■裏切られたのはオーディエンスだったというオチ
Contents
■オススメ度
ラッセル・クロウが好きな人(★★★)
■公式予告編
鑑賞日:2024.3.5(TOHOシネマズ二条)
■映画情報
原題:Poker Face
情報:2022年、オーストラリア、94分、G
ジャンル:旧友を集めて「訳ありポーカーゲーム」を行う様子を描いたスリラー映画
監督:ラッセル・クロウ
脚本:ステファン・M・コーツ&ラッセル・クロウ
キャスト:
ラッセル・クロウ/Russell Crowe(ジェイク・フォーリー:オンラインポーカーで財を成した富豪)
(若年期:Darcy Tadich)
リアム・ヘムズワース/Liam Hemsworth(マイケル・ナンカーヴァス:金に困っているジェイクの幼馴染)
(若年期:Bede Warnock)
RZA(アンドリュー・ジョンソン/ドリュー:ジェイクと一緒にオンラインポーカーを作った親友)
(若年期:Rakeem Diggs)
エイデン・ヤング/Aden Young(アレックス・ハリス:作家として成功しているジェイクの幼馴染)
(若年期:Calum Anderson)
スティーブ・バストーニ/Steve Bastoni(ポール・ムッシーノ:現役閣僚として成功しているジェイクの幼馴染)
(若年期:Zack Grech)
ダニエル・マクファーソン/Daniel MacPherson(サム・マッキンタイア:ジェイクの弁護士)
Brooke Satchwell(ニコール・フォーリー:ジェイクの娘)
Molly Grace(レベッカ・フォーリー:ジェイクの後妻)
Lynn Gilmartin(アリソン・フォーリー:ジェイクの亡き妻、ニコールの母)
ポール・タッソーネ/Paul Tassone(ヴィクター:ポールの兄)
(若年期:Oscar Mitchell)
Matt Nable(ビリー:ヴィクターの親友)
Benedict Hardie(スティクス:ヴィクターの友人、美術鑑定士)
エルザ・パタキー/Elsa Pataky(ペネロペ:ジェイクのポーカー・ディーラー)
Addam Bramich(クリス:ジェイクの使用人)
Lucy Lock(デビー:ジェイクの使用人)
Quek ‘Albert’ Yong(コン:ジェイクの料理人?)
ジャック・トンプソン/Jack Thompson(パジェ:ジェイクが世話になる祈祷師)
Danielle Coleman(パジェの助手)
Mikaela Delolmo(パジェの助手)
Eden Hookway-Jones(パジェの助手)
Jacqueline McKenzie(ジェイクの医師)
Zara Zoe(アリラ・モーレイ:ジェイクの絵を描きたいという肖像画家)
Honey Beattie(シェリル:ポールの幼少期の恋人)
Caspar Hardaker(アーサー:ジェイクの幼少期のポーカーの相手)
Moreblessing Maturure(モニカ:ドリューの幼少期の友人)
Josh Norbido(ポーカー・ディーラー)
Sam Burgess(ボクシングのトレーナー)
Shaun Barry(ポールの秘書)
Jemima Quinn(ポールの秘書)
Aileen Huynh(ビバリー:ポールに突撃する記者)
Joe Shabadoo Machart(報道カメラマン)
■映画の舞台
オーストラリア:シドニー
ロケ地:
オーストラリア:ニューサウスウェールズ
キアマ/Kiama
https://maps.app.goo.gl/UFx7RJMCyV1BR7jM9?g_st=ic
シドニー/Sydney
https://maps.app.goo.gl/6o86HgVBCTzFH9j57?g_st=ic
クラウン・シドニー/Crown Sydney(邸宅)
https://maps.app.goo.gl/jcAHcEJK6bDHTdUu6?g_st=ic
■簡単なあらすじ
シドニー郊外の邸宅に住む大富豪のジェイクは、祈祷師の元を訪れて、今後の相談を行なっていた
祈祷師は「自信の健康に不安があるのだな?」と看過し、残りの人生で成し得たいことを吐露する
祈祷師は「自白剤」をジェイクに持たせ、「気休めがある方が計画はうまく行くだろう」と背中を押した
自宅に戻ったジェイクは、幼少期の頃に思いを馳せながら、旧友たちの到着を待った
自宅に呼び寄せたのは、かつてポーカーゲームをした馬鹿騒ぎをした頃の悪友たちで、ジェイクは彼らに何かを語らせたいと考えていた
呼ばれたのは、現在閣僚に入っている政治家のポール、小説家のアレックス、貧乏で金に困っているマイケルで、ともに事業を拡大させた幼馴染ドリューは遅れて到着する手筈となっていた
ジェイクは、彼らに「高級外車と500万ドルのどちらを選ぶ?」と迫り、彼らは「500万ドル」を受け取ってポーカー勝負をすることになった
採択されたゲームは「ノーリミット・テキサス・ホールデム」で、勝者が総取りというルール
だが、ゲームの裏側で、ジェイクはある仕掛けを施していたのである
テーマ:裏切りの報酬
裏テーマ:友情と相続
■ひとこと感想
てっきりポーカーゲームによる心理戦!みたいな映画を想像していましたが、ポーカーじゃなくても良くね?という内容になっていましたね
キャスト欄を調べていた時に、主要人物のほとんどに幼少期のキャストがいたので、幼い頃につながりのあった人々が再度集うという物語になるのはわかりました
過去のポーカーゲームの因縁を紐解くのかと言えばそんなこともなく、本当にポーカーである理由がほとんどない、という物語になっていました
オンラインのポーカーゲームサイトで財を成したジェイクですが、友人もそれなりに成功していて、一人だけアル中で人生終わりかけているという友人がいたりします
そんな経済的なパワーバランスがテーマなのかと思えばそんなこともなく、金持ちの余興的な仕掛けでゲームが始まってしまいます
ジェイクは友人たちから何かを聞きたがっていますが、その内容を彼は知っているようで、それを友人たちの前で口に出せるかどうか、というものを試していきます
とは言え、その関係性に恨みを抱いているというものではなく、最終的な「分配」に関して、その告白が生きてくる、というような趣旨を持っていたことになっていました
↓ここからネタバレ↓
ネタバレしたくない人は読むのをやめてね
■ネタバレ感想
そんな彼らのポーカーゲームは、ドリューが遅れて到着したことで「勝敗がつかないまま終了」となり、ゲーム・ディーラーも早々に帰ってしまいます
そこからは昔話に花を咲かせるという感じで和気藹々となりますが、侵入者によって平穏はかき消されてしまいます
この強盗団は友人の弟ということになるのですが、彼らの侵入が予定なのかアクシデントなのかはわかりません
でも、その一味を殺すことも目的のひとつのように描かれていて、あの乱入がなかったらどうなったのかというのは正直なところわかりませんでしたね
映画は、不穏な雰囲気が漂っていますが、本当に不穏なだけで、強盗団も怖くないし、自爆するしという感じで、ジェイクの使用人っぽい青年が可哀想だなあという感じに描かれていました
大富豪がヤバいほどのコレクションを持っているという設定になっていましたが、今時「セキュリティゼロ」というのが非常に胡散臭い感じになっていましたね
ひょっとしたら鑑定士もポンコツで、あの絵は全部フェイクなんじゃないかなと思ってしまいます
あとは、かなり思わせぶりな肖像画を描きたい女が登場しますが、このキャラもかなり意味不明なキャラクターで、なんのために存在したのかはまったくわかりませんでした
■ポーカーについて
映画で登場するのは「テキサス・ホールデム」という種類のポーカーで、数多くあるポーカーの中でも主流となるゲームと言われています
ポーカーは「5枚のカードで役を作る」という基本があり、ワンペア、ツーペア、スリーカード、フルハウス、ストレート、フォーカード、ロイヤルストレートフラッシュなどの役があります
同じワンペアだと数字が大きい方が勝ちというゲームで、Aが一番強くて2が一番弱いというルールになっています
テキサス・ホールデムでは、プレイヤーに2枚のカードが配られ、プレイヤー全員が共有する5枚のコミュニティーカードというものがあります
この合計7枚で役を作り、あとはチップを賭けて心理戦を行うという流れになっています
ディーラーから右回りに「スモール・ブラインド」「ビッグ・ブラインド」「アンダー・ザ・サン」という役回りがあり、スモール→ビッグという順番にカードを2枚ずつ配っていきます
ビッグ・ブラインドはチップを強制ベットし、スモールはその半額をベットします
その後、プレイヤーは配られたカードを確認し、ここからベットを始めていきますが、この時点ではコミュニティカードはまだ配られていません
ベット・アクションは「コール(前の人と同じ額)」「レイズ(上乗せ)」「フォールド(降りる)」「チェック(ベットせずにパスする)」という「プリフロップ」というものがあります
その後、時計回りに全員がベットを終えると、次に「フロップ」へと移行します
フロップはディーラーがコミュニティカードを3枚置くところから始まり、そこからベッティング・ラウンドが始まります
1周すると、また1枚コミュニティカードが置かれ、さらにべっティング・ラウンドへと移行します
最終的にはフィールドに5枚のコミュニティ・カードが出た段階で、最後のベッティング・ラウンドに移行し、「フォールド」していないプレイヤーは「ショーダウン」として手札を公開して勝負することになります
ショーダウンによって勝敗が決まり、その場に賭けられているチップを勝者が総取りすることで、1ゲームが終わります
以上が簡単なゲームの流れになっています
■結局、ジェイクは何がしたかったのか?
ジェイクは弁護士のサムの協力を得て、幼少期の友人たちを自宅のゲームへと招待しました
幼少期もポーカーで遊んでいたこともあり、懐古的な意味合いがあったのだと思います
とは言え、ポーカーを最後までやるというものではなく、ドリューが合流した段階でディーラーのペネロペを帰していましたし、それ以前に使用人、コックも帰らせていました
彼の目的はただ一つ、妻ニコールと不倫関係にあるアレックスの自白の強要で、そのために無関係のポールとマイケルも毒を飲まされていました
最初から相手がわかっているので、残りの友人を巻き込む意味はありません
観客側も冒頭直後ぐらいでニコールがアレックスと電話をしているシーンを観ているので、3人のうち誰か?というミステリーですらありません
この5人は「ジェイクとジミーが会社を立ち上げた時の共同株主」のような存在で、ジェイクとジミー以外はすでに売却しているという設定がありました
早々に売ったのか、値上がりしてから売ったのかはわかりませんが、本来は売らずに共有しておく財産のようなものだったのでしょう
このあたりを踏まえると「株式を売却したこと」がひとつの要因で、もうひとつが「妻との不倫を友人の前で暴露させる」というものだったと言えます
だからと言って清廉潔白な面々という感じはしないので、単なる夫としての妻への逆襲のような側面がありました
事実、不倫関係を認めさせたことで「財産分与」に影響を与えることになっています
とは言え、娘にほとんどが行ってしまうのですが、結局のところお金の管理に関しては妻(元になるのかな)がすることになると思うので、往生際の悪さというものを見せつけているようにも思えてしまいます
■120分で人生を少しだけ良くするヒント
本作は、大体の人が「ひりつくようなポーカーのせめぎ合い」を期待していたと思いますが、単なる幼馴染の幼少期の思い出のひとつになっていたので物足りなかったと思います
ポーカーシーンもあるにはありますが、もっと緊迫した場面でお薬が登場した方が良かってですね
復讐の意味合いがあるので、ペネロペに仕込ませて、アレックス(目標)がひたすら勝ち続けるという出来レースにして、リアルでも貧乏なマイケルが苦渋を舐めるという展開もありでした
そこから紡がれる「アレックスの隠し事」というものが「匂わせ」のように語られ、アレックスの血の気が引いていって、あっという間に負けが込む、という展開になります
一度、天国まで昇華させて、さらにそこから突き落とすということがポーカーを通じて可能なので、素人でも考えつきそうな関連(お約束)ぐらいは混ぜてもらった方が良かったと思います
ぶっちゃけると、ヴィクター関連が本当に不要で、彼のシーンを丸ごとカットして「ポーカーシーン」を挿入した方がマシなのですね
ジェイクの家にセザンヌがあろうがなかろうが本編にはあんまり関係なく、マイケルが持ち込んだ銃もほとんど役に立っていません
挙句の果てには、全く無関係の使用人が一人死んでしまうので、本当に本編とまるっきり関わらないシナリオを採択した理由がわかりませんでした
結局のところ、仮面夫婦=ポーカーフェイスというほどでもなく、親友の裏切り=ポーカーフェイスでもないのですね
ジェイクは前妻がこの世を去ってからニコールと再婚することになっていますが、どう見ても金目当て系の悪女にしか見えません
ニコールも娘という設定でも違和感がないほどに不釣り合いなので、このあたりのキャスティングも人物の紹介をしていくパートでもうまく表現されているとは言えません
これらのノイズと、絶望的な展開によって酷評されているのですが、これは起こるべくして起こっているように思えます
物語は幼少期の和気藹々から始まり、いきなり老齢期直前くらいまで飛ぶのですが、彼らのそれぞれの道が明示されないまま「疎遠になっている」と説明されても、だからどうした感が凄かったと思います
ジェイクの計画についても、サムは「やめとけ」という感じになっていたし、計画もあってないようなものだっと思います
ポーカーフェイスというタイトルが絡むシーンもほとんどなければ、ポーカーゲーム映画としての面白さもない
色んなダメな要素が重なって、取り止めのない映画になってしまったように思えました
■関連リンク
映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)
https://eiga.com/movie/101148/review/03566545/
公式HP: