■力の出し入れを学ぶことで、あなたもイコライザーになれるかも(という夢を見たことにしておきましょう)


■オススメ度

 

シリーズのファンの人(★★★)

アクション映画でスッキリしたい人(★★★)

 


■公式予告編

鑑賞日2023.10.6(イオンシネマ京都桂川)


■映画情報

 

原題:The Equalizer 3(均一にさせるもの、致命的な武器)

情報2023年、アメリカ、109分、R15+

ジャンル:恩人の住む街で暗躍するマフィアとの戦いを描いたアクション映画

 

監督アントワン・フークア

脚本リチャード・ウェンク

 

キャスト:

デンゼル・ワシントン/Denzel Washington(ロベルト/ロバート・マッコール:退役軍人、元DIA工作員)

 

ダコタ・ファニング/Dakota Fanning(エマ・コリンズ:CIA職員)

デビッド・デンマン/David Denman(フランク・コンロイ:エマの上司、CIAエージェント)

 

エウジェニオ・マストランドレア/Eugenio Mastrandrea(ジオ・ボヌッチ:イタリア国家憲兵隊)

Sonia Ben Ammar(キアラ・ボヌッチ:ジオの妻)

Dea Lanzaro(ガブリエラ・ボヌッチ:ジオの娘)

 

レモ・ジローネ/Remo Girone(エンゾ・アリシオ:ロバートを助ける医師)

 

ガイヤ・スコデッラーロ/Gaia Scodellaro(アミーナ:カフェのウェイトレス)

Niccolò Senni(ステファノ:カフェの店員)

 

Daniele Perrone(アンジェロ:魚屋の店主)

Manuela Tasciotti(カルメラ:アンジェロの妻)

Zakaria Hamza(ハリド:魚屋の店員)

 

アンドレア・スカルドゥッツィオ/Andrea Scarduzio(ヴィンセント・クアランタ:街を支配しようと企むマフィア)

Andrea Dodero(マルコ・クアランタ:ヴィンセントの弟)

Salvatore Ruocco(サルヴァトーレ:ヴィンセントの部下)

Alessandro Pess(バイキング:ヴィンセントの部下)

Nicolo Fava(マルコの手下)

Alessandro Vavier De Silva(マルコの手下)

 

Bruno Bilotta(ロレンツォ・ヴィターレ:葡萄園の所有者)

Adriano Sabrie(ロレンツォの孫)

 

Adolfo Margiotta(バレッラ:ナポリの警察署長)

Giampiero Rotoli(バレッラの通訳)

 

Marta Zoffoli(ガブリエラの先生)

 

Marco Giliani(立ち退かされる男)

Simona Distefano(立ち退かされる男の妻)

Mauro Cremonini(見せしめに吊るされる老人)

 

Lucia Zotti(マーケットの老女)

 

Melissa Leo(スーザン・パルマー:ロバートの旧友)

 


■映画の舞台

 

イタリア:シチリア島

アルタモンテ(架空:モデルはアマルフィ)

https://maps.app.goo.gl/c5qTzU8acRyX22E99?g_st=ic

 

ロケ地:

イタリア:

Minori/ミノーリ

https://maps.app.goo.gl/xSa8bqNCGdEDpXe88?g_st=ic

 

Atrani/アトラーニ

https://maps.app.goo.gl/4rLg9jZoPzswVvS49?g_st=ic

 

Ravello/ラヴェッロ

https://maps.app.goo.gl/yCgJNvcK94jQgKoq5?g_st=ic

 

Maiori/マイオーリ

https://maps.app.goo.gl/FpoWje4qPuvsGjV89?g_st=ic

 


■簡単なあらすじ

 

ある要件にて、イタリアを訪れていたロバート・マッコールは、ワイナリーのマフィアを全滅させるものの、ボスの孫に撃たれてしまう

海を渡り、シチリア島を訪れたロバートだったが、とある港町にて気を失い、地元民に助けられた

 

男は憲兵隊のジオで、彼は知り合いのエンゾ医師の元に彼を届ける

エンゾは「彼は転んだんだ」と言い、背中の銃創から銃弾を取り出した

 

ロバートは彼らのおかげで命を存え、体力も徐々に回復していく

地元の魚屋アンジェロやカフェ店員のアモーラと仲良くなっていく中で、街で起きているある出来事にふれていく

 

それは街を牛耳ろうとしているマフィアの暗躍で、その手下がアンジェロたちから上納金を執拗に迫っていたことを知ったからである

 

そんな折、ロバートはCIAのエマ・コリンズに匿名の通報を行った

彼はワイナリーの場所を教え、そこにエマたちが探しているものがあると伝える

エマはいたずら電話だと思っていたが、それを上司に報告することになり、フランク捜査官とともにイタリアへと向かうことになったのである

 

テーマ:人生はタイミング

裏テーマ:義理の連鎖

 


■ひとこと感想

 

シリーズの3作目でロバートにとってはラストとなると噂される本作は、特殊部隊として活躍してきた彼がどのような余生を過ごすかを描いていきます

イタリアのどこかにあるワイナリーを壊滅させたロバートは、不意を突かれて少年に撃たれるのですが、それが致命傷に近い感じになっています

彼がシチリア島を選んだ理由はわかりませんが、その判断が功を奏して、温かみにふれることになります

 

映画内でも言及されるように、ロバートは人生はタイミングだと考えていて、人は然るべき時に、然るべき場所にいるという意味になります

彼が偶然アルタモンテを訪れ、そのタイミングでマフィアの活動が活発になる

彼が食堂に来ている時に、マフィアがジオ一家に脅しをかけるなど、映画上のシナリオと言えばそれまでですが、人生の節々において、このようなことは本当に起こるものだと言えます

 

映画は、アクションは少なめではありますが、ここぞというところできっちりを見せてくれるので、無駄をほとんど感じさせません

ロバートの完結編としてのシナリオも上手く、前2作を観ていれば、より一層エンディングの感涙に浸れるのではないかと感じました

 


↓ここからネタバレ↓

ネタバレしたくない人は読むのをやめてね


ネタバレ感想

 

予告編の9秒が冒頭のシーンになっていて、ラストは6分がキーワードになっていましたね

特殊スキルをあまり使わずに、その場にあるもので対応していくところがリアルでもあります

ヴィンセントの弟マルコから銃を奪い、その銃で相手を倒していく中で、さらに強力な武器を手に入れていく

相手の武器を利用して戦っていくので、他殺の痕跡を残しつつも、自分の足がつかないように仕向けていきます

 

彼がワイナリーを襲った理由と、エマに連絡を入れた理由などは、前2作を観ていれば強烈なオチになっていることがわかります

几帳面すぎる彼の行動や仕草は若干コミカルに映る場面もありますが、悪魔的な虐殺方法との対比が本作の特徴になっています

 

原題は『Equalizer 3』で、邦題は『THE  FINAL』となっていますが、これでシリーズが完結するのかは不透明になっています

インタビュー記事などでは、デンゼル・ワシントンが「私にとっては終わり」と明言しているので、ロバートの物語としては終わりになるのかもしれません

続編をエマで作るのかは分かりませんが、分かりやすいのは「過去に遡って、別の俳優で現在軸まで戻す」という手法でしょう

 


イコライザー4はどうなるのか?

 

英語版トレイラーでも「FINAL CHAPTER」と謳っているように、本作でロバート・マッコールの物語は終わりになるのだと思います

ロバートの退場=イコライザー終了という図式になっているのかわかりませんが、監督の中には構想があるとされています

「The Equalizer 4」でググってみると、色んな英語サイトがヒットするのですが、その中でも「The Equalizer 4」をどうするか問題は色んなところで議論になっています

コロンビアからの正式な発表がない段階でも、デンゼル・ワシントン抜きで製作されるという憶測が飛び交っています

 

これらの元ネタは、デンゼル・ワシントンがインタビューにて「これで終わりではないかもしれないし、彼らは別のことをするかもしれないが、私にとってはこれが終わりだ(It may not be the end, they may do another one, but it’s the end for me.)」と述べたことだと思います(Menshelth.comの記事内

同じ記事内の監督の言及だと、「新しいテクノロジーやAIの登場」に言及し、「若いバージョンの語られるべき物語がある」というニュアンスの発言がありますね

なので、ロバート・マッコールの物語として、前日譚を描くという構想はあるのかなと思います

 

もうすぐ公開される『ウェリー・ウォンカとチョコレート工場』のように、主演を刷新して若い頃を描き、そこから第1作に繋げるという方向性の作品も増えてきました

そう言った意味において、若きマッコールをどうやって描くかというところに、映画技法の分岐点があるように思えます

これまでは別の良く似た俳優を使うパターン、同じ俳優をCGで加工するパターンなどがありましたが、別の俳優でモーションキャプチャーを作って、それにCG処理を施したマッコールが重なるということも可能だったりします

 

また、メンター的な役割になって、かなり遠い未来を描くという方法もあります

これにはデンゼル・ワシントンの出演が欠かせませんが、マッコールの人生を継承する新人とか、彼に息子ができてという展開も考えられます

とは言え、こちらの未来軸はかなりハードルが高く、主役がマッコールではないので、ファンが観たいものじゃないかもしれません

そうなると、第一話に繋がる前日譚を描いていく方が良いのかもしれません

マッコールにはどんな過去があって、今のようになったのかを描くことになりますが、今のような温和である必要もなく、ビジュアルが似ていればOKなのかもしれません

このあたりは続報を待つより他ないと思います

 


人生におけるタイミングの意味

 

映画の中でマッコールがこだわっていたのは「タイミング」で、これはマフィアの弟マルコを食堂のテーブルで押さえつけた時に言及していました

「3週間早ければここにはいなかった」という趣旨の言葉で、それは「私がいるので好きにはできない」という警告の意味を有します

このマルコはタイミングの悪い男で、何かをするたびに邪魔が入るキャラになっていました

偶然、マッコールが食事しているタイミングでジオのところに来るし、その後も態度を変えていないことを読まれて、あっさりと殺されています

 

このタイミングの悪さは兄ヴィンセント譲りで、彼もタイミングの読めない男でした

彼はジオを人質に取って、マルコの殺害犯を特定しますが、SNSなどの報復を恐れて「明日」に行動を延期しています

その夜はシチリア島の祝祭の日で、その夜を汚したくなかったのかはわかりませんが、仕切り直しの意味でぐっすり睡眠を取るという暴挙に出ていました

 

また、タイミングが良いキャラとしては、CIAのエマが運の良いタイプで、マッコールからの警告電話を取ったために爆発に巻き込まれないというラッキーな側面を持ち合わせています

ラストのネタバレで、彼女が前回までのマッコールのバディ役だったスーザン・パルマーの娘であることがわかるのですが、その繋がりというものも無視はできないと言えます

人生におけるタイミングが、それが起こるべくして起こるかのような奇跡性を持ちながら、再現性の不可能な出来事を誘発しています

それを肝に銘じているからこそ、マッコールは「人生はタイミングが全て」だと言えるのではないでしょうか

 


120分で人生を少しだけ良くするヒント

 

本作のシリーズの特徴は、いわゆるDIY殺法と呼ばれる「その辺にある道具を使って相手を倒す」という、現地調達の殺人術であると思います

1作目はもろにホームセンターのあれこれを「こんな使い方が!」という感じに使っていましたが、本作ではそこまで露骨なDIYにはなっていませんでした

ワインセラーに手ぶらで乗り込んだとは思えませんが、「9秒」に関しては「相手が近づきすぎていること」を利用して、その武器を奪ったり、盾にしたりして戦っていきます

ヴィンセントの屋敷に乗り込む時も、事前にマルコから奪った銃のみで侵入し、敵が持っている武器を利用するに至ります

 

今回は利用する武器が少ない街での戦いなので、DIYっぽさというのがあまりなかったのが残念でしたね

でも、銃火器の過剰な所持で無双するよりも、本当に敵にしたくないという意味では最強なのかなと感じました

今回は動きもかなり特徴的になっていて、いわゆる省エネの動きになっています

いかに少ない動きで相手を倒すかという感じになっていて、力の暴力で圧倒するというよりは、技巧的な熟練似て戦っていく様子が描かれていました

 

武道の達人クラスになると、その動きには無駄がないのですが、それはイメージ通りに体を動かせることと、体の仕組みに精通しているというものがあります

大男を倒す老人の武道家の映像などをたまに見ることがありますが、相手の体重、速さ、急所などをうまく利用して、それによって相手にダメージを与えていきます

相手を殴る時など、拳に力を入れるのではなく、拳に体重を乗せるという感じになっていますね

拳の重量は高々数キロですが、全体重がそこに集中すれば、50キロ以上の重さになってしまいます

 

正確な体重移動はスポーツ全般に有効で、例えば野球の投手の場合などでも、投げる方の腕の腕力よりは、反対側(グローブを持っている方)を引くことによって、腕のしなりに遠心力を加えることができます

それによって、腕投げの球威とは全く異質のものになり、腕の負担が少ない状態で速い球を投げたりすることができます

また、パラシュートの着地などでも、地面に着いた瞬間の力を回転することによって逃がし、まるで柔道の受け身のように転がりながら力を吸収させていきます

これも正確な体重移動の鍛錬によって成せる技と言え、柔道を習っている時に受け身から入るのも、「受け身によって力がどう分散するか」を身をもって学ぶためだと言えます

 

スポーツの経験がある人ならばわかると思いますが、これらの体をイメージ通りに動かすというのはとても難しいことなのですね

それが体験によって培われ、技術とマインドによって進化していくことで、まるで遊びのように動いているのに、相手に強力なダメージが残るという戦い方に繋がっていきます

ヘッドショットで確認作業するので相手のダメージの蓄積は不要ですが、相手が動き出すタイミングを遅らせることができれば、それだけで優位に立てますので、体の使い方を覚える意味でも、簡単なエクササイズをしても良いのではないでしょうか

 


■関連リンク

映画レビューリンク(投稿したレビュー:ネタバレあり)

Yahoo!検索の映画レビューはこちらをクリック

 

公式HP:

https://www.equalizer.jp/

アバター

投稿者 Hiroshi_Takata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA