロデューサーであるクレイヴ・デイヴィスの目に留まり、メジャーデビューを果たすことになった

みるみるうちに成功を収めるホイットニーだったが、プライベートでは同性愛者であることを隠し、恋人のロビン・クロフォードとの距離を計らなければならなかった

 

父ジョンは「嘘でもいいから男と写真を撮られろ」と言い、ロビンをアシスタントにしたいホイットニーと対立していく

それでもホイットニーは我を通し、「家の主人は私だ」と強がる

だが、そんなホイットニーも「家族が欲しい」という願望があり、あるコンサートで出会ったR&Bシンガーのボビー・ブラウンと恋仲になっていく

ロビンは裏切りだと責め立てるものの「家族が欲しい」という彼女に何も言えず、父は「悪魔と手を切れ」とエスカレートしていく

 

そんな中、ストレスを抱えたホイットニーはドラッグに溺れるようになり、コンサートでは高音が出ずに、プライベートでも挙動がおかしくなってしまうのであった

 

テーマ:憧れと呪縛

裏テーマ:ボス

 


■ひとこと感想

 

ホイットニー・ヒューストンと言えば「エンダー(And I)」の人ぐらいの印象で、曲は知っているけどプライベートは知らないというレベルの知識でした

そもそも洋楽をほとんど聴かず、映画にまつわるものだけ知っているという感じでしたね

なので、「死んでたんっすか!」という驚きが、数年遅れでやってまいりました

たぶんニュースで流れていたと思うのですが、ほとんど記憶にありません

 

映画はホイットニーの予後を知っていると、ほとんど追悼番組に近い印象を持つと思います

知らない人でも、「これ、あかんやつや感」は結構突き抜けていたので、ラストテロップで「やはり」と思った人が多かったかもしれません

 

テーマとしてわかりやすいのは「アメリカの恋人としての重圧」でしたが、その裏側では「家庭内主権争い」みたいなところがありました

娘を使って私欲を貪る父も大概ですが、プロポーズの後に元カノ妊娠話もあり得ないですよね

あの流れで結婚までしてしまうホイットニーの心理はよくわかりませんでした

 

レズ描写もほとんどなく、今と違って「悪魔呼ばわり」だったり、「地獄に行くから縁を切れ」というセリフがあったりと、表現が直接的だったところが印象的でしたね

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

スターはとにかくドラッグまみれという感じで、劇中でも「あなたが絶賛したステージのいくつかはドラッグのおかげ」という衝撃の発言がありましたね

本当に言ってたとしたらすごい事だなと思ってしまいます

 

映画は登場人物が多い映画ですが、ほとんどファミリー映画(異母兄はサラッとだけ)というわかりやすさがありました

父と母、本人とロビン、そしてアリシアレコードと各コンサートのプロデューサーというところがクローズアップされています

 

キャリアを考えるともっとたくさんの人が登場しそうでしたが、ケヴィン・コスナーと聞いて捨てたシナリオを即拾うところは笑ってしまいました

前半は素人っぽさがあって、有名司会者にビビっていても、後半にはホストと対等になっているし、ラジオでは言い返したりと、いろんな意味で成長していました

 

この規模でパンフレットがなかったのは不思議でしたが、サントラも全部本人歌唱なので、ファンの人ほど嫌な部分を見せられるだけの再現VTRになっていて、あんまり観たい作品ではないのかなと思います

でも、アテレコとは言え、歌っているように見える演技は良かったですし、相当研究したんだなあと思いました

 


ホイットニーあれこれ

 

ホイットニー・ヒューストン(Whitney Elizabeth Houston)は、1963年生まれで、アメリカのニュージャージー州のニューアークで生まれ育ちました

父はジョン、母はゴスペルシンガーとして有名なシシーで、母親のバックコーラスを主に手伝っていました

1981年、18歳の時に彼女はモデルとしてスカウトされ、『Seventeen』誌に最初に掲載された黒人女性の1人とされています

その翌年、アリスタ・レコードの会長だったクレイヴ・デイヴィスの指導を受け、レーベルと契約を果たします

 

デビュー後に発売された2枚のアルバムはビルボード200にて最高位を記録し、最も売れたアルバムの一つとなっています

1992年には『ボディガード』にて女優デビューを果たし、その劇中歌でもある「I Will Always Love You」にてグラミー賞を受賞することになりました

その楽曲が含まれた「The Bodyguard」はグラミー賞の「Of The Year」にも選出されています

 

プライベートでは、実兄マイケルがソングライター、異母兄のゲイリーがいて、映画では出てきませんが、ジョンという異母兄弟もいるとのこと

また、映画の冒頭でサラッとふれられている通り、ゴスペルシンガーのアレサ・フランクリンはシシーの友人で、ホイットニーの名付け親となっています

ミドルネームの「エリザベス」は洗礼名で、ロビン・クロフォードからツッコまれていましたね

 

そのロビンとは1980年に出会い、2人はイーストオレンジのユースサマーキャンプにてカウンセラーとして働いていました

ホイットニー曰く、「ロビンは一度も持てなかった姉妹だった」という言葉を遺しています

その後、2人はルームメイトになり、アシスタントとして働くようになりました

1987年頃に噂になって、タイム誌のインタビューでそれを否定していました

でも、2019年のホイットニー死後7年後には、ロビン自身が初期の交際には性行為があったと暴露しています

でも、その行為は、ホイットニーがレコーディング契約を行う前には止めていたとされています

 

ホイットニーがクレイヴ・デイヴィスと出会うきっかけになったのがジェリー・グリフィンで、彼はアリスタ・レコードのA&R担当者でした

ジェリーはニューヨークのナイトクラブにて、母親と一緒に歌っているのを目撃します

その後の契約、活躍などは語るに及ばずという感じで、映画では主に「AMAアワード」「スタジアム国歌斉唱」「ボディガードのアカペラ」などの超有名シーンがピックアップされています

楽曲に関しては40曲ほど登場しますが、その全てがこれまでの音源をミックスしたもので、「ボディガードのアカペラ」も数ある素材から作り上げたとされています

 


プレイリスト(YouTube拾い集め)

 

【I Wanna Dance with Somebody (Who Loves Me)】

【Don’t Cry for Me】

 

【Higher Love】

【The Greatest Love of All】

 

【I’m Every Woman】

 

【How Will I Know】

 

【I Love the Lord】

 

【Honest】

Okay】

 

【You’ll Never Stand Alone】

 

【Love Will Save the Day】

 

【Tomorrow】

 

【You Give Good Love】

 

【Saving All My Love for You】

If You Say My Eyes Are Beautiful】

https://youtu.be/LlnQvtYkeE8

 

【Far Enough】

 

【So Emotional】

 

【Where Do Broken Hearts Go】

 

【I’m Your Baby Tonight】

 

【The Star Spangled Banner】

 

【One Moment in Time】

 

【I Will Always Love You】

 

【Run to You】

 

【Impossible Things】

 

【Why Does It Hurt So Bad】

 

【My Love Is Your Love】

【I Didn’t Know My Own Strength】

 

【Clive’s Message】

 

【Don’t Cry for Me】

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

日本人的には「エンダ〜」のイメージが強くて、歌の上手い人なら一度は通る登竜門のような楽曲になっています

無論、めちゃくちゃ難しい楽曲で、「エンダ〜」を綺麗な高音でロングトーンを乗せられる人はあまりいません

映画では、口パク採用ということで、全ての楽曲がオリジナルをミックスしたものが使用されています

 

音楽伝記映画の多くは、そっくりさん起用が原則でもなく、声が似ているとかも原則ではありません

よくよく見れば全然違うけど、映画の中でだけはその人に見えるということが多々あります

『ボヘミアン・ラプソディ』『ロケットマン』などのように、歌唱シーンもトライするという風潮は、映画の評価を底上げしていきます

 

本作では、それは無理だろうということで、ミックス音源を利用していて、それはそれで革命的なことだと思います

でも、そうだとしたら、せめてビジュアルを似せておかないと、映画としての価値は上がりようがありません

なんとなくホイットニーに見えないことはないですが、「なんとなく」の域を出ていないのですね

また、ナオミ・アッキーさんがイギリスの女優さんということで、アメリカ国内では相当な反発が起こっていました

 

映画のどこをこだわるかという点において、本作では「音源リミックス」にフォーカスしているのですが、これを映画でやる必要性はあまり感じません

今では「ホログラム」で再現されたホイットニーなどがいて、そのホログラムに合わせるのなら、技術的な革命が起こっていることを身近に感じることができるでしょう

「ホイットニーの絵本」と呼ばれる本作ですが、彼女の自伝のダイジェストとしての価値はあっても、ホイットニーの人生の何を表現したかというところにあまり重きを置いていません

率直な感想としては、デビューから死去までをなぞっただけになっていて、結局は「ドラッグに負けたアーティスト」というイメージを強めただけでした

音源としては素晴らしいと思うので、音源を高クオリティで聴くというのが一番のコンテンツとしての楽しみ方なのかなと思ってしまいました

 


■関連リンク

Yahoo!映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/384287/review/4f4e9308-f6cc-434e-a6d2-fd3f9e3c09b6/

 

公式HP:

https://www.whitney-movie.jp/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA