■おんたんの絶対は、門出から大葉にスイッチしてしまったのだろうか
Contents
■オススメ度
浅野にいおの漫画が好きな人(★★★★)
キャストのファンの人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.5.28(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
情報:2024年、日本、120分、PG12
ジャンル:突如上空に現れた謎の物体に翻弄される人類を描いたSF青春映画
監督:黒川智之
脚本:吉田玲子
原作:浅野いにお 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(小学館)』
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キャスト:前後章ともに混在
幾田りら(小山門出:イソベやんを溺愛する女子高生)
あの(中川凰蘭/おんたん:門出の親友、戦争ゲームオタク)
種崎敦美(栗原キホ:小比類巻を想う門出の友人、前章にて死亡)
島袋美由利(出元亜衣:癒し系の門出の友人)
大木咲絵子(平間凛:亜衣の幼馴染、BL好き女子)
和氣あず未(竹本ふたば:門出の友人、侵略者保護団体、福井県出身の駿米大学の学生)
白石涼子(田井沼マコト:ふたばの中学の同級生、福井県出身の駿米大学の学生)
入野自由(大葉圭太:8.31で行方不明になったアイドル「LOVE♡無限大」似の少年)
内山昂輝(小比類巻健一:陰謀論に傾倒する青年)
坂泰斗(渡良瀬:門出の担任教師)
諏訪部順一(中川ひろし:凰蘭の兄)
伊原正明(中川大五郎:ひろしの父、おんたんの居候先)
津田健次郎(小山ノブオ:門出の父、8.31で行方不明)
柚木涼香(小山真奈美:完全防御の門出の母)
佐藤せつじ(高畠:真奈美の新しい恋人)
沢崎千春(尾城先輩:大学のオカルト研究会の部長)
大木咲絵子(黒騎士:亜衣の弟)
松田健一郎(宝田:S.E.S社の技術者)
大西沙織(須丸光:S.E.S社の広報)
河西健吾(三浦太郎:S.E.S社に取材するジャーナリスト)
若林佑(神鳴:防衛大臣)
こはけまさふみ(荻野克彰:総理大臣)
杉田智和(イソベやん:遠い未来からやってきたきのこ人)
TARAKO(デベ子:イソベやんの内緒道具に頼る怠け者)
斉藤こず恵(メスゴリラ:デベ子をいじめる女)
引坂理鈴(ヒネ美:メスゴリラの仲間)
櫻庭有紗(みょんみょん:アイドル)
山楠正臣(池田ノリ:自衛隊の隊員)
■映画の舞台
日本:東京&千葉
■簡単なあらすじ
前章にて、福井から上京してきたふたばは、駿米大学にて、門出とおんたんに出会うことになった
どこかのサークルを乗っ取って軍隊を作ろうと考えていたおんたんは、弱そうなオカルト研究会に目をつけ、門出とふたばも巻き込まれるかたちで入ることになった
その頃、陰謀論に傾倒していた小比類巻は合法化された侵略者狩りに明け暮れるようになり、それらの粛清は日常化していくことになった
SES社は宇宙船のテクノロジーの解析を進め、彼らの動力源となっている元素を発見し、それを武器に応用しよと考え始める
そんな中、門出との過去を思い出したおんたんは、大葉とともに「あること」を行っていたことが判明する
そして、いよいよ母艦の動力源が尽き、それが地上に墜落する可能性が高まってしまう
日本政府はSES社と手を組み、秘密裏に「方舟」を作り、要人たちだけで脱出しようと暗躍を始めるのである
テーマ:青春の礎
裏テーマ:震災が遺したもの
■ひとこと感想
1ヶ月遅れでの後章の公開となり、ようやく続きが観れると言う感じになっていました
前章では「後章」の予想なんぞを公開していましたが、見事に外れて笑ってしまいました
そっかー、現実路線で落とし所をつけようとしたんだねえ、と感慨深くもあります
原作とどう違うのかははっきりと分かりませんが、どうやら門出の父親のエピソードがマルッと割愛されているようですね
映画の特典に描かれていたキャラがネタバレみたいなところもありましたが、個人的には思っていたのと違う、と言う感想になってしまいます
前章は門出とおんたんの話で、メインは門出の過去に関するものでした
その流れからすれば、門出の過去がどのように現在に作用するかという物語になっているのですが、そこに変化球を混ぜている感じになっていましたね
これで良いのかは何とも言えないのですが、キャラの力関係がガラッと変わっているので、別作品のような印象を持ってしまいましたねえ
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
門出の過去によって、今の東京の状況があり、それを修正しようと動いたのがおんたんと言うことになっています
おんたんの行動によって、宇宙船の来襲自体が変わってしまっていて、「門出を助けたから地球がヤバい」という流れになっていました
後半は、その落とし前をおんたんと大葉が協力してつけると言う流れになっていました
SES社の目論見とか、宇宙船の背後には別の存在がいるなどとモリモリで話は進んでいきますが、後半の門出はほぼ空気状態になっていましたねえ
てっきり、過去の改変を知った門出が落とし前をつける展開になるのかと思いましたが、そうではなかったのは驚いてしまいます
映画は、宇宙船の爆発が迫って、その爆発を止めるためのコードが実はと言う内容になっていました
それによって、爆発が早まったことで「謎の泡」の拡散が始まる前に全部を飲み込むことができたと言う流れになっています
門出たちは東京にいなかったので難を逃れたと言うことなのですが、前章の主人公がその顛末で良いのかは「微妙」としか言いようがないように思えてしまいます
■デデデデとは何の話だったのか
本作は前後編に分かれている作品で、前半は「門出とおんたん」の日常を切り取って、最後に「二人を結びつけていたものの正体」というものを仄めかせて終わります
そして、後半になって「絶対」という言葉の持つ意味と覚悟が描かれ、こちらはおんたんと大葉による物語になっていました
前後編を通じての主人公はおんたんということになり、彼女の日常における「門出の絶対感」と「過去改変による落とし前をつける」という物語になっていました
個人的には、おんたんと門出のバディムービーだと思っていたので、後半は「母艦の危機に立ち向かう二人」だと思っていましたね
なので、いきなり話のコアが変わった感じがして、凄い方向転換をしたなあと思って眺めることになりました
最後の最後のおんたんのピンチに登場ということもなく、どこかに出かけていて戻っていないので生きている、という何とも言えないエンディングになっていました
ラストの決戦も小比類巻VS大葉という戦いになっていますが、前半のテイストを考えると別の映画を観たような錯覚に陥ってしまいます
本作は、母艦の出現によって惑う青春を描いている群像劇で、母艦の出現に関与しているもの、母艦の出現によって立場が変わったものなどがいて、その中でも変わらない生活を送り続けている人もいます
母艦を停止させるチャレンジによって、被害が東京だけで済んだということなのですが、映画ではかなりわかりにくい感じになっていました
対比として、母艦を早期爆発させられなかった他の都市を描くなどをすれば「マシな結果だった」という感じに見えますが、あの流れだとミッションは失敗したエンドのようにも見えてしまいます
泡のようなものが拡散される前に大爆発を起こしたことで助かっているのですが、泡がヤバいよということまではわかっても、それ以降がザックリしすぎているので、何が良くて終わったのかは一瞬わかりませんでした
■予想は外れたけど
前章のレビューにて「原作未読の展開予想」なるものを書いていましたが、ものの見事に外れています
このハズレっぷりを眺めるのも一興なので、時間のある人は参考に読んでいただければ良いと思います
【映画感想】デッドデッドデーモンズデデデデストラクション 前章【後半:ネタバレあり】
前章にて公開された内容だけで予想を組み立てたのですが、もう一度考えても、同じような想像になっていたように思います
原作から改変されたものだとは聞いていますが、ザックリ言えば「全滅エンドが一部助かるエンドに変わった」ようですね
どっちが良かったかはわかりませんが、門出の過去を改変して、そのために母艦が出現したことを考えると、その顛末に門出が絡まないのはどうかなあと思ってしまいました
自分にとっての絶対である門出の死は受け入れ難いもので、それは世界の破滅と引き換えにできるほどのものだったと思います
でも、現実的に「自分の選択による影響」をリアルに感じてしまうと、それを命懸けで止めなればならない使命感を感じてしまいます
とは言うものの、単純な話、おんたんは門出に生きておいて欲しいだけなんだと思います
映画は、そのあたりのおんたんの葛藤はキャラ的に感じられないし、門出がどうのと言うよりも、大葉との関係の方を主軸に置いているようにも思えます
それが良いかどうかは別として、おんたんと大葉の方にシフトチェンジをするならば、いっそのことエンディングはおんたんと大葉のデュエットソングでも良かったように思えてしまいますね
そうなるとFIRST TAKEの神動画は見られない世界線になってしまうのですが、それはそれで仕方ないのかもしれません
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、元々地球で繁栄していた種族が生き残るために地球外に出て、そして戻ってきて生き直すと言うものになっていました
侵略者としては、地球人を一掃することでやり直すと言うプランがあって、それに抵抗する人類と言う構図にはなっています
それでも、人類側の侵略者に対する一連の行動がひどくて、後にいる人たちの判断もあながち間違っていないように思えてしまいます
東京がヤバくなった理由が、正体不明の未確認飛行物体に対して「新型兵器を試す」と言うところから始まって、さらに開発を加速させ、侵略者側のテクノロジーを利用して軍事転用を試みてきました
さらに、国民が知らないところで方舟を建設し、それによって要人だけを脱出させようと目論んでいました
リアルな話をすれば、その方舟の建設に携わった末端の作業員がそれに乗れるはずもなく、偉いさんたちの脱出船を作らさせるだけで切り捨てられていると言う闇が存在しています
母艦の爆発によって一般市民にも影響が出ましたが、あの辺の馬鹿野郎どもも一掃されているのならOKのような感じもしてしまいます
幼少期に侵略者と出会ったことで力を手に入れて、門出はそこで人のために力を使うことを考えます
その思想はやがて、行動を肯定することで強化されるのですが、その功罪を目にしたとき、脆く崩れ去ってしまいます
本作には、侵略者の道具から、人類が開発する兵器までたくさんのものが登場しますが、それを有効活用できた人はいないように思いました
本作には「イソベやん」と言う思いっきりドラえもんみたいな漫画が登場しますが、そこで描かれるのも怠惰な主人公を手助けする未来人でしたね
それを考えると、堕落し消滅してもやむなしと思える存在になる時にこそ審判が下るとも言え、それを促すように技術を提供しているのが「上なる存在の目的」なのかな、と感じてしまいました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/100134/review/03866696/
公式HP: