■大将軍が還ることの意味を知れば、戦術の何たるかを理解できるかも知れません


■オススメ度

 

シリーズのファンの人(★★★)

原作ファンの人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2024.7.12(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

情報:2024年、日本、146分、G

ジャンル:中華統一を目指す嬴政とそれを支える兵士・信の成長を描いたアクション映画

 

監督:佐藤信介

脚本:黒岩勉&原泰久

原作:原泰久『キングダム』

 

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キャスト:

山﨑賢人(信:天下の大将軍を夢見る奴隷の少年、最弱の伍に配属→飛信隊の隊長に任命)

吉沢亮(嬴政 / 漂:秦国の若き王、第31代秦王)

 

【山の民】

橋本環奈(河了貂:山民族の末裔、信と嬴政の盟友、王宮に配属)

長澤まさみ(楊端和:山の民の王)

阿部進之介(バジオウ:山の民の将軍)

 

【信の飛信隊】

清野菜名(羌瘣:信が道中で出会う少女、蚩尤の一人、最弱の伍)

岡山天音(尾平:信と同郷のチンピラ兄弟の兄、飛信隊、伍長)

三浦貴大(尾到:信と同郷のチンピラ兄弟の弟、飛信隊、伍長)

濱津隆之(澤圭:秦国の頼りない伍長、飛信隊)

真壁刀義(沛浪:伍長、飛信隊)

田中美央(渕:飛信隊の副長)

やべきょうすけ(有義:飛信隊)

町田大和(有カク:飛信隊)

栄信(輝蓮:飛信隊)

佳久創(竜川:力自慢の飛信隊)

青木健(爽悦:飛信隊)

久保勝史(章:飛信隊)

竜二(丹:飛信隊)

渡辺邦斗(尚鹿:飛信隊)

 

【秦】

髙嶋政宏(昌文君:嬴政の側近の文官)

加藤雅也(肆氏:嬴政の側近の武官)

満島真之介(壁:秦国の千人将)

 

佐藤浩市(呂不韋:秦国の丞相)

平山祐介(蒙武:秦軍の総司令、攻撃強い天才軍師)

萩原莉久(蒙毅:蒙武の息子、軍師学校の学生)

玉木宏(昌平君:秦軍の猛将)

 

大沢たかお(王騎:六大将軍最後の一人)

要潤(騰:王騎の副官)

新木優子(摎:王騎の部下、のちの六大将軍)

 

草刈正雄(昭王:伝説の秦王)

 

【城戸村の住人】

村川絵梨(友里:城戸村の住人)

桜井日奈子(東美:城戸村の住人)

 

【趙】

山本耕史(趙荘:趙軍の総大将)

片岡愛之助(馮忌:頭脳派の知将)

山田裕貴(万極:秦に恨みを持つ将軍)

小栗旬(李牧:宰相)

佐久間由衣(カイネ:李牧の護衛)

吉川晃司(龐煖:趙の大将)

金児憲史(魏加:趙の中華十弓の1人)

 

【回想パート(7年前):本作の登場はなし】

(紫夏:趙の闇商人)

   (幼少期:浅田芭路

はまさきけんたろう(紫夏の父)

浅利陽介(亜門:紫夏の幼馴染)

杉本哲太(道剣:昭王の家臣、紫夏の協力者)

 

吉永幸一(ナレーション)

 


■映画の舞台

 

紀元前244年

秦国の辺境

 

ロケ地:

千葉県:鋸南町

https://maps.app.goo.gl/7KPZuFeaUZpxMViEA?g_st=ic

 

富士宮市:根原区

https://maps.app.goo.gl/zNqXtrWcQMvYTj299?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

嬴政と共に中華統一の夢を描く奴隷出身の兵士・信は、先の戦いにて大将軍・王騎に認められ、飛信隊の隊長を任されることになった

趙との戦いにおいて、奇襲作戦を命じられた信は、見事にその大役を果たし、次なる展開に向かうことになった

 

戦いがひと段落終えて休んでいたところ、そこに正体不明の男がやってきた

男は武神と呼ばれる趙の将軍・龐煖で、信たちは臨戦体制に入るものの太刀打ちできずに一方的にやられてしまった

 

そこに秦軍が来たことで撤退することになった龐煖だったが、彼は王騎と因縁を持つ人物だった

そして、その戦局を見守る趙軍の軍師・李牧は、王騎の動向に注意をしながら、2人の戦いの行方を見守ることになったのである

 

テーマ:将軍とは何者か

裏テーマ:戦いの後に残るもの

 


■ひとこと感想

 

ひとまずは「王騎編」終了という感じになっていて、龐煖との因縁が回想される中で、2人の戦いの行く末が描かれる内容となっています

原作はかなりの長編なので、どこまで映像化できるかはわかりませんが、どうやらシーズン2にあたる撮影が始まっているという噂が流れています

 

シリーズ4作目で、かなりのキャラクターが登場し、顔出しだけになっているキャラもいます

待望されている続編に舵を切れたのは良いことですが、次も4作ぐらいの大作になると思うので、作るのは大変だろうなあと思ってしまいます

 

映画は、シリーズのファン向けの映画で、さすがにこの作品が最初だとハードルが高すぎるように思います

冒頭で「見たことある人の記憶を呼び覚ます程度」のダイジェストはありますが、さすがにそれで察するのは無理があります

なので、地上波でも前作が放送されるとのことなので、最低限「キングダム 運命の炎」だけはおさらいしておいた方が良いと思います

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

原作付きの作品なので、ネタバレがあるのかはわかりませんが、王騎がどうなって、どのように帰還するのかはネタバレになるのかな、と思います

今回は信は完全に脇役レベルになっていますが、最後でちょこっとだけ主人公感を出すシーンがありますね

それでも王騎の存在感に勝てるところは1ミリもなかったように思います

 

映画は、ある戦の一部分を前作の続きとして描いているので、場面の転換は回想録以外はほとんどありません

王騎と関係する摎という女武将が登場しますが、その強さは漫画的な部分を感じましたね

原作のイメージに合っているのかはわかりませんが、武将っぽくは見えませんでした

 

メインの王騎VS龐煖は迫力のある戦いで、どうやって決着をつけるのかと思ったら、意外な結末になっていましたね

おそらく史実に即したのだと思いますが、それが却って将軍たるものは何かを指し示す流れになるのは胸熱展開だったと思いました

 


将軍とは何か

 

本作は、奴隷の少年が大将軍を夢見て駆け上がるという内容で、前作のラストにて小隊を持てるようになりました

今回は、その小隊の更なる飛躍を描いていて、王騎の駒として信頼を得ていく様子が描かれていきます

小隊に限らず、トップを守ることの意味が描かれていて、信を守ろうとする飛信隊、王騎を逃そうとする王騎軍が描かれていました

 

信を守ることの意味は、信さえいれば飛信隊は復活できると信じているからなのですね

それほどに部下たちから信頼されているのですが、彼らの心を掴めるほどの胆力と行動力が彼にはありました

無論、能力が突出しているというほどではないのですが、その場の空気を読んで、それに瞬時に反応できる瞬発力は彼なりのものだったと思います

前作でも一点突破を果たすし、今回も卑怯な矢に反応したのは信だけでした

 

王騎を守ることの意味は、王騎の最期をどのように与えるかという武士道の精神があると思います

彼が王宮に戻ることは大きな意味を持ち、戦場から離れることで、彼が遺したい言葉というものがそれぞれに伝わるようになりました

ここで王騎は、将軍とは何かを語り、その景色を信に見せることになります

信はひとっ飛びでは将軍にはなれないので、王騎不在の秦国を建て直すためにも騰の責任は重大ななってきます

彼自身が王騎になる必要はありませんが、秦国の向かう先を同一視する必要は出てきます

そう言った意味において、王騎は騰に必要な言葉を授ける時間が必要だったと言えます

 


戦いの目的

 

この局面において、敵の李牧は王騎の逃亡を阻止することを考えませんでした

それは彼自身の言葉にもありますが、戦いの目的が王騎の首を都に持ち帰ることではないからなのですね

まずは戦局を見極めて、不利な状況を打開するためのステップになっていたので、王騎を戦線から離脱させたことで、この戦いの目的というものは達成されていました

秦国としては、大事な領土を守り切ったという結果になっていて、現時点では双方ともに必要なことは成し得たという結果になっています

 

そして、李牧は軍師として今後の局面を考えていました

王騎という駒を失った秦国の弱体化は起こっていて、それを凌駕するのが「王騎が遺すもの」だったのですね

もし、王騎が戦場で死んだとすると、王騎軍は徹底抗戦で、最後の1人が倒れるまで戦ったと思います

それによって趙軍も大打撃を受けることになり、それは今後の展開としては好ましくはありません

王騎にこだわったことで数千人の兵士を失うというのは愚策に近く、李牧はそれを見越していたのだと言えます

 

李牧としては、王騎が彼らに何かを遺すということは想定していますが、そこで語られる言葉が実践に至るまでのタイムラグというものをわかっています

でも、王騎が戦場で死んだ際に起こる、王騎軍の感情的なものというのは、即効性のあるもので止めようがありません

それによって、戦局が読めなくなり、彼のコントロールを外れることになります

その影響を鑑みて、彼は手を引くことを選びました

どこでどのような形で引くかということも全て計算の上で行われていて、それが李牧が名軍師と呼ばれる所以のように思いました

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作は、膨大な原作と歴史のほんの一部を映画化したもので、ようやく10巻ぐらいまで進んだのだと思います

始皇帝が誕生するというゴールがあっても、そこに辿り着くまではかなりの時間を要していて、この時代が一直線に事が運んでいくということもありません

信が飛信隊となって、それから戦うごとに小隊は強くなるのですが、その成長物語としても、まだまだ序の口であると言えます

それゆえに、ビジュアルが刻々と変化してしまう実写化というものはとてもハードルが高いものになっていました

 

どうやら次の三部作の話は持ち上がっているようで、撮影に入っているという話もチラチラとメディアに乗りつつありますね

原作のすべてを映画化するのは難しいと思いますが、それよりも「一旦、綺麗に終わったように思える物語」をどのように再建させていくのかという問題があります

キングダムの主人公は王騎ではないので、信が生きている限りは続いていくと思いますが、本作は王騎の存在感が突出していたのが今後の難題になるように思えます

 

原作は未読で、戦国時代の詳細を覚えているわけではないので、今後どうなるかは知らないのですが、まずは李牧をどう攻略するのかという物語展開を迎えるのでしょう

趙軍で顔だけ出しているキャラもいるし、わざわざ嬴政の元にきた楊端和があれで終わりとは思えません

このあたりのキャラが物語上で役割を果たすまでは終われないと思うので、次の三部作でそこまで描けたらOKなのかもしれません

ここまでのビッグタイトルになったら資本も入ってくると思うので、原作との乖離が激しくなるまでは映画は続けられるのかな、と思いました

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/100899/review/04028545/

 

公式HP:

https://kingdom-the-movie.jp/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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