■駄菓子が見せてくれるのは、今の自分と夢との間の乖離の質のように思えますね
Contents
■オススメ度
原作漫画が好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.12.13(イオンシネマ久御山)
■映画情報
情報:2024年、日本、104分、G
ジャンル:ふしぎな駄菓子に魅了された人々の顛末を描いたヒューマンドラマ
監督:中田秀夫
脚本:吉田玲子
原作:廣嶋玲子(作)& jyajya(絵)
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キャスト:
天海祐希(紅子:ふしぎな駄菓子を売る「」銭天堂の店主)
カール(墨丸:紅子が飼っている黒猫)
大橋和也(等々力小太郎:小学校の新米教師)
(幼少期:黒木将盛)
伊原六花(相田陽子:小太郎の想い人、ファッション誌「エレガンス」の編集者)
山本未來(浅井真美子:「エレガンス」の編集長)
渡邊圭祐(本郷隼人:「エレガンス」の編集部員、陽子の先輩)
荒井玲良(吉野由美:編集部員)
鮎川桃果(ミドリ:編集部員)
平澤宏々路(等々力まどか:小太郎の妹、美術予備校生)
(幼少期:清水悠乃)
田中里衣(等々力紀子:小太郎の母)
竹森千人(小太郎の父)
伊礼姫奈(如月百合子:まどかの友人、美大予備校生)
白山乃愛(大野藍花:小太郎の生徒、ものまねタレント志望)
番家天嵩(水野雄太:小太郎の生徒、テストで良い点を取りたい)
今濱夕輝乃(氷室こずえ:小太郎の生徒、同級生から告白される生徒)
菊池爽(尾谷龍介:モテモテになりたい男子)
宝辺花帆美(小柴琴音:小太郎の生徒)
浅井菜望(柊めぐみ:龍介に気がある生徒)
斉藤應之介(東雲慎吾:小太郎の生徒)
じろう(有馬みつお:小太郎の同僚教師)
上白石萌音(よどみ:たたりめ堂の店主)
(不幸虫:よどみが集める虫)
【金色の招き猫たち】
(ここ:「インココイン」から生まれた招き猫)
(きゃらめる:キャラメル担当)
(こがね:菓子工房の工房長)
(かき:フルーツ担当)
(しらたま:こがねの右腕)
(しらたま:こがねの右腕)
(むぎ:クッキー&パン担当)
(ぱこ:箱のデザイン担当)
(しゅがー:砂糖担当)
(くり:フルーツ栽培担当)
(にっき:スパイス担当)
(れもん:ママレード担当)
(もも:缶詰担当)
【その他】
ユースケ&津田篤宏(CM出演者)
サキュヴァス(?)
春沢幸花(?)
小橋めぐみ(雄太の母)
大村彩子(沢口京子:予備校の先生)
早瀬マミ(小学校の先生?)
三浦萌(カフェの客?)
吉田芽吹(カフェの客?)
武上陽奈(松下英子:外国語学校の生徒)
心暖(篠田真由美:泳ぎが上手くなる生徒)
宮崎莉里沙(母親思いの女の子)
泉はる(編集部のモデル)
KEITO(編集部のモデル)
中嶋杏里沙(編集部のモデル)
細谷理紗(編集部のモデル)
ALEXA(編集部のモデル)
田迎生成(編集部のモデル)
イワゴウサトシ(カフェの店長)
藍川きあら(カフェ店員)
指出瑞貴(?)
吉田涼哉(引越し業者?)
Damiel Reton(外国語教師)
武田幸史(?)
長尾翼(陸斗:いじめられる小学生)
齋藤潤(いじめっ子)
柳下晃河(いじめっ子)
末次寿樹(晃:いじめっ子)
■映画の舞台
関東近郊のどこかの街
わかば南小学校
ロケ地:
栃木県:宇都宮市
宇都宮オリオン商店街
https://maps.app.goo.gl/ffbHg4Ea26F4tSZ39?g_st=ic
東京都:渋谷区
ブルーレーベル&ブラックレーベル・クレストブリッジ原宿本店
https://maps.app.goo.gl/7P1nEQ6UNa4Z2V7C9?g_st=ic
東京都:中央区
豊岩稲荷神社
https://maps.app.goo.gl/1VLYhu3DNZUnsvYn8?g_st=ic
東京都:世田谷区
Cafe +8101
https://maps.app.goo.gl/PWd5fUPETd2rkmA46?g_st=ic
■簡単なあらすじ
母校にて小学5年生の担任になった小太郎は、大学時代の後輩・相田陽子のことを思い続けていた
久々の再会に色めき立つものの、陽子は仕事のことで悩んでいて、小太郎には何もできなかった
小太郎のクラスでは、ある噂が流れていて、それは路地裏にある秘密の駄菓子屋・銭天堂のことだった
そのお店では、願い事を叶えてくれる駄菓子が売っていて、それによって願いを叶えた生徒がいた
そんな折、陽子は銭天堂へと辿り着き、そこで「おしゃれケフレ」を買うことになった
陽子は編集部の中で実績を上げたいと考えていて、そのためにはもっとセンスを磨かなければならないと考えていた
駄菓子の力を借りた陽子は見違えるようになったものの、さらにそれ以上を求め始めてしまう
陽子は再び銭天堂を探し始めるものの、その路地の先には奇妙な洞窟しかなかった
そして、そこを潜り抜けた先には、たたりめ堂と言う、強烈な欲望を叶える駄菓子を売っている店があったのである
テーマ:きっかけと継続
裏テーマ:利他の願いがもたらすもの
■ひとこと感想
漫画もアニメもまったく見ていなかったのですが、脚本が吉田玲子さんと言うことで気になって参戦
思いっきり子ども向けなんだろうなあと思っていたら、超絶子ども向けの内容になっていました
願いを叶えるけど、そこには裏設定があるみたいなところは、某猫型ロボットが出す道具のようですが、このパターンは鉄板級の設定のように思いました
ほとんどの人が自分本位の願いを叶える中で、それを内側に向けようとする人も現れていきます
さらには、自分ごとではない願いまで登場するのですが、このバランスが絶妙だったように思えました
先払いの銭天堂と後払いのたたりめ堂と言う設定も面白くて、より大きな対価を得られるのが後払いというのは面白いと思います
ほとんど予想通りの展開になっていきますが、だからこそ安心して見られるというところもあるのでしょう
難点なのは演技力の差がありすぎるところで、学芸会に毛が生えたようなシーンも多くて、どうにかならなかったのかなと思ってしまいました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
天海祐希が太ったなあと思っていたら、実は特殊メイクだったというのは笑ってしまいました
役作りなのかなと思いましたが、目鼻立ちがきっちりしすぎていて、何となく違和感のある顔立ちに思えました
夢を叶えるというのはいろんなものがありますが、自分を変えるものもあれば、相手をコントロールするものもありましたね
あっと驚く方法で敵を倒したりするのですが、倒れた瞬間にバラバラになってホラーになるのかなと心配してしまいました
映画は、主人公も使用者だったという鉄板級の展開になりますが、彼の駄菓子の設定だけは他のとは違ってイージーなものになっていました
本人が知らないうちに忘れてしまうというのは若干テイストが違うように思えます
他の人は禁忌を覚え続けていかないとダメなので、転落する可能性は高いのですね
全ての人の禁忌が見られるわけではありませんが、パンフレットに解説されているので、気になる人は購入しても良いと思いますよ
■願いを叶える方法
本作には、自分の夢や願いを叶えたい人たちがたくさん登場します
そんな彼らに「ぴったりの駄菓子を与える」のが銭天堂の役割ですが、現実にはこんな駄菓子屋はありません
なので、道に迷っている人がどうしたら良いのかを具体的に考えていきたいと思います
夢や願いが漠然としている状態だと叶うものも遠回りになってしまいます
それは「脳がはっきりとした目的があると情報を選別しやすくなる」という機能があり、チャンスに気付きやすくなるとされています
そのために「目標設定と可視化」を行うことで、網様体賦活系(RAS=Reticular Activating System)の活性化を促すことができます
これは、脳幹の延髄・橋・中脳あたりにある神経のネットワークで、脳と身体の間で「意識・注意・覚醒」などを調整するフィルター機構の役割を持っています
私たちの脳には毎秒数百ビット以上の感覚情報というものが入ってきますが、それを意識すると処理できません
なので、RASが「今、必要な情報だけを意識に通す」フィルターとして機能することになります
これらは「雑音に無反応でも赤ちゃんの泣き声に反応する」とか、「新しいものを買った時に、他の人が持っているものに意識が向く」などが挙げられます
なので、「目標を紙に書くとチャンスに気付きやすくなる」という効果を促すことにつながっていきます
また、アファメーション(肯定的自己暗示)、ビジョンボード、目標の言語化、書く習慣(ジャーナリング)なども「自己啓発系書籍で紹介されている方法」なので、気になる人はググって見てもよいかな、と思います
この目標が定まると、次に起こす行動としては「行動の細分化と習慣化」となります
最小単位の行動に分解し、それを小さな習慣として初めていき、継続可能な行動を促していきます
さらに、願いを欲求に置き換え、さらに「動機づけ」を行うことによって、自分の願いの本質に近づけるようになります
こう言った思考回路の中には、「自己否定的な信念」にたどり着いたりするのですが、その時には「過去の成功体験や他者の成功例を使って、自己否定的な信念を書き換える」という方法が良いと思います
さらには、「偶然を歓迎する心を持つ(セレンディピティ)」「人との繋がりを大事にする」「チャンスを受け取れる自分でいる」というものがあります
また、精神を集中させるために「肯定的自己暗示」「願掛け」「パワースポットへの参拝」なども効果があるとされています
これらには「心を整える」という効果があり、「不安を鎮める」という意味合いもあります
願いが叶うまでの合理的なステップを理解し、それを自分に落とし込むだけで叶うような感じがしてきますね
何か行動を起こしたい人は、今すぐ始めて見ましょう
■他力本願に至るまで
願いを叶える過程は、「願いの明確化(Vision)」「なぜ叶えたいのかを知る(Why)」「現実とのギャップを把握する」「小さく行動を始める(Step)」「修正しながら続ける(Feedback)」「ご縁・偶然・応援を大切にする(Connection)」というものになります
それでも、うまく行かなくて、他力本願すなわち「Conection」に逃げたくなってしまいます
ちなみに「他力本願」という言葉が仏教用語で「阿弥陀仏の力にすがって救われること(浄土宗)」というもので、現代では「自分では何もしないで、人まかせや運任せにする人」みたいなイメージになっています
人が他力本願に陥ってしまうのは、「願いは自分の力では届かない」「失敗を恐れ、責任を他に置きたい」「無力感」「願いに対する世間的風潮に対する偏見」「願っている時点で他力を想定している」というものがあります
この「他力依存にならない」ために大切なのは、「自分でできる部分」と「任せる部分」に分け、「自力本願+他力協力」という考え方をすることでしょう
また、他力は使うものではなく、「感謝する」という視点を持つことでしょう
さらには、行動を止めて祈るのではなく、行動しながら心で祈るというスタンスが良いと思います
他力本願自体が悪いことではなく、「全部を他力に任せて、自分は止まってしまう状態」が最悪なのだと思います
なので、人事を尽くして天命を待つというように、「やるべきことをやって、他力の力で後押ししてもらうこと」が重要なのかなと思いました
願いが叶うどうかはタイミングだと思いますが、叶わないのは「まだその時ではなく、最大限の恩恵を受ける時ではない」という神様のギフトのように考えれば良いのではないでしょうか
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作には、様々な願いを持った人が登場し、紅子がいろんな駄菓子を与えていきました
その傍で、よどみは企みをしていたということになるのですが、この両者が対立するものという構図になっていました
でも、実際には紅子なくしてよどみの企みというものはかなわなかったりします
それを突っ込むのは野暮な話ですが、よどみは「願う人が正しく駄菓子を使用しない」という前提で生まれている存在のように思えます
そんな中で、実は駄菓子を食べていたのが主人公の小太郎なのですが、彼だけは「いつの間にか食べたことを忘れる」という設定になっていました
他の人の注意書きは「死ぬまで忘れるな」という感じなのですが、小太郎にだけは甘いのですね
これらはお話の都合上の設定だと思いますが、他の人も満足したら「駄菓子の存在を忘れる」のでしょう
でも、使うことによって、どんどん強欲になってしまい、それが忘却をさせないということになっているようにも思えます
映画は、完全に子ども向けなので、ラフに作っていると思いますが、「誘惑」を自分の力だと思い違えることが最大の罠のように思います
願いを明確化するという部分で、あまり明確なビジョンが湧かないとしたら、駄菓子によって「一つ目の成功体験を得る」という意味はあります
問題は、その後に連続使用するか、「夢と現実の間で足りないものを自覚するか」というところなのでしょう
それができれば、いずれは駄菓子の力を使うことなく、自力で願いを叶えることができるようになります
駄菓子を食べると願いが叶いますが、例えば陽子の場合だと、「自分を輝かせる服が光る」というものがありました
この場合に「なぜ駄菓子はこの服を選んだのか」ということを考える必要があるのですね
そこには足りないセンスに対する課題というものがあって、その効果だけに頼ると自分の成長は起きないのですね
なので、他の人(評価者)の声を聞きながら、具体的に前の自分のファッションとどういうところが違うのか、ということに傾聴していくことでセンスと言うものは磨かれていくのではないでしょうか
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/100902/review/04556435/
公式HP: