■春の庭での邂逅によって、死に縛られた母親は再生の道を歩んでいく


■オススメ度

 

韓国の心霊スポットネタ系のホラー映画に興味がある人(★★)

 


■公式予告編

鑑賞日:2025.1.25(MOVIX京都)


■映画情報

 

原題:늘봄가든(春の庭)、英題:Spring Garden

情報:2024年、韓国、90分、PG12

ジャンル:夫の死後に発覚した新居で起こる奇妙な出来事を描いたホラー映画

 

監督:ク・テジン

脚本:ク・テジン&パク・サンウク

 

キャスト:

チョ・ユニ /조윤희(ソヒ/소희:夫・チャンスの自殺にて流産してしまう妻)

キム・ジュリョン/김주령(ヘラン/혜란:ソヒの姉)

 

チョン・インギョム/정인겸(インキョム/인겸:謎の退魔師)

 

ホ・ドンウォン/허동원(チャンス/창수:自殺するソヒの夫)

チョン・エファ/정애화(チャンスの母)

ユン・ガヒョン/윤가현(チャンスの姉)

 

イ・ジュンオク/이중옥(ナム・ヒョンサ:行方不明の女子高生を探している刑事)

カン・イェジン/추예진(ウン・ヒョンジュ/현주:刑事が行方を追う女子高生)

 

ウ・ヒョウォン/우효원(ジンレ/진래:不良グループのリーダー)

チェ・ソユン/최서윤(ムンヒ/문희:ジンレの恋人、タトゥーの女)

イ・ジオ/이지오(チ・ヨンソク/지영석:ピアスと呼ばれる不良グループのメンバー)

パク・ロア/박루아(ウンジュ/은주:不良グループのメンバー)

 

ソン・ジウ/송지우(ジウォン/지원:ヘランの娘)

キム・ラオン/김라온(ドンヒョン/동현:ヘランの息子)

キム・ジンレ/김진래(ヘランの夫、写真)

 

イ・スビン/이수빈(手術室の医師)

チョン・ウヒョク/정우혁(パク・アヒョン/박변호사:弁護士)

キム・ヒョジュン/김효진(地下室の幽霊)

チョン・ジェフン/정재훈(学年主任)

ヒョン・ヘソン/현혜선(学生)

チョン・ジュンファン/정준환(刑事)

キム・イェジュン/김예준(パン袋を持った少年)

チョン・ドンファ/전동하(家出少年)

オ・サンリム/오상림(家出少年)

イ・イェジン/이예진(家出少年)

イ・チャンジク/이창직(出版社の代表)

パク・ジェリン/박제린(集中治療室の看護師)

ホ・ソンフン/허성훈(救急隊員)

パク・ソンミン/박성민(救急隊員)

ムン・マンスン/문만승(ターミナルの見知らぬ男)

イ・ヒソン/이희선(私服刑事)

ファン・へジョン/황혜정(私服刑事)

ジン・ジュヨン/진주영(制服刑事)

イ・ジュンヒョク/이준혁(精神科医)

 

ウォン・ヨンヨン/원풍연(スプリングガーデンのオーナー)

チョン・インファ/정인화(不動産ブローカー)

 


■映画の舞台

 

元ネタ:忠清北海堤川市

https://maps.app.goo.gl/iB7uErRL4zLmZRyJA?g_st=ic

 

韓国:京畿

 

ロケ地:

韓国のどこか


■簡単なあらすじ

 

韓国に住むライターのソヒは、夫チャンスと結婚し、お腹の中には新しい命が宿っていた

ある日のこと、ソヒが目覚めると、目の前で夫が首を吊って死んでいたところに遭遇する

警察は自殺と断定し、葬式の最中に夫の親族からなじられたことで、ソヒは流産してしまった

 

その後、弁護士から夫が新居を購入していたことを知り、ソヒと彼女の姉ヘランはその家に向かうことになった

そこにはブランコのある庭がある戸建てで、内装もしっかりとできていて、いつでも入居できる状態だった

ソヒはヘランの心配をよそにそこに引っ越すことになり、仕事も再開することになった

 

そんな折、ソヒは自分の写真ケースが割れていることに気づく

そばによると、その裏から1枚の女子高生の写真が出てきた

そこでソヒは、その女子高生を探すことになったのだが、同じくして、彼女を探しているナム刑事がいた

学年主任はナム刑事に連絡を入れ、彼はソヒの後を追うことになったのである

 

テーマ:因果と罪

裏テーマ:家族

 


■ひとこと感想

 

韓国の心霊スポットをモチーフにしたホラー映画で、かなり相関関係のわかりづらい内容になっていました

元ネタは全く別の建物で、庭ぐらいしか共通点がなく、なぜか事故が起こる商業施設だったと思います

その都市伝説をそのまま一戸建てに引用しているのですが、訳ありの庭には訳ありのものがあるということになっていました

 

映画は、冒頭に4人の若者がある場所(リフォーム中のチャンスの家)に侵入するのですが、その場所で彼らは見てはいけないものを見つけてしまいます

その後、彼らと関わりのあった女子高生を探すソヒと出会うことになるのですが、どうやらソヒはとある悪霊に取り憑かれていて、彼女の体を介して、目的の若者を始末していくという流れになっていました

 

その女子高生がさらにソヒの夫チャンスと関係しているというもので、夫もその女子高生の怨霊に殺されたように思います

このあたりの流れが非常にわかりづらく、時系列と因果が結びつかないので、どうなっているのか理解に苦しむ内容になっていました

ホラーとしてもそこまで怖くなく、かなり低レベルな作品だったように思えました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

ネタバレと言ってもさらっとしたもので、夫と関係を持ったのかわからない女子高生が死んでしまい、その復讐を果たしていくという内容になっていました

その移動手段として使われたのがソヒということになっていて、女子高生の父親(不法侵入してくる怪しい男)がそれを封じ込めようと躍起になっていました

 

結局のところ、彼が埋めた呪物はソヒとヘランによって掘り起こされてしまい、それによって女子高生の霊体なるものが完全復活を遂げたみたいな感じになっていましたね

そこからは、自分を慰み者にしたジンレたちを殺しまくるのですが、結局のところ女子高生と夫が関係を持ったのかはよくわかりませんでしたね

夫は自殺をしたのですが、その理由もよくわからず、おそらくは女子高生の霊体に殺されたのだと思います

 

映画は、心霊スポットを引用していますが、元ネタを辿るとほとんど関係ないように思えます

元ネタの建物のオーナーとか、その周辺の人たちが映画の公開に文句を言っているようですが、ただでさえ変な噂が立っているのに、映画を観た人たちが群がってくるのも嫌だったんだろうなあと思います

面白いかどうかと言われればかなり微妙ですが、ホラー映画としてではなく、女性としての生き方を再認識する時間の物語だったと思えればOKなのかもしれません

 


元ネタについて

 

本作は、「늘봄가든」と言う実在の場所がモチーフになっていて、いわゆる「実録系ホラーの派生」となっています

モチーフとなった心霊スポットは韓国の忠北の堤川付近にある建物で、当初は焼肉食堂店舗だったとされています

その店舗と家族に悲劇があったとされますが、その詳細である「娘は障害持ち」「従業員や家族の自殺」と言うものがあって、それから「幽霊出現ポイント」として若者が訪れる場所となっていました

韓国では「3大心霊スポット」として紹介されることが多いようですね

 

元ネタに関してはほとんど情報がない作品で、映画との関連を思わせるものもないと思います

場所を引用すると言う方式になっていて、そこからは制作サイドがストーリーを作り上げていっています

ホラー映画の大半は「家族内不和」から起こる悲劇であり、そこには自殺が絡むことが多いですね

その自殺は「怨念化する」と言うのがアジアンホラーの定番で、本作の場合は「希望から絶望に変わった女子高生の魂」と言うものがピックアップされていました

 

映画のラストでは、女子高生ヒョンジュの死因となったチャンスの妻が妊娠をしていることがわかり、庭にいるヒョンジュと対峙すると言う場面がありました

ヒョンジュはチャンスとの子どもを諦めましたが、ソヒにはその可能性が残されています

ヒョンジュがソヒのお腹の子どもを攻撃しないのは、その子どもが実はヒョンジュの生まれ変わりであるとか、彼女が産むはずだった子どもだったから、と言うカラクリがあるのかもしれません

そのあたりは想像にお任せしますレベルだと思いますが、「娘の死」と言うものが元ネタの悲劇の起因となっているので、転生を描くことに意味があったのかな、と感じました

 


勝手にスクリプトドクター

 

映画では、夫チャンスが妻ソヒとの新しい生活のために家を購入していて、その建設途上にいじめられていた女子高生ヒョンジュを助けると言う導入がありました

そこでチャンスはヒョンジュと関係を持ってしまい、ヒョンジュは妊娠してしまいます

でも、チャンスから「妻と生まれてくる子どもがいる」と告げられたヒョンジュは絶望し、死を選んだことによって怨霊化して、その建物に憑いてしまいました

そして、その怨念によってチャンスは死に、その場所はソヒの知らないうちに心霊スポットのような場所になっていました

 

その後、若者たちがその場所を訪れて幽霊を見るのですが、その若者たちはヒョンジュをいじめていた人たちで、彼女がそこに匿われて、自殺して怨霊化したと言うことは知りません

これが冒頭のシーンになるのですが、このあたりの導入はそこまで難しいものではなかったと思います

問題なのは、後半の物語の収束であり、結局どうなったの?みたいな感じになっているところだと思います

 

本作の舞台設定は、子どもにまつわる怨念、閉鎖空間における悲劇、家族としての責任などがあり、救済と絶望のコントラストが激しい作品となっています

チャンスを媒介してヒョンジュとソヒが対立することになりますが、ソヒは事実を知ることでヒョンジュを恐怖の対象から受容へと向かっていきます

これは、チャンスの仮初の救済の先にあったものであり、ヒョンジュにとってのソヒは「母性の象徴」であると思います

恋敵ではなく、ソヒのような母親のもとに生まれたかったと言う願望が芽生えていると思うので、この路線で行くとなると、ラストのソヒのお腹の中の子どもはヒョンジュである方が理に適っているのでしょう

 

ソヒは夫の悪行を知る中でヒョンジュの存在を知り、そして保護すべき対象としての母性を導き出します

ソヒがヒョンジュを育てることがヒョンジュへの最大の救済となっていて、その種がチャンスである必要もないのでしょう

ヒョンジュ目線だと自身の愛を渇望すると思いますが、見方を変えれば「ソヒは自分がなりたい母親像」のようにも思えます

そういった目線だと、生まれてくる子どもは精神的なヒョンジュの妹とかになるのかもしれません

ソヒが愛情を持って育てることでヒョンジュにも幸福感が生まれる

それを考えると、ヒョンジュはあの場所から消えることはないし、新しい家族を見守る守護霊になるのかもしれません

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

映画のタイトルは英訳すると「Spring Garden」と言うもので、「春の庭」と言う意味になります

庭に春が訪れると、そこには花が咲き誇り、一面に美しい世界が展開されます

生命としての誕生を意味する季節でもあり、希望に満ちた世界への入り口となっていきます

また、春とは再生の季節であり、同時に喪失から抜け出して芽吹く痛みを伴う時間であると言えます

それでも、その場所で絶望が生まれたことにより、その庭は永遠に春にはなれない存在になっていたと思います

 

映画では、冬の時代として固定された庭が描かれ、そこは死の世界として来るものを死へと向かわせていました

そこに訪れるのが流産を経験しているソヒであり、夫の自殺騒動も伴って「すでに死の世界にいる人間」だったと言えます

そんな彼女はその場所で人生の再出発を試みることになるのですが、実際にはヒョンジュの怨念と夫の所業というものがあって、それに苛まれる存在となっています

それでも、家の怨念に取り憑かれるというよりは、ヒョンジュという人物を通じて「居場所を失った女性」としての共感を得ていくことになります

 

怨念を受け入れることになったソヒは徐々に回復の方向に向かいますが、それはヌルボムガーデンの住人となっていく過程のようにも思います

ある意味、閉鎖空間の中で生きる人物として、庭によって外界から守られた場所で生きていくようにも見えてしまいます

その世界では、望むべき四季があり、人生は充実したものになる

それを考えると、彼女がその家を出ていく時こそ、本当の船出になるように感じられます

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

https://eiga.com/movie/102878/review/04699492/

 

公式HP:

https://neulbom-film.com/

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投稿者 Hiroshi_Takata

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