■豊穣の先にあった殺戮は、誰の懐を豊かにしたのだろうか


■オススメ度

 

重厚な犯罪映画が好きな人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2023.10.24(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題Killers of the Flower Moon(芽吹の満月の殺人者たち)

情報:2023年、アメリカ、206分、PG12

ジャンル:オイルマネーの裏側で起こる不可解な連続死を描く犯罪映画

 

監督:マーティン・スコセッシ

脚本:エリック・ロス&マーティン・スコセッシ

原作:デヴィッド・グラン/David Elliot Grann『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生(Killers of the Flower MoonThe Osage Murders and the Birth of the FBI:、2017年)』

 

キャスト:(わかった分だけ)

レオナルド・ディカプリオ/Leonardo DiCaprio(アーネスト・バークハート/Ernest Burkhart:叔父を訪ねてくる退役軍人)

 

ロバート・デ・ニーロ/Robert De Niro(ウィリアム・ヘイル/キング/William King Hale:アーネストのおじき)

キャサリン・ウィリス/Katherine Willis(マーティー・ヘイル:ウィリアムの妻)

デラニ・チェンバース/Delani Chambers(ウィリー・ヘイル:ウィリアムの娘)

 

【モリーの家族関連】

リリー・グラッドストーン/Lily Gladstone(モリー・カイル/モリー・バークハート:アーネストが惚れ込む先住民の女性、のちの妻)

 

タントゥー・カーディナル/Tantoo Cardinal(ラジーQ:モリーの母)

カーラ・ジェイド・マイヤーズCara Jade Myers(アン:モリーの妹)

ジャナエ・コリンズ/Janae Collins(レータ:モリーの妹)

ジリアン・ディオン/Jillian Dion(ミニー:モリーの姉、消耗性疾患)

ジェイソン・イズベル/Jason Isbell(ビル・スミス:ミニーの夫)

 

モーマ・・ジーン/Norma Jean(ヴェラ:モリーの家政婦)

グレッグ・ウィリアムズ/Greg Williams(モリーの庭師)

ショナ・スミス/Shonagh Smith(ネッティ・ブルクッシャー:リータの家政婦)

 

【BOI連邦捜査員】

ジェシー・プレモンス/Jesse Plemons(トム・ホワイト:連邦政府の捜査員)

タタンカ・ミーンズ/Tatanka Means(ジョン・ウェレン:BOIの捜査員)

パット・ヒーリー/Pat Healy(ジョン・バーガー:BOIの捜査員)

マイケル・アボット・ジュニア/Michael Abbott Jr.(フランス・スミス:BOIの捜査員)

サミュエル・フレンチ/Samuel French(C・J・ロビンソン:BOIの捜査員)

ガブリエル・カスドルフ/Gabriel Casdorph(ジョー・ジョーンズ:BOI捜査員)

 

【地元の公権力】

ジョン・リスゴー/John Lithgow(ピーター・リーワード:地元の検事)

ブレンダン・フレイザー/Brendan Fraser(W・S・ハミルトン:ウィリアムの弁護士)

ゲイリー・バラサバ/Gary Basaraba(バーンズ:現地の刑事)

モー・ヘドリック/Moe Headrick(フリース:保安官)

ヤンシー・レッドコーン/Yancey Red Corn(ボニカッスル:署長)

エリック・パーキンソン/Eric Parkinson(マーシャル:現地の刑事)

スティーヴ・エースティン/Steve Eastin(ジョン・C・ポロック:判事)

ジョー・クライスト/Joe Chrest(フリーリング:弁護士)

 

【ウィリアムとアーネストの交友関係】

ウィリアム・ペロー/William Belleau(ヘンリー・ローン:アーネストを迎えにくる現地民)

ジェシカ・ハージョ/Jessica Harjo(パール:ヘンリーの恋人)

ルイス・カンセミ/Louis Cancelmi(ケルシー・モリソン:アーネストの女好きの友人、密造業者)

キャンディス・コステロ/Candice Costello(キャサリン・コール:ケルシーの遊び相手)

デヴィッド・ボーン/David Born(ケルシーの弁護士)

 

ランディ・ハウザー/Randy Houser(スコット・マティス:ウィリアムの友人)

ジョーイ・オブレスビー/Joey Oglesby(ロイ・バンチ:ウィリアムの友人?)

アレクシス・アン/Alexis Ann(メラリー・ローン:ウィリアムの友人?)

リー・エディ/Lee Eddy(マッキー夫人:ウィリアムの友人?)

ジェジー・グレイ/Jezy Gray(ウィリアムの秘書)

 

アンソニー・J・ハーヴェイ/Anthony J. Harvey(チャーリー・ホワイトホーン:アナを揶揄う男)

 

【親族関係】

スコット・シェパード/Scott Shepherd(バイロン・バークハート:アーネストの弟)

 

ヴァネッサ・ローズ・ファム/Vanessa Rose Pham(エリザベス・バークハート:アーネストの長女、赤ん坊時)

   (2、3歳時:キンスレ・マクナック/Kinsleigh McNac

   (3〜5歳時:エリザベス・ウォーラー/Elizabeth Waller

   (5〜6歳時:アレクシス・ウォーラー/Alexis Waller

 

ロアニン・デイヴィス/Roanin Davis(カウボーイ・バークハート:アーネストの長男、赤ん坊時)

   (2〜3歳時:ブレイブリー・ナウリン/Bravery Nowlin

   (4〜5歳時:リバー・ローデス/River Rhoades

 

メイミー・コザッド/Mamie Cozad(アンナ:アーネストの次女、赤ん坊時)

   (2歳時:ラックス・ブリトニ・マラスカ/Lux Britni Malaske

 

ジョシュア・クローズ/Joshua Close(ホレス・バークハート:親戚)

エルデン・ヘンソン/Elden Henson(ドューク・バークハート:親戚)

 

エリシャ・プラット/Elisha Pratt(ジョセフ・ビッグハート:親戚)

デジリー・ストーム・ブレイヴ/Desireee Storm Brave(バーサ・ビッグハート:親戚)

マーガレット・グレイ/Margaret Gray(グレース・ビッグハート:親戚)

クリストファー・ヒル/Christopher Hill(ジョン・ビッグハート:親戚)

 

ジェームズ・ローマン・デイリー・ジュニア/James Roman Dailey Jr(アンナの名付け親、親戚)

クリストファー・コート/Christopher Cote(アンナの名付け親、親戚)

 

テリー・アレン/Terry Allen(ジム:叔父)

ジョー・ハーヴェイ・アレン/Jo Harvey Allen(アニー:叔母)

サラ・スパーガー/Sarah Spurger(マーサ:乳母)

 

【オセージ評議会】

エベレット・ウォーラー/Everett Waller(ポール・レッド・イーグル:評議会の議長)

タリー・レッドコーン(伝統派のリーダー)

ラリー・セラーズ/Larry Sellers(ホンジンガのメンバー)

ブレント・ラングドン/Brent Langdon(バーニー・マクブライド:評議会から捜査を一任される探偵)

 

【裏稼業の男たち】

トミー・シュルツ/Tommy Schultz(ブラッキー・トンプソン:裏仕事を請け負う男)

タイ・ミッチェル/Ty Mitchell(ジョン・ラムジー:裏仕事を請け負う男)

メアリー・ベス/Mary Buss(ジョン・ラムジーの妻)

スタージル・シンプソン/Sturgill Simpson(ヘンリー・グラマー/Henry Grammer:密造業者、ロデオのカウボーイ)

ピート・ヨーン/Pete Yorn(エイシー・カービー:裏仕事を請け負う男)

ジェリー・ウルフ/Jerry Wolf(フレッド・デノヤ:アーネストの強盗仲間)

アディ・ローンホース/Addie Roanhorse(デノヤの妻、アーネストの強盗仲間)

DJ・ホワイテッド/DJ Whited(洞窟の無法者)

 

【ダイジェストで殺される先住民関係】

タロン・サテポードル/Talon Satepauhoodle(ジョン・ホワイトヘアー:殺される先住民)

ジェニファー・レイダー/Jennifer Rader(サラ・バトラー:殺される先住民)

チャンス・ラッシュ/Chance Rush(ビル・ステップソン:殺される先住民)

デイナ・ディライト/Dana Daylight(アンナ・サンフォールド:殺される先住民)

マハダ・サンダース/Mahada Sanders(ローズ・ルイス:殺される先住民)

ベン・ホール/Ben Hall(サラを殺した男)

 

【その他】

スティーヴ・ウィッティング/Steve Witting(ジェームズ・ショーン:モリーの主治医)

スティーヴ・ルートマン/Steve Routman(デビッド・ショーン:モリーの主治医)

チャリス・テイラー/Charisse Taylor(ルイス・ハーディング:モリーの看護師)

 

ジーン・ジョーンズ/Gene Jones(ピッツ・ビーティ:銀行屋?)

ウォーリー・ウェルチ/Wally Welch(ボブ・マウント:アナを乗せるタクシー運転手)

 

バリー・コービン/Barry Corbin(アンダーテイカー・タートン:葬儀屋)

マイク・クック/Mike Cook(駅の行商人)

 

ファーザー・クリス・デイグル/Father Chris Daigle(カトリックの司祭)

ジャスティン・フランス/Justin France(カードプレイヤー)

 

リーランド・プラーター/Leland Prater(「Rex Theater」のマネージャー)

ゲイリー・S・プラット/Gary S. Pratt(銀行の頭取)

 

マーク・ランドン・スミス/Mark Landon Smith(クーリッジ大統領)

ブライス・バーフィールド/Bryce Barfield(米国関係者)

トム・アシュア/Tom Ashmore(部族評議会の通訳)

セス・バックミンスター/Seth Buckminster(ウィリアムの理容師)

ペニー・ポッツ/Penny Potts(バレエのインストラクター)

アダム・ワシントン/Adam Washington(ミサの従者)

ラリー・ジャック・ドットソン/Larry Jack Dotson(看守)

 

チャーリー・マッセルホワイト/Charlie Musselwhite(アルヴィン・レイノルズ:?)

 

【ラストのラジオ番組関連】

J・C・マッケンジー/J.C. MacKenzie(ラジオのアナウンサー)

ジャック・ホワイト/Jack White(ラジオ番組の俳優)

ラリー・フェセンデン/Larry Fessenden(ラジオのヘイル役)

ウェルカー・ホワイト/Welker White(ラジオのヘイルの親戚役)

マーティン・スコセッシ/Martin Scorsese(ラジオ番組のプロデューサー)

マルコ・A・コスタンツォ/Marko A. Costanzo(ラジオ番組の音響担当)

ニコラス・ホワイト/Nicholas White(ラジオの音声担当)

ロブ・フィッシャー/Rob Fisher(ラジオ番組の指揮者)

ヴィンス・ジオルダノ/Vince Giordano(ラジオ番組のバンドリーダー)

 


■映画の舞台

 

1920年代、

アメリカ:オクラホマ州オセージ郡

https://maps.app.goo.gl/MCdmZpjz3LnUZyqh7?g_st=ic

 

ロケ地:

アメリカ:オクラホマ

バートルズビル/Bartlesville

https://maps.app.goo.gl/jFN4hxX22CLnNbPz9?g_st=ic

 

オセージ/Osage Country

https://maps.app.goo.gl/MCdmZpjz3LnUZyqh7?g_st=ic

 

フェアフォックス/Fairfax

https://maps.app.goo.gl/TixjTCJaaKvcQFdeA?g_st=ic

 

パフスカ/Pawhuska

https://maps.app.goo.gl/oc4VqFwXM4EsQBsNA?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

1919年、アメリカ・オクラホマ州のオセージに、第一次世界大戦の退役軍人アーネストがやってきた

彼は叔父のウィリアム・ヘイルを頼ってこの地に訪れ、やがて運転手として、オイルマネーで裕福な先住民を相手に働き始める

 

ある日、ウィリアムはアーネストに身を固めるつもりがあるのかと問い、彼は仕事で知り合ったモリーを気にかけていると言う

ウィリアムは彼女の家系と縁を持つことで裕福になれると言い、結婚することを勧めた

 

幸せに暮らしていたアーネストとモリーだったが、モリーの姉妹の不可解な死が続き、またモリー自身の体調にも変化が訪れる

秘密裏に雇った探偵も不可解な死を遂げ、街には異様な緊張が走り出す

オセージの評議会も事態を重く受け止め、捜査の手を拡大するものの効果はあまり見られなかった

 

そんな折、モリーの隣家にて、大きな爆発が起き、住民全員が即死するという事件が勃発してしまうのである

 

テーマ:先住民への挽歌

裏テーマ:おぞましき犯罪と赦し

 


■ひとこと感想

 

3時間半近くある作品で、キャスト数も死ぬほど多くて、 ONE NOTEの常時保存がめちゃくちゃ重くなってしまいました

キャスト欄を調べるだけで半日費やし、それでも全部を網羅できているとは思えません

追加で情報が得られたら、しれっと更新しているかもしれませんがご容赦くださいまし

 

映画は、事実ベースの犯罪映画で、オセージで起きた先住民連続殺人事件がベースになっています

そこで起きたことを忠実に再現しつつ、原作から視点を変えることで、普遍的な物語になっていると感じました

 

流石に200分越えなので誰にでも薦められるものではありませんが、劇場で観る価値はあると思います

ある程度知識を入れておいた方が良いですが、先住民を人として扱っていなかった時代があったことさえ抑えていればOKだと思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

映画は、キングことおじきの言いなりになるアーネストが描かれ、裏稼業に手を染める人々を金で動かしていく様子が描かれていきます

オイルマネーによって先住民は優雅な暮らしをしていますが、誰もがまともに働いていないので、肥満=糖尿病というものが問題になっていました

 

また、オイルマネーの権利は先住民が有しますが、肝心のお金の管理は国によって行われていて、自由にできているとは言えないように思えます

このあたりの背景はサラッと説明されていますが、深掘りするならば、原作を読むなどして補完せざるを得ません

 

映画は、ラストのモリーの選択が見どころで、アーネストの弱さとモリーの包容力のパワーバランスに注目すべきものが凝縮されています

人を信じることの難しさと、心の弱さは全てを暴露する弱さへと繋がっていました

何度も見返せる映画ではないので、体調万全で1回きりのつもりでトライした方が良いと思います

 


オセージ連続殺人事件について

 

劇中で描かれる「オセージ連続殺人事件」は「オセージ・インディアン殺人事件(Osage Indian Murder)」と呼ばれています

これは1918年から1931年までに起こり、60人以上のオセージ族が殺されています

部族が持っていた「土地に関する鉱物権」を狙ったもので、その背景には「石油で富を得たオセージは白人の後見人をつけなければならない」という法律がありました

これは「半血、混血のオセージに義務付けられたもの」で、これによって多くの白人が搾取することになりました

 

この法律を利用するためにオセージと結婚する男性がいて、妻の死後に財産を管理するために行われていたとされています

そして、これらの死亡事件の多くはまともに捜査されず、連邦捜査局の前身である捜査局(BOI)の捜査によって、オセージ・ガーディアン・プログラムに関与する地方議員を含めた多くの職員の汚職が判明します

でも、殺人事件のほとんどは起訴すらされなかったのですね

 

それでも一部の加害者は有罪判決を受け、その中には牧場主のウィリアム・ヘイルの名前もありました

彼は甥っ子の妻とその家族などを殺した罪に問われ、ヘイルの命令に関与したヘンリー・グラマーとエイサ・カービーは捜査中に不審死を遂げています

また、ケイシー・モルソンも有罪判決を受け、証言と引き換えに免責を約束されていましたが、1937年に警察との銃撃戦の末に死亡しています

 

この事件を受けて、1925年米国議会は法律の改正に動きます

でも、アメリカ政府はその後も産油地のリース料や使用料が管理していて、2000年には「国民に支払うべき使用料の踏み倒し」などを提訴する事態に発展しています

この裁判は2011年い3億8000万ドルの支払いとプログラムの管理改善を約束するということで和解に至っています

 


オセージ・ネイションについて

 

劇中で被害に遭うオセージ族はオクラホマ州グレートプレーンズに住む先住民のことを言います

1673年頃、フランスのジャック・マルケットJasques Marquette)とルイ・ジョリエLouis Jolliet)によって初めての接触がなされ、18世紀頃には貿易を行ったフランス人と同盟を組むなどがありました

1700年代は交流が盛んで、エティエンヌ・ド・ヴァニエール(Étienne de Veniard)とシュール・ド・ブールモン(Sieur de Bourgmont)は、自分たちの土地に「フォート・オーリンズ」を設立します

それはミズーリ川にある最初のヨーロッパ植民地時代の砦だったと言われています

イエズス会の宣教師もやってきて、彼らを改宗させる田mねお伝導所なども作られていきます

 

その後、フランスはフレンチ・インディアン戦争に敗れ、領土の多くをイギリスに持って行かれます

1763年、ミシシッピ川より東側をイギリス王室が支配することになり、フランス王室はスペイン王室と協定を結び、イリノイ・カントリーの大部分をスペインが支配します

その中にあって、オセージはセントルイスに拠点を置くフランスのクレオール毛皮商人のルネ・オーギュスト・シュトー(René Auguste Chouteau)と広範の取引を続けていました

セントルイスは名目上スペインの支配下の領土ではあるものの、実質的にはフランス人入植者が支配していました

 

その後、天然痘の流行によって2000人以上のオセージ族が死亡しています

また、1804年にはルネの異母兄弟のフランスの毛皮商人ジャン・ピエール・シュトーがセントルイスのインド代理人となり、オセージの拠点を今のオクラホマ州サリナへと移すことになりました

1808年、オセージはアメリカと最初の条約を交わし、現在のミズーリ州の土地を大幅に割譲することになります

オセージ条約を締結し、5248万エーカーの土地を連邦政府に譲渡します

これによって、「土地売却のすべては米国大統領の承認が必要」となり、アメリカは「白人の居住地の近くに位置するインディアンの他部族の侮辱や迫害から守る」という大義名分を用意していました

だが、オセージはアメリカがこの約束を履行していないことに気づきます

 

その後、宣教師が改宗目的で教会を建てるものの、その文化の違いから紛争を引き起こします

1837年頃からカンザス州を中心に天然痘が大流行し、カトリック教徒たちは身を守るためにオセージを放棄します

流行から逃れたオセージ族はそのままその土地に残り、それによってキリスト教が根付くことはありませんでした

その後、別のインディアン準州への移動を余儀なくされた時、残った一部のカトリック聖職者が同行し、彼らは遺留地の子どもたちの教育に尽力します

この特別な関係は続き、2014年にはセントルイス大学で行われたミサにオセージ族の長老が参加することになりました

 

その後、南北戦争に突入し、南北両方から攻撃を受けます

そして、北軍の勝利を受けて、カンザス州の一部の土地を売却し、収益を得ます

1867年、ジョージ・ストロング・カスター中佐は、インディアン準州西部のブラック・ケトル酋長とシャイアン族、アラパホ族と作戦と共にし、オセージ排斥へと乗り出します

だが、オセージ族の奇襲にあって反撃を喰らい、作戦は失敗に終わります

 

1894年、オセージが所有する広大な草原にて、大量の石油が発見されます

ヘンリー・フォスター(Henry Foster)はインディアン問題局(BIA)に働きかけ、石油と天然ガスのオセージ居留地を探索する独占的特権を要求します

ヘンリーの死後は弟のエドウィンがその利益を引き継ぎます

BIAはこの要求を認め、フォスターがオセージ族の居留地で生産された石油の全売上の10%のロイヤリティを支払うという条件をつけます

フォスターは大量の石油を発見し、オセージ族も莫大な利益を得ることになりました

 

映画では、この時代の直後を描いていて、「オセージヘッドライト(Osage Headright)」問題へと移行します

これはオセージ・ネイションの各メンバーに一つずつ当てられた権利で、その所有者は「オセージ鉱物園の四半期ごとに株式を所有する」というものでした

いわゆる財産権であり、オセージ鉱物評議会のメンバーに投票する権利も有します

 

1921年には、オセージ族の富の使い方に危機感を抱いた米国議会は、オセージに対して「能力を証明するまで後見人を任命することを義務付ける」という法律を可決します

オセージ系の祖先が半分未満の未成年者は両親が生存していても後見人を任命する必要があり、この後見人に白人の弁護士や実業家たちを任命することになりました

後見人はオセージの収入から年間200〜1000ドルを徴収することができ、1人で4人まで担当することができたとされています

 

そして、1925年に、アメリカ政府は血液量が2分の1を超えるオセージ市民から非オセージへの権利譲渡を禁止することになります

この権利を巡り、ウィリアムたちはオセージ族との結婚を進め、その子孫に権利を引き継がせようと考えます

この時期が映画で描かれている時期になります

そして、事件から40年の時を経た1978年には、連邦法改正によって、オセージ以外の個人や団体への譲渡が禁止されることになりました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画は、209分超えの大作で、休憩時間などはありません

それでも、そこまでの長さを感じることはなく、集中して観ることができる作品でした

流石に飲み物などの調整は必要ですが、私の鑑賞回でトイレに出たのは数人だったように思います

 

本作は、映画内で上記のオセージにまつわることは簡単に説明されているので、下調べがなくても何とかなる感じです

本来ならば、パンフレットなどで「オセージの権利」についての解説が必要で、ウィリアムたちがどうして政略結婚までする必要があったのかを書いてくれた方が良かったように思います

とは言え、フライヤー(映画チラシ)すら制作する間もなくと言った感じで、予告編が流れたと思ったら、翌月には公開に至っていたので、単純に作成する時間がなかったのかなと思いました

 

英語の記事やwikiなどを駆使してブログを作成しましたが、ほんのさわりぐらいしかふれられていないので、興味のある人はもっと専門性の高い記事などを探された方が良いかと思います

今回の記事作成で結構勉強になりましたが、一夜漬けで書けるのはこの辺が限度になりますね

 

映画は、込み入った犯罪の実録映画のような感じになっていて、主要な人物はほぼ実在する人という感じでした

リリーを含めた被害者とその家族、主要な犯人はほぼ実名で、アーネストとウィリアムの関係性などもそのままです

エンドロールにはリリー三姉妹の写真も登場していたのが印象深かったと思います

 

ちなみにタイトルにある「フラワームーン」は、原作本の翻訳で「花殺しの月」と訳されていました

その由来は、インディアンたちが「5月の満月」を「フラワームーン」と呼んでいたからとされています

この月が出たあとは、豊穣が訪れるということで、この満月のことを「芽吹の月」「葉芽吹きの月」という風に呼んでいたそうです

映画は「5月の満月の殺人者たち」という意味にも訳せるので、それはウィリアムたちを含めたオセージを搾取した「米国議会も含んだ」すべての人々を表しているのかもしれません

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

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公式HP:

https://kotfm-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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